一般 社 団法 人 留学 生 通信 5 6号 全 国日 本 語学 校 連合 会 20 1 5年 7 月3 日 多発するベトナム人犯罪 の防止策を探る 留学生の善導に効果を発揮する佐賀の加点・減点制度 年々留 学生 が増 える に従っ て 、犯 罪も 増 える傾 向に ある が 、せっ かく 日本語 を学 ぶた めに 海外か らや って きた 留学生 を、どうや って 導い てい ったら 良い のか は、日 本語 学校 経営 者の 最も腐 心す る所 だ 。こ こに 、留 学生の 犯罪 を防 ぐに はどう した ら良 いの か、同時 に 、日本 と母 国と の架 け橋に なる よう な立 派な留 学生 を育 てる には 、ど うし たら 良いの か 、 留 学 生 の 犯罪 防止 と 留 学生の 善 導 方法 の両 面から 、留 学生教 育に 活か せる 2つの 事例 を紹 介し よう。一つ は警 視庁 が見た ベト ナム 人留 学生の 犯罪 の実態 と防 止策 、も う一 つは 、 「加 点・減 点主義 によ る学 校規 則」を 取 り いれた 佐賀 県の 日本 語学校 の例 だ。 ◆ 地 元警 察 署と の 相談 と 留学 生 の生 活指 導に 特 段の 注 意を 払 お う 刑法 犯 の検 挙 件数 は、 こ の5 年 間で 7 倍 近く 増 え 3 1 4人 に 先ず犯 罪防 止の 事例 から紹 介し よう。さ る 6月 2 6 日(金 )、全国 日本 語学校 連合 会( JaLSA)総 会が 、東 京・御 茶ノ水 の中 央大 学駿 河台記 念館 で開か れ た 。総会 終了後 に 警 視庁 が「 多 発する ベト ナム 人留 学生ら によ る犯罪 事件 」と 題して 講演 した 。講 師は 、ベト ナム 人 に よる凶 悪事 件の 多発を 受け て 、犯 罪を抑 止す るた めに「 地元警 察署 との 相談 と留学 生の 生 活 指 導に 特段 の注 意を 払 って いた だ き たい」と 日 本語学 校経 営者 らに 強 く 協 力を 求め た 。 現 在 、警 視庁 管轄 下 の某 警察 署に は「不 良ベト ナム 人強 盗致 傷等事 件 の合同 捜査 本部 」が置か れて いる 。ベト ナム人 留学 生凶 悪事 件が余 りに も多い から だ。例え ば、ベト ナム 人が 絡 んだ万 引き 、薬 物 違 反 、オー バ ーステ イな どの 刑法 犯は 、東 京都 内に お ける検 挙件 数を 見る と、平成 2 3年・3 7人、 24 年・5 2人、2 5年 ・190 人、2 6年・ 31 4人 と 鰻上 りに 急増 して いる。 ちな みに 警察 庁の発 表で は、国全体 の「 留学 資格」で の刑 法犯 の検 挙件数 は、平 成2 1 年がわ ずか 58 人だ ったの が 、 平成2 6年 には 37 6人と 7倍 近く 増え ている 。 それだ けで はな い。殺人 、強 盗、強姦 、放火な どの 凶悪 事件 の 都内 の 検挙件 数 も 並行 して 急増し 、平 成 2 3年・0件 、24 年・2件、25 年・ 3 件 だ った のが 、26 年・10 件、平成 27年 は1 月か ら4 月のわ ずか 4カ月 で1 1件 と昨 年 件数 全体 をす でに 上回っ てい る 。一 ヶ月 に 2 、3 件 、凶 悪事 件が 起きて いる 計算 だ。 講師 は「発 生件 数は 留学生 の急 増と 対 比 で 凶悪 事件 も急 増して いる 」と指 摘 する 。法 務省 出入 国管理 局の 調 査によ ると 、在留 資格(入 国目 的 )別の 外 国人 数 の推 移を 見る と、 「 留学 」 目的は 、平成 22年・20 万1 511 人 が、23 年・18 万8 60 5 人 、 2 4 年 ・ 1 8万 09 19 人、25 年・1 9万3 07 3人 、2 6年 21 万 452 5人 に達 する 。 ◆ 犯 罪ベ ト ナム 人 の共 通 点① 凶 暴性 、② 集団 的 、③ 若年 性 。盗 ら れる 方 が悪 い と 薄 い 犯罪 認識 。万 引 → ピ ッ キン グ盗 → 侵入 盗 へと エス カ レー ト 講 師 は 、 検 挙し たベ トナム 人の 性格 には 3つの 特徴 があ る と いう 。 ① 凶暴性 。事件 に使 う凶 器は、刃物、ビー ル瓶、皿など 、あ るもの は 何でも 使い 、直 接切 りつけ たり 、殴 りつ けるな ど凶 器を 使う 。 ② 集団的 。1人 では やら ない。1人 の人 間 を10 人か ら2 0人 で一気 に襲い かか る。 ③ 若年性 。2 0代が 9割 と若 い人 が多 く、日 本在留 ベト ナム 人が 多く 、 20代 前半 から 活発 に活動 して いる 。学 生は一 見大 人し く丁 寧で良 い子に 見え る。 講 師 は 「今 、1 5人 が拘 留 され てい る が、 留置 場で は 全 員 、素 直で 優 し い 。 言葉 使い も大人 しく 見え るが 、事 件が起 こる と、形相が 変わ って 殺人鬼 のよ うに なる 」と語 り 、 会場 もシ ーンと なっ た。 会場で は、 平成 25 年8月 26 日に 東京 ・新宿 区 大 久保 の路 上 でネ パール 人男 性が 襲わ れ 、両 足を 刃物 で切 りつけ られ 、重 傷を 負った 事 件 の 他 、ベ トナ ム人 男 性 7 人が 警視 庁に 逮捕さ れた ケー ス。 また、 今 年3月13日、新 宿区 百人 町のアパートで、サイコロ賭博で独り勝ちして帰ろう としたベトナム人 男 性 を殴り、金を奪って逃 走 し、強盗致 傷容 疑で、飲食 店経 営 者 らベトナム人6人 が逮 捕 されたケース、などの凶悪 事件 をま とめ た 写真 付 き 資 料も 回覧 され たが、 大久 保の 事例 では 被 害者 の 足 がナ イフで 傷 つけら れ、 太も もが ぱっく りと 抉ら れた 写真も 紹介 され 、凶 悪事件 の 見過ご しに でき ない 怖さを 実感 させ た 。 警察 庁は 平成 1 5 年1月 か ら「 検 挙に まさる 抑止 無し 」とし て「 街頭 犯 罪 ・ 侵 入 犯罪 抑止 総合 対策 」を 実施 中 。講 師は「 こ れか ら はも っと も っとた くさ んの 外国 人が入 って くる こと によ り イン フラ 犯罪、凶悪 犯罪 が増え るの では と 見 ている 」 と 外国 人犯 罪の 見 通し を 示 した 。 そ の増 加傾 向は ちょ うど 、今か ら 約 20 年前に 中国 人の 急増 ととも に 起 き た 犯 罪 の 増 加 に 似 て い る と い う 。「 今 は 万 引 き が 周 囲 で 起 き て い る が、件数も増えており、侮れない。取締りを強化しなければいけない。 ベトナ ム人 は『 盗られ る方 が悪 い』と犯 罪認識 が無 い 。また 万 引き から ピッキ ング 盗、侵 入盗 へと犯 行が エス カ レート して いっ てい る 」と語 る 。 ◆ 増 え る携 帯 電話 詐欺 事 件 。振 り 込め 詐 欺に 利 用 。転 売 し現 金 化 を 図る ベト ナ ム留 学 生を 入れ る 時は 、紹 介 者を しっ か り見 よ 。 『 日本 警 察は 必 ず検挙し、賄賂もきかず、おっかない』と植え付けて教えてほしい。 平成 15 年、16年 、1 7年 と中 国人 の犯罪 の多 発が 、全国 で続 いた が、今で はベ トナ ム人の 資金 源の 流れ の 確立が 高い 。 万引 きはほ とん ど やっているといってもおかしくないという。携帯電話詐欺事件も多い。 他 人 名 義の 携帯 電話 を転売 し、振り 込め 詐欺に 利用 する ケー スなど もあ る。1 人に 5台 から1 0台 でも 売 り 、1 台は自 分用 に買 い、他 の 携 帯電 話 は買 って すぐ 転売 し 現金 に変 える のだ 。 講師はベトナム人留学生が置かれた危うい留学生生活の一端を次の ように 語っ た。 「 ベト ナム 人は 自分 の買っ たもの を売 って 何 が 悪い」と 全 く犯罪 意識 が無 い 。日本 に来 て悪 くな っ たので はな い 。ベ トナム にい る 時から 不良 のケ ース が多い が、不良 と知 り合っ たば かり に不 良とな って いくケ ース もあ る 。ベト ナム で手 にお え ず、親が 20 0万 円を借 金し て 日 本 語 学校 に送 り出 す。彼ら は、ハ ナか ら 学校で 勉強 する 気は 無い の で 、 す ぐ 不 良グ ルー プと 結びつ く。日本 に夢 を持っ て来 てい るこ とは確 かだ が、 『 日本 に留 学で 行けば 、1 0万円 から 20万 円を 稼ぎ、お父 さん に仕 送りが でき る。 借金 はすぐ 返せ るよ 』と 言われ て来 る 」 「しかし、実際に来てみたら、パラダイスではない。脱落していく。 悪い事 に ど のよ うな 計画で 続け てい こう か、と一 生懸 命、勉強 して いる 子のと ころ に転 がり 込む 。同じ とこ ろに 犯罪者 と勉 強す る子 が同居 して いる 。日 本で 生活 するこ とは 楽し い 。日 本では 友達 と分 け合 えば何 とか 生活で きる 。良 い子 も悪い 子も 助け 合っ て暮ら して いる のが 実状 」 この ため 、講 師は「 ベト ナム から 留学 生を入 れる 時は 、紹介 者を しっ かり見 てほ しい 。地元の 警察 署か ら話 を しても らう こと も必 要です 。ベ トナム 人は 留学 ビザ の資格 で入 国し 『 取 り敢え ず頑 張っ てこ い 』と送 り 出され て 来 る が 、結局 、留 置場 に入 れら れた 学 生を 見て の共 通点は 、皆 ハノイ 育ち で 、 元々 あま り勉強 しな い。 勉強を 苦に して 勉強 しない 。早 い段階 で学 校に 来な くなり 除籍 にな って いる。届出 住居地 に住 んで いな いケー スな どが 多い 」と言 う。 検挙 した ベト ナム 人グル ープ は 、起 訴 されて 順次 、法廷 に 持ち 込ま れ て い る 。 当面 、新 宿 、大 久保 、中 野か ら は凶悪 犯罪 は無 くな ったが 、今 は も う 3次 グル ープ 、4 次グ ルー プが 集 まりつ つあ ると いう 。最 後に 講 師 は「 ベト ナム 警察は 犯人 の扱 い方 が日 本より 厳し いが 、その 反面 、お 金( 賄賂 )が もの を いう 。捕まっ ても 何 とかな ると 思っ てい る。犯罪 を 犯して も 、 誰も 捕まら ない と思 って いる 。しか し、 日本 では誘 拐事 件は 100 %捕 まる よう に、本人 が 犯 罪を 犯 せば 、必 ず捕 まる 。学 生に は『 日 本の警察はおっかない 』と言うことをしっかり植え付けてもらいたい。 皆さん も危 機感 を持 って行 動し てほ しい 。地元 の警 察署と は常 に相 談窓 口を作 って ほし い 。犯罪 を抑 止し 、日本 を守る ため にも ご協 力をよ ろし くお願 いし たい 」と 、日本 語学 校経 営者 に要望 し て 講演 を終 えた 。 ◆ 学 生集 め 、ブ ロ ーカ ー 任せ も テ レ ビ面 接 も 論 外 、面接・試 験 は 必須 に この 後 の 質疑 では「 ど うや って 、犯罪 に走る 学生 とそ うで ない学 生を 見分け るの か 」と いう質 問が 出た が 、松 戸市に ある 日本 語学 校 の 校 長 は 「留学 生 の 受け 入れ には面 接が 大事 。う ちでは 向こ うの 高校 入試に 使う 数学と英語のテストもやっているが、30分も座って いられない子は、 ほとん ど が 万引 きな どの犯 罪 に 走る 。さ らに出 身地 や出 生地 も見て い る 」 と 同校 の 入 試選 抜法 を紹介 、 面 接の 重要 性を強 調し た。 同 様 に さい たま 市に ある 日 本語 学校 の 理 事長 も「 学 生に 作文を 書か せ て見る と 、そ の学 生に 集 中力 が 有 るか 無 いかが 一目 で わ かる 。字 が 綺 麗 かどう か か らも 分か る。いず れに して も 、学 生集 めの ブロ ーカー 任せ で はいけ ない 。テレ ビ面接 など は論 外で 、試験を しっ かり 行う ことが 大事 だ 」と 語り 、留 学生の 受 け 入れ に当 た っ ては、本当 に留 学目的 で来 てい るかど うか 、篩(ふる )い にか ける ため の面接 や入 試の 必要 性を指 摘 し た。 ◆ 佐 賀県 は 語学 留 学生 の 25 % に月 額2 万円 の 奨学 金 を支 給 富 山 県は 大 学、 大学 院 進学 予 定者 対 象 に月 額 3 千 円 を支 給 一方、留学生にとって朗報となる珍しい県レベルの留学生支援制度 を紹介しよう。日本語学校向けの奨学金制度を都道府県レベルで整え ている のは 、 ま だ 富 山県 と 佐賀 県の みだ 。 富 山 県 は県 内の 日本 語教育 機関、高等 専 門学校、短期 大学、大学 及び 大学院 に在 籍す る外 国人留 学生 に対 し、住居費 、生 活費等 の一 部と して 「 富山 県国 際交 流奨 学金 」を「 外 国人 留学 生の生 活の 安定 を図 るとと も に勉学・研究 活動 を促 進し、富 山県 と諸 外国と の国 際交 流・国 際親善 に 寄与す るこ とを 目的 」とし て支 給し てい る。こ のう ち日本 語学 校に 通学 する留 学生 に対 して は、大 学又 は大 学院 への進 学予 定者 を対 象に「 月 額 300 0円 」を 支給 してい る。 一 方 、 佐賀 県は 、日本 語学 校に 学ぶ 留学 生 の2 5% を目 標に 「 月額 2 万円の 奨学 金」支 給 の 意欲 的な 制度だ 。佐賀県 は目 下、 「外 国人と の共 生 による 特徴 ある 地域 づくり 」を 目指 して おり 、その 一環 として 、外 国人 留学生 の学 習環 境の 充実に 取り 組ん でい る。と くに 外国人 留学 生が 佐賀 県内で 意欲 を持 って 勉学に 励め るよ う 大 学や専 修学 校の みな らず、学業 優秀な 日本 語学 校で 学ぶ留 学生 を も 対象 に「グ ロー バルS AG A 奨 学金 」 補助事 業を 、平 成2 6年 度( 20 14 年 度)に創 設し 実 施中 だ 。 「 月に 2 万円の 奨学 金を 支給 」する 制度 だ。 県内 初と なる 同事 業によ る奨 学金 は 、 今年3 月6 日 に 佐賀 県鳥栖 市 にある 日本 語学 校 「 学校法 人弘 堂国 際学 園 」( 山本 由子 理事 長) で 学 ぶ在校 生 に 送ら れた 。奨学 金授 与式 が同 校で 行 われ 、 同 日行 われた 卒 業 式 の 後に 、山 本由 子理事 長か ら韓 国や フィリ ピン など 4カ 国、5 人 の在校 生に 「奨 学生 認定証 」が 渡さ れた 。 奨学 金制 度は 昨年 10月 に 入学し た留 学生 から 適用と なっ たも ので 、 今年 3月 分 ま での 半年分 計 12万 円が それ ぞれ の学生 に 贈 られ た。 同ニュ ース を 報 じた 3月7 日付 け朝 日新 聞によ ると 、 ネ パー ル の男 子留学 生、 スレ スタ ・ディ パッ クさ ん( 26) は、 月の 生活 費が1 0 万円。 弁当 作り のア ルバイ トを しな がら 日本語 を学 び、 九州 の国立 大 学入学 を目 指し てい るが、 県の 奨学 金補 助制度 はと ても 励み にな っ て お り 「 奨学 金 は とて も助か る 。 これ から もっと 頑張 りた い」 と話し て いる。 「卒 業生 、在 校生の 生き 生き 溌剌 たる 姿を見 て涙 が出 まし た」と いう 奨学金 授与 式に 出席 した白 井誠 佐賀 県 前 国際戦 略統 括監( 現県 スポ ーツ 文化部 長 )は「 グロー バル SA GA 奨学 金 」補 助事 業 の 意図 をこう 語る 。 「この奨学金制度は平成23年から始めた佐賀県の国際戦略の一環 で ホッ プ、ステ ップ、ジャ ンプ の中 のス テップ 段階 の試 みで す。こ れま で 佐賀 県は『 世 界とつ なが る佐 賀県 』を 目標に 経済 面の 充実、 県に 何を 持って来れるかというギブ&テイクのテイクばかりに目を向けて来た が『こ れで はい けない 。ギ ブが 大事 だ。佐賀県 とし て世 界の 人に何 をし てあげ られ るか 』という ギブ に力 点を 置 いたの が 、今 回の 奨学金 制度 で す。人口減少の世にあって多文化共生を図って行こうという狙い です」 ◆佐 賀県の弘 堂国際学 院が導入 した「加 点・減点主 義による 学校規則 」 県 支 給 の奨 学 金 選 択基 準 を 、 誰 が見 て も 公平 を 期せ る よう 創設 図 る 留学 生 の学 力 と生 活態 度 の向 上 を狙 っ て 設け 、 4月 か ら実 施中 この「 グロ ーバ ルSA GA 奨学 金 」支 給の対 象と なる 留学 生を選 択す るのは 、日 本語 学校に まか され てい る。そこで 、そ の選 択基準 とな る仕 組みを 誰が 見て も公 平を期 せる よう にす るため に、弘堂国 際学 院が 今年 4月か ら導 入し たの が「 加点 ・ 減 点主 義 による 学校 規則 」だ 。こ れま で 留学生指導に応用した様々な指導基準を解りやすく体系化したものだ。 留学 生の プラ ス面 を見る 加点 項目 より も 、マ イナ ス面を 見る 減点 項目 が厳し くか つ多 い。留 学生 の学 力 と 生活 態度の 向上 を狙 って 設けた もの だ が 、留 学生 を正 しく導 き 、犯 罪の 抑止 に も資 する 一面 を持 つ ユニ ーク で 優れ た制 度だ 。まさ に「 グロ ーバ ルS AGA 奨学 金」の支給 を 誰 に 決 め るか は、 加点 制が 利用さ れる 。 先ず 厳し い大 前提 を紹介 しよ う。 留学 生は、 -2 点 を 取ると 「担 任面 談 」と なる。同じ く - 4点 にな ると「 主 任・担 任面 談」。- 6点は「事 務 長面談 」。-8 点は「校長 面談 」。-9 点 は「退 学、除 籍勧 告 」。- 10 点 は「 退学 、除 籍⇒ 帰国 」となる 。留学 生 には二 重 、三 重に反 省と 猶予 の 時間を 与え てい るの も大事 な特 徴だ 。 ◆家 賃・水道 光熱費不 払い-1 点、土足 入室-1点 、遅刻・ 作文1枚 、 無 連絡 遅 刻連 続 3日 以 上- 2 点以 上 、無断 外 泊- 3 点 、警 察 沙汰 -6 点以上 学校規 則 は とに かく 細かい 。か ゆい 所に 手が届 くほ ど目 配り されて い る 。 内 容は 以下 の通 りだ。 ( 寮 で の規 則 ) ① 家賃・ 水道 光熱 費を 期日ま でに 支払 わな い(- 1点 )。 ② 外で履 いた 靴で その まま部 屋の 中に 入る (-1 点 )。 ③ 隣近 所の 迷 惑に な るよ うな こ とを す る ( -1 点 )。 例 えば 騒音 、 ゴミ の分別 、ア パー ト周 りのポ イ捨 てな ど 。 ④ 異性や 外部 者を 部屋 に入れ る( -2 点)。 ⑤ 近隣 から ク レー ム を実 際に 受 けた ( -4 点 )。 部屋 の 契約 者、 パ ーテ ィーの 主催 者 、クレ ーム を受 けた 際に部 屋にい た人 全て が対 象にな る 。 (教 室 ・授 業 での 規則 ) ① 遅刻す る ( 作文 1枚 )。 ② 当日に 遅刻 の作 文を 書かな い ( 作文 が1 枚加算 され る )。 ③ 欠 席( 作文 2枚 )。 ④ 翌日に 欠席 の作 文を 書かな い ( 作文 が1 枚加算 され る )。 ⑤ 在留カ ード ・学 生証 不携帯 (作 文1 枚 )。 ⑥ 教室内 飲食( 原則 当日だ が 、理 由が ある 場合 、1 週間 以内 に清掃 活動 3 0分 〈 庭 の草 取り など 〉)。 ⑦ 連絡な し遅 刻が 連続 3日以 上( -2 点以 上)。 ⑧ 連絡な し欠 席が 連続 3日以 上( -2 点以 上 、欠 席日 数分 の作 文 )。 ※ 6日 連続 で休 むと -4点 にな る。 欠席 2日目 で部 屋訪 問。 ⑨ 2日 休ん で 、そ の 間ア ルバ イ トに 行 って いる (- 1 点 )。 2日 連 続で 休んだ とこ ろで 報告 。アル バイ トの 出勤 状況を 確認 する 。 ⑩ 特別 な理 由 なく 1 ケ月 の宿 題 提出 率 が7 0% 未満 で ある ( -2 点 )。 宿題提 出率 70 %未 満が3 ケ月 続い てい る場合 、アル バイト をや める 。 ⑪ 上記と 関連 して、長期 休み までに 未提 出 の宿題 があ る。長 期休 み中 の 補講― 担任 と未 提出 の宿題 の提 出約 束日 を決め る 。そ の期日 に1 日遅 れるご とに 補講 を1 週間延 ばす。1日 2 時間の 補講 をす る。補 講を ま とめて 取る こと はで きない 。 ⑫ 授業中 の居 眠り( 注意 2回 目で 出席 簿に“ ネ”欠 課〈1 時間 減る 〉に )。 ⑬ 携帯電 話の 使用 。先生 に携 帯電 話を 出し ていな かっ た(“ネ ”欠 課 に )。 ⑭ タイム カー ドを 意図 的に隠 す( -1 点)。 ⑮ タイム カー ドの 打刻 を友人 に頼 むな どの 行為( -1 点)。 ( 学 校 規則 ) ① 特別 な理 由 なく 出 席率 が8 0 %を 下 回る (- 2点 )。 出席 率8 0 %以 下が3 ケ月 続い てい る場合 、ア ルバ イト をやめ る 。 ② 学費を 期日 まで に払 わない (- 2点 )。 ③ 無断外 泊( -3 点 、 外泊日 数×1 日2時 間の補 講1 週間 )。 ※サボ った ら、 サボ った日 数×1 週間の 延長。 ④ 無断帰 国(- 4点 。卒 業証 書では なく 、学習証 明書 にな る。社会 見学 旅行に 参加 でき ない 。推 薦を 出し て 、進 学先が 決ま って いた 場合 、推 薦取り 消し を報 告す る。そ れま での 加点 は0点 とな り、以 後加 点 な し )。 ⑤ 外泊・帰 国の 期日を 守ら なか った 場合( -2点 、遅れ た日数 分×1 日 2時間 の補 講1 週間 、サボ った ら④ と同 様延長 )。 ⑥ 喧嘩 をす る (- 2 点以 上 。 手 を出 し た場 合、 -4点 以 上と なる 。 それ までの 加点 は0 とな る )。 ⑦ 学内 ・寮 内 で盗 難 及び 器物 損 壊( - 4点 以上 )。 そ れ まで の加 点 は0 点とな り、 以後 加点 無し。 ⑧ 引越し をし た際、部屋 の契 約書、転居届 及び在 留カ ード の住 所変更 を 2週間 以内 に行 わな かった 場合 (- 1点 )。 (外 の 規則 ) ① 自転車 に乗 って 、傘・携帯 電話・イヤ ホ ンをす る 、二 人乗 り、無灯 火 など の交 通 違反 行 為( -1 点 )。学 生に 通知 した 後 、減 点 (本 人が 減 点さ れた こ とを 自 覚し てお く )。2 人乗 りは 両方 が 減点 の 対象 とさ れ る。 ② 加害 者と し て交 通 事故 を起 こ す( - 6点 )。そ れま で の加 点は 0 とな り、以 後加 点な し。 ③ 警察沙 汰を 起こ す(-6 点以 上 。そ れま での加 点は 0と なり 、加 点 な し )。 ( ア ル バイ ト の規 則 ) ① アルバ イト を勝 手に やめて 、学 校に 苦情 が来た 場合 (- 1点 )。 ※ 上記の記 載に 当て はま らな くても 、日 本の法 律・規則・留学 生に 相 応しく ない 行い があ った場 合に は、 検討 し減点 して いく こと がある 。 ◆ 日 本語 能 力試 験 合格 + 1点 以 上 、N 2 以上 合 格+ 2 点 、ス ピ ーチ コン テス ト 優秀 賞 + 1 点 、最 優 秀賞 + 2点 、1ケ 月 の宿 題 提出 率と 出 席率 が 共に 1 00 % +1 点 、 弘 堂国 際 学院 ボ ラ ンテ ィ ア活 動 3回 参加 + 1点 一方 、加点 の方 は簡素 だ 。以 下の 場合 に 加点さ れる 。加点 された 点は 、 奨学金 選抜 の際 に利 用され る の がミ ソだ 。 (寮 で の規 則 ) ① 家賃・ 水道 光熱 費の 支払い の期 限を 6ケ 月間守 った 場合 (1 点)。 (教 室 ・授 業 での 規則 ) ① 日本語 能力 試験 及び 日本留 学試 験を 受験 した場 合( 1点 )。 ② 日本 語能 力 試験 に 合格 した 場 合( 1 点以 上 )。 N3 合 格 は 1点 。 N2 以上に 合格 は2 点 。 ③ 日本留 学試 験に おい て平均 点以 上を とっ た場合 (2 点)。 ④ クラス 内の まと めテ ストで クラ ス1 位を とった 場合 (1 点)。 ⑤ 1ケ月 の宿 題提 出率 と出席 率が 共に 10 0%だ った 場合 (1 点)。 (学 校 での 規 則) ① 学校行 事に おい て貢 献し、 職員 全員 が賛 同した 場合 (1 点)。 ② スピ ーチ コ ンテ ス トに おい て 賞を も らっ た場 合( 1 点以 上 )。 優 秀賞 1点、 最優 秀賞 2点 。 ③ 学校か ら感 謝状 をも らった 場合 (3 点)。 (外 の 規則 ) ① 警察 から 感 謝状 を もら った 場 合( 6 点)。例 えば 、 犯人 逮 捕に 貢献 し た場合 など 。 ② C VG に3 回参 加し た場合 (1 点 )。 ※ こ のCV Gは 弘堂 国際 学園 の「 C 」、ボラン ティ アの「 ⅴ 」、グル ー プ の 「 G 」か らな るボラ ンテ ィア 活動 を 指す 。例え ば 、同 校では 寮の 周 りの草 むし りを して 綺麗に した り、学校 から駅 まで の道 端の 煙草の 吸殻 を拾っ て綺 麗に する ボラン ティ ア活 動を グルー プで 行っ てい る。 さて 、この 弘堂 国際 学園 の「 加点・減 点 主義に よる 学校 規則 」の 成果 は 、今 年4 月以 来、約 4カ 月が 経過 した が 、い かな る効 果を発 揮し てい る か 、山本 由子 理事 長に 伺っ た。山本 理 事長は「例 えば 、 誰もが 土足 で 寮に入 らな いと か 、はっ きり とそ の成 果 が現れ てい ます 」と回答 して く れた。 そもそ も 、こ の「 加点・ 減点 制度 」を 作 った理 由は 、それま で同 校に はペナ ルテ ィ制 度は あった が、基準 がは っきり と定 まっ てい なかっ たた めに 、適用 に微 妙な 差が 出て いた 。山 本 理事長 は「 それ まで は 何 故、私 がぺナ ルテ ィを 食わ ねばな らな いの か 。どこで 線引 きが 行な われて いる のかわ から ない 部分 が 多か った 。逆に 先 生の方 も 、ペ ナル ティを 課し て いいも のか どう か、先 生に よっ て判 断に どうし ても 曖昧 な 差 が出て 困る ことが あっ た。 この 悩み を解 消する ため に、皆で考 えぬ いて 、こ の 『 加 点・減 点制 度 』を作り あげ た次 第 で すが 、自然 と線 引き の基準 が目 に見 える形 でわ かり 、素 晴らし い効 果を 挙げ ていま す」 と語 る 。 また、減点 だけ でな く、加 点制 度を 加え たのは「加 点制 度が あるお 蔭 で、学 生の 励み にな るから です 」 佐賀県 の場 合は 、留 学生 の2 5%に「 奨 学金 」がで る 。山 本理事 長は 「20 0人 いる と、5 0 人 。奨 学金 は月 に2万 です から 、学生 にと って は本当 に助 かり ます 。本 校で は 、ボ ラン ティア 活動 を 3 回す ると1 点と か、スピ ーチ コン テスト で優 秀賞 をも ら うと1 点 、最 優秀 賞だと 2点 と か色々 加点 制度 を定 めてお り、これ を県 の奨学 金選 抜の 判断 材料に して いて 、学 生 に とっ ても発 奮材 料に な り 、勉強の 励み にも なっ ている よう で す 」 と加 点制 度も 加えた 理由 を説 明し てくれ た。 地元の 警察 署や 留学 生を抱 える 大手 のマ ンショ ン業 者も「これ はと て も良い 制度 です」と 学 校規 則を 参考 資料 として 貰っ てい くほ ど好評 を得 ている 。賞罰 をは っきり させ るこ とは 、古来か らの 人材 育成 の重要 なポ イント だが 、 既 視化 で不公 平を 無く し 公 平感 を 重視 した 所が 秀逸だ 。
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