『次年度繰越金』について 一般社団法人(公益法人)会計における次年度

『次年度繰越金』について
一般社団法人(公益法人)会計における次年度繰越金は事業会社が採用している企業会計
の基準で言うところの純資産(内部留保)に該当します。
企業会計基準における純資産は一般的に次の要素で構成されます。
【純資産の部】
①資本金
②資本剰余金
③利益剰余金
④その他
『純資産』と言う概念を持たない一般社団法人にとって、『次年度繰越金』は法人の財務の
安全性及び継続事業体としての安定性の基盤となるものと位置付けられています。
法人は会員からの会費収入のほか、事業収入、補助金収入等の収入から、事業費、人件
費、家賃等の固定費を含む管理費、その他租税等の支出をしています。収入は会員数の増
減その他変動要素があり、固定費の支払いのために、繰越剰余金(次期繰越金)として留
保した資金を不測の事態に備えて準備をすることが必要となります。
では、どの程度の繰越金が必要か、あるいはどの程度の余剰資金を留保することが妥当
かと言う点につき、総務省大臣官房管理室公益法人行政推進室による改正公益法人指導監
督基準 Q&A にその指針が示されています。
Q-2「(1) 内部留保の水準として、1事業年度における事業費、管理費及び事業に不可欠
な固定資産取得費の合計額の 30%程度以下、という水準が示されています。
「30%程度以下」
の根拠について教えてください。」
という質問に対し、
A-2「(1) 「公益法人の設立許可及び指導監督基準」及び「公益法人の設立許可及び指導監
督基準の運用指針」においては、可能な限り具体的な数値を規定することとしています。
また、これらは、所管官庁が指導監督を行う上でのガイドラインとなるものであり、内部
留保の水準についても実際の指導監督を行っていく上で何らかのメルクマールが必要と考
えられます。
そのため、運用指針において「30%」という水準を規定しました。これは、多額の内部
留保を有していると批判された法人、規模の小さい法人を含めて、いくつかの法人につい
て試算した際の中間的な値です。
この「30%」という水準は、あくまでひとつのメルクマールであり、各法人の状況によ
って、この水準を超えることもありうるものと考えています。ただし、その場合において
は、この水準を超える内部留保が必要となる理由を明確にする必要があるものと考えられ
ます。
」
と回答をしています。
当法人の実態
次期繰越金の推移
年度
事業費
管理費
合計
次期繰越金
21 年度
7,989
16,880
24,869
5,605
22 年度
10,590
19,909
30,500
5,146
23 年度
17,974
18,223
36,198
24 年度
13,240
18,094
25 年度
18,022
26 年度
27 年度予算
単位:千円
%
単年度収支
比率
3,766
22.5
458
16.8
8,411
3,264
23.2
31,335
10,456
2,044
33.3
18,623
36,646
12,289
1,833
33.5
17,545
19,244
36,790
17,237
4,947
46.8
16,750
24,240
40,990
12,506
△ 4,731
30.5
△
比率:次期繰越金÷(事業費+管理費)×100
26 年度次期繰越金について
平成 27 年 5 月 25 日の総会にて説明の通り、次期繰越金の増加の原因としては、予算に
対し会費収入 700 千円増、事業収入 596 千円増のほか、補助金収入 588 千円が増加し、一
方で事業費支出が 2,353 千円減少しています。そのため単年度では繰越金の比率が 46.8%
と増加していますが、27 年度予算では単年度収支を 4,731 千円の赤字と見込んでおり、結
果は 30.5%にとどまると予測されます。事業の性質が単年度事業にとどまらず、複数年に
わたる大掛かりな事業を推進していることの現れです。
今後の展望としましては、急激な会員数の変動や事業収入の増減はないものと予測して
いますが、そのような事態が発生し、また上記の基準等から見ても妥当性を欠くような事
態が起こった際には、事業の内容や規模、会費等の見直しについて執行部において検討し
てまいりますので、会員各位のご理解を賜りたくお願い申し上げます。
以上
(文責:監事 野呂伸一郎)