37 Hybrid PETにおける脳グルコース代謝の 定量精度の評価 大阪大学医学部附属病院 放射線部 ○今田由香理、藤埜浩一、神谷貴史、中村幸夫 日立メディコ 横塚弘一 Hybrid PET [mg/100g/min] 【目的】Hybrid PETはSPECTとPETの両方を兼ね備えているために汎用性が高い半面、PETと比較して 感度や分解能は低く、定量値への補正係数が組み込まれていないために定性画像では用いられてい たが、定量測定を行うことは困難であった。そこで今回、Hybrid PETを用いたFDG脳グルコース代謝の 定量性評価について検討を行った。 【方法】Hybrid PETにて定量値を算出するための補正係数としてDead Time Correction (DTC)とCross calibration Factor (CCF)を求めた。ROI Countsに対してDTCより数え落としの補正を行い、CCFにより装 置間の相互校正を行う。また、Decay factorにより半減期補正を行い、 これらの係数により補正された countsから血液データを用いてオートラジオグラフィ法にてグルコース定量値を算出する。まずPhantom にて定量性の確認を行い、臨床データにおいてBrooksによる改変式であるSokolofの計算式、Phelps ら の手技、速度定数、lumped constantに従って脳グルコース代謝を算出し、定量性の評価を行った。また、 Hybrid PETにおいてChang法とCT法における減弱補正法の比較、検討を行った。 12 【結果】CCFを求めたpool phantomおよび部分的に Chang法 集積を示すような場合を想定して、partial volume y=1.31x-1.16 effect phantom(PVE)について、定量性の検討を 10 r=0.720 (p<0.05) 行った。それぞれに80%ROIを設定し、Hybrid PET でのcountsを2D PETでのcountsで除した結果、 CT法 8 pool phantomでは1.20、PVEでは1.09となり、適正 y=0.87x-0.68 に補正が行われていることを確認した。次に r=0.804 (p<0.05) Hoffman phantomにおいて小脳レバル、基底核レ 6 ベル、頭頂レバルの3スライスのうち、小脳、前大脳 動脈支配領域、中大脳動脈支配領域、視床、後大 4 脳動脈支配領域部分にROIを設定し比較、検討を Chang法 行った。2D PETでのcountsとHybrid PETでの Chang法 ACA領域 countsの相関係数はr=0.945(p<0.05)となり、有意 2 CT法 な相関が確認できた。臨床においても有意な相関 CT法 ACA領域 (r=0.720)が認められたが、減弱補正法をChang法 0 ではなくCT画像を用いて減弱補正する(CT法)こと 0 2 4 6 8 10 12 により良好な相関(r=0.804)を得ることができた 。ま 2D PET [mg/100g/min] た、 CT法を用いることにより前大脳動脈支配領域 の過補正も改善された。 (図1)さらに、健常人の全 図1 臨床におけるグルコース代謝量の比較 能平均グルコース代謝量を算出した結果、2D PET では6.1±0.6mg/100g/minであったのに対し、減弱 補正にChang法を用いたHybrid PETでは 6.9±1.0mg/100g/minと高値となったが、CT法にお いては6.0±0.6mg/100g/minとなり、 2D PETの値 に近づいた 。 【考察】Hybrid PETにおいて定量測定を行う際には、適 切な補正係数の算出が必要である。また、Hybrid PETの 減弱補正法においてはChang法では楕円による補正であ るため、前頭部や頭頂部が過補正となる傾向がある。(図 2) そこで、CTを用いて補正を行うことにより輪郭を忠実に 描出できるために、 Chang法による過補正が改善できる。 さらに、Hybrid PETのdetectorは束ねの影響でスライスご とに感度が異なるため、CCFも平均ではなくスライスごとに 補正を行うことにより、2D PETの値に近づくと考えられる。 【結論】Hybrid PETにおいても適切な補正を行うことによ 図2 Chang法における過補正の要因 り、脳グルコース代謝の定量性評価は可能である。
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