日本貿易保険(NEXI)の最近の活動状況 2015年8月28日(金) 独立行政法人 日本貿易保険 独立行政法人 日本貿易保険 1. 貿易保険引受実績(2014年度) 2. 貿易保険責任残高(2014年度末) 3. 中東・北アフリカ地域の主な引受案件 4. 保険相談の最近の特徴 5. この1年間の主な取組について 6. 貿易保険法改正 7. NEXIの特殊会社化 (参考)国カテゴリーマップ 1 1.貿易保険引受実績(2014年度) 【保険種別引受実績】 保険種 (単位:百万円) 2014年度 2001年度 構成比 構成比 輸出 7,026,912 69.1% 9,769,078 96.3% 融資 2,459,483 24.2% 323,903 3.2% 投資 471,487 4.6% 55,641 0.5% 再保険 207,007 2.0% 324 0.0% その他 84 0.0% -- -- 10,164,974 100.0% 10,148,946 100.0% 合計 【地域別引受実績】 地域 アジア 北米 中東 ヨーロッパ 南米 中米 アフリカ 国際機関 オセアニア 【中東・北アフリカ国別上位国】 (単位:百万円) 2014年度 構成比 4,550,431 41.8% 1,563,727 14.4% 1,294,219 11.9% 1,040,255 9.6% 762,599 7.0% 714,656 6.6% 588,410 5.4% 266,871 2.5% 107,481 1.0% (単位:百万円) 2001年度 構成比 3,542,853 31.7% 3,353,417 30.0% 674,599 6.0% 1,684,605 15.1% 383,220 3.4% 708,669 6.3% 248,939 2.2% 306,816 2.7% 275,709 2.5% 順位 国 2014年度 引受実績 1 サウジアラビ ア 648,458 2 クウェート 195,573 製油所設備輸出 3 モロッコ 187,470 IPPプロジェクト 4 トルコ 134,738 製油所プロジェクト 5 アラブ首長国 連邦 97,530 貨物車・乗用車輸出、鉄鋼製品輸出 6 エジプト 95,070 貨物車輸出、発電所設備輸出 7 オマーン 65,915 IPPプロジェクト、貨物車・乗用車輸出 8 カタール 42,425 乗用車輸出 引受の主要分野 貨物車・乗用車輸出、 発電所プロジェクト 2 2.貿易保険責任残高(2014年度末) 【保険種別責任残高】 保険種 (単位:百万円) 2014年度末 順位 2001年度末 構成比 構成比 輸出 8,818,905 53.6% 4,963,113 67.6% 融資 5,358,597 32.5% 1,630,687 22.2% 投資 1,532,427 9.3% 744,737 10.1% 再保険 753,112 4.6% 324 0.0% その他 82 0.0% -- -- 16,463,122 100.0% 7,338,860 100.0% 合計 【地域別責任残高】 地域 アジア 中東 ヨーロッパ 南米 北米 アフリカ オセアニア 中米 国際機関 2014年度末 構成比 7,522,859 44.5% 2,322,733 13.7% 1,978,460 11.7% 1,215,882 7.2% 1,102,231 6.5% 969,552 5.7% 834,769 4.9% 710,345 4.2% 247,975 1.5% 【中東・北アフリカ国別上位国】 (単位:百万円) 2001年度末 構成比 3,695,317 47.6% 541,383 7.0% 648,275 8.4% 658,110 8.5% 684,716 8.8% 322,806 4.2% 85,948 1.1% 721,229 9.3% 403,544 5.2% 国 1 サウジアラビア 2 カタール 3 トルコ 4 エジプト 5 アラブ首長国連邦 6 クウェート 7 モロッコ 8 アルジェリア 9 オマーン 10 ヨルダン 3 3.中東・北アフリカ地域の主な引受案件 ① ( )内はHP掲載年月 タンザニア/Kinyerezi天然ガス焚き複合火力発電プロジェクト (2015年3月) 案件概要:住友商事がタンザニアの国営電力公社TANESCOと建設契約を締結した天然ガス焚き複合火力発電所建設プロジェクト。 三井住友銀行及び国際協力銀行が融資。このうち三井住友銀行の融資に対して保険の引受を決定。 NEXI初のタンザニア向け融資案件。 保険価額:約117百万米ドル トルコ/キャタピラー社製油圧ショベル輸出プロジェクト (2015年3月) 案件概要:トルコ法人Borusan Makina Ve Guc Sistemleri Sanayi Ve Ticaret A.S.がキャタピラージャパンから油圧ショベ ルを購入するプロジェクト。トルコのYapi Kredi 銀行向けに設定していたクレジット枠の下で引受を行う案件で、国際協力銀 行との協調融資により行われ、このうち三井住友銀行及びBNPバリパ銀行の融資部分に対し保険引受を決定。 保険価額:11.1百万米ドル サウジアラビア/ラービグ第2期プロジェクト (2015年3月) 案件概要:サウジアラビアの既設石油精製・石油化学統合コンプレックスの拡張計画(ラービグ第2期計画)において、住友化学とサ ウジ・アラムコ社が主要株主として出資するペトロ・ラービグ社が行う資金調達に対して、住友化学が金融機関に供与する 完工保証のうち相当額について保険引受を決定。 保険価額:20億米ドル トルコ/表面処理鋼板製造工場建設プロジェクト (2015年3月) 案件概要:東洋鋼鈑とトルコのTosyali Holding A.S.が設立したTosyali Toyo Steel Co.Inc が、同国オスマニエ県に冷延鋼板及び 表面処理鋼板の製造工場を建設するもの。三井住友銀行及び国際協力銀行が地場銀行のYapi ve Kredi Banksai A.S.を 通じて融資。このうち三井住友銀行の融資に対して保険引受を決定。 保険価額:60.69百万ユーロ 4 3.中東・北アフリカ地域の主な引受案件 ② ( )内はHP掲載年月 ヨルダン /Shams Ma’an太陽光発電プロジェクト (2015年1月) 案件概要:三菱商事、Nebras Power Q.S.C社、及びKawar Group社の3社共同によって設立したShams Ma’an Power Generation PSC が実施する太陽光発電プロジェクト。スタンダードチャーター銀行東京支店、みずほ銀行が行う融資について、地球環境 特約を付して保険を引受を決定。 保険価額:52百万米ドル ガーナ/Kpone IPPプロジェクト (2014年12月) 案件概要:ガーナにおける340MW複合火力発電プラント建設プロジェクト(Kpone IPPプロジェクト)への参画のため、住友商事は株式 の一部を取得。住友商事は海外子会社を経由し、プロジェクト会社Cenpower Generation Company Ltd.(ガーナ)に投融資 を行い、親会社保証を差入れる。その親会社保証付き劣後ローンに対し保険の引受を決定。NEXIにとって初のサブサハ ラ向けIPPプロジェクトへの投融資保険の引受を決定。 保険責任期間:23年 モロッコ/Safi高効率火力発電プロジェクト (2014年9月) 案件概要:モロッコSafi市において、三井物産がベルギー法人Electrabel S.A.及びモロッコ法人Nareva Holding S.A.と共に超々臨界 圧石炭火力発電所を建設するプロジェクト。三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行等計8行の金融機関による融資 の一部に対し保険を引受を決定。 保険価額:約373百万ユーロ トルコ/STAR製油所新設プロジェクト (2014年5月) 案件概要:アゼルバイジャン国営石油会社SOCAR等が出資するSTAR Rafineri A.S.が、トルコ西部に製油所を新設し石油製品を精製・ 販売するプロジェクト。製油所建設は伊藤忠商事が参加する国際コンソーシアムが受注。資金は国際協力銀行及び三菱東京 UFJ銀行他からProject Financeにより調達され、市中銀行の融資部分に対し保険引受を決定。 保険価額:約194百万米ドル 5 4.保険相談の最近の特徴 NEXIよる支援例 中国企業等、「低価格」を武器とする相手先との競 合の中で、ファイナンスの長期化での対抗を余儀 なくされるケースが増加。 →①保険責任期間の長期化 受注競争の激化に加え、自国の財政規律に対す るホスト国の関心の高まりの影響。 →②政府保証取得の難化 石油精製・発電事業等の大規模プラント事業や、 大規模資源開発プロジェクトが増加。 →③保険引受金額の拡大 期間20年以上の融資を積極的 に引受 例)Kpone IPPプロジェクト(ガーナ): 保険責任期間23年 インドネシアにおける電力IPP 案件について、15年程度の保 険責任期間であれば、必ずし も政府保証を必要としない方向 慎重なリスク審査のもと、重要 案件を積極的に引受 例)Cameron LNGプロジェクト(米 国):引受金額約20億ドル 6 5.最近の主な取組 (1)アフリカにおける取組 アフリカ投融資促進特別保険“ASIST※”の創設(2015年1月) ※African Sustainable export and Investment SupporT insurance 従来の保険では、カントリーリスクに欠け目があるため、民間企業がアフリカ向け投融資の検討に躊 躇する、または時間を要することあり。 アフリカ向け投融資の更なる促進を図るため、カントリーリスクの欠け目をゼロとする新たな「アフリカ 投融資促進特別保険」を創設。 【アフリカ投融資促進特別保険の概要】 (1)商品概要 ・カントリーリスクについて、NEXIが100%カバー(被保険者はリスク・フリー) (一般的なケースでは、97.5%または95%が太宗) (2)対象保険種 ・融資に関する保険:貿易代金貸付保険及び海外事業資金貸付保険 ・投資に関する保険:海外投資保険 (3)対象案件 ・全アフリカ諸国向けの投融資案件 (4)実施期間 ・2015年1月1日以降今後5年間の間(~2019年末)に保険契約締結または内諾する案件 7 (2)戦争やテロリスクへの対応 プラント等増加費用特約の創設(2015年1月) (日本) (外国) ①プラント建設(輸出・サービス提供等) 本邦プラント事業者等 ③貨物保管費、 人件費等 追加費用の発生 外国企業 保 険 ②戦争・テロ 等の発生 8 6.貿易保険法改正 1.背 景 平成25年12月に閣議決定された「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」において、「各法人の業務類型の特性を踏まえたガバナ ンスを整備する」との観点から、独立行政法人日本貿易保険(NEXI)について、以下が定められた。 (1)国の政策意図の反映など国との一体性を高めつつ、経営の自由度、効率性、機動性を向上させるため、全額政府出資の 特殊会社に移行すること (2)貿易再保険特別会計は、平成28年度末までに廃止し、その資産及び負債は本法人に承継すること (3)貿易再保険特別会計の廃止に伴い、政府保証等の必要な措置を講ずること 2.法案の概要 独立行政法人日本貿易保険を全額政府出資の特殊会社とし、政府による再保険制度及び貿易再保険特別会計を廃止し、 保険金の確実な支払を国が担保する制度を創設する他、貿易保険の充実を図るための措置を講ずる。 3.措置事項の概要 【現行】 1.(独)NEXIの全額政府出資の特殊会社化 NEXIを株式会社とし、政府は、常時、NEXIの発行済株式の総数を保有して いなければならないものとする【第4条】。 国(一般会計等) 2.再保険制度から履行担保制度への移行 貿易再保険特別会計を廃止し、貿易保険に関する経理をNEXIに 一元化するとともに、保険金の確実な支払を担保するため、NEXIの資金調達が 困難な場合に政府が必要な財政上の措置を講ずるものとする(履行担保)【第 28条】。 3.国との一体性の確保 NEXIの保険引受に国の政策を反映させるため、国が引受基準を定め る他、一定の重要案件について、国がNEXIに対し意見を述べることを 可能とする【第15条及び第16条】。 国(一般会計等) 貿易再保険 特別会計 再保険 独立行政法人 NEXI 貿易保険事業 (独立採算) 4.貿易保険の充実 一定の海外事業を行うための国内事業者への融資を貿易保険の対象とする 等の措置を講ずる。 【特殊会社化後】 2017年4月~ 貿易保険 被保険者 (企業・銀行) 引受基準 株式会社NEXI (政府100%出資) 貿易保険事業 (独立採算) 貿易保険 被保険者 (企業・銀行) 履 行 担 保 10
© Copyright 2024 ExpyDoc