27 孤立性骨形質細胞腫から形質細胞白血病へ進展した一例 ◎南 祥子 1)、佐藤 香代子 1)、相馬 真恵美 1)、金子 心学 1) 前橋赤十字病院 1) 【はじめに】孤立性骨形質細胞腫(Solitary plasmacytoma of 【検査所見】<生化学>TP8.1g/dl、ALB3.1g/dl、LD275U/L bone 以下 SPB)は骨あるいは骨髄に単一の限局性病変を形 成する形質細胞腫で形質細胞性腫瘍の約 4%を占めるとさ Ca8.7㎎/dl <CBC>WBC17.2×10³/μl、RBC3.88×10⁶/μl、 Hb12.1g/dl、Ht36.9%、PLT160×10³/μl<血液像>Ba1%、 れている。今回私達は SPB 経過観察中突然末梢血に核異型 Eo1%、Neu18%、Ly39%、Mono3%、Mye1%、Met1%、 のある plasma が出現し形質細胞白血病(Plasma cell leukemia Plasma36%<骨髄検査>骨髄は過形成、形質細胞の増加を認 以下 PCL)へと進展した一例を経験したので報告する。 めた。表面マーカーは CD19(-)、CD56(-)、CD38(+)、 【症例】70 歳代女性。レントゲン検診にて胸部の異常を指 CD138(+)。その他、M 蛋白は少量検出、Bence Jones 蛋白 摘され呼吸器外科へ紹介。MRI にて精査を行ったところ、 (-)。IEP で IgG-λ 型が検出された。【考察】自動血球分 第二肋骨に腫瘤がみとめられ切除となった。【経過】肋骨 析装置(セルダインサファイア Abott 社)のスキャッタグラム 切除部位の病理診断より形質細胞腫と診断され血液内科へ から異常を捉え迅速にスメアの観察を行った。末梢血に核 紹介された。骨髄検査を行ったが形質細胞は 5%ほどであ 異型のある Plasma 細胞を認め臨床側へ報告することにより り、PET/CT にて切除部位以外に集積が認められなかったこ PCL への進展を示唆し早期治療開始に貢献できた。 とから、IMWG 診断基準より SPB と診断され 2 ヶ月毎に外 【まとめ】SPB 発症から 10 ヶ月で PCL へと進展した症例 来での経過観察を行っていた。SPB 発症から 10 ヶ月後の外 を経験した。ルーチン業務においてスキャッタグラムが異 来受診時の採血データにて突如、自動血球分析器のスキャ 常を示すことは多々あるが、分析器より得られた情報を読 ッタグラムのリンパ球・単球領域に異常を示し、目視確認 み取りスメアを観察して必要な情報を提供することが重要 を行ったところ末梢血に多数の核異型のある plasma 細胞を であると改めて感じた症例であった。 認め緊急マルクとなった。 連絡先 027-224-4585(内線 3205)
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