南山っ子通信・平成27年3月号

長 崎 南 山 小 学 校
学 校 生 活 だ よ り
平 成 2 7 年 3 月 号
信徒発見150周年
ワレラノムネ,アナタノムネトオナジ
江⼾時代,⼀⼈の司祭もいない禁教令下にあり
ながら潜伏していたキリシタンが親から子へ,子
から孫へと250年もの⻑い間代々信仰を伝承し
得た要因の中で ,「絵踏み」の制度と「バスチャ
ンの⽇繰り」も⼤きな⼒となりました。
絵踏みは,キリシタンを⾒つけ出すために,あ
るいはキリシタンではないことを証明させるため
に幕府が執った制度で,⻑崎では毎年正⽉が明け
てから⾏われていました。潜伏していたキリシタ
ンたちは,聖⺟マリアやキリスト像を彫った⽊版
や銅版などを断腸の思いで踏むたびに,⾃分が最
も⼤切にしているものは何なのかを確認すると同
時に,キリシタンであることの信仰を深めていく
ことができました。キリスト教を禁止するために
執った幕府の制度が,キリシタンにとってはかえ
って信仰を深め,それを伝承する手段となってい
たといえます。
バスチャンは,江⼾時代初期に⻑崎や外海地⽅
で活躍した⽇本⼈の伝道師です。出津の牧野に隠
れ住んでいたところを捕らえられ,78回にも及
ぶ拷問の末に斬首の刑に処せられました。そのバ
スチャンが残した4つの予⾔と⽇繰り(キリスト
教の暦)は,浦上や外海,五島の潜伏キリシタン
の間で広まり代々伝えられました。バスチャンの
予⾔の中には,
「七代のちに海の向こうから告白を聞くパードレ
(司祭)がやってくる」
というものもありました。その司祭を識別するた
めにバスチャンは次の3つの条件を⾔い残したと
いわれています。
・「ローマ教皇から派遣されていること」
・「独身であること」
・「サンタ・マリアを敬愛していること」
また,潜伏していたキリシタンたちは,バス
チャンが残した⽇繰りをもとにして,今でいう
クリスマスや四旬節,復活祭などの年間の⾏事
を正しく維持し信仰を継承していくことができ
ました。
世界宗教史上の奇跡といわれる⻑崎での「信
徒発⾒」は,バスチャンの予⾔のとおりにちょ
うど七世代のちの幕末に起こりました。
⽇仏修好通商条約が結ばれた後,居留するフ
ランス⼈のために1865年に建てられた⼤浦
天主堂は,当時「フランス寺」と呼ばれました。
「フランス寺には250年間待ち続けたパード
レ様がいらっしゃる」という噂を伝え聞いた浦
上の潜伏キリシタンたちのうち十数名が,天主
堂の建⽴後まもなくして⼤浦にやってきます。
⾒つかったら殺されるかもしれないという状況
の中での命がけの⾏動でした。そして,聖堂内
で祈るプチジャン神父様に近づいて,あの感動
的な⾔葉を告げるのです。
「ワレラノムネ,アナタノムネトオナジ」
「わたしたちの信仰はあなたの信仰と同じもの
です。わたしたちは浦上のキリシタンです。」
と告げた後,
「サンタ・マリアの御像はどこ?」
とささやいたといわれています。
潜伏していたキリシタンとプチジャン神父の
感動的な出会いは,まさにバスチャンが示して
いたとおりにサンタ・マリアを通して⾏われま
した。プチジャン神父からみた「信徒発⾒」は,
250年間待ち続けたキリシタンの側からみる
と,「パードレ(司祭)発⾒」「サンタ・マリア
発⾒」の出来事だったともいえます。
1865年3⽉17⽇の「信徒発⾒」から今
年はちょうど150周年目にあたります。⻑崎
の教会では,今年に⼊ってから記念の⾏事が次
々に⾏われています。記念⽇にあたる今⽇は,
信徒発⾒の舞台となった⼤浦天主堂で⼀⽇中連
続してミサが⾏われました。
また,3⽉11⽇には,チトセピアホールで
「⽇本の信徒発⾒150周年記念劇キリシタン
復活物語・そしてサンタ・マリアがいた」が上
演されました。この演劇には南山小学校の卒業
⽣や卒業⽣の保護者,⻄町教会の信徒の⽅々も
多数出演し熱演されていました。劇の最後にわ
たしたちへのメッセージとして流されたナレー
ションの中に次のような⾔葉がありました。
⼈は何でも⾃由にできるようになると,⼤切
なものの順番を忘れてしまう。
禁教下のキリシタンに比べると,今のわたし
たちには,信じることも,⾏動も,考えること
も,物までも⾃由に与えられています。何でも
⾃由にできる世の中にあって,わたしたちが最
も⼤切にしたいものは⼀体何でしょうか。健康
でしょうか,信仰心でしょうか,やさしい心で
しょうか,学校の成績でしょうか,家族の幸せ
でしょうか,出世・名誉でしょうか,お⾦・財
産でしょうか,・・・・・。子育てのまっただ中
にあって,今⼀度考えてみたいと思います。
卒業ミサのお話
より
先週の⽔曜⽇に⾏われた卒業ミサの中でジェブ
ーラ神父様は新約聖書のタラントン(通貨の単位)
の話を引用されてお話をしてくださいました。
ある主⼈が3⼈の僕に5タラントン,2タラン
トン,1タラントン預けて旅に出た話です。5タ
ラントン預かった僕はそれを元にしてさらに5タ
ラントンを儲け,2タラントン預かった僕も同じ
ように2倍にして帰ってきた主⼈に渡したけれど,
1タラントン預かった僕はなくさないように⼤事
に畑に埋めておいて預かった1タラントンだけを
返したという話です。
タラント
ンは通貨の
単位です
が,英語で
はtalentと
いって才能
を意味する
⾔葉として
使われま
す。旅に出る主⼈がそれぞれ違う量のタラントン
を3⼈の僕に預けたことは,わたしたち⼀⼈ひと
りは神さまから違った才能を与えられていること
を意味します。
「神さまから⾃分に与えられた才能をよく使って,
⼊学してからこれまでに⼤きく成⻑してきた6
年⽣ですが,これからも⼈のタラントンではな
く⾃分のタラントンを成⻑させて⼤きな実りを
得るように努⼒しましょう。与えられた才能が
違うように,その実りも⼀⼈ひとり違いますが,
みなさんが努⼒して得た実りは,みんな価値の
あるものであり,みなさんのまわりの⼈の喜び
ともなります。
」
というジェブーラ神父様のお話でした。
♪忘れないで
1. 忘れないで
いつもイエスさまは
君のことを 見つめている
だからいつも 絶やさないで
胸の中の ほほえみを
2. だけどいつか
はげしい嵐が
君のほほえみ
ふきけすでしょう
だからいつも 離さないで
胸の中の みことばを
3. 忘れないで
悲しみの夜は
希望の明日に 変わることを
だからすぐに 取り戻して
いつもの君の ほほえみを