立教池袋中学校・高等学校 内田芳宏 教諭

第 10 回 NOMURA Award (特別協賛社賞)受賞者コメント
立教池袋中学校・高等学校 内田芳宏 教諭
参加数
:
8 回(※2~4 回東京都立蒲田高等学校、6~10 回東京都立富士森高等学校で参加)
受賞履歴
:
敢闘賞:第 6 回、第 7 回、第 9 回、第 10 回(※第 10 回以前の受賞履歴を掲載していま
す)
受賞コメント
STOCK リーグに参加することとなったきっかけを教えてください
第 2 回開催のとき、クラブの部員が STOCK リーグの新聞広告を持っ
てきて「エントリーしたい」と言ってきたのがきっかけです。私たち
のクラブはこれまで「日本学生科学賞」をはじめさまざまなコンクー
ルなどに参加してきましたが、「レポートを書く」という大会に参加
したことがありませんでした。その点も面白そうだなと思い、参加を決めました。次は不参加でし
たが、その後はずっとエントリーしています。
私のほうではいっさい強制はしていないのにもかかわらず、生徒たちがこれほど熱心に取り組み、
何年にもわたって連続して参加しているコンテストは他にありません。ちなみに今年入賞した生徒
は 5 年連続での参加でした。それまでコンピューターやロボットなどにしか興味を示さなかった学
年の生徒も、先輩たちの様子を見て「自分も STOCK リーグに出たい」と言ってくるようになりま
した。それだけ「続けて参加したい」と思わせる何か強い魅力が、STOCK リーグにはあるのだろう
と思っています。
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指導する上ではどのような点に留意されていますか?
クラブ活動で取り組む上では、「”放任”ではない生徒の自主性」を最も留意しています。生徒たち
が自主的に取り組んでいくのを私がサポートしていくという姿勢です。
具体的な指導の面でいつも悩むのは、彼らの参考になるような情報やネタを「いつ」投げかけるか、
です。このタイミングの見極めがじつは非常に難しいのです。生徒たちの集中力や気持ちが高まっ
ていて、最も情報を欲しているまさにその時に何かアドバイスを投げかけてあげると、さらに彼ら
のモチベーションや知的好奇心が高まって、より充実した取り組みをし始めるようになります。こ
のタイミングを逃してしまうと、こちらからいくら熱心にアドバイスしても彼らの心にはもう響き
ません。こちらからの働きかけがたった 1 日ずれただけでもダメなんです。部員には中学生と高校
生がいますが、学年ごとでもずいぶん違います。
その他、ご苦労された点や心懸けていらっしゃる点などお聞かせください
あとは、生徒たちが完成させたレポートは絶対にけなさない、ということですね。もちろん次回参
加するときのための参考になるよう、足りなかったところや改善すべきところは指摘しますが、必
ず前向きに評価しています。
STOCK リーグの取り組みでは、まず先にポートフォリオに組み入れる銘柄を決めて、そのあとにレ
ポートを作成に取り掛かることになります。すると、レポートの中身をしっかりと詰めていく段階
で、レポートの論旨と選んだ銘柄がうまく合致しないということもあり得ます。
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生徒たちは自分の気持ちにとても正直です。「先生!この論旨でレポートを書こうとすると、○○
の銘柄がポートフォリオに入っている説明がつきません!」といって、せっかく頑張っていたのに
結局レポートの提出を断念してしまった生徒もいたほどです。こういう生徒のこともしっかりと見
てあげて、気持ちのフォローをしていくことも大切だと思います。決して「レポートを出した生徒
が真面目で、出せなかった生徒は不真面目」などとは言えません。私たちはクラブ活動として参加
していますが、仮に本科の授業の一環として STOCK リーグに取り組む場合は、尚更こうした評価
やフォローの部分が重要になるかもしれませんね。
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第 10 回 NOMURA Award (特別協賛社賞)受賞者コメント
札幌市立平岡中央中学校 清水顕史 教諭
参加数
:
6回
受賞履歴
:
審査委員特別賞:第 10 回
(※第 10 回以前の受賞履歴を掲載しています)
受賞コメント
STOCK リーグに参加することとなったきっかけを教えてください
当校がある地区は、札幌市内でも珍しく同じ学区に他の学校がないた
め、小学校から中学校までほぼ同じ生徒たちが学んでおり、事実上“持
ち上がり”のような状態となっています。そのため、他校の生徒たちと
切磋琢磨する機会が少ないという面がありました。
STOCK リーグに参加することで、ネットを通じて同世代の中学生たちと交流することができます。
生徒たちにとっては貴重な機会になるだろうと思い、こうした背景などから STOCK リーグに参加
することにしました。また、さまざまな教材や資料などをいただけるのに参加費用が要らない、と
いう点も参加する側としてはやはり大変有り難いと思います。
指導する上ではどのような点に留意されていますか?
金銭・経済教育全般に言えることですが、STOCK リーグでは、あくまで世の中のさまざまな出来事
を見るための入り口として株式を学ぶのであって、「株式を売買するとキャピタルゲインが得られ
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る」といった部分だけに生徒の目が向かってしまうのは避けなければなりません。その点は留意し
ています。
株式を学ぶことによって、今まで見えなかったものが見えてくる--これは中学生たちにとって大変
有意義な経験だと思います。彼らは「消費者」の立場は経験的に知っていますが、モノやサービス
を提供する「企業」の立場はイメージできていません。STOCK リーグに参加した結果、生徒たちは
今まであまり気に留めていなかった「企業」の存在に目を向けるようになりました。中には、これ
をきっかけに商業科を目指す生徒もいました。
また生徒たちとしても、STOCK リーグに参加している間はやはり日々の株価のニュースなども気に
なるわけですね。例えば「株価が大幅に下がった」というニュースが報じられると、「今、世の中
で何が起こっているのだろう?」と、社会の動きにも関心を向けるようになっています。これも大
変意義のあることです。
その他、ご苦労された点や心懸けていらっしゃる点などお聞かせください
最初の頃は STOCK リーグの取り組み全体の流れがつかめず、そこが意外と苦労しました。わかっ
てしまえば簡単なのですが、いろいろ確認しながらレポートを送付するだけでもひと苦労でした。
基本的には生徒たちの自主的な取り組みに任せて、必要に応じて私が軌道修正していくというスタ
ンスで臨んでいます。生徒たちにとしても、面白くないこと・興味のないことをあれこれ調べたり
するのは大変です。彼らの興味を第一に考えて、まず生徒たち自身が楽しめるよう心懸けています。
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これから参加される先生方がいらっしゃったら、「賞をとろう!」「絶対入賞しよう」などと構え
すぎないで、「生徒たちの楽しそうな顔が見られたらそれでいい」といった気持ちで臨まれると良
いかと思います。
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第 10 回 NOMURA Award (特別協賛社賞)受賞者コメント
奈良県立奈良朱雀高等学校 石田惠信 教諭
参加数
:
9回
受賞履歴
:
敢闘賞 : 第 1 回
(※第 10 回以前の受賞履歴を掲載しています)
受賞コメント
日経 STOCK リーグの記念に際し、「NOMURA Award(特別協賛社
賞)」という栄えある賞を受賞することができありがとうございます。
残念ながら、校務の関係で表彰式には参加出来ませんでした。
私と日経 STOCK リーグとのかかわりは、日本経済新聞に掲載された
第 1 回の募集案内と、毎年 8 月に行われている全国商業高等学校協会
の研究大会でした。
生徒の興味・関心を引きそうな面白そうなものが始まるぞっということで、その後情報の収集にあ
たりました。二学期になり日経 STOCK リーグがスタートしたのですが、始まったばかりで、何を
どのように指導していけばよいのかまったくわからない中でのスタートでした。当時はインターネ
ットの環境も現在のような恵まれた環境ではなく、ISDN の回線が準備室に 1 本だけという状況で、
生徒たちが自由にインターネットを利用できるということ状況ではありませんでした。事務局より
送っていいただいた学習テキスト『Stock Fantasy』、『学習マニュアル』『会社情報』や、日々配
達される『日本経済新聞』をもとに、生徒たちになんとかレポートを完成させることができました。
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その結果、第 1 回の日経 STOCK リーグコンテストにおいて敢闘賞をいただくことができました。
その後も同じように取り組みを重ねましたが、参加チーム数も増え、また、内容・レベルが上がり、
優れたレポートが提出されるようになり、なかなか入賞するのがむつかしくなったなぁと思ってい
たところ、8 回、9 回と 2 回続けて入賞できることができました。
テーマやレポートの内容に関しては、基本的には、生徒たちの発想を尊重し、あまり口出しをしな
いことを基本としています。レポートの内容についても、添削などをほとんど行わず、文章表現や、
変換ミス、誤字脱字を注意するぐらいにとどめています。それは、生徒たちの、高校生の独特のユ
ニークな発想を大切にと思っているからです。生徒たちの発想は、こちらからは思いつかないとこ
ろにあり、それらは賞をいただいたチームのタイトルの『下着を作って売る』『名前による印象と
効果』『株主優待~株の主を優しく待つと書いて株主優待~』には、もちろんのこと、それぞれの
レポート内容にも現れていると思います。
この生徒達の発想を大切に、これからも、最優秀賞をめざして、取り組んでいきたいと思っていま
す。
日経 STOCK リーグを授業に取り入れたことで生徒たちは、普段あまり読む機会が少ない『日本経
済新聞』に目を通すことになり、企業情報はもちろんのこと、政治・経済情勢、景気や金融の動向、
世界情勢の一端でも触れることができているのではないかと思います。また、低金利時代のなか、
自分の持っている資産を運用し増やせるということを知った反面、その難しさも体験したのではな
いかと思います。また、インターネットを利用して、自分が経済社会を構成する一員として、存在
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しているということが理解できたのではないかと思います。一瞬の間に情報が世界を駆け巡る時代
の中で、株価の動向を左右するさまざまな株式市場内外の要因、たとえば、政治・経済情勢、世界
情勢、景気や金融の動向などにも、より一層深い学習を進めていかなければならないと思います。
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第 10 回 NOMURA Award (特別協賛社賞)受賞者コメント
新潟県立村上桜ケ丘高等学校
参加数
:
梅田均 教諭
8回
受賞コメント
このたび、NOMURA AWRAD の表彰を受けましたこと、光栄に思い
ますとともに、感謝の気持ちでいっぱいです。本当に心からお礼を申
し上げます。
「株式投資の経験を通して、金融・経済教育の指導はできないだろう
か。」そんな中で、この STOCK リーグと出会いました。
毎年お世話になっておりますが、月日の経つのははやいもので、もう 10 年が経ちました。STOCK
リーグの魅力は、生徒の興味関心をひくコンセプトに加え、教材も提供していただける点です。
受賞チームのように、すばらしいレポートを書ける生徒はなかなかおりませんが、プログラムを終
了する頃になると、「日本の経済や政治について興味を持つようになり、新聞やニュースをよく見
るようになった。」という感想をもつ生徒が増えております。
これからも STOCK リーグを通して、生徒の金融・経済に関する見方や考え方を養い、経済社会の
進展に主体的に対応できる能力と態度を育てたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。
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第 10 回 NOMURA Award (特別協賛社賞)受賞者コメント
京北学園白山高等学校 黒羽清美 教諭
参加数
:
9回
受賞履歴
:
最優秀賞 第 1 回
(※第 10 回以前の受賞履歴を掲載しています)
受賞コメント
どのような活動形態で参加されているのか、改めてお教えください
「ドットビジネス部」というクラブ活動の一環として参加していま
す。第 3 回大会だけメンバーが揃わず不参加となりましたが、この年
を除いて第 1 回から今大会までずっと続けて参加させていただいてい
ます。あくまで課外活動なのですが、STOCK リーグに参加している
ことは学校内でも広く認知されており、中には「STOCK リーグに参加したいから」という理由で我
が校に入学してくる生徒もいます。長らく取り組んできた自分としては大変嬉しいことで、その分
プレッシャーも感じています。
今後、仮に正規の授業で取り組まれるとしたら、どのような参加が良いとお考えですか?
科目としては「総合的学習の時間」のほか、「ビジネス基礎」や「情報処理」の授業での取り組み
が可能と考えています。また、株式の基礎知識を広く学ぶという位置づけで、まず 1 年生の授業に
導入し、2 年生以降は希望者を募って課外活動にする方法もあるかと思います。
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これまで参加されてきてご苦労された点や、今後参加していく上でのお考えなどをお聞かせ
ください
クラブ活動なので、メンバーが意外と揃わないことがありますね。
STOCK リーグでは、まず大きなテーマを決めて、それを一定の分量のレポートにまとめるだけの内
容に深めていくプロセスが必要です。テーマ選びについては、私のほうからも参考になるような面
白みのある話を折りにふれて投げかけるようにしていますが、それを深めていくのは生徒たち自身
です。
チーム全体を引っ張っていくような熱意のある生徒が一人でもいると、チーム全体に活気が出てき
ます。 「あと 1 分でレポート提出の締め切りだ」というぎりぎりの時間まで、生徒たちと一緒にレ
ポート作成に取り組んだ年もありました。やむをえず保護者の方に連絡を入れてご了解をいただい
て、深夜まで生徒たちと一緒に過ごしたこともあります。それだけ生徒たちの気持ちが充実してい
るときは、レポートも内容が充実したものが出てくるものです。もちろん、いつもそうなるとは限
りませんね。良いテーマを選んだのだから、あと一歩深めることができたらもっと良いレポートに
仕上がったのに……というケースもあります。もちろん十分指導しきれなかったという私自身の反
省もあります。
高校生の場合、学年の問題もあります。仮に人数は揃っていても、3 年生の場合は受験を控えてい
ますから STOCK リーグに取り組める時間は当然限られてしまいます。その意味では、彼らの力が
最も発揮できるのは 2 年生の時なのかもしません。
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第 10 回 NOMURA Award (特別協賛社賞)受賞者コメント
慶應義塾大学 経済学部 秋山裕准 教授
参加数
:
10 回
受賞履歴
:
審査委員特別賞:第 10 回
敢闘賞 第 6 回、第 7 回、第 9 回
(※第 10 回以前の受賞履歴を掲載しています)
受賞コメント
STOCK リーグに参加することとなったきっかけを教えてください
まず最初に私のほうから「STOCK リーグというコンテストがあるそ
うだけど、やってみる?」と学生たちにアプローチしたのがきっかけ
です。軽く呼びかけただけでしたが、かなり意欲的な返事がかえって
きたので、参加することにしました。
その後はほぼ毎年参加させていただいています。ただ、学生たちに参加を強制してもあまり意味は
ありませんので、毎回あくまで学生たちの自主的・主体的な参加に任せています。
ホームページに STOCK リーグの過去のレポートがアップされていますよね。学生たちにとっては
あれがよい教材になっているようです。STOCK リーグに漠然と興味を持ったとしても、具体的にど
のようなレポートを出せば良いのかがイメージできないと、参加を躊躇してしまうかもしれません。
過去のレポートを見れば「なるほど、このような内容・水準のレポートを作ればいいのか」とわか
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ります。過去レポートのバックナンバーなど、ホームページが年々充実してきたことで、STOCK リ
ーグにより取り組みやすくなったという面はあるかもしれません。
指導する上ではどのような点に留意されていますか?
私自身が率先して指導していくというよりも、まず学生たちの興味・関心があって、それを深めて
いくのを私が手助けしていくというスタンスで取り組んでいます。
学生たちには「とにかくやってみなさい」と言っています。例えばレポート作成にあたって、どの
ようなテーマにするかがなかなか決まらないこともあります。そんな時は、悩んでいないでとにか
く調べてみる。しっかり調べてみれば、レポートとして完成させられるだけのテーマなのかどうか
が自ずとわかるはずです。大変な長い時間をかけて調べたけれど、結果的に「このテーマでは良い
レポートが書けそうもない!」と気づくこともあるでしょう。そうしたら、改めて別のテーマを考
えればいい。今の学生たちは「あらかじめ正解のあるもの」を考えるのは得意ですが、「正解のな
いもの」を考えることには慣れていません。だからこそ、こういう失敗や試行錯誤を繰り返す中で
得られる学びは非常に大きいものです。私がレールを敷くのではなく、学生たちが自分で進む方向
を選んでいくことが大切なのだと思います。
株式投資学習コンテストですから、株式投資について学ぶのはもちろんですが、じつは「チームで
取り組む」という体験も重要です。大学生は、中学生や高校生とは違ってみんなが一日中、同じ場
所で時間を過ごしているわけではありません。そんな彼らが限られた時間内でレポートを完成させ
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るためには、学生たちがそれぞれの役割を決めて作業を分担したり、互いのスケジュールを調整し
たりするという工夫が必要になります。最初は気づいていなくても、次第に学生たち自身がそのこ
との大切さに気づきチームワークを発揮していく。特に大学生の場合、この体験は大きいと思いま
す。
コンテストである以上、「受賞できたチーム」と「受賞できなかったチーム」が出てきます。しか
し、両者のレポートの水準に必ずしも大きな差があるわけではありません。一生懸命頑張って、そ
れでも入賞できなかった場合、「なぜ自分たちのチームは入賞できなかったのだろう?」という“負
けた感”のようなものが学生たちの心に残ってしまうことは避けなければなりません。その意味で、
審査・入賞発表が終わった後の学生たちへのフォローは非常に重要です。この点は指導者として最
も留意していることかもしれません。
これから STOCK リーグに参加しようと考えている先生方へ、何かアドバイスをいただけま
すか?
私たちのゼミナールは、株式市場や株式投資を専門に研究しているわけではありません。「自分の
研究テーマとは違うから」「金融分野は自分の専門でないから」といった理由で STOCK リーグへ
の参加を躊躇されている方もいるかもしれませんが、専門でないからこそ、むしろ気負わずに参加
できるという面もある気がします。学生たちもそうだと思いますし、専門でない私たちのゼミナー
ルのレポートが結果的に賞をいただいたこともあります。ですから、もし学生たちに「STOCK リー
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グに参加したいので、担当教官になってください!」と言われたら、そのときは「自分の専門は金
融ではないから」などと断らないで、「学生たちの活動に付き合ってやろうかな」という気軽な気
持ちで引き受けてあげてほしいと思います。
ちなみに私の専門分野は「経済発展論」ですが、これはいわば長期的な視点で経済の動きを捉えて
いくものですから、これは STOCK リーグの大きなテーマとなっている「(株式の)長期保有」の
考え方と、共通点があると思います。金融が専門でない方でも、STOCK リーグと自分の専門分野と
の何らかの接点を見つけることができれば、より前向きに取り組めると思います。
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一橋大学 商学部 加賀谷哲之 准教授
参加数
:
10 回
受賞履歴
:
部門賞
第 3 回、第 7 回、第 8 回、第 9 回、第 10 回
敢闘賞 第 1 回、第 4 回、第 5 回、第 6 回、第 7 回
(※第 10 回以前の受賞履歴を掲載しています)
受賞コメント
STOCK リーグに参加することとなったきっかけを教えてください
学生側から「STOCK リーグというコンテストにぜひ参加したい」と
いうアプローチがあったのが直接のきっかけでした。このときの学生
たちの取り組んでいる様子や、彼らが書き上げた優れたレポートを見
て、STOCK リーグにより積極的に取り組んでいこうと考えるように
なりました。
我々が STOCK リーグへ参加することには、2 つの大きな意義があると感じています。一つは、ゼミ
ナールで学んだ考え方の枠組みを使って現実の世界を捉える良い機会となるということです。私の
ゼミナールの「財務会計」や「企業評価」という分野では、理論を学ぶのも大切ですが、そこで学
んだことを実際に活動している企業に当てはめて考えていくことが重要です。STOCK リーグへの参
加を通じて、自分たちが学んできた企業評価の指標等を使って現実社会を見るという経験は大変貴
重でした。
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もう一つは、株式市場に対する世間の冷ややかな評価に一石を投じることができるのではないか、
ということです。日本では、株式市場や株式投資に対して「あれはギャンブルのようなものだ」と
捉える風潮がまだまだ根強くあります。しかし株式市場は本来、社会の資金を適切に配分していく
ための場であり、その株式市場が理想的に機能していけば、日本経済・日本企業の成長につながっ
ていくはずです。STOCK リーグへの参加を通じて、株式市場に対する一面的な見方を取り去り、株
式市場の本来の意義を体感してほしいと考えました。
指導する上ではどのような点に留意されていますか?
彼らの問題意識を良い方向に刺激してあげたいという思いがあります。そしてそのためには当然な
がら日本経済や日本企業に対する、彼ら以上の深い理解が必要です。新聞、雑誌等の報道はもちろ
ん、普段の研究ではあまり触れることのない文献にも日常的に目を向けるようにしています。実際、
かなりの量の文献に触れなくてはなりませんが、それが自分自身にとっても学ぶ良い機会になって
います。学生たちから発想のアイディアをもらうこともあります。「共に学ぶ」という感じですね。
これまで参加されてきて、学生さんたちにはどのような変化があったと思われますか?
STOCK リーグは、自分たちが研究した企業が現実の株式市場ではどのように評価されているのかを
学ぶ良い機会になっています。STOCK リーグに参加したことで、現実の経済の動きや日本企業の活
動に対する学生たちの感度が高まり、彼らが着実に成長しているのが本当によく感じられます。
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ゼミナール内での先輩・後輩の関係も良好で、STOCK リーグについても先輩がきめ細かく後輩たち
を指導してくれています。そのおかげもあって、過去 5 回も部門賞を受賞することができたのかも
しれません。
ただ、熱心な先輩たちが多くしかも受賞回数も増えてきただけに、後輩の学生たちは「自分たちも
入賞しなくては」という新たなプレッシャーを感じてはじめているようです。受賞が決まったとき
にも、「嬉しい!」「やった!」ではなく、「ホッとした」と語っていましたから。
実は我々がレポートに盛り込んだ銘柄の一部を選んで実際に株式投資することにしたのです。この
間の市場動向のプラスに働いたのかもしれませんが、現在のところ運用成績はまずまずです。学生
たちが STOCK リーグで選んだ銘柄への投資が、実際に運用成績を上げているという事実は、大き
な意味を持つと思います。将来、ゼミ生や OB たちと一緒にこの投資成果で大きなパーティができ
たらいいねと話しています。
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同志社大学 経済学部 新関三希代 教授
参加数
:
10 回
受賞履歴
:
審査委員特別賞 : 第 9 回(2 チーム)、第 10 回
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受賞コメント
STOCK リーグに参加することとなったきっかけを教えてください
もともと私たちのゼミナールは「企業分析」を研究テーマとしていま
す。「企業価値や企業業績はどう決まるのか?」などについての実証
分析をしているのですが、じつは 3 年生が提出するレポートと、この
STOCK リーグで提出するレポートの主旨がかなり合致しているので
すね。
というのも 3 年生のレポートは、例えば環境問題であったり、女子労働やジェンダーの問題であっ
たり、さまざまなテーマを設定して企業価値を分析していくというものです。企業価値の分析は、
企業の投資価値の分析と重なる部分が多く、その意味で、STOCK リーグで自主テーマを決めて企業
を研究・評価して銘柄を選び、レポートを書いていくのと共通点が多いのです。学生達としても、
ゼミナール内での発表だけで終わるのではなく、
「コンテストに参加して入賞するために頑張る」と
いう目標が加わることでモチベーションが上がって、より意欲的にレポート作成に取り組んでいけ
ると思います。こうした理由で、STOCK リーグに参加させていただいています。
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STOCK リーグに参加するにあたり、何かご苦労されていることなどはありますか?
私たちの研究テーマは、企業分析を通じて、企業価値を高める経営のあり方などを考えていくもの
なので、株式投資で収益を上げることを目的としているわけではありませんし、株価の動きそのも
のを研究しているのでもありません。例えば「どのようなポートフォリオを組んで、どれだけパフ
ォーマンスを上げるか?」といった意味での投資教育の観点で取り組んでいるわけではないので、
その点は、私たちがゼミナールの延長として STOCK リーグに参加していく上で、やや悩むところ
ではありました。
ただ最近では、これまでの伝統的な経済学があまり対象としてこなかった人間の心理などに着目し
て金融活動を分析していく「行動ファイナンス」という新しい分野の研究も取り入れています。昨
年頃から、こうした観点で STOCK リーグに取り組むチームも出てきているので、面白いレポート
が生まれてくるのではないかと期待しています。
あとはレポートの分量もちょうど良いですし、苦労していることは特にないですね。STOCK リーグ
に参加することで、大学内でのレポート発表で終わらず、外部の方からの審査・評価を受ける機会
が得られますし、しかも賞までいただけることもあり、有り難いと思っています。これからもずっ
と STOCK リーグがある限り参加させていただくつもりです。
学生の皆さんの反応はいかがですか?
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ここ何年かは入賞させていただいているので、私のゼミが STOCK リーグに参加していることは学
生たちの間でもかなり知られているそうで、最近では STOCK リーグに参加したくて私のゼミを希
望してくる学生もいるほどです。
「就職活動にとても役に立った!」という学生もいますね。企業の間でも「STOCK リーグ」の認
知度は高いので、面接などでこの話題が出ると企業の担当者側も喜んで話を聞いてくれるそうです。
STOCK リーグに熱心に取り組んでいることは、学生の評価にも結びつきやすいようですね。
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