電力自由化News vol.2

Urna Semper
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2015/2/17
電力自由化News vol.2
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東京電力もガス事業に参入する。電力会社が何故ガスも売るの
かには訳がある。ガス業界が電気をセットで販売する事によっ
て、既存の電気契約をしている顧客の流出を防ぐには、同じよ
うにガスを販売して既存電気契約の解約を阻止するためだ。消
費者には選択の幅が広がる電力自由化。すでに各社の顧客流出
阻止のための熱い戦いが始まっている。
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ガソリン車が徐々に電気
やハイブリッドに移行す
るのと同じように、電気
もガスや水道とセットで
提供されるようになるの
か。
◾ ️ガス会社が⽇日本の電⼒力業界を変えるかもしれない
首都圏内では東京ガスが既に2016年からスタートする電力小売に参戦す
ることを発表している。東京ガスが東京電力管内の既存顧客のうち半分弱を
略奪するのではないかという試算も一部でている。欧米の例で考えると、自
由化後に一度は契約先を変更する割合は全体の半分近くになる。そう考える
と電力自由化による電力業界の外観を大きく変える主役はもしかしたら東京
ガスかもしれないのだ。
◾ ️⾸首都圏におけるガス会社の電⼒力事業の参⼊入は近隣エリアに
も影響
この東京ガスの影響を危惧しているのは東京電力だけでは実はない。逆に東
京電力は顧客の流出は必須であるととらえる一方で東京電力管外の顧客の獲
得を宣言している。それは近隣エリアが管内の中部電力や北陸電力、東北電
力などへの宣戦布告を意味する。そういった意味でいうと実は東京ガスの動
きは全国の主要電力会社の最大の関心事でもあるわけである。その動きの最
初の影響を受けるのが東京電力な訳である。水際作戦ともいえるこの戦いで
あるが、ともにエリアで最大手。最大手通しの一騎打ちはともに同じ商品、
同じ価格を消費者に掲げてその効果を帳消しにするかである。既存の契約を
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変えてまでメリットがないのであれば顧客は動かないことを見越した東京電
力のガス販売に対する意味はそこにあるわけである。
◾ ️最終的な勝ち組は誰になるのか
ところがガス会社もはいそうですかと引き下がることはない。その証拠に彼
らは自らの電力出力量をあげるために火力発電所の増設を計画している。電
気を自分でつくってガスと一緒に販売する。ガス会社は店舗をもっているの
とガス器具の販売も行っている独自の流通経路を最大限に活用するだろう。
その作戦を見通した東京電力はヤマダ電機と提携して家電とのセット販売で
対抗する予定である。しかもヤマダ電機は全国に店舗を多く構えているため、
管外における外様の企業イメージを払拭するための流通の切り札にも使える
と考えているに違いない。管外の既存の電力会社はその戦略に対抗する作戦
が必要になっているということでもある。電力会社のガスの販売とガス会社
の電力の販売はまさに日本の電力小売構造をガラリと変える主要プレーヤー
なのである。今後もこの動きは全国レベルで広がることが想定される。
◾ ️更に通信会社からガスや電気の請求書も送られてくる時代
へ
通信費、∼パケット、通信時間、∼時間、オプション、留守電。フムフムと
読んだ一番最後に電気代50kw仕様今月ご利用kw、9560円とか書かれてる
とかなり見慣れた感じはしない。でもそんな時代が来年にはくるのだ。通信
会社の店頭にいく。「そうするとお客様の現在の通信契約内容でしたら、お
家の電気契約を弊社に切り替えて頂くだけで基本料金が○○円お得なります
よ。」こんなデモンストレーションを受けることになる訳かもしれない。え
ええ?なんで電気契約をかえるだけで携帯通信費が安くできちゃうの??とっ
ても不思議な現象です。
現在新電力という形態に登録している会社は400社を超えた。多くはこの
1、2年の話だ。それは来年から始まる電力自由化の市場に何らかの形で参
戦しようとしている意思表明のようなもの。この新電力にソフトバンクなど
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の通信会社が登録をしている。彼らは震災時のバックアップ機能がないこと
による通信障害を教訓として大規模な太陽光発電設備を建設。そこで発電さ
れる電源を新電力という業態のなかで自らの運営する通信事業の商品である
通信プランに合わせ込み技で新たに展開するかもしれない。そんな読みが電
力業界のなかでは脅威としてささやかれているのだ。
◾ ️消費者からしてみればそれは確かにお得な話。
いまの通信契約先がソフトバンクであれば家計簿は同じ。であれば電気契約
をかえて更に節約をすることは何の損もない。むしろ分かりやすい。請求書
も一本化。家計を管理する側からすると、最近の物価上昇に伴って、出来る
だけ削れるところは削っておきたい。でも品質を落とすことは難しい、こん
な課題にはもってこいだ。何せ、質は落ちないし、お得だからだ。こういっ
た観点からみてみると、今後ドコモやauはどんな戦いを使ってくるのか、通
信業界の動向もみのがせない。電力自由化の影響が通信業界へ飛び火するの
は時間の問題に見える。家計簿を預かる全国の主婦には注目度の高いイベン
トが目の前にきている。
◾ ️セットになるのは通信プランだけじゃないかも?
ガスと電気がセットで販売される。。。これはほとんど決定事項だ。ガスの
販売をもしソフトバンクもすることになったら・・・これは消費者には一番
おいしい話かもしれない。なぜなら1つの請求書に全てがまとまる。しかも
ただの足し算ではなくてセット価格。家計上の通信費、光熱費の合計が今よ
りどれだけ安くなるのか。4人家族ならそのお得感は更に増えるだろう。あ
とは、消費者が心配すること。エネルギーのことを通信会社がやって問題は
おこらないかどうか?そこは実は通信会社にかぎったことではない。現状の
電力会社を含め、業界全体で複雑な価格帯を提示するために消費者が混乱し、
カスタマーサービスセンターに問い合わせをする。その時の対応がとても大
事になるのだろう。対応する担当が素人目をあらわにあたふたする会社と、
毅然と答えられるのとでは、消費者側の先入観がさらにあおられるか、払拭
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されるかの境目になる。各社はどう戦っていくかを考えてセット販売の内容
を充実化させていくことに奔走している今、実は顧客とのタッチポイントで
あるカスタマーセンターの対応力に目をつけておく必要があるのかもしれな
い。
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