桂 沢 浄 水 場 更 新 事 業

20150915
桂 沢 浄 水 場 更 新 事 業
審査講評
平成27年10月9日
桂沢浄水場更新事業事業者選定委員会
「桂沢浄水場更新事業事業者選定委員会」(以下「選定委員会」という。)は、桂沢浄水場更新
事業(以下「本事業」という。
)に関して、落札者決定基準(平成27年3月16日公表)に基づ
き、提案内容等の審査を行いましたので、審査結果及び審査講評をここに報告します。
平成27年10月9日
桂沢浄水場更新事業事業者選定委員会
委員長
松井 佳彦
委 員
小笠原 紘一
委 員
木村 康則
委 員
松井 義孝
目
次
1.選定委員会の設置 ································································································· 1
2.選定委員会の開催経緯 ··························································································· 1
3.審査の方法 ·········································································································· 2
4.審査の結果 ·········································································································· 2
(1)入札参加者 ································································································· 2
(2)入札価格の確認 ··························································································· 2
(3)基礎審査 ···································································································· 2
(4)技術審査 ···································································································· 3
(5)評価値の算定 ······························································································ 3
5.優秀提案者の選定 ································································································· 4
6.提案に対する評価の概要 ························································································ 4
7.総評 ··················································································································· 6
1.選定委員会の設置
選定委員会の構成は、以下の通りである。
(委員長) 松井 佳彦
国立大学法人北海道大学大学院工学研究院環境創生工学部門教授
(委 員) 小笠原 紘一 全国簡易水道協議会技術アドバイザー
(委 員) 木村 康則
公益社団法人日本水道協会工務部長
(委 員) 松井 義孝
一般社団法人技術士リングネット専務理事
2.選定委員会の開催経緯
選定委員会の開催経緯は、以下の通りである。
選定委員会
開催日
第1回
平成27年 1月27日
内容
・委嘱状交付
・委員長の選出
・業務要求水準書(案)の審議
・落札者決定基準(案)の審議
・選定委員会の開催日程の確認
第2回
平成27年 3月 2日
・業務要求水準書(案)の審議
・落札者決定基準(案)の審議
・提出書類作成要領及び様式集(案)の審議
第3回
平成27年 6月18日
・水処理技術提案審査(二次審査)
第4回
平成27年10月 7日
・入札価格の確認結果の報告
・要求水準達成確認の報告
・技術提案書の審査(三次審査)
平成27年10月 8日
・参加者へのヒアリング
平成27年10月 9日
・落札者決定基準に基づく優秀提案者の決定
技術評価の得点化
評価値の確定
優秀提案の選定
1
3.審査の方法
優秀提案者の決定は、本事業において桂沢水道企業団(以下「企業団」という。)が求め
る資格の有無を判断する一次審査(入札参加資格審査)と水処理技術等のフロー、考え方等
を審査する二次審査(水処理技術提案審査)、入札価格及び各業務に関する具体的な提案内
容を審査する三次審査(入札価格の確認、基礎審査、技術審査)により実施した。
一次審査にあたっては、入札参加者(以下「参加者」という。)の参加資格について、企
業団が入札説明書等(平成27年3月16日公表、平成27年4月1日第1回変更版公表)
の参加資格要件に基づき内容を確認した。
二次審査にあたっては、企業団が基礎審査を行ったうえで、選定委員会が参加者から提出
された水処理技術提案書の審査を行った結果、参加者番号第1番、第2番、第4番の3参加
者が審査を通過した。
三次審査にあたっては、企業団が基礎審査を行ったうえで、選定委員会が参加者から提出
された技術提案書の審査、ヒアリングにより技術評価を行い、技術評価点を入札価格で除し
た評価値が最も高い提案を優秀提案とし選定した。
4.審査の結果
(1)入札参加者
本事業における参加者は、
参加者番号第1番、
第2番、第4番の3グループであった。
(2)入札価格の確認
参加者の入札価格(消費税及び地方消費税は含まない)は、次に示すとおりである。
平成27年9月15日に入札価格が企業団の予定価格の範囲内であることの確認を行
った。
参加者
入札価格(消費税及び地方消費税は含まない)
第1番
7,590,000,000円
第2番
8,322,000,000円
第4番
8,300,000,000円
(3)基礎審査
参加者から提出された技術提案書の各様式に記載された内容が、業務要求水準書(平
成27年3月16日公表、平成27年6月1日一部変更版公表)に示す要件をすべて満
たしていることを企業団が確認した。
2
(4)技術審査
参加者から提出された技術提案書の内容について、
落札者決定基準で公表された審査
項目、得点化方法に基づく評価、及び提案確実係数の設定を行い評価した。
(5)評価値の算定
選定委員会が、参加者から提出された「技術提案書」の内容及びヒアリング結果を総
合的に評価し、技術提案の優れている点について実現の確実性に応じ提案確実性の評
価を行い、企業団が、技術評価点を入札価格で除した評価値を算定した。
(総合評価方法)
ア
標準点及び加算点
参加者が要求水準を満たす場合には標準点100点を与え、
技術提案の内容に応じ
て0点から70点を加点する。
イ
総合評価の方法
技術評価点を入札価格で除した評価値を算出する。
技術評価点(標準点+加算点)
評価値=
入札価格
標 準 点:応募者に一律付与する得点。
加 算 点:選定委員会での技術評価で得られた加算点に提案確実係数(α)
を乗じて加算点とする。
入札価格:消費税及び地方消費税を除いた価格とする。
評 価 値:評価値は、乗数を乗じ1の位になるよう表示する。
ウ
提案確実係数(α)
選定委員会が参加者から提出された技術提案書の内容を総合的に評価し、
提案確実
係数(α=0.0~1.0)を決定する。
3
(評価値の算出結果)
項目
第1番
第2番
第4番
入札価格(千円)
7,590,000
8,322,000
8,300,000
技術評価点(点)
105.63
120.12
145.34
1.392
1.443
1.751
評価値
5.優秀提案者の選定
選定委員会は、参加者番号第4番を優秀提案者として選定した。
6.優秀提案の概要
優秀提案の概要は次のとおりである。
(1)事業計画(事業推進の確実性とリスク管理)
・ 「つなぎ」をキーワードに業務要求水準書に示した5つの事業理念を5つのコンセプ
トとして提案。
・ 事業推進体制としては管理技術者による一気通貫の管理、JV運営委員会による運営、
リスク対策としてはリスク項目毎に構成企業による帰属責任分担、保険での対応を提
案。
(2)浄水場更新
・ 浄水処理フローは、着水井、粉末活性炭接触池、薬品混和池、膜ろ過原水槽、膜ろ過、
マンガン接触池、塩素混和池、ポンプ井で構成され、高濁度対策の前処理施設は、凝
集と膜ろ過原水槽での沈殿をパイロット実験に基づき提案。
・ 除マンガン設備は、マンガン砂による開放型の下向流式マンガン接触ろ過池を提案。
・ 膜ろ過設備は、長寿命かつ耐久性に優れ、自然の水位差を利用した省エネルギーなセ
ラミック製のMF膜(ケーシングタイプ)を提案し、次亜塩素酸ナトリウムと硫酸に
よる薬品洗浄を提案。
・ 電気計装設備のうち、受変電設備は業務要求水準を満足し、非常用自家発電設備は燃
料をA重油とした1000kVAのディーゼル発電機を提案。水質計器は、業務要求
水準書で求めた計器以外に圧力計、汚泥界面計の追加設置を提案。
・ 土木建築は、業務要求水準を満足し、豪雪に配慮した道路・雪捨て場を安全に確保す
るために地形勾配を有効利用した配置計画、コンパクトな施設設計を提案。
(3)浄水場の維持管理
・ Simple(簡単な)の事業理念のもと、容易な維持管理として水質、水量の変動の自動
4
運転を提案。
・ 巡回しやすい設備配置による予防保全の推進と予防保全による浄水場機能の維持・延
命化を提案。
・ 実証実験に基づく薬品洗浄の実施による膜性能の確実な回復を提案。
(4)その他の事項(地域貢献)
・ 地元からの資材、労務の調達、見学会、膜ろ過技術説明による企業団、構成自治体で
の広報活動協力、観光や特産品の購入推進を提案。
5
7.総評
本事業は、
桂沢水道企業団水道用水供給事業における根幹の浄水場である桂沢浄水場を全
面更新し、良質で安全・安心な水を安定供給することを目的として、民間事業者に調査、新
設施設・撤去施設に関する設計、建設を一括で発注するDB(デザインビルド)方式により
発注するものである。
今回の募集では、プラント機械を担う事業者を代表とし、設計・工事監理、プラント電
気、土木建築の事業者により構成される3グループでの入札があり、良質で安全・安心な
水を安定供給するための提案をいただき総合評価を行い、優秀提案者として参加者番号第
4番のグループを選定した。
桂沢ダムから取水している桂沢浄水場の原水は、カビ臭の発生、溶解性マンガンの溶出と
いったダム水特有の水質に加え、
高い濁度、アンモニア態窒素が発生する水質となっている。
短期間にもかかわらず、桂沢原水等を採水しパイロット実験を行い、実効性の高い浄水処
理システムを提案いただいた。さらに、用地の制約や冬季の豪雪の厳しい条件を踏まえた計
画となっている。
提案の内容は、要求水準を満たしており、さらに優れている点が多数認められ、妥当かつ
優秀と評価した。しかしながら、若干軽微な改善を要する点が見られたことから、実施に当
たってはヒアリング時点で提示のあった修正事項と併せて実行されたい。
最後に、企業団と関係各位の本事業への熱意と努力に対して敬意を表する次第である。
桂沢浄水場更新事業事業者選定委員会
委員長
6
松井 佳彦