■民事法学部門 熊谷 士郎〔KUMAGAI, Shiro〕 准教授 人社 2 号館(法経棟)765 号室 【担当科目】民法第一部 【関心のある研究分野(最近の研究テーマ) 】 意思無能力法理,成年後見制度,責任無能力法理 【学生へのメッセージ】 民法第一部で学習する部分は,民法全体に通ずるルールを扱っているため,抽象度が高く, 初学者にとってはかなり難解といえるかもません。しかし,具体的なイメージを持つよう 意識しながら,あせらず繰り返し学習していけば,その内容を理解することは十分に可能 です。受講者のそのような努力の助けに少しでもなるべく,できるだけ具体的な問題に即 しながら,わかりやすい説明をするように心がけるつもりです。 講義に関連する入門書としては,道垣内弘人『ゼミナール民法入門(第 3 版)』(日本経済 新聞社,2005 年)と河上正二『民法学入門』(日本評論社,2004 年)を挙げておきたいと思 います。前者は,民法の財産関係に関するルールについて,「なぜそのそうなっているか」 という点を重視した説明がなされ,しかも,先端的な話題にも言及されており,財産法全 体を概観するのに適しているといえます。後者は,民法という学問の様々なアプローチが 示されており,民法学の奥行きを感じさせてくれるものといえます。いずれも初学者向け と謳っていますが,学習が進んだ段階で読み返しても改めて勉強になる本だと思います。 川副 加奈〔KAWAZOE, Kana〕 准教授 人社 2 号館(法経棟)770 号室 【担当科目】民法第三部,民法第四部 【関心のある研究分野(最近の研究テーマ) 】 預金の帰属,医事法(特に,医事紛争における民事責任) 【学生へのメッセージ】 民法について,私の研究関心に引き寄せて少し話しておきましょう。みなさんは,「医事法」 という言葉を聞いたことがありますか? 手元にある六法のどこを探しても医事法という名の 法典は存在しません。極めて平たく言うと,医療をめぐる様々な法律問題を研究する分野,そ れが広義の医事法(学)ということになります。この医事法に向き合うためには道具(装備)が必要 です。私は民法を担当していますが,民法は頼もしい道具の1つと言えるでしょう(もちろん, 医事法は民法の展開領域にとどまらず,他の法分野とも密接に関わってきます)。民法は,社会 に身をおく私たちの生活と密接な関わりを持っていますので(分かりやすい例だと,今取り上げ た医療過誤の他,契約や交通事故,名誉毀損などを思い浮かべてください),日常生活の中で湧 いてくるほんのちょっとした疑問の芽を摘むことなく大切にしていただきたいと思います。 そこで,民法を学習するにあたって,河上正二『民法総則講義』(日本評論社,2007 年)と大村 敦志『生活民法入門』(東京大学出版会,2003 年)の2冊をお奨めしておきます。また,医事法の 世界をのぞいてみたいなと思った方は,樋口範雄『医療と法を考える』(有斐閣,2007 年)を手に とってみてください。 福本 知行〔FUKUMOTO, Tomoyuki〕 准教授 人社 2 号館(法経棟)670 号室 【担当科目】民事訴訟法,民事執行・保全法,倒産法,民事裁判入門 【関心のある研究分野(最近の研究テーマ) 】 判決手続全般,民事訴訟と行政訴訟の交錯 【学生へのメッセージ】 法学の勉強を志す皆さんは,多かれ少なかれ裁判に関心を持っていると思います。テレビドラマの影響もあるかもし れませんが,裁判官,検事や弁護士には得てして「かっこいい」というイメージがあり,それにあこがれて法学の勉強 を志す,あるいは法律家を志望するきっかけになったという人も少なくないでしょう。そのこと自体はいいのですが, 大学生になったからには,高校生までの夢や希望に浸り続けることなく,現実を十分見つめなおすことから始めて下さ い。世の中,オモテもあればウラもあります。それに,あなた自身の適性を,あなたはどのくらい知っているでしょう か。 民事裁判入門は,学類発足に合せて,刑事裁判入門とともに本年度新設された授業科目です。単に民事裁判とその周 辺にある制度がどうなっているかを表面的になぞるだけでなく(それだけなら高校までの勉強と本質的に何にも変わり ません) ,民事裁判とその担い手の社会的な役割を多角的に検討する場とも考えています。自分は法律家になんかなるつ もりがないから関係ない,と思う人もあるかもしれませんが,手続法担当者の心意気は「手続法を知らずして法学士を 称するなかれ」ですので,食わず嫌いで終わらずにいて欲しいと思います。なお,入門書として,市川正人ほか『現代 の裁判』 (第 4 版) (2005・有斐閣)を挙げておきます。また,多少難しい(加えて,少々説教くさい)ですが,三ヶ月 章『法学入門』 (1982・弘文堂)も,今なお一読の価値があります。 淺木 愼一〔ASAGI, Shin-ichi〕 教授 人社 2 号館(法経棟)785 号室 【担当科目】商法総則・商行為法,会社法 I,手形法・小切手法 【関心のある研究分野(最近の研究テーマ) 】 商法史,商法の基礎研究 【学生へのメッセージ】 最近,ゼミをやっている最中に, 「洞ヶ峠」という故事成句をゼミ生の誰一人として知らなかったという事実に直面し たことがあって,少なからず衝撃を受けた。国史の中の有名な事件程度は,たとえ受験勉強で触れなかったとしても, 当たり前の教養として身につけておいて貰いたい。 「洞ヶ峠」などは,1970 年代であれば,それこそ中学生でも知って いる一般的な教養であったのに・・・ 今からでも遅くは無いから,法律学云々よりも,まず古今の古典に触れるのが望ましい。 「身体髪膚これを父母に受く,敢えて毀傷せざるは孝の始めなり。身を立て道を行ひ,名を後世に揚げ,以って父母 を顕はすは孝の終わりなり」――この程度の良識と気概は持って貰いたい。 どうせ目に悪いことをするのであれば,パソコンの画面を追うよりも,書物の活字を追って欲しい。 大学生に許された時間を有効に使えば,週に 1 冊程度であれば,ハード・カバーであっても軽く読破できるに違いな い。別段,推薦書などは無いけれど,文学全集など片っ端から読んでみるのも一興。司馬遷の史記などは,現代にあっ てもなかなか面白い。 大学は, 「研究機関」である一方で,「教育機関」でもあるのだが,教員が学生を「育てる」機関ではなく,学生が教 員に頼らず主体的に「育つ」機関であることを努々( 「ゆめゆめ」と読む)忘れないように。最近は,学生を育てようと, 不遜な自信を抱く教員が増えているようであるが,私には到底そんな能力は無いので,なるべく寄り付かないで下され。 一応,私の担当である商法分野について付言すれば,私は,その年度年度の開講科目にかかわらず,単著で商法各分 野の基本テキストを一通り書き終えているので,暇な折に目を通しておいていただきたい。 村上 裕〔MURAKAMI, Hiroshi〕 准教授 人社 2 号館(法経棟)669 号室 【担当科目】会社法 II, 手形法・小切手法 【関心のある研究分野(最近の研究テーマ) 】 会社法,とくに会社分割・M&A などの企業結合法制 【学生へのメッセージ】 よく「大学は遊ぶ所だ」ということが言われます。否定する方もいるでしょうが,私は そんなに間違っているとは思いません。というのも私は,大学は法律学・政治学などの学 問の中で学問的道具を駆使して自分の知的好奇心に基づいて知的に「遊ぶ」ところだと思 っているからです。そんな「遊び」の世界にハマってみませんか? きっと高校までの勉強 とは全く違う感動が得られるはずです。 お奨めの入門書:私の専門は商法ですが,商法を学ぶにはその基礎である民法を理解し ておく必要があります。そこで民法の入門書も含めると,道垣内弘人『自分で考えるちょ っと違った法学入門』(有斐閣・1998 年),我妻栄『民法案内 1 私法の道しるべ』(勁草書房・ 2005 年),米倉明『民法の聴きどころ』(成文堂・2003 年),団藤重光『法学の基礎』(有斐 閣・1996 年)といったところでしょうか。入門書=簡単なものとは限りませんが, 「とりあ えず」でも読むことそれ自体が大切です。 齊藤 高広〔SAITO, Takahiro〕 准教授 人社 2 号館(法経棟)776 号室 【担当科目】経済法,国際経済法 【関心のある研究分野(最近の研究テーマ) 】 情報交換活動と競争法,民事的規律と競争法 【学生へのメッセージ】 経済法と国際経済法は,国内外における経済活動を規律するルールを研究対象とする法 律学です。私たちの日常生活,企業の事業活動,国・地方公共団体の行動,貿易など,社 会や経済の実態とも深く関わる法律学の1つです。経済法の講義では,公正かつ自由な競 争秩序を維持する独占禁止法を,また,国際経済法の 講義では,多角的かつ無差別な自由 貿易を推進する WTO 法を中心に検討をします。 消費者としての立場だけではなく,ビジネスパースンや法律の専門家として活躍を期待 される皆さんと,これまで培ってきた法的な思考を高めつつ,いかに法が私たちの生活や 意思決定に影響を及ぼしているのか,一緒に考えることができれば幸いです。 村上 政博『独占禁止法』 (岩波新書,2005 年) 吉本 佳生『スタバではグランデを買え!』(ダイヤモンド社,2007 年) ピエトラ リボリ『あなたの T シャツはどこから来たのか?』(東洋経済新報社,2006 年) 陳 一〔CHEN, I〕教授 人社 2 号館(法経棟)761 号室 【担当科目】国際私法,国際取引法 【関心のある研究分野(最近の研究テーマ) 】 特許法の国際的適用,国際知的財産紛争の処理,国際金融取引 【学生へのメッセージ】 国際化社会においては,ある国際的な法律関係に適用されるべき法規はどの国の法律な のか,それをどう決めるべきなのかなどといった一連の問題が日々発生する。例えば,あ る日本人とドイツ人のカップルが結婚しようとしているとする。彼らはどの国の法律に基 づいて婚姻関係を結ぶことになるのか。また,例えば日本の会社が中国の会社から商品を 輸入する際,当該取引契約の成立・効力はどの国の法律に基づいて判断するのか。これら は,専門用語で「準拠法の決定」問題と言うが,その答えを提供するのが国際私法という 分野である(参考書:櫻田嘉章=道垣内正人編・国際私法判例百選(2007,有斐閣))。 では,国際取引法というはどういう分野なのか。上で挙げた商品輸入契約の例で言えば, この契約の「準拠法の決定」も問題となるが,国際的な取引を行う企業は,多くの場合, 関係する国の法規だけでなく,当該取引に関連する国際的な慣習などを参照しながら契約 を結ぶ。そこで,国際取引に関係する法規・慣習などを整理しながら取引実務上の処理の 仕方について考えるのが国際取引法という分野である(参考書:高桑昭・国際商取引法(有 斐閣,2006))。国際私法と国際取引法の学習過程は,国際化社会における「法の見方」に ついて模索するプロセスとも言える。 大友 信秀〔OTOMO, Nobuhide〕 教授 人社 2 号館(法経棟)769 号室 【担当科目】知的財産法 【関心のある研究分野(最近の研究テーマ) 】 P2P ファイル交換と著作権侵害,ブランディングにおける法と実践 【学生へのメッセージ】 知的財産法は,特許法,商標法,著作権法等を対象とします。これらはすべて,民法の 特別法という位置づけにあります。知的財産法の受講には,したがって,民法を含む私法 一般の理解が欠かせません。また,知的財産法はヨーロッパで発展し,国際的に問題とな る分野なので,米国法,ドイツ法等の知識もその理解に必要となります。 知的財産法の講義及び演習は,上記を素材に,就職後に必要なアウトプット能力をも形 成するよう構成されています。講義及び演習受講前の準備としては,民法及び民事訴訟法 の勉強を第一に求めます。余力のある方は,以下の文献で知的財産法に関する知識に触れ てみてください。 【知的財産法の文献】 土肥一史『知的財産法入門〔第 10 版〕』(中央経済社,2007) 竹田和彦『特許の知識〔第 8 版〕 』(ダイヤモンド社,2006) 中山信弘『著作権法』 (有斐閣,2008)
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