CARAMEL CORN

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[キャラメルコーン]
CARAMEL CORN
SINCE 1971~
ハッシュパピーという料理を
ご存知だろうか。
トウモロコシの粉を練って、
小さく丸めたものを
油で揚げた料理で、
調味料は塩かケチャップ。
アメリカ南部では
メインディッシュの付け合わせ
としてよく目にする。
元々はキャンキャン鳴く子犬を
黙らせるために与えられていた
ことからその名が付いたそうだ。
基本的にトウモロコシは
アメリカの食文化には
欠かせない存在。
料理の他にも、
ポップコーンを始めとした
スナック類は昔から
様々な種類が作られていて
そうしたお菓子は
憧れのアメリカ文化として
戦後の日本に大量に入ってきた。
そんな中、1971年
︵昭和 年︶
に
誕生した
﹃キャラメルコーン﹄
は、
常識を覆すスウィートな
コーン・スナックとして登場。
塩味のピーナッツが絶妙な量で
混ざったその美味しさは、
たちまち日本人の舌を虜にした。
いまも耳に残るあの
﹁キャラメルコーン♪﹂
のCMソング
と共にお菓子売り場の定番となり、
来年、
発売から
年となるロングセラーである。
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キャラメルコーン誕生の1971年
(昭和46年)
は
日本で最初のアメカジとジーンズのブーム、
ピースサインの流行、
スマイリーのブーム、
カップヌードル初登場、
アンノン族、
マクドナルド日本第一号店オープンなど
その後の日本のカルチャーを作る
多くの流行が誕生した時代である。
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VOL.85
Photo / Tomoaki Tsuruda
(WPP)
TOHATO
Text / Teruhiko Doi
(WPP)
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底に残っているピーナッツを食べた後、
何となく甘いものを食べた後の
口直しのような気がして、
またキャラメルコーンをほおばりたくなる。
いわゆる
〝後を引く〟
状態には、
実はこのお菓子が人気になった
最大の理由が隠されている。
そもそも、
甘いだけの単調な食べ物は
飽きてしまうことが多い。
そういう時、
口の中をリセットする意味で
ピーナッツの塩気が効果的なのだ。
お汁粉に塩昆布が添えられることと同じで、
ある意味、
非常に日本的な発想。
同時に、
キャラメルコーンだけを
パッケージしたものと、
ピーナッツが入った
普通のキャラメルコーンとでは微妙に味が違う。
これは、
流通段階でピーナッツの風味が
袋全体に行き渡ることで生まれた副次的な効果だ。
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トウモロコシは紀元前から食べられてきた穀物。
アメリカ大陸で食べられていたものを
コロンブスがヨーロッパに持ち帰ってから
世界に広まっていった。
日本で本格的な栽培が始まったのは、
明治以降。
主に北海道で栽培が始まり、
現在ではすっかり
彼の地の名物となった。
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ョックの影響によって、日
本は低成長経済の時代を迎
1970年代、高度経済
成長期が終わり、オイルシ
れたのが、欧米生まれのビ
スケット。お腹に溜まる甘
の日本でガムやチョコレー
トと同じようにもてはやさ
つようになっていた。戦後
70年代頃から変化が目立
む﹃キャラメルコーン﹄の
けれどもその軽さで食が進
1970年代からずっと、
僕たちは
キャラメルコーンで癒され続けている
えていた。社会を揺るがせ
た学生運動は下火となり、
の売り上げナンバーワン。
スウィート・スナックとい
うカテゴリーでも売り上げ
ナンバーワンだ。日本が世
界に誇るお菓子文化の中で、
揺るがぬ地位を築いている。
来年で発売から 周年を迎
えるキャラメルコーン。昔
から変わらぬガゼットタイ
プ︵袋が立つ厚みのある形
ーンは大ヒットした。東ハ
トは、ポップコーンが弾け
るのと同じ原理で、トウモ
ロコシの粉に加水し、熱と
圧力をかけて弾けさせるパ
フマシーンを使って製造を
開始。こうした、空気で原
料を膨らませる〝パフ・ス
ナック〟は以前からあるも
のだったが、キャラメルコ
ーンのあの独自の形とサイ
ズ、そして軟らかな口当た
りや、夏の暑さでも溶けな
い蜜の融合などのレシピは、
東ハトが独自に完成させた
ものである。面白いのは、
そ
のパフ・スナックをそのま
ま製品として流通させなか
ったこと。甘いだけではど
うしても飽きてしまうとい
う、実に日本人らしい味覚
1971年に発売開始さ
れたこの新しい価値観のス
ナック菓子、キャラメルコ
発想にたどり着く。
代わりにカウンターカルチ
ャーに代表される新しい価
値観が定着し始めたのもこ
の頃である。 年代という
のは敗戦国のこの国が、い
まの日本文化の下地を作り、
世の中を支配していた大人
たちに代わって若者が社会
を動かし始めた時代でもあ
る。音楽、アート、芸能の
世界は言うに及ばず、衣食
住すべてにおいて若者を中
心とした新しい価値観が誕
生した。
本稿のテーマである〝お
菓子〟の世界も、実は19
いお菓子として大人気で、
闇市で大量に取引されてい
た記録もある。そして日本
国内の食糧事情が落ち着い
た頃に人気となったのが、
塩味のスナック。輸入の自
由化が本格化した昭和 年
︵1965年︶前後には、多
くの輸入スナックが発売さ
れた。ただ、その多くは塩
味のものが主流であった。
お菓子に限らず、日本人
は海外からの食文化を独自
に発展させてきた歴史があ
る。それは日本人の舌に合
う改良の歴史でもある。キ
ャラメルコーンの発売元で
ある東ハトも同じだった。
塩味中心のスナック菓子市
場に、甘いスナックの需要
があることを見越し、甘い
の判断で、そこに塩をまぶ
した皮つきピーナッツを加
えたのである。和風の甘味
屋でぜんざいやお汁粉を注
文すると必ず塩昆布や昆布
の佃煮などが少量供される
が、
発想はそんな〝箸休め〟
的な食文化と同じ。結果的
に、そのピーナッツと本体
のパフ・スナックとの絶妙
な配合が、大きな成功へと
結びつくことになった。
当時、同社の工場前には
出荷を待つお菓子問屋のト
ラックが長い行列を作って
いたそうだ。店頭に置いて
も半日で売り切れてしまう
ほど人気のキャラメルコー
ンを工場から直接店頭へと
流通させても、間に合わな
いほどの大ヒット商品とな
ったのである。
スナック菓子市場は現在、
ポテトチップスを筆頭にジ
ャガイモ原料の菓子が1位、
2位︵ファブリケート・ポ
テトスナック︶の売り上げ
だが、コーンスナックはそ
れに続く3位のマーケット。
その中で、キャラメルコー
ンはコーン・スナック菓子
態︶の赤いパッケージは、
店
頭でも、家庭の中でもすっ
かりお馴染みの存在となっ
た。2003年からパッケ
ージはキャラクター化され
た
﹁キャラメルコーンくん﹂
となったが、その愛らしい
表情は世代を超えて認知さ
れている。ちなみに、東ハ
トが元日本代表︵当時は現
役︶サッカー選手である中
田英寿氏を、CBO︵チー
フ・ブランディング・オフ
ィサー︶に迎えたことはよ
く知られているが、現在の
パッケージキャラクターの
青い目は、中田氏のアイデ
アなのだそうである。
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さまざまな表情があるキャラメルコーンのキャラクター。
パッケージその
ものがキャラクター化されているのがキャラメルコーン最大の特徴。
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当初のパッケージは素
材が透明なフィルムで、
窓から中が見えていた
が、
やがて丸窓とスナ
ックを写真で再現した
ものに進化した。
ふんわり、
サクサク、
口の中ですうっととろける。
キャラメルコーンの優しい美味しさは変わらないが、
そのパッケージは2003年に
大きくリニューアルされている。
中のスナックが見える丸い窓を活かしながら、
全体をキャラメルコーン君という
キャラクターに仕立ててある。
mono
実はキャラメルコーン、
さまざまなフレーバーや催事用品が昔から展開されていた。
現在はキャラクターパッケージになったことで売り場での存在感も楽しさもアップ。
東ハトという会社
mono
キャラメルコーンに関するお問い合わせは
東ハトお客様相談センター 0120-510810まで
http://tohato.jp
東ハトは2003年、
当時サッカー日本
代表選手であった中田英寿氏の
CBO就任で話題となった。この年
キャラメルコーンのパッケージ・リ
ニューアルを行い、
また同年にはそ
の辛さが話題となった
「暴君ハバネ
ロ」
を発売。
長い人気を誇る
「ハーベ
スト」
や
「ビーノ」
「
、オールレーズン」
、
「ポテコ」
「
、なげわ」
なども、
東ハトブ
ランドを代表するヒット商品だ。
キャラメルコーン
オリジナルの赤パッケージ。
発売から来年で45年
目となるロングセラー。
飽きの来ない、
ふんわりサ
クサクとした食感、
口の中ですうっととろける味
わいは、
世代を超えて愛され続ける。
オープン価格
キャラメルコーン・抹茶ミルク味
いま、
世界の人々から熱い注目を浴びる、
日本の味
覚といえば抹茶味。
抹茶味のキャラメルコーンは
毎年、期間限定で登場する人気のフレーバー。
(2015年商品は終了)
オープン価格
みんなのハロウィン キャラメルコーン・
カボチャプリン味
すっかり日本の秋の風物詩となったハロウィン気
分を盛り上げる季節限定品。
カボチャプリン味と
いう、
ある意味正統派のハロウィン・テイストだ。
可愛いパッケージデザインは実は 2 種類ある。
オ
ープン価格
キャラメルコーン・モンブランケーキ味
サントクロースとペアで発売されるクリスマス限
定のトナカイになったキャラメルコーン。
クリス
マス島の塩が使われている。
オープン価格
キャラメルコーン・粉雪ミルク味
トナカイとペアで発売されるクリスマス限定のサ
ンタクロースになったキャラメルコーン。
クリス
マス島の塩が使われている。
オープン価格
ショコラ・デ・コーン ミルクチョコ味
キャラメルコーンとカカオが香るチョコレートの
コラボレーション。
チョコレートを浸み込ませた
ことで、
サクサクした食感はそのままながらも、
奥
深いショコラの味を楽しめる逸品。
ピーナッツも
好相性。
オープン価格
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