調書の捏造、改竄、虚偽記載1 中原 忍

裁判批判12号
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「調書の捏造、改竄、虚偽記載1」
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調書の捏造、改竄、虚偽記載1
中原 忍
プロクルステス社会
故宮本政於元厚生省検疫課長の「お役所の掟」という本はベストセラになり、
海外では、
The Straitjacket Society という題名で英語、ドイツ、フランス語の出版がな
された。もうかなり以前の話ではあるが、この題名を日本語に訳すと「拘束
着を着せられた社会」となり、日本の社会の現状を適切に表現している。
プロクルステスとはギリシャ神話に登場する山賊の名前である。彼は旅人
をとらえてはベッドの大きさに合わせて、手足をむりやり引き延ばしたり、切り落としたりすること
から、物事を一定の枠にはめ込もうとすることを「プロクルステス」の寝台という。
プロクルステス社会=拘束着着用社会=
ギリシャ神話のプロクルステスは、旅人をベッドの寸法に合わせ、より長身であれば足を切り、
より短身であると引き延ばしたという。古来、プロクルステスのベッドは他人や物を不自然な枠
に杓子定規に押し込むことをいうようになった。
日本司法が行っていること
Behavior can be controlled, putting a gun to someone’s head or threatening him with
torture are time-honored techniques.
現代の社会は犯罪を抑止するためだけに、重い刑罰を科しているだけではない。犯罪を減ら
すだけの為なら、ほとんどの社会がつい最近迄行っていた残酷な刑罰によって、その可能性を
抑止することが可能だからである。
日本司法は、強制的・欺罔的な自白に立脚して有罪を宣告する。検察が起訴を決めれば、
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99.8%の有罪率という恐るべきイカサマ効率第一主義である。民事、刑事を含めて、裁判所は
容疑者をはめる警察官のように、デッチアゲの証拠を使っていい加減に事件の処理をする事
例が多い。そして裁判官自身が過酷なノルマ主義の犠牲者であると同時に加害者という哀れ
なジレンマの囚人なのである。
日本の裁判制度を一言で表現すると、プロクルステス拘束着社会である。中原忍に与えられたフ
ォーラム12号のブログの主題は、「偽計調書作出インチキ司法」である。具体的な日本司法の調書
の偽造、捏造、虚偽記載の実体の分析は,「調書の偽造、捏造、虚偽記載その 2」で展開する。
「無罪の心証」袴田事件の元裁判官39年後の告白
供述調書45通のうち44通を任意性が疑わしいとして証拠から排除
「袴田事件」とは、1966年 静岡県清水市(現静岡市清水区)で、みそ会社専務一家4人が殺
害され、元プロボクサー袴田巌死刑囚(70)(再審請求で特別抗告中)に死刑が言い渡された
事件である。
同事件は1審・静岡地裁の判決文を起案した(元裁判官熊本典道氏(69))は68年の地裁判
決で、3人の合議による主任裁判官として判決文を起案したが「有罪にするには証明がなされ
ていない」と無罪の心証を持ち、無罪の判決文を書き始めていたことを告白した。熊本氏は判
決の当初から、有罪判決に自責の念を持ち続け、翌69年4月に退官し、弁護士になった。
この裁判は。裁判官3人の合議で、熊本氏は無罪を主張したが、裁判長ら2人が有罪を支持、
多数決で死刑と決まり、裁判長から判決文の起案を命じられた。
同裁判の1審判決は、犯行を自白したとされる供述調書45通のうち44通を任意性が疑わしい
として証拠から排除、「自白の獲得に汲々(きゅうきゅう)として物的証拠に関する捜査を怠っ
た」と捜査を批判する付言をした。
熊本氏のような良心的裁判官は 1 万人に一人
熊本元裁判官はテレビのニュース番組に出演して、39 年間憑きまとう強烈な強迫観念を伴う
この出来事を一日として思い出さなかったことはなかったと、激情的にほとんど泣かんばかりに
告白した。この熊本氏のような精神的状態を心理学者でハーバード大学のダニエル シャクタ
ー教授は、「反事実思考」と命名している。
この「反事実思考」が憑ききまとう深刻な想念を伴って人々を全的に支配するのは、その時の
選択のあり方によっては、悲劇を食い止めることができたかもしれないと深刻に繰り返して回帰
循環的に悩むからなのである。熊本元裁判官の場合では、氏がもし勇断をもって正しい判決
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をしていたならば、袴田氏にこのような、筆舌に尽くしがたい地獄の責め苦を与えることがなか
ったと全的に悩み続けることなのである。
さて、ここで私は熊本氏の精神を分析することを主体としているのではない。実際、日本の裁
判官で熊本氏のような良心的な裁判官は1万人に一人も存在しないという事実を忘れて、袴
田事件の劇的な報道によって、知らず知らずのうちに私達はマスコミの情報操作に踊らされ、
裁判所の志向する、裁判幻想に洗脳されてしまうことになるからである。
実際日本の国民が現在真の意味で権利や自由を剥奪されているのは、日本は法治国家では
なく、一握りの官僚と政治家が恣意的に支配する欺罔法治国家だからなのである。そして弁
護士も民事訴訟法の学者連中も今や完全に裁判所に取りこまれ、裁判所の走狗と化している。
実質的に国民の側にたつものが皆無の状態なのである。
メディアは、この国家的巨大宣伝会社の情報操作を助長し協力する御用機構にすぎない。こ
の実体を暴露することが、日本に真の市民を創設する私達の究極の目的なのである。
インチキ欺罔法治国家に寄生する一群のハイエナ
袴田事件は、身の毛のよだつ国家による人権侵害事件である。この事件から、私達は
袴田氏を支援する活動を展開することができる。また事実ある団体や前述の熊本元裁判官ら
によって再審請求の壮絶な戦いが繰り広げられている。マスコミも興味半分に、マッチポンプ式
に報道を行っている。
言わずもがな、この事実は袴田氏に有利に働くであろう。しかし事の本質は、個別の袴田事件
にあるのではない。かっても今も、日本の裁判制度は、構造的に数百、数千の袴田事件を刑
事・民事事件を問わず内包しているのである。
日本の法曹界で禄を育む輩は、裁判官、検事、弁護士も法学者も含めて、このインチキ欺罔
法治国家に寄生する一群のハイエナにすぎない。
日本司法の実情は刑事、民事を問わずこのような「反事実思考」に取り憑かれた
比較的良心的な裁判官によって、裁判が行われているのではないということが、国民にとって
最大の悲劇なのである。
アーネストは中原の恩師
アーネスト夏目氏は、私のアメリカ留学時代の先生であるが、そのアーネストが、フォーラム 11
号で、日本の裁判官は、すべからく、司法当局に飼い慣らされた哀れな「鵜飼の鵜」に過ぎな
いと喝破している。裁判所の職権主義、行政への追従、裁判官の保身を唯一の至上命令とし
て、詐欺師もどきのインチキ欺罔裁判に明け暮れているのである。
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日本のすべての機構の最大の悲劇は、何事も形式優先主義であることである。中身がないの
である。法廷の審理も単に形式だけ、弁護士というハイエナ連中は、ほとんどの裁判事例で、
事前に裁判官室で、訴訟進行状態を綿密に打ち合わせている事例が多い。
弁護士連中も法曹というビジネスに従事する同じ穴の狢なのであろう。
マスコミによる裁判情報操作
袴田事件を報道で知る国民一般は、知らず知らずのうちに、裁判所当局の虚構の操作に洗脳
されてしまう。熊本元裁判官のような、「反事実思考」的心理状態は、失望や悔恨、失敗、過去
の行動への後悔、この状態は常に悲しみの感情を伴った、激しいトラウマ状態を創出するので
あって、断じて、日本の裁判官が熊本元裁判官のような良心的な正義の人と解釈されては、
国民の裁判官選良幻想を助長し、大いなるする弊害を生む。大部分の裁判官は氏のように真
摯に裁判に取り組んで自己の過去の判断を深刻に悩むような正直な人間ではないのである。
「裁判官という情けない職業」
ほとんど全部の日本の裁判官は、ジャーナリスト本多勝一氏が言ったように、「裁判官という情
けない職業」の従事者であり、実際の彼らの心理状態は、インチキ、イカサマ大半の常習詐
欺者と大して変わりがないのである。国民は、マスコミの偏向し御用報道に常に懐疑の目を向
けなければならないのである。
偽計調書の実体
「裁判批判の会」の法律顧問、アメリカの弁護士エリザベスは、ある事情で、日本の司法制度
の内奥の秘密を知る数少ない法律家である。日本の裁判の本質は、調書の偽造、捏造、虚偽
記載が本質であり、裁判官の仕事とは偽計調書作りのインチキ裁判が本質であると定義し
た。
ところが、日本の刑事裁判が、いわゆる「調書裁判」であることは、よく知られているが、民事裁
判も、刑事裁判と等しく「偽計調書裁判」なのである。
日本では民事裁判も終局的に調書裁判なのである。日本の裁判はすべからく偽計調書に基
づくインチキ欺瞞裁判なのである。
私は本フォーラムにおいて、この現実について若干の考察を試みる。そして、先号でアーネス
ト夏目氏が書いた、欺罔調書と責問権の問題についても次回にふれる。
しかしこの調書偽造を本質とする日本の裁判制度を一介の法律家の端くれである、不肖中原
が単独で描写するのは、不可能にちかい。元々私達は、この共創フォーラムを多くの共感者と
共同で構築していくことを目的としている。言い訳がましいが、現在は大学での仕事が非常に
多忙で、あまり時間を割いている余裕が無いので、本稿の論点の展開が尻切れトンボになるこ
とを予めお断りしておく。
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供述調書に記載されるとそれでもう終わり
日本の刑事事件は、捜査段階で一旦自白し、それが供述調書に記載されると、理由のいかん
を問わず、これを覆すことが容易でない。刑事裁判で起訴が決定すると99.8%の確率で有罪
がきまる。供述証書に書かれた事と正反対なことを法廷でいくら主張しても裁判官は認めない。
そして警察官の作成した供述調書は、ほとんど全部彼らの作文である。こんなデタラメが日本
の司法界を横行支配しているのである。
供述調書が警察の作文であることは、いまや法曹の世界では誰でも知っている。そしてどの供
述調書も驚くほど画一的で、類型ごとに皆、似たような文体で作成されている。極端な文書主
義に基づく日本社会は「、拘束着を着用させられた「プロクルステスの寝台」が本質なのであ
る。
「警察には各事件に即応した供述調書の分厚い模範文例集が設営されている。取調べにあた
る警察官たちは、模範文例集にしたがって、事件の実体を例文に合わせて、作文し構築して
いくのである。空恐ろしく、身震いが止まらないほどの恐怖の物語である。拘束着を着せられた、
プロクルステスの山賊のように、事実を事件の類型に合わせて捏造される例が多いのである。
供述調書と検察官
裁判官を辞めて、弁護士業務に転向した「ヤメ判」によると、
刑事事件に於ける検察官の役割といえば、警察の作った供述調書を、そのまま焼き直すこと
である。
それでは何故、調書をそのまま作り直す必要があるかといえば、刑事訴訟法 321 条一項二号
に関係する。検察の調書は、一定の要件が整えば証拠能力が与えられるからである。
従って検面調書調べで、被疑者が検察官に何を言っても、警察の作文調書をそのまま,書き
写されてしまうだけなのである。「裁判官の役割とは、単に儀式の遂行者、検察官の書いた起
訴状をそのまま複写し、適用する法律を其処に大仰に書き加えるだけで、偽計的判決文を昨
出してしまうのである。」
「日本の裁判は、コインを挿入すると自動的に商品が搬出される自動販売機と同じである。検
察の求刑というコインを入れると、自動的に裁判所の判決が出てくる仕組みになっている。実
際、裁判所の中では、事件の種類ごとに量刑基準の記された回覧板がまわされているというま
ことしやかな話がある。これは周知の事実なのだ。恐ろしき日本の現実とは、刑事裁判ですら、
形式的真実主義なのである。(副島、山口「裁判の秘密」を参照した)
律令時代以来の文章主義
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官僚とは定型の儀式の世界に住む住人である。官僚にとって儀式や格式は何事にも替えがい
たい。それは格と式が、あの悪名高い日本官僚機構の行政指導という形で、民を支配する遥
か律令時代からの遺産だからである。
脅しが唯一の解決策
明確な原理の不在は、究極的に非合理の世界を肯定せざるを得ない必然を生む。
権力に対する一定の歯止めが存在しない日本的システムは、法体系そのものが恣意の世界
に埋没する危険性を常にもっている。したがって法律は、丸山真男がいうように、治者も被治者
にも適用される一つの厳然とした法則ではなく、常に下位のものにしか機能しない仕組みにな
っているのである。民事訴訟法などは、おちゃらけの「糞坊主の垂れ流し」の説教にすぎないの
が現実なのである。
したがって日本人の持つ権威対する従順という美徳は、法的規制によって培われたものでは
ない。それウオルフレン氏が言うように、常に脅しの論理によって規制される。「おどしは嫌悪さ
れるどころか、社会生活の必然的な側面として受け入れられている。不可避というわけは、社
会秩序を保ち、権力者の力を保護するため、システムの特徴である非公式で法律によらない
関係が非公式な威圧(つまりおどし)に頼る傾向を自然に生み出すからだ。」
「暗く陰鬱な人類の歴史を回顧してみると、反逆という名において侵されたよりも、なんと多くの
恐るべき犯罪が服従の名において侵されていることか。」C,P,スノー 。アフォリズム
メディアは何時の時代も単に無力だったわけではなく、概して権力に迎合的であることを本質
とする。権力によって葬りさられる異端な者に、人々は一般に無知、無関心、或いは冷淡であ
る。
かくしてこの 国は、権力、マスメディアそして、民衆、完全に三位一体となって融合するのであ
る。マスメディアの腐敗は何も今に始まったことではない。翼賛マスコミの主導する裁判幻想の
宣伝は留まることを知らぬ程勢力を増している。毎日のニュースで、偽りの裁判幻想が報じら
れないことはない。
日本において、暴力団やヤクザがある一定の支持を得ているのは,真に機能するのは、常に
脅しの論理であって、原理原則による法律ではないからである。この関係はルース・ベネデクト
がいみじくも言った西洋と日本を罪の文化と恥の文化と区分した論理と無関係ではない。
脅しの論理が日本人を規制する根本的原理という事実は、司法の世界において特に顕著で
ある。俗に言う法曹三者にとっても、この脅しの論理しか機能していないことが、一般の普通の
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人々にとって途轍もない悲劇を生む。弱者の最後の砦であるべき法律が実際は何も機能して
おらず、単なる虚仮威しの「裁判ごっこ」にすぎないのである。
日本人が紛争の解決に法的手段を好まないという使い古された常套句は、この点に関係して
いるのである。
民事訴訟の紛争の大部分は、金銭に纏わるものである。しかし実際に、金銭問題の解決に、
訴訟を提起することは、愚劣な行為である。
裁判所は、訴訟を減らすためと、法曹三者の利得と利便性だけを目的として、法律の仕組み
を悪用しているからである。裁判所の最大の役割とは,訴訟は割が悪い蟻地獄の世界である
ことを、国民に了知させることを究極の目的としている。
調書偽造が日本司法の本質をたるまえかたあるまえにに
法律の合憲・違憲審査
アメリカ的な司法裁判所の違憲立法審査制度
裁判所が法律を具体的な訴訟事件に適用
するにあたって、法律が憲法に適合するかどうか審査し、憲法に違反する法律を無効として、
その適用を拒否する制度。
この制度が現実に生かされるためには、憲法の最高法規制として、各法律よりも上位に位置し、
憲法に抵触する法律は無効であるという法理が必要である。
日本国憲法
日本の新憲法は憲法の最高法規制を明文で規定している。そして日本の憲法ではフランスの
基本的憲法原理である自由、平等、友愛の理念が一応形式的に、生かされている。日本国憲
法の自由権として、思想、良心の自由(19条),信教の自由(20条)、集会、結社、表現の自由
(21条),学問の自由(23条)、これらの精神的自由を表徴する自由権もあり、また職業選択の
自由や財産権の保障のような経済的自由権もある。しかしこれは、単なる空理空論の絵に描
いた餅の世界である。
ここでなにも私は,法学部の新入生に講義をするような文章をわざわざ書き連ねる必要はない。
日本国の憲法はたてまえ上は世界でも最も優れた憲法の一つであることはいうまでも無い事
実である。しかし、絵に描いた餅としての日本憲法と現実と実際の世界の乖離が、この国の今
も昔も変わらぬ根源的な問題なのである。
周知のように、裁判官や法曹三者を教育する最高裁判所付属の司法研修所の教官たちはタ
テマエとして日本国憲法を称揚しながら、本心はこの日本国憲法を大いに忌み嫌っている。こ
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のように、日本の司法界はまさに二枚舌、インチキ司法な総本山なのです。
雲散霧消させられた青年法律家協会
青年法律家協会とは、憲法改悪をもくろむ動きに対して,日本の平和と民主主義,国民の基
本的人権を守ることを目的として、結成された法律家の集まりであった。
この青年法律家協会のメンバーだった裁判官が、どのような過酷な弾圧下におかれたのか。憲
法を守るという至極当然の義務が,司法行政当局の激しい弾圧のブルーバージの嵐をくぐらな
ければならなかったのか、まさに二枚舌司法の厳しい現実である。周知のように、青年法律家
協会は、雲散霧消させられてしまった。
現実は,民事も刑事も調書の偽造、捏造、虚偽記載
ここで問題をフォーラム12号のテーマに絞ることにする。どんなに美しく、日本司法が美辞麗句
を並べ立ててみても、日本の裁判制度の本質は調書の偽造・捏造・虚偽記載というとんでもな
い大罪によって、しか成立しないように構造化されているのである。
日本でまともな弁護士は 10 人
内田雅敏という弁護士がいる。懲戒弁護士という中々面白い本を書いた。グリコ・森永事件で、
この本には、狐目の男として、評判になった宮崎学についてのエピソードもでてくる。面白い話
とは,日本には,10 人位はまともな弁護士がいるという下りである。以下に孫引きする。石田と
いう弁護士の発言として、
「人間だれしも欲望がある。いい家に住みたい、いい服を着たい、旨いものを喰いたい、寒いと
きには暖かい所へ行きたい、弁護士だって皆おなじですよ。」
「弁護士も 1 万 5 千人いるんですから、まー10 人くらいは」
「10 人くらいは,立派な人も居ますが、後は皆、稲山氏と同じようなものですよ。」
稲山氏とは、懲戒悪徳非行弁護士のことである。
石田という弁護士の言によれば、実に 1500 人に 1 人の割合でしか、我々は,良いまともな弁護
士には、遭遇しないことになる。
日本の司法の現状は絶望的である
裁判の帰趨は他人事ではないのである。強大な捜査権、強力な司法権に対して、草の根の普
通の人々は,徒手空拳の厳しい条件の中で、真実の発見と正しい解決策を得なければならな
い。至難のわざなのである。
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最高裁判所は司法行政権の行使に当たり、一人一人の裁判官の思想を改造し、他方では勤
務評定による強烈なノルマ主義の人事政策を用いて裁判官を統制する。
現場の裁判官は事件処理数を気にするあまりに、当事者の言い分を聞かないで強引に裁判
を勝手に作り上げてしまう。
これが日本の憂うべき司法の現状である。
事件処理のノルマをあげるために、一番手っ取り早い方法は調書の偽造、捏造、虚偽記載で
ある。事件を勝手にデッチあげ、まるで詐欺師や地面師のごとく、いい加減な裁判処理をする
のである。
裁判には民事と刑事裁判があることはよく知られている。周知のように、民事裁判の目的は紛
争の解決にある。従って、民事裁判とは当事者間の紛争の延長線上にあるといって過言では
ない。民事裁判は当事者の主張に基づいて裁判を進行させるから、弁論主義が中心になるの
は、当然のなりゆきである。
一方、刑事裁判の方は国家の刑罰権を確認しそれを実現するのが目的であるから、究極の
目的は真実の発見にあるということになる。しかしここで現実に行なわれている日本の裁判と
は、いわゆる調書裁判、民事も刑事も形式真実主義に彩られたインチキ、イカサマ裁判を主流
としているというのが、本会の日本司法に対する根源的な批判なのである。
職権主義と当事者主義
刑事裁判の方法として、ごく大雑把に言うと大陸型と英米型と2つの種類がある。私が米国で
受けた法律の勉強は英米型の当事者主義が中心である。
周知のように、日本の裁判制度は戦後英米型の当事者主義を折衷することになったが、本質
的には大陸型の職権主義が中心である。
職権主義とは裁判所が主導権を握って、その責任において真実を発見するというやりかたで
あるが、日本裁判の現状は裁判による真実の発見ではなく、裁判官の私利に基づいた処理件
数の成績をあげることを主体とした裁判所による捏造裁判が中心である。
ここにドイツ大陸型の強い影響を受けた日本司法の厳しい現実がある。英米の刑事裁判手続
きは当事者主義を採択しているので、民事訴訟と近接した方式になり、裁判が当事者の攻防
という形で、テレビドラマや映画で知られているように,両当事者のイニシァティブによって活発
に行なわれるのである。
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本稿のテーマは日本の裁判は職権主義に基づく調書の偽造、捏造、虚偽記載を主体とした
暗黒の司法制度であるというセントラルドグマに基づいている。
私たちはこの共創フォーラムによって、裁判所による調書の偽造、捏造、虚偽記載の現実を真
摯に暴露していくつもりである。
先日、インターネットを検索していると、ドイツにできて,日本にできないのは?」というとても興
味のある作表をみつけた。もう随分以前の話であるが、日独裁判物語という映画が上映され
たことがある。この作表は、その時の日独の司法を比較した表を孫引きしたものである。
日本の裁判=調書の偽造・捏造・虚偽記載その2以下次の中原忍の執筆をお楽しみに。
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ドイツ
日本
違憲判決の数
500 件以上
10 件
裁判官数
22,100人
2,850人
行政訴訟の数(件)
約22万件
1,250件
同上原告(市民)勝訴立
10%以上
2~3%
申し立手続き
簡易・補助あり
厳格・補助なし
裁判官の転勤
なし
3年ごと
出退勤時刻の拘束
なし
あり
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