労働安全衛生法に基づく 防塵マスクの規格 及び使用等について! 労災事故“ゼロ”必達コミュニティー 前澤 眞澄 ~防じんマスクの規格~ 労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第四十二条の規定に基づき、防じんマ スクの規格を次のように定める。 (防じんマスク等の種類) 第一条 ① 労働安全衛生法別表第二第八号に掲げる防じんマスク(以下「防じんマスク」という。) は、次の表の下表に掲げる形状により、それぞれ同表の上欄に掲げる種類に区分す るものとする。 ② 防じんマスクの面体は、次の表の下表に掲げる形状により、それぞれ同装の上欄に 掲げる種類に区分するものとする。 防じんマスクは、その性能により、取替え式防じんマスクにあってはRS1、RS2、RS3、 RL1、RL2及びRL3に、使い捨て式防じんマスクにあってはDS1、DS2、DS3、DL1、 DL2及びDL3に区分するものとする。 (材料) 第二条 防じんマスクの各部に使用する材料は、次の各号に定めるところに適合するも のでなければなら ない。 1、顔面に密着する部分については、皮膚に障害を与えないものであること。 2、ろ過材については、人体に障害を与えないものであること。 3、通常の取扱いにおいて、き裂、変形その他の異常を生じないものであること。 (強度に係る試験) 第三条 防じんマスクの各部は、次の表の上欄に掲げる区分に応じて、同表の中欄に掲 げる試験方法による試験を行なつた場合に、それぞれ同表の下欄に掲げる条件に適合 するものでなければならない。 (構造) 第四条 防じんマスクの構造は、次の各号に定めるところに適合するものでなければな らない。 1、容易に破損しないものであること。 2、装着が簡単で、装着したときに異常な圧迫感又は苦痛を与えないものであること。 3、死積が著しく大きいものでないこと。 4、着用者の視野を著しく防げるものでないこと。 5、全面形の面体を有するものにあつては、呼気によりアイピースが曇らないものであるこ と。 6、取替え式防じんマスクにあつては、ろ過材、吸気弁、排気弁及びしめひもが容易に取 り替えることができ、かつ、着用者自身がその顔面と面体との密着性の良否を随時容易 に検査できるものであること。 7、使い捨て式防じんマスクにあつては、一体となつたろ過材及び面体が使用限度時間 中に型くずれ しないものであること。 8、使い捨て式防じんマスクにあつては、漏れ率及びぬれ抵抗値が著しく大きいものでな いこと。 9、使い捨て式防じんマスクであつて、ろ過材を成形して面体とするものにあつては、ろ過 材を顔面に適合するように成形すること。 (構造) 第五条 防じんマスクの各部の構造は、次の表の上欄に掲げる区分に応じて、それぞれ 同表の下表に掲げる条件に適合するものでなければならない。 (性能に係る試験) 第六条 防じんマスクの性能は、次の表の上欄に掲げる試験方法による試験を行つた 場合に、それぞれ同表の下表に掲げる条件に適合するものでなければならない。 (表示等) 第七条 【1】 防じんマスクは、見やすい箇所に次に定める事項が表示されているものでなけれ ばならない。 ① 製造者名 ② 製造年月 ③ 型式の名称 ④使用限度時間(使い捨て式防じんマスク に限る。) 【2】 防じんマスクは、譲渡又は貸与される場合には、次に掲げる事項を記載した印刷物 が添付されたものでなければならない。 ①使用の範囲 ②使用上の注意事項 ③吸気抵抗上昇値 ④ 漏れ率(使い捨て式防じんマスクに限る。) ⑤ ぬれ抵抗値(使い捨て式防じんマスクに限る。) ⑥着用者自身がその顔面と面体との密着性の良否を容易に検査する方法 【3】前項の吸気抵抗上昇値、漏れ率及びぬれ抵抗値は、それぞれの次の各号に定める 方法により測定する ものとする。ただし、厚生労働省労働基準局長が認める方法による ときは、この限りでない。 ① 吸気抵抗上昇値 粒子捕集効率測定器に装着した防じんマスクの内側へ塩化ナトリウム含有空気を 通じ、防じんマスクに塩化ナトリウムが一〇〇ミリグラム捕集された時の内外の圧力 差を毎分四〇リットルの流量で測定する。 ② 漏れ率 塩化ナトリウムエアロゾル含有空気(塩化ナトリウムエアロゾルの数量中位径が約 〇・五マイクロメートルであつて、かつ、濃度が一立方メートル当たり一〇ミリグラム プラスマイナス二ミリグラムのものをいう。以下この号において同じ。)中において次 の表の上欄に掲げる唇の幅及び同表の中欄に掲げる鼻根おと、がい距離に応じて、 それぞれ、同表の下欄に掲げる人数の被験者に使い捨て式防じんマスクを装着さ せて毎分一〇回の呼吸を三分間行わせ各人の使い捨て式防じんマスクの死積内 の塩化ナトリウム濃度を測定するとともに、塩化ナトリウムエアロゾル含有空気中の 塩化ナトリウム濃度を測定し、次の式により漏れ率を算定する。 ③ ぬれ抵抗値 摂氏二五度プラスマイナス五度の室内において、寸法の試験用人頭の顔面部に装 着した使い捨て式防じんマスクに水蒸気で飽和した摂氏四〇度の空気を毎分三〇 リットルの流量で十分間通じた後、使い捨て式防じんマスクの内外の圧力差を測定 する。 (適用除外) 第八条 特殊な材料、構造若しくは性能の防じんマスク又は特殊な場所で用いられる防 じんマスクであっ て、第一条から第六条までの規定を適用することが適当でないものに ついて、厚生労働省労働基準局長がこの規格に適合する防じんマスクと同等以上の効力 があると認めた場合は、この告示の関係規定は、適用しない。 附 則 ①告示は、昭和六十三年四月一日から適用する ② 防じんマスクの規格(昭和五十八年労働省告示第八十四号)は、廃止する。 ③昭和六十三年四月一日前の申請に係る防じんマスクに型式についての労働安全衛生 法第四十四条の二第一項又は第二項の検定の基準となる機械等検定規則(昭和四十七 年労働省令第四十五号)第八条第一 項第一号の規格については、なお従前の例によ る。 附 1 則(平九・一○・一 労働省告示第一二○号) この告示は、公布の日から適用する。ただし、第三条の改正規定並びに第六条の表 吸気抵抗試験の項及び排気抵抗試験の項の改正規定は、平成十年一月一日から適用 する。 2 平成十年一月一日前の申請に係る防じんマスクに対する第三条並びに第六条の表 吸気抵抗試験の項及 び排気抵抗試験の項の規定の適用については、なお従前の例に よる。 附 則(平一二・九・一一 労働省告示第八八号) 1 この告示は、平成十二年十一月十五日から適用する。 2 平成十二年十一月十五日前の申請に係る防じんマスク又は防毒マスクの型式につ いての労働安全衛生法第四十四条の二の検定の基準となる規格については、なお従前 の例による。 附 則 (平成一二・一二・二五 労働省告示第百二十号) (適用期日) 第一 この告示は、内閣法の一部を改正する法律(平成十二年法律第八十八号)の施行 の日(平成十三年一月六日)から適用する。 (経過措置) 第二 検査員等の資格等に関する規程第六条第一項及び第六条の二、平成四年労働省 告示第十二号第三号並びに平成四年労働省告示第十三号第三号の規定の適用につい ては、この告示の適用前に労働省においてこれらの規定に規定する業務又は職務に従 事した経験又は期間は、それぞれ厚生労働省においてこれ らの規定に規定する業務又 は職務に従事した経験又は期間ととみなす。 第三 この告示による改正前の昭和三十五年労働省告示第十号様式第三十六号の適用 事業場臨検証及び様式第三十七号の診療録検査証並びに昭和五十一年労働省告示第 百十二号様式第十一号の立入検査証明書は、当分の間、それぞれ改正後の昭和三十五 年労働省告示第十号様式第三十六号の適用事業場臨検証及び第三十七号の診療録検 査証並びに昭和五十一年労働省告示第百十二号様式第十一号の立入検査証明書 とみなす。 第四 この告示の適用の際限に提出されているこの告示による改正前のそれぞれの告 示に定める様式による申請書等は、この告示による改正前後のそれぞれの告示に定め る相当様式による申請書等とみなす。 第五 この告示の適用の際、現に存するこの告示による改正前のそれぞれの告示に定め る様式による申請書等の用紙は、当分の間、必要な改定をした上、使用することができ る。 ~防塵マスクの使用等について~ 防じんマスクの使用に当たっての留意事項 防じんマスクの使用に当たっては、次の事項に留意すること。 (1) 防じんマスクは、酸素濃度 18%未満の場所では使用してはならないこと。このような場所では給気 式呼吸用保護具を使用させること。 また、防じんマスク(防臭の機能を有しているものを含む。)は、有害なガスが存在する場所におい ては使用させてはならないこと。このような場所では防毒マスク又は給気式呼吸用保護具を使用させ ること。 (2) 防じんマスクを適正に使用するため、防じんマスクを着用する前には、その都度、着用者に次の事 項について点検を行わせること。 ア 吸気弁、面体、排気弁、しめひも等に破損、き裂又は著しい変形がないこと。 イ 吸気弁、排気弁及び弁座に粉じん等が付着していないこと。 なお、排気弁に粉じん等が付着している場合には、相当の漏れ込みが考えられるので、陰圧法に より密着性、排気弁の気密性等を十分に確認すること。 ウ 吸気弁及び排気弁が弁座に適切に固定され、排気弁の気密性が保たれていること。 エ ろ過材が適切に取り付けられていること。 オ ろ過材が破損したり、穴が開いていないこと。 カ ろ過材から異臭が出ていないこと。 キ 予備の防じんマスク及びろ過材を用意していること。 (3) 防じんマスクを適正に使用させるため、顔面と面体の接顔部の位置、しめひもの位置及び締め方 等 を適切にさせること。また、しめひもについては、耳にかけることなく、後頭部において固定させ ること。 (4) 着用後、防じんマスクの内部への空気の漏れ込みがないことを、フィットチェッカー等を用いて確認 させること。なお、取替え式防じんマスクに係る密着性の確認方法は、上記 2 の(4)のアに記載したい ずれかの方法によること。 (5) 次のような防じんマスクの着用は、粉じん等が面体の接顔部から面体内へ漏れ込むおそれがある ため、行わせないこと。 ア タオル等を当てた上から防じんマスクを使用すること。 イ 面体の接顔部に「接顔メリヤス」等を使用すること。ただし、防じんマスクの着用により皮膚に 湿しん等を起こすおそれがある場合で、かつ、面体と顔面との密着性が良好であるときは、この限 りでないこと。 ウ 着用者のひげ、もみあげ、前髪等が面体の接顔部と顔面の間に入り込んだり、排気弁の作動を 妨害するような状態で防じんマスクを使用すること。 (6) 防じんマスクの使用中に息苦しさを感じた場合には、ろ過材を交換すること。 なお、使い捨て式防じんマスクにあっては、当該マスクに表示されている使用限度時間に達した 場合又は使用限度時間内であっても、息苦しさを感じたり、著しい型くずれを生じた場合には廃棄す ること。 防じんマスクの保守管理上の留意事項 防じんマスクの保守管理に当たっては、次の事項に留意すること。 (1) 予備の防じんマスク、ろ過材その他の部品を常時備え付け、適時交換して使用できるようにするこ と。 (2) 防じんマスクを常に有効かつ清潔に保持するため、使用後は粉じん等及び湿気の少ない場所で、 吸 気弁、面体、排気弁、しめひも等の破損、き裂、変形等の状況及びろ過材の固定不良、破損等 の状況を点検するとともに、防じんマスクの各部について次の方法により手入れを行うこと。ただし、 取扱 説明書等に特別な手入れ方法が記載されている場合は、その方法に従うこと。 ア 吸気弁、面体、排気弁、しめ紐等については、乾燥した布片又は軽く水で湿らせた布片で、付 着した粉じん、汗等を取り除くこと。また、汚れの著しいときは、ろ過材を取り外した上で面体を中 性洗剤等により水洗すること。 イ ろ過材については、よく乾燥させ、ろ過材上に付着した粉じん等が飛散しない程度に軽くたたい て粉じん等を払い落すこと。ただし、ひ素、クロム等の有害性が高い粉じん等に対して使用したろ 過材については、1 回使用するごとに廃棄すること。 なお、ろ過材上に付着した粉じん等を圧搾空気等で吹き飛ばしたり、ろ過材を強くたたくなどの 方 法によるろ過材の手入れは、ろ過材を破損させるほか、粉じん等を再飛散させることとなるので行 わないこと。 また、ろ過材には水洗して再使用できるものと、水洗すると性能が低下したり破損したりするもの があるので、取扱説明書等の記載内容を確認し、水洗が可能な旨の記載のあるもの以外は水洗 してはならないこと。 ウ 取扱説明書等に記載されている防じんマスクの性能は、ろ過材が新品の場合のものであり、一度 使用したろ過材を手入れして再使用(水洗して再使用することを含む。)する場合は、新品時より粒 子捕集効率が低下していないこと及び吸気抵抗が上昇していないことを確認して使用すること。 (3) 次のいずれかに該当する場合には、防じんマスクの部品を交換し、又は防じんマスクを廃棄するこ と。 ア ろ過材について、破損した場合、穴が開いた場合又は著しい変形を生じた場合 イ 吸気弁、面体、排気弁等について、破損、き裂若しくは著しい変形を生じた場合又は粘着性が認 められた場合 ウ しめひもについて、破損した場合又は弾性が失われ、伸縮不良の状態が認められた場合 エ 使い捨て式防じんマスクにあっては、使用限度時間に達した場合又は使用限度時間内であっても、 作業に支障をきたすような息苦しさを感じたり著しい型くずれを生じた場合 (4) 点検後、直射日光の当たらない、湿気の少ない清潔な場所に専用の保管場所を設け、管理状況 が容易に確認できるように保管すること。なお、保管に当たっては、積み重ね、折り曲げ等により 面体、連結管、しめひも等について、き裂、変形等の異常を生じないようにすること。 (5) 使用済みのろ過材及び使い捨て式防じんマスクは、付着した粉じん等が再飛散しないように容器、 又は袋に詰めた状態で廃棄すること。 以上、防塵マスクの規格、使用についての注意事項を述べてきましたが、 事故を防ぐためのはずの保安具が、 誤った使い方をすることにより、ともすると危険な状態を引き起こすことにも成りかねないので、 十分注意を払ってご使用されることを望みます。 ご安全に!
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