(第20号)(PDF:1.37MB)

お薬って
大事だよ♪
前回まで電解質輸液に関して勉強してきました。今回は点滴の投与速度について勉強しましょう。
K(カリウム)を誤って急速投与し、患者さんが死亡するという事故はみなさんの記憶に残っていると思いま
す。このように、投与速度によっては致死的な副作用をもたらすことがあります。
今回は点滴速度に注意すべき薬剤について解説したいと思います。
★投与速度が速すぎると重大な副作用を起こす恐れのある薬剤を表にしました。
薬剤
K製剤
リドカイン製剤
昇圧剤
抗菌薬
クリンダマイシン
バンコマイシンなど
麻薬
抗がん剤
重大な副作用
心停止、丌整脈
心停止
心停止、一過性の血圧低下
心停止
red neck症候群
呼吸抑制、心停止
昏睡など
★次に輸液や電解質の投与速度について覚えておきましょう。※緊急時の輸液は除きます。
最大投不速度
輸液
500ml/h
+
100mEq/h
Na
⁻
100mEq/h
HCO 3
K⁺
20mEq/h
Ca²⁺
20mEq/h
Mg²⁺
20mEq/h
NH₄⁺
20mEq/h
★では上記の内容を理解したうえで K 製剤の投与方法を見てみましょう。
K製剤の投与方法は下記のように決められています。
★1回静注は禁忌★
・濃度
・速度
・投不量
・尿量
40mEq/L以下
20mEq/hr以下
100mEq/day以下
0.5mL/kg/hr以上が良い
※腎不全患者、ARB・ACE 阻害薬・抗アルドステロン薬使用患者などは特に高 K 血症に注意
それでは当院採用薬よりアスパラ K 注 10mEq、KCL 補正液キット 20mEq を例に投与方法を考えてみまし
ょう。
ex.アスパラ K 注 10mEq(1A)
〈生食 100ml、5%ブドウ糖液 100ml にアスパラ K 注 10mEq を 1A 入れる場合〉
K 濃度 10mEq/100ml → 100mEq/L
× (濃度基準 40mEq/L を超えるため)
〈KN1 号に 1A 入れる場合〉
K 濃度 10mEq/500ml → 20mEq/L
○(濃度基準内)
つまり、これを 20mEq/hr 以下の速度で投与すれば良いため、30 分以上かけて投与すれば良いことになりま
すが、先ほどの最大投与速度は輸液の場合 500ml/hr のため 1 時間以上かけて投与することになります。今回
の場合は濃度が基準内のため 2A 入れて 2 時間以上かけて落とすことも可能になります。
計算してみてください。
※今回は K を含まない輸液に混注した場合を例にしています。K を含む輸液に混注する場合は総 K 量に注意
して投与しなければなりません。
♪余談♪
「緩徐に投与」
「ゆっくり投与」という場合は 3 分以上、
「極めて緩徐」という場合は 5 分以上かけて投与し
ましょう。
平成 24 年 5 月よりNST加算の算定を開始し、丸 3 年が経過し 4 年目に入りました。
今回は、加算開始から平成 27 年の3年間における活動を集計し、比較考察しました。
NSTマニュアルや、過去のNSTニュースと合わせてご一読いただけると幸いです。
NST 活動報告上段:平成 24 年度
NST 対象人数
入院から介入までの
日数
合計(人) 月平均(人)
・入院からNST介入までの日数は 5.5 日(3年間
平均)です。
355
32.3
25 年度
382
34.3
26 年度
328
31.1
740
(77)
730
(84)
729
(83)
67.3
(7)
60.8
(7)
60.8
(6.9)
24 年度
319
29
25 年度
270
24.8
26 年度
235
21.5
24 年度
-
5.2
25 年度
-
6.3
26 年度
-
5.1
25 年度
26 年度
ミールラウンド延人数
※2 階病棟と 3 階医療療養型のみが対象です
24 年度
24 年度
NST 回診延回数
( )内地域包括
中段:平成 25 年度 下段:26 年度
看護部による入院時の栄養アセスメント提出に
よりスピーディーな介入が行われていると思いま
す。
引き続き、ご協力をよろしくお願い致します。
・NST対象となる患者数は月 31 人~34 人で推移
し、NST回診数も、24 年度 740 人、25 年度 730
人、26 年度 729 人と大きな変動はありませんでし
た。
・ミールラウンド(食事回診)は、毎週金曜日の昼
食時にリハビリスタッフ、給食受託会社(エームサ
ービス)の協力のもとラウンドしています。
食事内容や食事動作のことで何か気にかかるこ
とがあれば、お気軽にお声かけください。
◎NST 対象理由
最も多いのが、栄養アセスメントにおける「栄養状態
不良=ALB 値 3.0 未満」の患者で全体の 84%(3年間平
均)となっています。
摂食嚥下障害での介入は 24 年度の 0.9%(年7人)から、
25 年度の 4.1%(年 31 人)
、26 年度の 9%(年 71 人)
と増加傾向にあります。
☆摂食嚥下障害で介入する患者が増加傾向にあります。
施設からの肺炎での入院や摂食嚥下障害での転院等の
増加が考えられます。
他施設との嚥下食内容の標準化や、「栄養情報提供書」
での連携や情報共有を深めていく必要があります。
そのためにも、栄養士会や近隣病院での勉強会にも積
極的に参加し、顔の見える「食の地域連携」を行ってい
きたいと思います。
◎対象者の栄養投不法
栄養投与法における経口摂取者の割合は、24 年度の 69.6%(年
524 人)25 年度の 76.8%(年 572 人)、
26 年度は 80.6%(年 639 人)と増加傾向にあります。
一方、栄養投与法における TPN(完全静脈栄養法)の割合は、24
年度の 22.8%(年 172 人)、25 年度の 6.6%(年 79 人)、
26 年度は 5.6%(年 67 人)と減少しています。
☆経管栄養の割合は、2.5%(年平均
30 人)程度となっています。
しかし、NSTの普及と共に他院や施設との「シームレスな栄養
ケア」がこれからさらに必要となっています。
下痢や嘔吐の経腸栄養トラブルへの対応や、個々に合う適正な経
腸栄養剤の選択、転院・在宅療養を含めた経腸栄養プランがより
重要となってくると考えています。
PPN・・・末梢静脈栄養
TPN・・・中心静脈栄養
◎ エネルギー充足率<摂取栄養量を必要栄養量で除した値>
・エネルギー充足率の 76~100%者の割合は、24 年度の 86.6%(年
651 人)から 25 年度は 77.3%(年 581 人)と減少したが、26
年度は 80.6%(年 639 人)と回復傾向にあります。
☆ 術後、数日経過しても食事量が少なく充足率が低いままの
方もいます。
そのような場合は、嗜好の聞き取りや、提供食事量の調節、
栄養補助食品の追加等、早めの対応が行えるようにしたい
と思います。
(%)
◎ NST終了時の栄養状態
・終了時の評価項目における改善終了は、24 年度の 49.2%(年
65 人)25 年度の 55.3%(年 99 人)、
26 年度は 66.7%(年 136 人)と増加傾向にあります。
☆術後の場合は、食事摂取量に問題がなければ1~2回の介入で
改善する方が大半です。
「改善終了」が増えていることは、喜ばしいことであり、NST 活
動の励みにもなります。
関係部署皆様のご協力に感謝いたします。
今後もより充実した NST 活動を継続していきたいと思います
ので、引き続きご協力よろしくお願い致します。
昨年に続いて 2 回目となる、ゲスト講師を招いての年度末最後の NST 勉強会は、約 80 名の参加者で、盛大に開
催することが出来ました。
特別講師として、市立宇和島病院 食養科科長 藤井 文子先生による、
「院内NSTを地域NSTに繋げる活動」
という演題で講演していただきました。
NSTと他チームとの連携の話では、感染対策チーム、褥瘡対策チーム以外にも口腔ケアチームと緩和ケアチー
ムの話もありました。
口腔ケアチームでは、誤嚥性肺炎予防と口腔内環境の改善のため、歯科医師、歯科衛生士、看護師、言語聴覚士、
管理栄養士でチームを発足し活動の結果、院内誤嚥性肺炎発生件数が減少したとのことでした。また、午前のみ実
施しているという「管理栄養士の病棟常駐」への取り組みでは、食欲不振患者の栄養相談、電子カルテによる食事
オーダー入力などを実施し、医師・看護師の負担軽減や、迅速な食事変更で患者に適した食事提供を行っていると
いうお話があり非常に刺激を受けました。
これからも高名な先生をお招きし、年度末恒例の催しとしていきたいと思います。
(講演の様子)
(業者展示)
~ NST 活動に寄せて ~
2階病棟
看護師長
西村
智恵美
こんにちは、2 階病棟師長の西村です。 2 階病棟スタッフは 30 名で、一般と急性期の患者さんを対象とし
ております。先日の救急当番日には 7 名の入院があり、多忙な日々を送っております。
2 階病棟には、NST 始動に向け H23 年度初回から研修に参加し、書類やマニュアル作成に参加している高岡
副主任と上野看護師が NST コアスタッフの一員として活躍しています。高岡副主任は院内感染対策防止委員と
しても活動し、副主任としての役職もあり、なかなか NST 活動には参加できないことも多く、上野看護師が頑
張っておりました。
そして昨年 3 階病棟 松田看護師と 2 階病棟 大富看護師が 40 時間の所定研修を終え、新しく NST コアス
タッフの一員となり活躍しています。
2 階病棟 大富看護師は知る人ぞ知る あったか~い看護師 NO .1 です。全身からあふれ出るオーラは優し
さの塊。純白の白色よりも桃のピンク色よりも淡く優しい、ほんのり桜色。その笑顔に癒される、大洲記念病
院でハートフル NO.1 の看護師です。
職員や患者さんの信頼も厚く、頼もしい存在です。大富看護師が食事介助すると拒食される患者さんが一口、
二口と食べられるのです。拒食される患者さんの一口は、とても重要な一口です。NST スタッフとして適任で
あったことを大変うれしく思っています。
さらに、NST スタッフだけでなく、大変忙しいリハビリチームも入院されたらいち早く患者さんの側に行き
大切な評価をしていただいております。食事動作機能に応じた自助具を選択し、弱った体が疲れて食べるのを
やめられないように、より食べやすく、負担も軽くなるように、細かい気配りをして頂いております。
私達看護師も NST と共に、主治医や家族から知りえた情報を共有し、より効果的な看護が行われるように努
力していきたいと思います。
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