稲穂の海に 浮かぶ 田園の家

kinoto
works
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[家族構成]4人
[敷地面積]535.06㎡
(161.86坪)
[延床面積]191.70㎡
(57.99坪)
[工 法]木造在来工法
[設計・工期]12カ月
[設 計]FHAMS
[施 工]kinoto
[写 真]ナカサアンドパートナーズ
Idea Embodiment Professional
[PLAN] NEWHOUSE
稲穂の海に
浮かぶ
田園の家
kinoto
向井 克隆
Katsutaka Mukai
稲穂の海に浮かぶ
田園の家
どんなに優れたアイデアをかたちにしても、
周囲の景観や環境と調和できなければ、その
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魅力は半減してしまうもの。逆に、その場所だ
からこそ輝くデザインというものもある。
ここは、奈良県内にあるとある農村。この
村の風景と暮らしをこよなく愛するオーナーの
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「景色にやさしく」というオーダーから生まれた
プロセス
デザイナー自身が土地の条件や周囲の環境
を実地で確認。その上で、オーナーから「新
しい家に望んでいること」をヒアリングし、
「景
色にやさしく」というコンセプトを導き出しまし
た。イメージスケッチ、模型によるイメージの
共有、具体的な設計・施工等、全てのプロ
セスは、このコンセプトを軸に進めました。
のが、高さを抑えた平屋スタイルだった。 稲
穂が風に揺れる春・夏には、さながら緑の海に
浮かぶ島か船のよう。のどかな景色に馴染む
佇まいは、モダンでありながらも、どこか、懐
かしさを感じさせる。これは、
『 kinoto 』のデ
ザイナーが、日本の伝統建築のディテールを
効果的に取り入れているから。また、駐車ス
ペースに用いた板張りゲートや舗装の黒色の
洗い出し仕上げ、リビングの特注木製テーブ
ルなど、細部にわたる職人の手仕事が、その
テイストをさりげなく演出。
“この景色の中でこ
そ輝く家 ”
として仕上げられている。
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デザインテイスト
中庭を取り囲むコの字型の設計、低く構え
た屋根などは、日本の伝統的な住宅のスタ
イルを取り入れたもの。のどかな田園風景
の雰囲気を壊さず、違和感なく調和していま
す。新しいけど、どこか懐かしい。そんなデ
ザインを目指しました。内観は、無垢よりも
ダークトーンの木材を多用し、落ち着きのある
トーンで揃えています。
1_ 周囲に広がる田園の中に浮かぶ低い平屋の姿。 高さを抑えた安定感のある佇まいは、
周囲の景観を壊すことなく、心地よい調和を生み出している。
2_ 夜の中庭。絶妙な照明配置により、幻想的な雰囲気を演出している。
3_ 職人の手仕事によってつくり込まれた駐車スペース。板張りのゲートや、黒色の洗い出し
仕上げの舗装など、オーダーメードならではのディテールが光る。
4_ 中庭と屋外、2 面に向かって開かれたリビングは面積以上の開放感に満ちている。
アイデア
周囲が水田であることから、その風景を阻害
しないために平屋をチョイス。あわせて、伝
統的な農家の住まいをイメージに取り入れ、
人が集まる庭や縁側などを現代風にリデザ
インしています。雨天でも濡れることなく車に
乗り込める屋根付きのエントランスは、日本
古来の土間(=室内と室外をつなぐ中間の
場)
からヒントを得ています。
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