第5期 事業報告書 - 日本エコビレッジ研究会

第1号議案
第5期
事業要報告
創立 2010 年 9 月 26 日以来 5 年を迎えます。
皆様のご指導やご支援に心より感謝御礼を申し上げます。
持続可能な社会モデルを造ろうと、企業や教師をリタイヤした 60 代ト
リオが雲南市の山王寺を中心に活動をして来ました。左の写真は、宍道
湖への環境負荷を軽減しようと、環境農業(農薬や化学肥料不使用)で
米や野菜を栽培する山王寺棚田の実験圃場です。
第五期は、持続可能な社会モデル実現の為に 3 名それぞれの能力を活か
した活動をそれぞれ行いました。野津→多久和→召古の順で報告しま
す。
1.山王寺での「環境農業実験圃場」の状況(野津さん)
棚田でのイセヒカリ及びマコモの栽培は概ね順調で、2014年イセヒカリは前年から
ほぼ倍増の約360kgの収量があり、品質も良好でした。マコモの生育も良く、マコモ
タケは約450本収穫し、そのうち約
150本を出荷、マコモの葉は知人がマコモ
茶に加工して販売しました。イセヒカリについては草への対応が上手く出来たことが好結
果につながりました。マコモ茶は今後雲南市内の製茶業者と提携して製品化する構想があ
ります。マコモタケについても、今年は松江及び出雲市内のお店に本格的に出荷する計画
です。そのためマコモの株を今年度は約400株に増やしました。野菜については天候不
順の影響もあって、昨年は全般的にあまり出来が良く有りませんでした。今年は山王寺の「環境農業実験圃
場」も4年目に入り、徐々に土の状態も良くなってきているので、収量の安定化が見込めます。
2.農福連携による大豆と小麦の栽培の取組み(野津さん)
『さくらの家』との農福連携による大豆と小麦の栽培の取組みを昨年度も実施しましたが、天候不順などの
影響で大豆も小麦も出来が悪く、大幅に収量が減って厳しい結果となりました。去年秋に播いた小麦と大麦の
生育状況は良かったものの、収穫前に小鳥にかなり食べられてしまいました。今
年は大豆の作付けも少し増やし、また摘芯・土寄せ等のきめ細かい手入れをする
ことで、収量が増えるように努めています。
3.「こだわり農産物直売所」の開設(野津さん)
昨年6月から、松江市内の中心部にある『YCスタジオ』にて「こだわり農産
物直売所」を毎週月曜と木曜の2回開き、JEFや松江市内で環境農業を実践し
ている生産者の生産物を販売しています。スペースや人手が限られるため、まだ
あまり多くの量は販売でませんが、将来的にはもっと拡充していければと考えて
います。
4.『西村和雄先生による環境農業講座&交流会』の実施(野津さ
ん)
化学農薬や化学肥料を使わない環境農業を普及すると共に、安全な食を求める消費者と環境農業の生産者を
繋ぐことを目的として、島根県の支援も頂きながら、昨年 4・7・10 月の3回にわたって、『西村和雄先生に
よる環境農業講座&交流会』を開催しました。毎回30名前後の参加者があり、生産者と消費者の交流も少し
ずつ広がってきています。今年度は島根県の支援は得られませんが、JEF の自主事業として継続して開催して
いく予定です。
5.里山笑楽校プロジェクト(多久和さん)
3月24日 「里山笑楽校プロジェクト」の説明会を松江城西公民館で行いました。雲南市山王寺棚田は棚田
百選にも選ばれた風光明媚な地域ですが耕作放棄地は年々増加しています。このプロジェクトでは松江市民に
棚田の耕作放棄地を活用してオーガニックコットン、大豆、蕎麦を栽培していただきます。都市の農村、上流
域と下流域の交流を通して地産池消、棚田の環境保全を目指します。
3月3日
準備会
3月21日
耕作放棄地開墾
種まき
第1号議案
3月24日
説明会
5 月 10 日
き
綿の種ま
2 週間ほどで元気に発芽
6.沖泊地域を元気に楽しく面白く(召古です)
昨年 6 月に島根半島最北端多古鼻の行き止まりの沖泊へ移
転しました。島根県が辺境の地「辺地指定」をしていま
す。農業に対する支援策は整っていますが、比べて漁業に
対する支援策は少ないようです。持続可能な社会を目指し何が出来るか検討を開始しました。
沖泊は、22 世帯 66 名の漁業集落です。風光明媚な集落ですが、この地での産業と言えば小舟で一本釣りと刺
し網で沿岸部の根魚の採取、海女 2 名海士 3 名のサザエ鮑ワカメなどの魚介類採取の僅かな漁業です。組合売
上げ 1000 万円台程度の産業で、主に近郊で主たる仕事を行っています。公的施設は、集会所、公衆トイレと
平成 11 年原発立地の補助金でスキューバダイビングセンターが設置されていますが、活用はされて居らず閉
館状態です。小さな集落ですが、津神神社をお祭りし海蝕洞は弁慶の潮掻き穴と言われ、ここで病んでいた目
が治ったと言い伝えがあります。
地域に寄り添いながら、地域資源を引きだし、地域の皆さんと地域に根ざした産業を創出しようと挑戦し始め
ました。定住を促すためには、交流人口を増やす必要が有ります。その為には、地域のコミュニティーが整わ
なければ成りません。高齢者クラブとの交流を月に一度開催しています。乞うご期待!沖泊地域の産物資源
は、
○水 産 物:サザエ、鮑、ウニ、カメノテ、フジツボ、べべ貝、磯魚(ボッカ・メジナ・メバル)、
回遊魚(ブリ、ヒラマサ、アジ、マダイ、イサキ、イカ)
海藻(ワカメ、カジメ、モズク、岩モズク、神葉、ハンバ海苔、岩海苔)
加工品(板ワカメ・ウニの瓶詰・カジメ汁)
○自然景観:高岩(願岩)、弁慶の潮掻き穴(海蝕洞)、多古の七つ穴、上ヶ原の景色
大山展望(観天望気)、魚見山(レーダーサイト)、大鶴島(出雲風土記のたなご島?)、
○生活風景:赤瓦の屋根(豊かな漁村)、屋号/大前(古文書保存・後醍醐天皇の休憩場)
上水道(島根で 2 番目/清水ヶ原より引水)、
以上簡単ですが、ご報告しました。
最後に、持続可能な社会を目指し、私達理事の 3 名は 5 年間報告させて戴いた様に多くの活動を行って参りま
した。3 名の目的は同じものの、それぞれの能力からアプローチが異なります。多久和はエネルギーや食糧を
出来るだけ自給しながら里山暮らし、野津は環境に配慮しながら地域特性に合った農産物の生産と直売を若者
に引き継ぐ、召古は地域資源を活かした産業を創出し雇用を生みながらコミュニティーの再生に取り組む。3
名は此からも得意な分野で持続可能な社会(エコビレッジ)をそれぞれに目指して参りますが、NPO の法人
第1号議案
格を維持するために、これまで多くの手間と費用を掛けてきました。残された人生ではこれらが大きな負担に
なる事から、5年を区切りに現状を見直す事とし発展的解散を決意しました。今迄の経験を活かして残された
時間を有意義に展開して参ります。今後とも、続いて皆様のご指導やご支援を宜しくお願いします。
平成 27 年 8 月 7 日
NPO 法人日本エコビレッジ研究会
理事一同