県民協働による環境林整備の取組について

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平成2
6
年度全国林業普及指導職員活動事例祭
東部農林事務所副主査
生島理絵
県民協働による環境林整備の取組について
園 2
1.テーマの趣旨・目的
新 Cい佐賀の謙称づくり芭ジ 3ジ
亙且岨主主旦壁
当県では,轟株の且車は轟林所有者のみではな<,県
民金てが可可らかの躍で享畳していることから,
私たちみんなの財産」を基本理念とし,
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轟林は
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環境を育む森
26
林づくり J
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県民協曲J
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轟林賢源の持観的利用」の 8
つの基本方向を掲げた『新しい佐賀の轟耕づくりピヲョ
ン』を賢定し,新たな理念・考えのもとに轟林づくりを
すすめている。
具体的には.平成 1
6
年度から.県民協働による轟林づ
くりとして
5万h.
の間嶋などの家持藍晴と 1
0
0
万本の
広葉樹植識をすすめる「こだまの森林づくり」に取り阻
んでおり,さらにはこだまの諜林づくりの重点的・モデ
ル的な森掠づくりを行う「佐賀県環境林聾帽方針」に基
2,現状及びこれまでの取り組みの成果・課題
環境林は,
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水理壇惇金J
,r
量観保全J
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環境教育」
r
環境林」を選定して,議林整晴を実施している。
の 3タイプに区卦し,テーマに拾った轟づくりを展開し
当智内の島栖・三聾基地区は,森林瞳帽の中機的な担
ており,このうち,私が所属する東部農林事暗所智内で
割を畢たす森林組合や柿量事車体制少な<,林章生産活
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ま r
河内ダム周辺林J(鳥栖市)及び「基山JC
韮山町),
動が停滞し,全体として森林盤帽が遅れている地域であ
他 2地区を整惜している。今回は,
るが,一方で,ボランティア団体や NPO
団体の活動出
及び「基山」の取組について栢介する。
活聾という特色を持勺ている。
1)河内ダム周辺林
づき,
このため,材議普及僻事員か噛盟を線り,コーディネー
・
"
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間内ダム周辺林」
《概要》
NPO団体,
「河内ダム周辺林」では,地揖住民の意見を計画作庇
行政等由一体とな勺た「県民協冊」による環境林整帽に
段階から取り入れるため,雄蛸世i
属を構圃E
員とした「ワー
取り組んできたので,その取組事倒を紹介する。
クショヲプ」を開催して整惜計画を輩定した。
ターとなり,森林所有者はじめ,地域住民,
固
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.環撞林区舟環境融育
E,~i1回開町宮市配主主 剛1}1宮"l~.盤調Ul iiIi湿彊王・昭圃
E基 本理 意 ー森 林は 私 達み ん な の 財産 ヨ
.テーマ・学び・ふれあいの森づ〈り
. 森 林 商 費 回O
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. 聾 情 期 間 平 成l
昨度
.特
平成何年度 (
8年間)
性市街地に置い,河内グムの上植にある,
レクリエーション利用やボランティア活
動等の入り込み者が多い
糧事優絢の木造化
内装本質化
持費雇...健体 公然回俸がそれ 本相関獲担広大の疋めの省及
務純資源の多角利閤
ぞれの役割を果た菅
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.地壇住民の宜見.・学桂誼育・自離について学ぶ轟椋
にしたい
・轟づ〈りの段取りやボランティア
•
の募集,情報発信等を行う,森林
づくりの推進役を作りたい等
・侵入竹林を活用したタケノコ掘り
イベントを計画すべき。
当環境林の整備方針は,地域の特性と地域元住民から
出された意見をもとに,既存の森林を活用した森林体験
フィールドの整備と,森林づくりの推進役の立ち上げを
中心に取り組むこととした。取組は県民協働で行うため,
団体,
普及指導員が中心となって,地域の有力者や NPO
写真-2
森林所有者へ働きかけを行った。
S ざん
(
2
) 基山
河内
その結果,地域の森林づくりの推進役として. I
ダム周辺環境林サボータ一連絡協議会」を新たに設立し
《概要》
た。当協議会は,地域の樹木に詳しい方,森林整備作業
.環境林区分:景観保全
団体やボランティア団体
を得意とする方,地域の NPO
.テ
など,森林づくりに必要なノウハウを持った地域住民に
. 森 林 面 積 :8
5
2
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よって構成し,現在は当環境林内で森林整備体験イベン
. 整 備 期 間 : 平 成2
5
年度 平成2
9
年度予定
トの企画及び運営を毎年実施している。(写真一 l参照)
.特
ー マ:歴史と文化を継承する森林づくり
性:日本植林発祥の地「畠首」を有する,基
また,同協議会は,県とオーナーと森林所有者の三者
山周辺の森林は市民の憩いの場として親
による「竹林オーナー制度」を創設し,現在オーナーに
しまれている,ボランティアによる森林
よるタケノコ堀りや管理のための竹伐採が行われるなど,
保全活動が活発
荒廃竹林の活用が実現した。しかし,竹林整備当時に周
「基山」の森林づくりは現状把掻から取り掛かること
囲する歩道整備や過密状態の竹の間引きは行ったものの,
とし,町からの聞き取りや過去の施業実績から情報を収
地形が急峻なことも要因してオーナーのみによる竹伐採
集した。
には限界があり,課題が残る。(写真一 2参照)
-地元の城戸生産森林組合は,熱心に自力で所有林の
このほか,森林所有者が手入れできず,荒廃の恐れが
森林整備を行うほか,林床を活用してサカキ生産に
取り組んでいる(写真 3参照)
ある森林は,県により,間伐や彩りのある広葉樹を植栽
・自力で間伐に取り組む森林所有者がいる
する景観整備も行っている。
法
・竹林整備や植栽など森林保全活動が活発な NPO
人が存在する(写真 4参照)
・上記の活動区域を図に表すと大まかにゾーニングさ
れる
写真一 1
写真一 3
2
ヲォレス~ーネット
2
0
1
4
•
の支援
竹林整備を通じた森林保全活動に熱心に取り組む NP
O法人においては,安全な作業技術の指導により支援を
行う。昨年度は伐竹を搬出するために簡易架線研修を開
催し,簡易で安全に竹を搬出できるような指導も行った。
(写真一 6参照)
ウ
荒廃森林再生事業による間伐の取組
森林所有者による森林の整備が困難な森林で,荒廃の
写真-4
5
年度から県が森林所
恐れがある森林においては,平成2
上記の得られた情報から,当環境林における森林づく
有者に代わって強度の間伐を実施している。昨年度間伐
りの取組方針を,
・意欲的な森林所有者が取り組む間伐や特用林産物の
栽培・生産に対する支援
を実施した森林では,森林所有者が所有林を見に来たり,
基山」
所有林の場所を初めて知り興味を示されたり. I
以外の所有林も間伐してほしいと申し出があり,補助金
・意欲的な NPO法人が取り組む森林保全活動に対す
を活用した自力による間伐を計画するなど予想外の反響
る支援
・森林所有者による森林整備が困難な森林は,県が森
林所有者に代わって間伐を実施
があった。このことから,当事業をきっかけに,まずは
森林所有者が山に興味を持っていただくことから始め,
次のステップとして次期間伐は森林所有者が積極的に間
することとした。
伐を行ってくれるような取組を展開することが必要と考
ア生産森林組合が取り組む間伐及び特用林産物の栽培・
えている。
生産の支援
・作業前の伐倒技術研修会や作業路開設講習会の開催
.補助事業の情報提供による間伐促進
・サカキの生産・販売技術向上を目的とした先進地視
察研修
・林業試験場と連携した病虫害対策の普及
当生産森林組合は高齢者が多いため,安全に作業を行っ
てもらうために伐倒技術研修会や崩れにくい作業道開設
の講習会を開催している。また,サカキは,間伐地の林
年から販売を開始し,
床を利用して栽培しており,平成24
写真5
生産量は順調に延びているが,昨年初めて経験する病害
に遭い,被害範囲も広範囲であったことから病虫害対策
に苦慮している。今後の生産量にも影響するため,栽培
技術向上を図るための先進地視察研修及び県の林業試験
場と連携した病虫害対策の指導により改善を図っている。
また,このサカキ生産は,生産森林組合にとって貴重
な収入源となる。収入を上げるためには安定的に販売す
ることが必要であるため,今後の取組の一つに,周囲の
森林を取り込んだサカキ栽培地の拡大に向けて生産森林
組合と検討会を実施している。(写真-5参照)
イ
写真6
NPO法人が取り組む森林保全活動(竹林整備等)
3
ヲォレス~ーネット
2
0
1
4
•
3
. 今後取り組むべき内容
これまで. I
河内ダム周辺林」については,森林づく
りの核となる担い手が存在していない地域に「河内ダム
周辺環境林サボータ一連絡協議会」を設立し,森林体験
イベントの企画運営や情報発信,またポランティア団体
へ活動の場を提供する役割を担う存在となっており,県
民協働による環境林整備のモデル的な取組となっている。
今後は,この活動が一過性ではなく,長期的に継続で
きるよう,同協議会と活動フィールドの拡大や魅力ある
体験イベントの企画等により.
csoや森林ポランティ
ア団体等の育成と活動を推進していくこととしている。
「基山」については,昨年からの取組であるが,サカ
キ栽培を通じて森林整備を積極的に行っている生産森林
組合と行政が周辺森林を取り込んだ整備を進めるといっ
た,新たな森林づくりの基礎ができつつある。
今後は,サカキ生産・出荷・収益が安定的になるよう
指導・支援し,周辺の森林まで取り込んだ森林整備やサ
カキ栽培による収益活動を拡げる産地化を進めるなど,
山村地域の活性化を推進していくこととしている。
最後に,県民協働による環境林整備の取組は,県民,
森林所有者,団体等が「県民協働」により森林づくりを
進めるとともに,必要に応じて「公的関与」により整備
を進める「新しい佐賀の森林づくり」である。各地域の
森林の特色を活かして,かっ持続的な森林整備が推進で
きるように,普及指導員として今後とも熱意を持って取
り組んでいきたい。
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フ"レスターネット 2
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