2400 メッセージ

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2400
メッセージ
古江
博
(フルエ
ヒロシ)
株式会社メッセージ社長
C アミーユ好調で業績過去最高、在宅介護新サービス事業に期待
◆2015 年 3 月期決算概要
当期の業績は、営業収入 789 億 32 百万円(前期比 6.4%増)、営業利益 73 億 46 百万円(同 10.4%増)、経常
利益 69 億 66 百万円(同 8.0%増)、当期純利益 43 億 52 百万円(同 27.0%増)となり収入・利益ともに過去最高を
更新したが、計画比では当期純利益を除き未達に終わった。その要因は、アミーユ事業での競争激化により予定
入居率が未達に終わったこと、24 時間定期巡回・随時対応で立ち上げた(株)JICC の利用者獲得で計画を下回り、
またコストが先行した等 2 事業が伸び悩んだことによる。当期純利益の予算達成は、(株)JCS(ジャパンケアサー
ビス)保有の不動産売却益と介護付有料老人ホームのリゾートトラスト(株)の子会社への売却益を特別利益に計
上したことによる。
営業収入・営業利益の前期比増減の内訳は、営業収入は、アミーユ事業(介護付有料老人ホーム)19 百万円
増、地域包括ケア事業 40 億 91 百万円増、給食事業 7 億 9 百万円増となり計 47 億 27 百万円増加した。営業利
益は、アミーユ事業 8 億 67 百万円減、地域包括ケア事業 12 億 55 百万円増、給食事業 2 億 5 百万円増となり計
6 億 93 百万円増加した。
財政状態は、総資産は 591 億 6 百万円(前期比 9 億円増)となり現預金が 136 億 49 百万円(同 25 億 91 百万
円増)となった一方、負債合計は 295 億 5 百万円(同 27 億 33 百万円減)となり不動産売却の収入等から短期借
入金返済を繰り上げた結果長・短借入金合計は 90 億円を割り実質無借金となった。また経営資本の改善が進み、
ROE16.1%(前期 14.3%)、ROA11.9%(同 11.2%)となった。
キャッシュフローの状況は、営業活動による CF は 62 億 68 百万円(前期比 5 億 87 百万円増)、投資活動による
CF は 10 億 73 百万円(同 20 億 15 百万円増)、財務活動による CF はマイナス 47 億 53 百万円(同 17 億 91 百万
円減)となった。現金および現金同等物の期末残高は 134 億 51 百万円(同 25 億 89 百万円増)となり順調な推移
となっている。
設備投資と減価償却は、アミーユ・Cアミーユ開設の減少に伴い設備投資は減少傾向で、今後は人財投資によ
る事業拡大を進めていく。
当グループの事業所数は、アミーユ 1 施設、C アミーユ 15 棟を新規開設し 1,063 カ所(前期 1,045 カ所)となった。
配当は、配当性向 30%の基本方針に基づき当期純利益の上振れにより 2 円増配し 1 株 65 円を実施予定であ
る。
◆セグメント別業績と課題レビュー
アミーユ事業は、営業収入は 365 億 13 百万円(前期比 0.1%増)の横ばいとなり、セグメント利益は 49 億 65 百
万円(同 14.9%減)となり計画比でも 6 億 35 百万円減となった。減益要因は、既存施設の入居率が競争激化によ
り伸び悩んだこと、当社と(株)JCS との統合により間接部門の経費が発生したこと等による。
地域包括ケア事業(C アミーユ事業〈サービス付き高齢者向け住宅〉、JCS 事業、JICC 事業で構成)は、営業収
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入は 382 億 74 百万円(前期比 12.0%増)、セグメント利益は 4 億 54 百万(前期マイナス 8 億 1 百万円)となり当期
第 3 四半期から黒字化となった。主な内訳は、C アミーユ事業は営業収入 130 億 42 百万円、セグメント利益は 2
億 75 百万円(前期比 10 億 30 百万円増、計画比 25 百万円減)となった。JCS 事業は営業収入 224 億 16 百万円、
セグメント利益 4 億 6 百万円(同 3 億 3 百万円増、同 6 百万円増)、JICC 事業は営業収入 28 億 15 百万円、セグ
メント利益マイナス 2 億 27 百万円(同 78 百万円減、同 3 億 27 百万円減)の赤字となった。
給食事業は、営業収入 64 億 57 百万円(前期比 14.0%増)、営業利益 14 億 26 百万円(同 16.8%増)と入居者数
の増加に伴い順調な推移となった。
当期の取り組みを振り返ると、「24 時間サービスの事業モデル再構築」では、在宅老人ホーム「Z アミーユ」を今
年 2 月から東京で 3 カ所展開し、4 月末で約 20 名の利用者を獲得した。広告をかけずマーケティング中で今年 1
年かけマーケティングとマネジメントをテストし事業モデルの構築をしていく。「アミーユ・C アミーユの入居率の維持
向上」では、C アミーユはほぼ想定どおりの推移となり既存物件での入居率は 91%台まで回復した。アミーユは 1
年通して苦戦したが、足元では 96.5%となり回復傾向にあるとみている。「グループ間接部門の生産性向上」では、
JCS と本社を統合し間接部門の配置転換は完了した。「介護人材の獲得・育成」では、本社に採用専門部署を設
置した。今年 4 月入社の新卒は 133 名(大卒 122 名、高卒 11 名)となり初の 3 桁採用となった。「損保ジャパン日
本興亜ホールディングスとの資本業務提携」では、損保の事業・顧客基盤を活用し当社の介護事業拡大、当社の
介護事業ノウハウを活用し損保ジャパンの保険・金融商品の開発、両社の経営資源を活用した新サービスの共同
開発という 3 本柱でスタートし、人材交流もスタートした。
◆当社グループの基本方針と戦略
当社グループは「介護付有料老人ホーム」、「サービス付き高齢者向け住宅」、「自宅」へと着実にサービスの進
化と広がりを続けてきた。今後も高齢者が介護が必要となっても「自分が望む場所でその人らしい暮らしの継続」
が可能となるよう支援に努め、高齢者の自由な選択による住まいの決定をグループ総合力と地域・医療等との積
極的連携により全力でサポートしていく。
アミーユ・C アミーユにおいては、登録特定行為事業所(喀痰吸引の許可を受けた事業)を 5 ㎞圏内に 1 カ所程
度配置し重度者の受け入れに対応していく。昨年から取り組んでいる介護職員による医療行為資格取得プロジェ
クトは順調に受講者数・修了者数とも増加しており今後も着実に取り組んでいく。そして介護の質の向上、マネジメ
ント能力の向上、人材の獲得・育成に注力し入居率を向上していく。
M&A による事業拡大については、数年前に老人ホーム再生の M&A 案件を募集したが価格面で実現に至らな
かった。今後は方向転換し、地方都市でも価格面を緩やかにし検討していく。
◆2016 年 3 月期の取り組み
今期の課題は、1 つ目は「在宅老人ホーム(Z アミーユ)の利用者獲得」で、現在展開中の 3 事業所において、1
カ所当たり 1~2 ㎞圏内で 40~50 名の利用者の獲得を目指す。2 つ目は「アミーユ入居率の回復」で介護の質の
向上をはかり中期的に入居率を回復していく。3 つ目は「C アミーユのマネジメントの改善」で収入と労務費等問題
ある箇所の集中的改善に取り組んでいく。4 つ目は「M&A による事業拡大」で積極的に検討をしていく。5 つ目は
「介護人材の獲得・育成」で、業績拡大を目指す。
新規開設計画は、アミーユは 0 カ所、C アミーユは 6 カ所(第 1 四半期 3 カ所、第 2~第 4 四半期各 1 カ所)の
開設を予定している。
◆2016 年 3 月期業績予想
セグメント別の計画は、アミーユ事業は営業収入 363 億円、セグメント利益 40 億円、地域包括ケア事業は営業
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収入 403 億円、セグメント利益 17 億円、給食事業は営業収入 32 億円、セグメント利益 14 億円を見込んでいる。
地域包括ケア事業の内訳は、C アミーユは営業収入 136 億 70 百万円、セグメント利益 10 億 30 百万円、JCS 事
業は営業収入 229 億円、セグメント利益 7 億円、JICC 事業は営業収入 37 億 30 百万円、セグメント利益マイナス
30 百万円の見通しである。
今期計画の背景には介護報酬改定の影響があり、前期比ベースで営業収入はアミーユ 3 億円弱の減、C アミ
ーユ 2 億円程度の減、JCS は軽微な減となり計 5 億円超の減収見込みである。アミーユ事業の利益は約 10 億円
減となる見込みで、内訳は介護報酬の影響で 3 億円程度の減、労務費が 3 億 50 百万~4 億円程度の増、本社本
部の配賦経費が増加し減益予定である。
労務費の増加については、職員確保の目的でのグループの採用条件変更に伴うもので、処遇改善も含めグル
ープ全体で年間 5 億円程度の増加と考えている。
通期計画は、営業収入 810 億円(前期比 2.6%増)、営業利益 76 億円(同 3.5%増)、経常利益 72 億円(同 3.4%
増)、当期純利益 42 億円(同 3.5%減)の見通しである。
投資計画は、設備投資 6 億円、減価償却 14 億 80 百万円を見込んでいる。
配当は、当期と同様 1 株 65 円を実施予定で、配当性向は 31.1%となる見通しである。
◆質
疑
応
答◆
今期労務費 5 億円の増加は、処遇改善加算とは別に入れるのか。
今回の介護報酬改定では有資格者(特に介護福祉士)を手厚く配置の事業所への加算が増加となり、この傾向
は今後も強まるとみている。これに対応すべく有資格者採用条件を整えていくため労務費を 4 億~5 億円増加する
予定である。
JICC は損益的に分岐点に近づくという説明だがその要因を伺いたい。
利用者の増加によるものである。
現在 JICC で取り組んでいるエリアについて伺いたい。
首都圏では 1 都 2 県を、その他大阪、名古屋をカバーしている。
M&A での御社の買収対象条件を伺いたい。
特に大きな条件はなくケース・バイ・ケースと考えているが、ベースにあるのは当社グループのカルチャーに近
いかどうか、また顧客ターゲットが一般大衆かどうかである。
近々M&A の案件が出てくるのか。
お話できるものはないが、紹介が増えているのは事実である。
今期計画で介護報酬改定の影響によるマイナス分は基本報酬の減額分という理解でよいか。今回の介護報酬
改定で介護付有料老人ホームで新設された加算類等の算定をどの程度見込んでいるのか。
減収部分は、基本報酬の減による収入減と利益減とみている。加算については、処遇改善加算(Ⅰ)は取る。考
え方は基本的に取れる加算は取るが細かい算定はしていない。特定施設で言えば、夜間看護体制加算等従来取
っていたものと処遇改善の部分を見込んでいる。
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アミーユの予想利益 40 億円は減益計画ということか。
9 億 65 百万円の減益である。その内訳は 3 億円が介護報酬による減、3 億 50 百万~4 億円が労務費の増、そ
れ以外は配賦経費の増である。
C アミーユの利益予想 10 億円は、四半期利益の積み重ねで約 12 億円となり報酬改定で 2 億円減で 10 億円と
いう計算か。
そのとおりである。
当期純利益未達要因のアミーユの競争激化について、今期の C アミーユの開設を含めて競争環境をどうみて
いるのか。
今後 C アミーユの開設は、建設費高騰等コスト増、競争環境激化で案件が出にくいこと、介護従事者の獲得困
難等から増加するがそのペースは鈍化するとみている。来年以降は年間 10 棟程度を予定している。
入居率はアミーユも C アミーユも回復傾向にあり、これ以上の悪化は考えていないが楽観視もしていない。
社長交代についてコメントをいただきたい。
2006 年に社長に就任し 7 年となる。その間 C アミーユの立ち上げ、(株)JCS の TOB による子会社化、在宅老
人ホーム、損保ジャパンとの提携等に携わり大変満足している。新社長は設立当初から営業畑を歩んできてシー
ケーフーヅ拡大の功労者であり、現在当社取締役で(株)ライフメッセージの社長も兼務している。会長とは大学の
先輩後輩でもあり、あうんの呼吸で乗り切っていくと思っている。
(平成 27 年 5 月 20 日・東京)
*当日の説明会資料は以下の HP アドレスから見ることができます。
http://www.amille.jp/ir/kaishasetumei
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