(8) 手取川右岸集落における広域斜面危険度判定マップの 適用性について

(8) 手取川右岸集落における広域斜面危険度判定マップの
適用性について
株式会社日本海コンサルタント 技術事業本部 防災構造部 東 寛和 氏
- 79 -
手取川右岸集落における広域斜面危険度判定
マップの適用性について
ひがしのりかず
に し の たか し
あ ら き りゅうすけ
はしもと た か し
こ
ま
い こうきち
東 寛和1・西野尚志1・荒木 龍 介1・橋本隆司1・小間井孝吉1・
かわむら く に お
川村國夫2
1(株)日本海コンサルタント(〒921-8042 石川県金沢市泉本町2-126)
2金沢工業大学 環境建築学部(〒924-0838 石川県白山市八束穂3-1 地域防災環境科学研究所)
H26.8広島豪雨災害で見られたように,各地で土砂災害指定区域内外から土砂災害が発生し,
甚大な被害を及ぼしている.このように広域斜面には,土砂災害の危険性の高い箇所が多く潜
在しており,斜面防災において崩壊の危険性に関する事前情報は極めて重要である.
本研究では,これまでにH20.7浅野川災害による広域斜面危険度判定手法を提案し,高い有効
性を示している.本稿では,本手法を用いて手取川右岸集落を対象に危険度判定マップを試作
し,被災記録が少なく地形・地質要素の異なる地域においても適用できることを示した.
今後は地域特性データの蓄積,解析技術開発の継続により解析精度,適用性の向上に努める.
Key Words : 中山間地,斜面災害,多変量解析,斜面安定解析,危険度判定
1.はじめに
近年,中山間地域の集中豪雨による土砂災害の特
徴は,土砂災害危険区域指定(以下,危険指定)内
の範囲にとどまらず,その奥部(危険指定外)の広
域斜面から発生する崩壊土砂の供給により被害が拡
大する.こうした管理の枠を超えた防災,減災対応
は喫緊の課題であり,広域斜面災害予測手法の開発
や広域防災マップの作成が必要である.
図-1に示す石川県白山市鶴来町~白山市瀬波・木
滑は,手取川上中流域の中山間地にあたり,昭和9
年の大洪水により流域の集落が甚大な被害を受けて
いる.上流の手取川ダムの完成により水害の危険性
は軽減されているものの,手取川右岸集落に着目す
ると,数多くの危険指定が存在する.また,山間地
の荒廃の進行や土地利用状況の変化により,更なる
奥部の広域斜面は崩壊の危険性を秘めている.
西野,川村らの研究1)によりH20.7浅野川災害につ
いて広域斜面危険度判定システム(以下,判定シス
テム)を提案し,高い精度と有効性を示している.
本稿では手取川右岸集落の支渓流斜面を対象に判定
マップを試作し,地形・地質要素の異なる地域での
適用性を検討した.
図-1
対象地位置図
図-2に西野・川村ら 1)の手法によるシステム概要
図を示す.解析による斜面崩壊予測手法は従来から
研究がされているが,本システムの特徴は,浅野川
災害の実態を把握し,崩壊データの精度を高め,多
2.判定システム(マップ)の概要
1
- 80 -
変量解析と力学的斜面安定解析とを対応づけ,斜面
安定解析結果に数量化理論から得られる自然地形や
植生などの因子寄与が反映できる手法である.
(2) 数量化理論による崩壊要因を考慮した斜面安定
指標の提案
崩壊地データに着目し,三次元斜面安定解析では,
斜面傾斜角と崩壊規模を使って一定の傾斜角をもつ
フラットな斜面として修正Hovland法により解析を
行う.ここで,安全率は表層土のせん断強度を三軸
圧縮試験から得られたC’,φとし,降雨条件に応
じた地下水位の解析により地下水位を地表面, 表
土層厚の中間位置,表土層より下方(地下水位な
し)の各条件下で力学的に検証した(図-3).
三軸CU強度(C’=1.5kN/m2、φ’=31.0°)
三次元すべり安全率 Fsc
3.0
斜面安定評価(サンプルスコア(y))
三次元斜面安定解析(Fsc)
回帰直線上の
安全率(Fsc*)
斜面安定指標(Fs)
地下水位:地表面
2.5
地下水位:中間
地下水位:なし
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
0
図-3
図-2
集水地形
植生自然度
す三次元斜面安定解析から計算される安全率,
F sc* :図-4に示すサンプルスコア y に対応する回帰
直線上の安全率.
2.0
Fsc*
安全率 Fs
1.5
Fsc* = -0.3854y + 1
1.0
0.5
1
-0.194
集水地形
2
0.140
沢以外
1
-0.464
沢
2
1.041
~30
1
-1.062
30~40
2
-0.522
40~50
3
-0.013
50~
4
0.846
1
-0.363
傾斜角(度)
すべり安全率と斜面傾斜角の関係
カテゴリー カテゴリースコア
集水地形以外
沢
60
入した崩壊要因を考慮した安全率, F sc :図-3に示
崩壊要因とカテゴリースコア
分類
50
の相関性を持たせるため,以下の式(2)によって整
理した.
F s  F sc  A log 10 ( F sc / F sc* )
(2)
ここに, F s : 斜面安定指標で,数量化理論で導
(1) GISを利用した多変量解析による危険度評価
多変量解析のために必要な崩壊要因は,データ収
集の簡便性と汎用性から,入手が比較的簡易で高度
な空間情報を持つ公開地図データGISを利用して適
正化を図った上で選定し,数量化理論によりカテゴ
リースコア値を算出する.
表-1に選定された崩壊要因とカテゴリースコア値
を示す.カテゴリースコア値は正の値が大きいほど
崩壊側に,負の値が小さいほど非崩壊側に影響を及
ぼす.さらに判別式(1)で得られるサンプルスコ
ア値から判別的中点を求め,メッシュ毎の斜面危険
度を評価する.
表-1
20
30
40
斜面傾斜角(°)
数量化理論の結果と斜面安定解析の関連について
各崩壊メッシュに関する判別式(1)のサンプルスコ
ア y とそこでの三次元斜面安定解析の安全率 F sc と
広域斜面危険度判定システム概要図
崩壊要因
10
植生自然度:1~3
(樹園地、田畑、市街)
植生自然度:4~6
(二次草原、植林地)
2
0.356
植生自然度:7~10
(二次林、自然林)
3
-0.160
0.0
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
3.0
サンプルスコア y
図-4
式(2)により整理されたサンプルスコアと斜面安定
このことは,数量化理論の崩壊要因を考慮した斜
面の安定性が斜面安定解析から評価できることを示
す.つまり,三次元斜面安定解析から求まる安全率
F sc に,式(2)右辺第2項を加味すれば,数量化理論
の崩壊要因を考慮した斜面安定指標 F s へと変換で
壊, y <0の場合は非崩壊), a jk :カテゴリースコ
き,数量化理論のサンプルスコア値に応じた斜面の
安定性が決定できる.したがって,異なる降雨量条
件下での斜面安定評価を可能にし,また,それに
沿った判定マップを作成できることになる( F s <1
ア, x i ( jk ) :各カテゴリーにおける該当の有無
であれば,崩壊危険度の高いメッシュと見なす).
y i  a jk  x i ( jk ) ・・・
(1)
ここに, y i 0 :サンプルスコア( y >0の場合は崩
2
- 81 -
表-3 表土層の土質試験・力学試験結果一覧
3.対象地の地形・地質および地盤特性
試験名
被災記録の少ない本地域において本判定システム
で用いたサンプルスコア値の適用性を検討するため
に,本流域と浅野川流域の地形・地質的な特性およ
び地盤特性について比較した.
一
般
粒
度
分
類
コ
シン
シ
特ス
性テ
ン
ー
(1) 地形・地質概要
表-2に現地調査による手取川右岸流域と浅野川流
域の地形・地質の概要を示す.浅野川流域と比較し
て支渓流部はやや急傾斜で,所々に露岩が見られる.
また,地形的に集水範囲が広い割に谷出口は狭い特
徴があり,この地域が局地的な集中豪雨に見舞われ
れば,集落に限らず重要なインフラ設備も被害を受
ける可能性がある.
三
軸
圧
縮
記号
単位
3
手取川
右岸流域
浅野川流域
湿潤密度
ρt
g/cm
1.927
1.535
土粒子の密度
ρs
g/cm3
2.68
2.684
自然含水比
Wn
%
23.1
51.6
間隙比
e
-
0.711
1.651
礫分2~75mm
%
33.3
23.0
砂分75μm~2mm
%
38.3
28.0
シルト分5~75μm
%
10.7
29.0
粘土分5μm未満
%
17.7
20.0
最大粒径
mm
地盤材料の分類名
分類記号
19
19
粘土質礫質砂
シルト質砂質礫
SCG
GMS
液性限界
WL
-
50.2
72.1
塑性限界
WP
-
19.8
40.8
塑性指数
Ip
-
30.4
31.3
コンシステンシー指数
Ic
-
0.9
0.7
CU
CU
試験条件
粘着力
C’
kN/m2
0.9
1.5
内部摩擦角
φ’
度
31.5
31.0
表-2 手取川右岸流域と浅野川流域の地形・地質
地
形
手取川右岸流域
浅野川流域
地形
丘陵、段丘
丘陵主体
標高(流域界)
700~800m
500~600m
河床との比高
600m
300m
傾斜範囲
0~50°
0~50°
段丘面の発達の程度
強い(7段)
弱い(2~3段)
崖錐、
崖錐、
浅野川では崖錐、強風化
強風化岩(風化残積土)、
強風化岩(風化残積土) 岩を表土層として取扱い
地すべり、段丘堆積物
北部:20~45°北西
15~30°北
南部:10~20°南東
流紋岩、火砕岩類
流紋岩、火砕岩類
B~Cクラス
A~Bクラス
(まれにAクラス)
礫状
細粒状、土砂状
緩斜面の分布
(概ね20°程度)
地質構造
地質・岩質の名称
岩の硬さ
地
質
4.判定システムの適用性
備 考
岩の風化
1m程度
1~5m程度(最大7m)
N値10程度以下
凝灰岩・凝灰角礫岩から
なる火山砕屑岩の熔結
部の度合い
強風化層の厚さ
熔結部が多い
非熔結部が多い
(熔結部が少ない)
熔結の度合い
≒硬さの違い
溶岩流
多い(流紋岩質)
少ない
(2) 斜面傾斜角・表土厚
国土地理院基盤地図情報(10mメッシュ)による斜
面傾斜角の頻度分布から,ほとんどが20~40°の範
囲内にあり,33°前後の急傾斜面が比較的に多い.
また,山地災害危険地区調査資料および鉄塔基礎調
査データに基づく,斜面傾斜角と表土層厚の関係を
示す.斜面が急なほど薄く,緩やかなほど僅かに厚
い傾向があり,表土層厚は1m以下である(図-5).
20°~40°
6.0
1000
5.0
表土厚(m)
頻 度
800
600
400
4.0
3.0
2.0
1.0
200
0.0
0
0
10
20
30
40
斜面傾斜角(°)
図-5
50
0
10
20
30
40
50
60
斜面傾斜角(°)
斜面傾斜角および表土厚
(3) 表土層の地盤特性
表-3に表土層の土質試験・力学試験結果の一覧表
を示す.手取川右岸流域の表土層は,粘土質礫質砂
に区分され,やや砂・礫分に富むが,三軸圧縮試験
(CU-)結果による力学特性はシステム開発した浅野
川流域と類似している.
本解析では西野・川村1)の手法と同じサンプルス
コア値と斜面安定指標を用いた.また,降雨量と地
下水の関係については,今後,支渓流斜面における
地下水位観測を実施する必要があるが,ここでは地
下水位が表土層厚の中間まで上昇すると仮定し,シ
ステムを構築した.
道路通行規制や大雨警報を想定した連続雨量
150mm程度の判定マップ(50mメッシュ)を図-6に示
す.なお,傾斜40°以上の斜面では,露岩が多く表
土層厚も比較的薄いと判断して判定図を作成した.
試作した判定マップは,危険度が「高い」群に属
するメッシュを赤色,「低い」群に属するメッシュ
を薄緑色に色分けしたものである.
本手法による危険度判定の捕捉精度の検証として,
石川県森林部の山地災害危険地区調査のうち,崩壊
土砂流出危険地区の調査図(森林基本図1/5,000)に
記入されている荒廃発生源(青○印)を災害履歴に準
ずるもの(以下,準崩壊箇所)として捕捉率を算出し
た.解析範囲において捕捉率は約9割(準崩壊箇所
71 箇所のうち63 箇所を捕捉)と高い精度が得られ,
本手法による斜面危険度の判定は,危険指定外の危
険斜面の抽出に有効であることが推察される.また,
危険指定外の広域斜面において,崩壊危険度の高い
斜面が散見される.今後,詳細な調査を実施する必
要はあるが,ハード対策の優先順位の決定や避難路
を検討する際に有効な情報となる可能性を示してい
る.また,5mメッシュが整備されている白山市鶴来
町周辺の判定マップを図-7に示す.図-7の①~③は
石川県土砂災害情報システムにおいて降雨記録を持
つがけ崩れ箇所を示す.
①地点:1983年7月6:00梅雨前線(連続雨量98mm).
②地点:2004年6月08:00梅雨前線(連続雨量39mm).
③地点:1976年11月09:00風雨波浪注意時(連続雨
量53mm).
いずれも危険区域指定範囲で発生しているが,本
判定システムは災害発生の地点を的確に捕捉してい
3
- 82 -
③1976.11(53mm)
鶴来町
図-7
県道103号
朝日団地
手取川
②2004.6(39mm)
①1983.7(98mm)
がけ崩れ発生年月(連続雨量)
図-7
河内町
白山市鶴来町周辺の斜面崩壊危険度判定マップ
(5mメッシュ)
る.また,図-7の沢筋に着目すると,沢の発達程度
が大きいほど(②>③>①)少ない降雨量(連続雨量)
で崩壊発生しており,沢筋地形に留意した本判定シ
ステムの妥当性を示した.
このように平野側に隣接する山地斜面の危険度判
定においては,5mメッシュによる解析が有効である.
5.今回の成果と今後の課題
(1) 今回の成果
本手法は崩壊地データが少なく,地形・地質要素
の異なる地域においても適用できることを示した.
50mメッシュの判定マップでは中山間地奥の広域斜
面危険度を抽出するには有効であり,ハード対策の
優先順位の決定や避難路を検討する際に有効な情報
となる可能性を示した.また,5mメッシュの判定
マップでは災害記録が比較的多い中山間地の山麓平
野部における小規模な斜面崩壊箇所の捕捉に有効で
あり,宅地・道路斜面評価等に期待できると考える.
吉野町
(2) 今後の課題
本研究で作成した判定マップは,降雨による地下
水位に関して表土層の中間まで上昇することを仮定
しており,今後,地下水観測孔の設置により,降雨
や融雪に伴う検証が必要である.
今後は地域特性データの蓄積,解析技術開発の継
続により解析精度,適用性の向上に努める.
木滑町
謝辞:本研究は一般社団法人 北陸地域づくり協会
の第19 回「北陸地域の活性化」に関する研究助成
事業[助成番号]H26 技術3の研究助成金を受けて実
施しました.ここに深くお礼を申し上げます.
瀬波町
参考文献
1) 西野尚志,川村國夫,他:2008.7浅野川豪雨災害に基
づく斜面崩壊ハザードマップと今後の防災課題に関す
る提案,地盤工学ジャーナル,Vol.8,No.2,2013.6
図-6 手取川右岸流域における広域斜面危険度判定マップ
(50mメッシュ)
4
- 83 -
◎発表内容
建設コンサルタンツ協会 北陸支部 業務・研究発表会
手取川右岸集落における
広域斜面危険度判定マップ
の適用性について
①研究の背景と目的
②広域斜面危険度判定システムの概要
③手取川右岸支渓流斜面の特徴
④判定システムの適用性
平成27年8月7日
⑤今回の成果と今後の課題
○東 寛和・西野 尚志・荒木 龍介・橋本 隆司
小間井 孝吉・川村 國夫
1
2
- 84 -
◎発表内容
①研究の背景と目的
発表内容全体フロー
管理の枠を超えた防災・減災対応は喫緊の課題
★中山間地の集中豪雨災害の特徴
・土砂災害危険区域指定外の広域斜面から
土砂災害が多発し、被害が拡大。
・斜面崩壊危険度の高い箇所は潜在しており、
崩壊の危険性を秘めている。
集中豪雨による中山間地の課題
契機となった浅野川災害概要
危険度判定システムの概要
手取川右岸支渓流斜面の特徴
H20浅野川豪雨
斜面災害判定エリア
H26手取川右岸斜面
危険度判定エリア
手取川右岸への適用性検証
3
H20.7
浅野川豪雨災害
(138㎜/h:251㎜/3h)
H26.8
広島豪雨災害
(安佐北区121㎜/h:284㎜/日)
4
①研究の背景と目的
①研究の背景と目的
広域斜面崩壊の危険性に関する事前情報は重要
契機となった浅野川豪雨災害(平成20年7月)
土砂災害ハザードマップ
7月28日の最大3時間降雨量(mm) (5~8時)
広域斜面の危険性
250mm
200mm
150mm
100mm
浅野川流域
浅野川災害による危険度判定システムの適用性検証
・被災データが少なく、地形・地質が異なる地域でも適用
できるのか?
板ケ谷1地区
「崩 壊」71.8%
「非崩壊」65.9%
板ケ谷2地区
出典:西野尚志,川村國夫,他:2008.7浅野川豪雨災害に基づく斜面崩壊ハザードマップと今後
の防災課題に関する提案,地盤工学ジャーナル,Vol.8,No.2,2013.6
5
6
- 85 -
②広域斜面危険度判定システムの概要
②広域斜面危険度判定システムの概要
GISを利用した多変量解析による危険度評価
広域斜面危険度判定システムの特徴
三次元斜面安定解析
統計的解析手法
力学的斜面安定解析
斜面崩壊要因
多 変 量 解 析
①崩壊の実態把握による崩壊データの精度向上
②公開地図データGISを利用した崩壊要因の選定
地形要因
地質要因
公開地図データ
GISデータ等
を利用
環境要因
斜面安定評価(サンプルスコア(y))
各メッシュのカテゴリースコア値の合計
y>判別的中点 ⇒ 崩壊に属する
y<判別的中点 ⇒ 非崩壊側に属する
●斜面の安定解析(Fsc)
崩壊データに着目し、三次元斜面
安定解析により、統計的手法で解
析した結果を力学的に検証する。
●安定解析に必要なデータ
崩壊規模、せん断強度、地下水位
●斜面崩壊危険度
F
F
<1.0 ⇒ 崩壊危険度が高い
≧1.0 ⇒ 崩壊危険度が低い
③崩壊要因を考慮した危険度判定手法の開発
両方の対応付け(Fsc-Alog(Fsc/Fsc*)
数量化理論による
崩壊要因を考慮した
7
斜面安定指標(Fs)
危険度判定マップ
F <1.0の場合、崩壊危険度の高いメッシュ
F ≧1.0の場合、崩壊危険度の低いメッシュ
降雨に応じた
広域防災マップ
8
②広域斜面危険度判定システムの概要
②広域斜面危険度判定システムの概要
降雨量に応じた広域防災マップの作成
数量化理論による崩壊要因を考慮した斜面安定指標(Fs)
■サンプルスコアyと安全率Fsc■
道路通行規制や大雨警報を想定した広域防災マップの
作成が可能
■整理されたサンプルスコアyと
斜面安定指標Fs■
1.0
2.0
0.9
Fsc = -0.3854y + 1
1.5
0.6
安全率 Fs
0.5
0.4
*
0.3
y = -0.0162x + 4.3432
表土層の中間位置まで上昇
0.5
0.2
0.1
0.0
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
0.0
3.0
0.0
サンプルスコア y
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
3.0
サンプルスコア y
斜面安定指標:
=
-
/
∗
3.0
2.5
3.0
3.5
4.0
0
9
2
三軸CU強度(C’=1.5kN/m 、φ’=31.0°)
2.0
斜面崩壊危険度判定
F <1.0の場合、崩壊危険度の高いメッシュ
F ≧1.0の場合、崩壊危険度の低いメッシュ
■降雨条件に応じた安全率(Fsc)
と斜面傾斜角の関係■
■浅野川災害による実効雨量と実測水
位の相関図■
F ∗ =-0.3854y+1.0
Fsc = -0.3854y + 1
1.0
実 測 水 位 (GL- m)
安全率 Fsc
0.7
50
100
150
実効雨量(㎜)
200
三次元すべり安全率 Fsc
0.8
地下水位:地表面
2.5
地下水位:中間
地下水位:なし
2.0
連続雨量150mm相当
の地下水位
1.5
1.0
0.5
0.0
※浅野川災害による表土厚4.0m地点において
連続雨量150mmの場合、表土層の中間まで上昇
0
10
20
30
40
斜面傾斜角(°)
50
60
10
- 86 -
③手取川右岸支渓流斜面の特徴
③手取川右岸支渓流斜面の特徴
浅野川
対象範囲と土砂災害指定区域の状況
石川県白山市鶴来町~白山市瀬波・木滑
斜面傾斜角・表土厚
■斜面傾斜角の頻度■
■斜面傾斜角と表土厚の関係■
1000
6.0
800
5.0
表土厚(m)
頻 度
20°~40°
600
400
200
3.0
2.0
1.0
0.0
0
約20km
4.0
0
10
20
30
40
斜面傾斜角(°)
50
0
10
20
30
40
50
60
斜面傾斜角(°)
利用データ:
利用データ:
国土地理院基盤地図情報(10mメッシュ)
崩壊土砂流出危険地区調査の結果(平成18年7月、林野庁)
送電線鉄塔基礎調査結果(北陸電力(株)提供資料
約5km
11
12
③手取川右岸支渓流斜面の特徴
④判定システムの適用性
斜面崩壊危険度の判定例(50mメッシュ)
表土層の地盤特性
■土質試験・力学試験結果一覧■
記号
単位
手取川
右岸流域
湿潤密度
ρt
g/cm3
1.927
1.535
土粒子の密度
ρs
g/cm3
2.68
2.684
自然含水比
Wn
%
23.1
51.6
間隙比
e
-
0.711
1.651
23.0
試験名
一
般
粒
度
分
類
礫分2~75mm
%
33.3
%
38.3
28.0
シルト分5~75μm
%
10.7
29.0
粘土分5μm未満
%
17.7
20.0
最大粒径
mm
分類記号
ー
コ
液性限界
シン
塑性限界
シ
特ス
塑性指数
性テ
ン コンシステンシー指数
三
軸
圧
縮
19
19
粘土質礫質砂
シルト質砂質礫
SCG
GMS
WL
-
50.2
72.1
WP
-
19.8
40.8
Ip
-
30.4
31.3
Ic
-
0.9
0.7
CU
CU
粘着力
C’
kN/m2
0.9
1.5
内部摩擦角
φ’
度
31.5
31.0
試験条件
中山間地奥の広域斜面危険度を抽出に有効である
浅野川流域
砂分75μm~2mm
地盤材料の分類名
■表土層の粒度分布比較■
【解析設定】
判定精度:50mメッシュ
地下水位:中間
斜面傾斜:40°以下
カテゴリースコア値:浅野川災害設定値
斜面安定指標:浅野川災害設定値
吉野大谷川
↓
〇判定例
写真方向
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崩壊危険度の高いメッシュ⇒赤色
崩壊危険度の低いメッシュ⇒薄緑色
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④判定システムの適用性
④判定システムの適用性
小規模崩壊の捕捉例(5mメッシュ)
準崩壊箇所の捕捉率による検証
捕捉率は、約9割(63箇所/71箇所)と高い精度を示す
小規模な災害発生の地点を的確に捕捉が可能
②1976.11(53mm)
崩壊危険度の高いメッシュ⇒赤色
③2004.6(39mm)
崩壊危険度の低いメッシュ⇒薄緑色
準 崩 壊 箇 所 ⇒〇
崩壊危険度の高いメッシュ⇒赤色
崩壊危険度の低いメッシュ⇒薄緑色
※準崩壊箇所
崩壊土砂流出危険地区調査による荒廃発生源箇所
(石川県森林部) 15
【解析設定】
判定精度:5mメッシュ
地下水位:中間
斜面傾斜:40°以下
カテゴリースコア値:浅野川災害設定値
斜面安定指標:浅野川災害設定値
県道103号
③2004.6(39mm)
朝日団地 ①1983.7(98mm)
①1983.7(98mm)
朝日団地
がけ崩れ発生年月(連続雨量)
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⑤今回の成果と今後の課題
⑤今回の成果と今後の課題
今回の成果
今後の課題
・広域な斜面の情報は、GISを利用することで解析が容易となる。
・浅野川災害のカテゴリースコア値は適用性、汎用性が高い。
⇒被災データが少なく、地形・地質要素の異なる地域においても
適用できる。
⇒普遍的な性質を持ち、他地域への適用性を秘めている。
・広域危険度判定マップは、
⇒中山間地奥の広域斜面危険度を抽出するには有効
⇒メッシュ精度が向上すれば、
集落背面等の小規模崩壊の危険度を抽出するには有効
・広域防災マップの精度を向上させるためには、
①降雨量と地下水位の解析が必要
地下水観測孔の設置により、降雨や融雪に伴う検証が必要
②メッシュ精度の向上
5mメッシュの整備が限定的であることから、今後、土地利用が
進むと考えられる平野側に隣接する山地斜面での早期整備が
望まれる。
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ご清聴ありがとうございました