平成27年10月8日 越前市武生東小学校 校長室だより№21 校長のひとり言 夢や希望を持つ! 暑い時期も過ぎ去り、秋の気配が漂うようになってきました。秋らしいさわやかな天気が続いて います。ようやく本格的な体育・文化・芸術の秋の到来です。 さて、毎年実施されている全国学力・学習状況調査や体力調査で全国のトップクラスの成績を収 めている福井県ですが、平成 19 年度の調査で、 「あなたは将来の夢や希望がありますか」という質 問に対する結果は福井県の教育界に大きな衝撃を与えました。夢や希望を見い出せないと回答した 児童生徒数が意外と多かったからです。 肯定的な回答をした割合が全国で 43 位という結果だったの です。その後、各学校の意図的・計画的な取組の結果ずいぶん改善されてきていますが、今回は、 夢や希望について考えてみたいと思います。 フラワーブラボーコンクール審査会風景 皆さんは、 「夢」という言葉から、どのようなことをイメージされるでしょうか。寝ているときに 見るのも「夢」ですし、将来自分はこのようになりたいと思い、いろいろ想像することも「夢」で す。その他に、 「できそうもないこと」とか「はかないこと」なども「夢」の意味の中にはあります。 でも、 「夢」が「できそうもないこと」や「はかないこと」だったらとても寂しいことです。 「夢」は実現できないものなのでしょうか。私はそう考えたくはありません。人は皆、満足のい く人生を送りたいと願っています。 そのために目標を持って頑張っているのだと思っています。 「夢」 は自分の力で実現していくものであり、大きな可能性を持っているものでもあるはずです。 どのような夢や希望であっても、それに向かって心を込めて努力していくことが大切です。夢や 希望を持つことは、モチベーションの向上につながると言われています。そして、夢や希望の実現 に向けて、日付を入れると目標になります。武生東小学校の先生方は、子どもたちの夢や希望に向 かって目標を持たせています。 子どもたちの目標が一つずつ達成できることを願い応援しています。 親の背中 「親の背中を見て子は育つ」とは、昔から言い継がれている格言です。では、親のどんな姿を見 て子どもは育つのでしょうか。 仕事場と居住が接していて、食べることに一生懸命であった時代には、子どもたちは家族を養う ために「額に汗して働く親の姿」を間近に見て、 「大きくなったら父母に楽をさせてやろう。 」とど の子も思いを募らせました。しかし現代社会にあっては、子どもが親の働く姿を直接目にする機会 はほとんど失われました。でも、 「額に汗して働く親の姿」は現在も存在します。また、厳しいリ ストラにあい、意に添わない仕事でも一生懸命頑張る姿が多々あると思います。 いずれにしても、わが子には人並み以上のことをしてやりたいという親心が、下げたくない頭を 下げさせ、体調がすぐれなくても仕事に向かわせているのではないでしょうか。そんな親の姿と親 としての思い、家計の状況を子どもが正しく理解し、親と喜怒哀楽を共にすることで子どもは親の 大きな愛情を感じ取り、心の深いところで親に対する感謝の心が生ずるのではないでしょうか。感 謝の心は、親の期待に応えようとする気持ちに転化し、学校生活の充実に向かわせます。 OSK にダンスを教えてもらいました 巡回演劇鑑賞風景 しかし、現在目の当たりにする子どもたちの多くが親の思いとは裏腹に、親に何でもしてもらう ことを当然のごとく受け止め、周囲に対しても自己中心的にふるまっているように思えます。残念 ながら、自分という存在や今という時間を大切にしていないようにも見えてしまいます。 ある新聞社の調査によれば、 父母との心理的な距離が近いと感じている日本の中学生・高校生は、 アメリカや中国と比べて格段に低いとの結果が出ているそうです。それによれば、アメリカや中国 では90%の子どもが、その他のどんなに低い国でも子どもの50%が父母を尊敬していると答え ているのに対して、日本では20%程度です。現代の日本の子どもたちの状況を考えると、20% という数値が驚きというよりも変に納得してしまっている自分がいます。でも、改めて子どもの目 に父母の存在がどのように映っているのか、家計の状態を子どもがどの程度理解しているのかを考 え、意図的に子どもに親の背中を見せ、親としての思いを子どもに積極的に語ることが、大きな課 題としてあるのではないかと思っています。 「1年を思うものは、花を育てよ。10年を思うものは、木を育てよ。100年を思うものは、 人を育てよ」という言葉があります。100年先のことを、自分の目で見ることはできません。し かし、子どもたちには良い時代を過ごさせてやりたいものです。大人(親)として今「手を打つ」 べきことはたくさんあります。現実から目をそむけないこと、逃げないでありのままのわが子を見 つめること、そして、しっかりと「褒め」 、きちんと「叱る」ことなど・・・。結果だけで子どもを 判断してほしくないです。前向きに頑張っている子どもの姿勢に目を向けてほしいです。あたたか い励ましの言葉をかけながら、子どもたちを支援してやってほしいと思います。 5,6年生が OSK の人たちと給食を一緒にたべました! 最近は人生を勝ち組、負け組などと区分していく風潮があります。しかし、人生に勝ち負けなど ありません。一度きりのそれぞれの人生をどう生きるかということで本当の価値が決まるのではな いかと思っています。本当に賢い人は、他人を馬鹿にはしません。本当に強い人は、弱い立場の人 をいじめはしません。 本当に優しい人は自分を大切にし、 それ以上に自分以外の人を大切にします。 人の価値は、財産や地位、名誉などではなく、自分がどれほど人の役に立てたかで決まるのでは ないかと思っています。 「人は、それぞれが置かれた立場で、どれだけの人を幸せにできたかで価値 が決まる」と考えたいものです。 *親の背中の話は、 「心を育てる小・中学校講話集(学事出版)加藤弘明著」より抜粋引用しました。
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