世羅町道徳教育推進協議会 平成 26 年度研究のまとめ Ⅰ 1 研究の概要 研究テーマ 望ましい人間関係を築き,郷土を愛する児童生徒を育てる道徳教育 ~道徳の時間の工夫及び家庭・地域との連携を通して~ 2 研究のねらい (1)ねらい ①道徳の時間の工夫及び家庭・地域との連携を通して,望ましい人間関係を築き,郷土を愛する 児童生徒を育成する。 ②道徳の時間において心に響く道徳資料の活用と中心発問の工夫を通して,児童生徒の道徳的価 値の自覚を深める。 ③道徳授業研究を通して教師の授業力の向上を図る。 (2)児童生徒等の実態 変化の激しいこれからの時代を生きていくには、自分で考え、他者と協働しながら、より良 い解決策を生み出していく力が不可欠となる。しかし、現状においては、 「他国の若者に比べて 自己肯定感や社会参画に対する意識・意欲が低い」、「多くの若者が他者とのコミュニケーショ ンや対人関係に悩んでいる」等の指摘がなされている。(「今後の道徳教育の改善・充実方策に ついて(報告) 」H.25.12.26 参考) 本町においても、児童生徒に同様の課題が見られ、道徳教育を中心に望ましい人間関係を築 いていくことが求められている。 (3)家庭・地域との連携とは ①道徳懇談会・道徳協議会・シンポジウム・道徳講演会等を通して保護者や地域の方と一緒に道徳教育につ いて話をする機会をつくる。 ②地域(自然・文化・歴史・人々)を素材とした道徳の時間の資料の開発や活用をおこなう。 (4)地域(自然・文化・歴史・人々)を素材とした道徳資料について 本町においては,総合的な学習の時間等で,地域理解教育として「ふるさと学習」を推進し ている。この学習で世羅町の自然・文化・歴史・人々の生き方等について学び,さらにそのこ とを道徳の時間の資料等として活用する。 (5)道徳的価値の自覚を深める 道徳的価値の自覚を深めるとは,本町では特に「自分とのかかわりで道徳的価値がとらえら れること」であると考える。具体的には「ねらいとする道徳的価値について,これまでの経験 等を踏まえて,自分の考えを根拠を持って説明できる」ことであると考える。 -3- 3 研究の仮説 ①道徳の時間において、自他を尊重する心情を養う指導方法を工夫すれば、望ましい人間関係を築 く態度が育つであろう。 ②道徳の時間において、地域を素材とした資料を活用した指導を行えば、郷土を愛する児童生徒が 育つであろう。 ③道徳授業の事前研究や事後研修において、中心発問と児童生徒の発言に対する形成的評価を核と した研究協議を行えば、教師の指導力が向上するであろう。 4 研究内容 (1)心に響く道徳資料の開発と活用,試行を重ねて質的向上を図る。 ・ 「地域を素材とした資料」を活用した授業の実施(全学級 1 時間以上実施) ・定例会において「望ましい人間関係を築く」ことをねらった授業の実施:報告書 (2)家庭・地域との連携を充実させる。 ・参観日等において、道徳の時間を公開する。(全学級実施) ・道徳懇談会を実施する。 (各校1回以上) (3)発問構成を工夫した授業モデル(授業の日常化) 導 入 ○資料のストーリーか価値に関する導入の工夫 基本発問 ○中心発問を効果的にする発問(複数可) (葛藤場面等の活用) 補助発問1 ○生活を振り返り,主人公の気持ちに共感させるような発問 (補助発問の工夫) 中心発問 ○ねらいとする道徳的価値に児童生徒が気づくような発問 (葛藤場面等の活用) 展開 補助発問2 ○ねらいとする道徳的価値を児童生徒が深めるような発問 (補助発問の工夫) 振り返り発問 ○生活を振り返り自己との関わりで価値を捉える。補助発問2 で振り返りがあればなし。 ○余韻をもって終わる。児童生徒の姿によって複数のパタ- 終 末 ンを用意する。 -4- (4)表現し考えを深める指導の工夫 ①自分の考えを基に表現する機会の充実 ・自分の考えを基に書いたり話し合ったり、討論したりする場面を設定する。 ・ねらいのあるペア活動等を設定する。 ②児童生徒の発言等に対する形成的評価の工夫 (5)研究協議・事前事後協議の充実 ①事前授業又はシミュレーション授業の実施 ②中心発問を核とした事前協議や研究授業,改善策を中心にした事後協議 (6)検証指標 (1)望ましい人間関係を築き,郷土を愛する児童生徒の育成 ①「地域を素材とした資料」を活用した授業の実施(全学級 1 時間以上実施) ②友達と協力している児童生徒の割合の増加 ③いろいろな人の意見を聞いている児童の割合の増加(小学生) 自分とは異なった立場の人の考えを聞いている生徒の割合の増加(中学生) ④今、住んでいる地域が好きな児童生徒の割合 90%以上 ⑤夢や目標を持っている児童生徒の割合 90%以上 (2)授業研究を通して教師の授業力向上 ①研究授業の前には,事前授業又はシミュレーション授業を実施(100%) ②適切な中心発問が設定できると自己評価する教師の割合の増加 ③児童生徒の発言等に対して価値づけができると自己評価する教師の割合の増加 Ⅱ 1 研究の成果と課題等 検証結果 (1)望ましい人間関係を築き,郷土を愛する児童生徒の育成 【指標①】 「地域を素材とした資料」を活用した授業の実施(全学級 1 時間以上実施) ・すべての学校(学級)で、 「地域を素材とした資料」を活用した授業を行った。 【指標②】友達と協力している児童生徒の割合の増加 ・全体で約3%増加している。 -5- 【指標③】(小学生)いろいろな人の意見を聞いている児童の割合の増加 (中学生)自分とは異なった立場の人の考えを聞いている生徒の割合の増加 ・5 月時点で、小学校、中学校共 に 90%以上が肯定的回答をして おり、5 月と 12 月との比較にお いても全体で 2.6%増加してい る。 【指標④】今、住んでいる地域が好きな児童生徒の割合 90%以上 ・全体では 90%以上である。 【指標⑤】夢や目標を持っている児童生徒の割合 90%以上 ・全体では 90%以上である。 -6- (2)授業研究を通して教師の授業力向上 【指標①】研究授業の前には,事前授業又はシミュレーション授業を実施(100%) ・指導案検討とシミュレーションを組み合わせて行う、学年部ごとに分かれて行う、複数回シ ミュレーションを行う等、各校で工夫しながら、事前の準備を充分に行い、授業力の向上を 図っている。 【指標②】適切な中心発問が設定できると自己評価する教師の割合の増加 ・中学校の数値が低下している 事については、中心発問につい ての理解が深まったために、自 己評価が低くなったと考えられ る。全体的には、中心発問を充 分に吟味して設定することにつ いて、教師の意識の向上、定着 がみられた。 【指標③】児童生徒の発言等に対して価値づけができると自己評価する教師の割合の増加 ・指導者自身が「価値づけ」に ついて理解を深め、全体で、約 9%増加した。特に中学校では、 約 18%増加した。 2 成果 ①内容項目を「2 主として他の人とのかかわりに関すること」に限定したことで、定例会での 学びを次の授業に活かしやすくなり、研修が深まった。 ②事後協議会では、価値づけについて中心的に協議した。中心発問の場面において、児童生徒の 発言や考えをなるべくたくさん予想した上で児童生徒の記述を机間指導の中で把握し、一般的 な価値からから順に意図的指名をすることで、価値づけができるのではないかという考えに至 り、実践を重ねることができた。 ③各校において、事前授業やシミュレーションのもち方を工夫する等、事前研修を充実させるこ とができた。 -7- ④次の点で授業力の向上が見られた。 ・価値を深める補助発問(切り返し) ・中心発問に重点を置いた時間配分 ・教材解釈(児童生徒の発言、考えの予想) ⑤児童生徒の様子に変化が表れてきた。 ・ペア学習やグループ学習を効果的に取り入れることで、児童生徒同士のかかわりが増え、発 言が増えてきた。 ・ワークシートに自分の考えをたくさん書く児童生徒が増えてきた。 3 課題 ①中心発問の場面において、児童生徒の考えを把握したうえで意図的指名をするという実践をさ らに積み重ねながら、価値づけについて研修を深めていく必要がある。 ②校内での授業に係る指導力や研究推進力を発揮できるよう、道徳教育推進教師の力量をさらに 向上させる必要がある。 ・協働して研究を進めていくために、指導案検討、シミュレーションを充実させる等の工夫を さらにしていく。 ③児童生徒の価値の深まりについての見取りの方法について、研修を深めていく必要がある。 Ⅲ 1 平成 26 年度活動実績 総会 【第1回総会】H.26.5.1(木)せら文化センター ・実践発表「世羅西中学校の道徳教育について」 (世羅西中学校:川﨑 とも子教諭) ・組織、研究内容等について 【第2回総会】H.27.2.27(金)せら文化センター ・平成 26 年度研究の概要について ・平成 27 年度研究計画について ・道徳推進教師の役割について 2 全体研修会 H.26.8.27(水)せら文化センター ・演習及び協議「中心発問に対する児童の発言をどう価値づけていくか」 資料: 「最後のおくり物」 (私たちの道徳5・6年生) ・講演「道徳的価値の自覚を深める授業づくり」 大阪教育大学名誉教授 藤永 芳純 先生 -8- 3 定例会 第1回 開催日・会場 授業者 資料 H.26.6.12(木) 山本 康弘 「カーテンの向こう」 指導主事 甲山中学校 第2回 H.26.7.4(金) 金末 宣子 世羅西中学校 講師・指導助言 2-(2) 藤井 裕子 「救われた気持ち」 東部教育事務所 2-(2) 升谷 英子 指導主事 広島県教育委員会 金子 京子 指導主事 第3回 第4回 第5回 H.26.9.12(金) 梅本 尚武 「心をかえる一言」 大阪教育大学名誉教授 甲山小学校 2-(1) 藤永 芳純 先生 H.26.10.22(水) 曽根 康弘 「鏡の中の顔」 大阪教育大学名誉教授 せらひがし小学校 2-(3) 藤永 芳純 先生 H.26.11.28(金) 三原 雅子 「同じ仲間だから」 東部教育事務所 世羅小学校 2-(3) 瀨尾 英寿 指導主事 広島県教育委員会 永井 博美 指導主事 第6回 第7回 3 H.26.12.9(火) 半田 光紀 「お別れ会の『ありが 大阪教育大学名誉教授 世羅中学校 とう』 」2-(6) 藤永 芳純 先生 H.27.2.12(木) 堀内 英里 「親切のつもりだっ 世羅小学校 せらにし小学校 たのに」2-(2) 重森 恵美子 アンケート調査 第1回 5月実施 第2回 12 月実施 -9-
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