調査速報 - 秋田県

2015.09.28
vol.10
①調査区西側確認ト
レンチ(平成 27 年度
34 トレンチ)から検
出された焼土遺構
平成 27 年9月 25 日
撮影
②平成 26 年度 54 ト
レンチで報告さ れ た
「竪穴建物 跡」 で す
が、斜面肩に形成され
た凹地に黒 色土 が 自
然堆積したもの と 判
断しました。
平成 27 年9月 24 日
撮影
2015.09.18
vol.9
は
じ
き かめ
①西側拡張区検出SN112 焼土遺構から出土した土師器甕
②SN112 焼土遺構断面
平成27年9月14日撮影
平成27年9月17日撮影
③SN112 焼土遺構
検出土師器分布状態
平成27年8月28日
撮影
④SN112 焼土遺構
調査風景
平成27年9月16日
撮影
①~④西側拡張区1,000㎡から検出されたSN112 焼土遺構。Ⅳ~Ⅴ層で確認しま
した。黒色土中に構築され、焼成面下底面もほぼ黒色土中で終わります。上面及び周辺に多
くの土師器甕が分布しており、当初は土師器焼成遺構と推測しましたが、破裂剥片などはな
く、また竪穴建物跡の掘方もないことから、平安時代のカマド状遺構と考えます。十和田a
火山灰との前後関係は現在検討中です。
⑤来年度調査区の西側
林内H27年度28号
確認トレンチから検出
された竪穴建物跡
平成27年9月16日
撮影
⑤来年度調査区に現在、34 本の確認トレンチを設けています。28 トレンチから竪穴建物
跡が検出されました。この建物跡は十和田a火山灰の1次堆積層で覆われていることから、
915 年より古い時期になります。確認面はⅢ層(十和田a火山灰層)であり、竪穴の掘り
込みが 50 ㎝程度と良好に残っています。
⑥片貝遺跡遠景(西→)遺跡後方は達子森
⑦片貝遺跡全景(北→)
⑧片貝遺跡調査区西端竪穴建物跡集中区(南→)
⑥~⑧平成27年9月10日撮影。達子森を背景にした片貝遺跡の全景がよく分かります。
また、調査区西端に竪穴建物跡が集中しており、来年度調査区もこの連続で竪穴建物跡の検
出が予測されます。
2015.08.28
vol.8
たてあな たてもの あと
① S I 7 竪穴 建物 跡 カ マ ド 精 査
竪穴建物跡のカマド内に置かれた
は
じ
き つき
し きゃく
土師器坏です。支 脚 として使われ
た可能性もありますが、この住居
跡が廃絶したときに廃絶儀礼とし
てカマド内に坏を安置したと考え
ています。
平成27年8月25日撮影
ど こう
②SI5 竪穴建物跡内西側土坑精
査
竪穴建物跡の床面に掘られた土
坑内から出土した土器です。土坑
内に廃棄されており、これも廃絶
儀礼の一種と思います。
平成27年8月25日撮影
③東側拡張区 400 ㎡
完掘
東側拡張区 400 ㎡か
らは遺構・遺物とも検
出されませんでした。
十和田a火山灰の堆積
層は安定して存在しま
すが、逆に土が乱され
た様子がなく平安時代
以後建物を作るなどの
積極的な働きかけが行
われてこなかったこと
がわかりました。
平成27年8月28日撮影
④来年度調査区中央林地内確認トレンチ検出土坑(堆積土の特徴から現代のものと推定)
来年度調査区に対して設置したトレンチから検出された「フラスコ状土坑」です。形は縄
文時代のものにそっくりですが、掘り込みは現地表直下Ⅱ層からであり、現代のものと考え
ています。平成27年8月25日撮影
⑤8月27日(木)大館市立西館小学校体験発掘
⑥8月27日(木)大館市立西館小学校体験発掘
大館市立西館小学校5・6年生の体験発掘の様子です。遺物を見つけた子の周りに友達が
集まっています。また、測量機械をのぞいて測量の雰囲気を味わってみました。
2015.08.20
vol.7
①体験発掘の様子
8月18日(火)に大館市主催の体験発掘が行
われ、小・中学生35名が発掘調査を体験しまし
た。残念ながら、遺物はほとんど出ませんでした。
たてあなたてものあと
②SI7竪穴建物跡カマド焼成部
SI7竪穴建物跡のカマドを精査していると
は
じ
き つき
ころです。火処に土師器坏が逆さに置かれていま
す。支脚の代用品とも見えますが、この住居に住
んでいた人が出て行くときにカマドで祭祀を行
った可能性が高いです。
平成27年8月20日撮影
えんどう
③SI7竪穴建物跡カマド煙道部
SI7竪穴建物跡のカマドの煙道を断ち割っ
ています。カマドの裏側から煙道の作りと竪穴建
物跡の壁の形状には、この住居を作った大工の癖
がよく現れます。その癖を遺跡内の他の建物跡や
大館市内・米代川流域・秋田県内・東北地方と範
囲を広げて比較することで、この大工が何処の地
域の技術と類縁性を持っているかを調べます。
平成27年8月20日撮影
④来年度調査区9トレ
ンチから検出された竪
穴建物跡
平成27年8月20
日撮影
⑤来年度調査区 11 ト
レンチから検出された
落とし穴
平成27年8月19
日撮影
④⑤来年度調査予定地で遺構の分布を調査しています。本格的な調査を行う前段階として、
遺跡内の何処にどんな遺構があるかを調べ、作戦を立てておくことが大切です。
2015.08.05
vol.6
たてあなたてものあと
①SI6竪穴建物跡からは「寺」
ぼくしょ ど
き
の字が書かれた墨書 土器 がこれ
までも最低3個体出土していま
し きゃく
した。カマド内に支 脚 として残
つき
されていた2点の坏の内、下のも
のにはやはり「寺」が書かれてい
た。文字は土に埋まった写真に写
る反対側の面に書かれているた
め、見えていません。
平成27年8月5日撮影
②SI7もカマド周りに多くの土
器を残している、良好な竪穴建物
跡です。手前の完形土器は皿で、
奥に逆さに置かれているのは支脚
となった坏。ただし、使用時のま
まではなく廃絶時に改めて置き直
しています。
平成27年8月3日撮影
2015.07.16
vol.5
しょう ど
い こう
①SN73 焼 土遺構
西暦 915 年以前に 1000 度を
超える高温で焼かれたこと以外、
何もわからない謎の遺構です。黒
色土中から赤化が始まり、地山が
煉瓦のように焼結するほどの火力
が使われています。地山の火砕流
に含まれる軽石は灰色に還元しガ
ラス化しています。廃絶に伴って
火床面は壊されており、遺構の形
状も不定形ではっきりしません。
平成27年7月13日撮影
②火砕流に含まれる炭化木層(下
底面が一致する)
鳥越火砕流、または十和田八戸
火砕流に巻き込まれた樹木が炭化
しています。遺跡内の地山のどこ
からも同じ層準から検出すること
ができます。火砕流に巻き込まれ
て運ばれてきたのか、それとも当
事この大地に生えていた樹木が火
砕流でなぎ倒されたのかはわかり
ません。
平成27年7月16日撮影
2015.07.01
vol.4
たてあなたてものあと
①SI53竪穴建物跡全景
平成27年7月1日撮影
②SI6竪穴建物跡出土
ぼくしょ ど
き
墨書土器「寺」
2015.06.30
vol.3
①自動追尾式トータルステーショ
たてあなたてものあと
ンで平安時代の竪穴建物跡の測量
をしています。従来よりも測量が
格段にスピードアップしました。
平成27年6月30日撮影
②平安時代の竪穴建物跡を精査
しています。丁寧にカマドの周り
を掘り下げていきます。カマドは
廃絶時に壊されるのが普通で、奈
良時代と平安時代では壊し方や
家の廃絶方法が違っています。
平成27年6月30日撮影
2015.06.24
vol.2
①SKT61 落とし穴精査
縄文時代の落とし穴を長軸に
沿って割ったところです。長さ
350 ㎝、幅 120 ㎝、深さ 170
㎝の長楕円形で、断面形は口がす
ぼみ下に広がる巾着袋形です。写
真に見える黄色と黒の薄い地層
は落とし穴上から落ちてくる黒
土と黄色い地山土が交互にたま
ったものです。
平成27年6月24日撮影
たてあなたてものあと
②SI6竪穴建物跡
えんどう
トンネル式煙道
秋田県で見つかるカマドでは
珍しくトンネル式の煙道です。煙
突部分は1m程地山をくりぬい
は
じ
き
ています。カマド内部には土師器
つき
し きゃく
坏 を逆さにして支 脚 にしていま
す。
平成27年6月24日撮影
2015.06.15
vol.1
片貝遺跡はJR花輪線扇田駅の南西約 1.5km、大館市比内町達子地区に位置しています。
遺跡は、標高 207mの達子森に続く標高約 68mの台地の北側に立地します。この台地は、
北側で北西に流れる犀川左岸と南側で北西に流れる引欠川の右岸との間に位置し、沖積地と
の比高は約 10mです。今回、大館工業団地の造成工事に先立って平成 27 年6月1日(月)
から 10 月 23 日(金)までの予定で、16,000 ㎡を発掘調査しています。
遺構検出の作業風景です。
SI53 は、長軸 4.6m(北西
-南東軸)、短軸 4.2m(北東-
南西軸)のほぼ正方形です。南西
側の壁にカマドが取り付きます。
煙道は、短く壁から 60cm 程度
で斜めに立ち上がります。壁溝が
巡り、四隅と壁際に柱穴がありま
す。四隅の柱穴は方形、壁際のも
のは円形と楕円形のものが交互
に配置されていますので、柱材は
使われる位置で角材・丸太・割材
をそれぞれ選んで用いたもので
しょう。
時期は十和田a火山灰の再堆
積土で埋められることから 10 世
紀第2四半期と考えられます。出
土土器にほとんど坏がないこと
や、カマド内に廃棄された甕の形
態も 10 世紀中葉の特徴を示しま
す。
住居北東隅の柱穴上面にはこ
ぶし大の礫が数個まとめておか
れており、廃絶儀礼を行ったと考
えられます。