環境省地球環境局総務課低炭素社会推進室御中 日本の約束草案(政府

環境省地球環境局総務課低炭素社会推進室御中
日本の約束草案(政府原案)に対する意見
2015 年 6 月 26 日(金)
国際環境 NGO FoE Japan
事務局長 三柴 淳一
〒173-0037 東京都板橋区小茂根1-21-9
Tel 03-6909-5983 Email [email protected]
意見内容
1. (意見概要)そもそも、現在提示されているエネルギーミックス案が、非現実的かつ
気候変動対策を無視している。原子力・石炭の利用想定が高すぎる「現行エネルギー
ミックス案と整合的」な原案ではなく、省エネルギーと再生可能エネルギーを中心と
したものとすべき。
(意見該当箇所)
「エネルギーミックスと整合的なものとなるよう」
(意見および理由)
現在のエネルギーミックス案は、原子力の利用を安全性・現実性を無視して、2030 年に 20
~22%という非現実的な高い設定を行っている。実際に達成できなかった場合、石炭火力
での穴埋めが懸念され、温室効果ガス削減にも重大な影響を与える。さらに、石炭火力の
割合が現状でも電源構成の 26%、一次エネルギーの 25%と高く設定されており、温室効果
ガス削減と逆行している。省エネルギー、再生可能エネルギーの積み上げも不十分である。
このような非現実的なエネルギーミックス案をもとに削減目標を決めることは、達成不可
能な目標を定めるようなものであり、極めて無責任である。
2. (意見概要)削減目標、2030 年度に 2013 年度比▲26.0%(2005 年比▲25.4%)は低
すぎる。国際的基準年 1990 年を用いた上での大幅削減(▲40~50%)を打ち出すべ
き。
(該当箇所)
「2030 年度に 2013 年度比▲26.0%(2005 年比▲25.4%)
」
(意見および理由)
これは国際的に認知された基準年である 1990 年で比べると▲17%に相当し、国際的にみて
も低すぎる目標である。
(米国の目標は 2025 年までに 2005 年比▲26~28%、EU は 2030
年に 90 年比 40%である。
)世界5位の温室効果ガス排出国であり産業革命後の累積排出量
が世界6位の日本の国際的責任を果たすものとは言い難い。
3. (意見概要)国際的な「公平性・野心度」達成のためには、
「主要セクターの具体的な
対策・施策の積み上げ」という方法はふさわしくない。目標達成のために、省エネル
ギー・再生可能エネルギーの導入施策を、各セクターで深堀すべき。
(該当箇所)
公平性・野心度
「わが国の約束草案は主要セクターの具体的な対策・施策の積み上げに基づいて作成し」
(意見および理由)
国際的に「公平性・野心度」ある目標を考える場合、その達成手段として主要セクターに
よる自己申告方式の対策・施策の積み上げは、適切ではない。現状想定できる範囲で達成
可能な、低い目標にとどまらざるを得ない。先進国として、国際的に公平性・野心度のあ
る目標をまず掲げ、そこにむけて各業界総力をあげて、省エネルギー・再生可能エネルギ
ーの深堀をすべきである。
4. (意見概要)現約束草案(政府原案)では、気候変動の脅威は避けられない。日本と
してすでに閣議決定している「2050 年世界半減、先進国全体 80%減」と整合性のある、
2030 年目標を掲げるべき。
(該当箇所)
「条約2条の目標達成に向けた貢献」
(意見および理由)
世界の科学者たちは、先に各国が提出した 2020 年までの対策を合わせただけでは今後今世
紀中の気温上昇が 3℃を超える危険があると報告している。過去 30 年間で世界の気象条件
による災害数は倍増し、死者の 4 分の 3 が気候変動の影響に脆弱な中低所得の途上国に集
中している。さらに、アフリカ 54 ヶ国、48 後発開発開発途上国、及び 44 小島嶼国連合国
(国所属数は重複)は、気温上 1.5℃以下への抑制を求めている。
また、すでに閣議決定して掲げている「2050 年世界半減、先進国全体 80%減」の中で、
日本としても 2050 年に 80%程度の削減を達成すべきことに鑑みても、2030 年時点で 40
~50%(1990 年比)削減を目標としなければ難しい。原案では、現状の目標案でも「整合
性がある」としているが、その根拠は示されておらず、削減曲線として大きな乖離がある。
以上