REDD推進体制整備に関する研究成果発表会(2015年2月18日) 13-C8 カンボジアにおける苦情処理メカニズム構築・運用の課題 ー 社会セーフガードへの取り組みにむけて ー 横田 康裕(森林総研) 、百村 帝彦(森林総研/九州大学) カンボジアでは、社会セーフガードへの取り組みとして「苦情処理メカニズム」 が注目されています。同国の先進的なREDD+パイロットプロジェクト(オッダーミ アンチャイ州住民林業プロジェクト、セイマ保護林プロジェクト)での苦情処理・紛争 管理の取組み事例から苦情処理メカニズムの課題とその展望を検討しました。 結果・考察 オッダーミアンチャイ州 住民林業プロジェクト 両プロジェクトの共通点:既存の苦情処理制度(一般的な苦情処 理手順、オッダーミアンチャイプロジェクトでは住民林業制度の 規定)を活用。一方、既存制度の、問題(制度の限界、処理者自身 が当事者等)を継承。 →既存制度の実効性を強化しつつ活用。 セイマ保護林 プロジェクト オッダーミアンチャイ州住民林業プロジェクト:外部アクター 図1. 調査地 (軍、農林水産省本省、投資家、移入者)が関わる問題(土地利用の 競合、違法開墾・占有、違法伐採等)について、制度外の調停により解決を模索。 REDD+プロジェクト実施主体-参加住民だけでなく、外部アクターが関わる苦情の 処理機能、ハイレベルの行政部局による調停機能の組み込み。 セイマ保護林プロジェクト:プロジェクトに関わる苦情は寄せられていない(2014年11 月時点)が、将来、炭素販売利益のBenefit sharingが始まると増加するとの予想。 Benefit Sharingに関する苦情処理機能の強化(REDD+プロジェクトの特徴)。 一般的な苦情申立手順 (森林セクターに限らず) 住民 村長 セイマプロジェクト・ボトムアップ(随時) CFメンバー 住民 CF運営会議 FAセイマ保護林管理事務所 コミューン会議 コミューン会議 郡庁 裁判所 CFプログラム 最寄りのFA出先事務所 FA地方事務所 州政府 FA中央 セイマプロジェクト・トップダウン (年1回のモニタリング時、コンサルテー ション会合時) 住民 プロジェクト実施主体 CF:住民林業、FA:森林局 図2. REDD+パイロットプロジェクトにおける苦情処理申し立て手順 海外の共同研究者と共同研究機関: ソク・ヘン、ラオ・セタパル、マ・ブティ(カンボジア森林局) 問い合わせ先:(独)森林総合研究所 九州支所 横田 康裕 e-mail: [email protected]
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