ISO と食品

ISO と食品
農場からフォークまでの品質と安全性
ISO の食品規格は、我々が飲み食いする製品に信頼性をもたらす。
ISO の食品規格は、農場から輸送・配達まで、製造から小売り・サービスま
で、消費者から規制当局・研究所までの、食料供給網の全ての構成員に便宜を
提供する。
ISO は、関係する全ての利害関係者が、最善の規範、最新の技術および安全
性と品質の確保を共有するようにする。
あなたは知っていますか?
ISO 3591 は、ワインを味わうグラスの大きさを決めている。喝采!
ISO 7304 は、スパゲッティの茹で時間を決めている。十分に召し上がれ!
ISO 3103 は、完璧な紅茶の入れ方を説明している。ミルクはどうしますか?
世界の食料供給網のための国際規格
急速に増加する世界人口の需要を満たすことは、我々が適切な方法で資源を
最大限に活用するため、食料供給網の効率性とともに、食品の品質と安全性を
推進する国際規格を求めている。
ISO – それは何で、何を達成するか
ISO(国際標準化機構)は、業界、政府および社会に便宜を提供している自
主的な国際規格の世界最大の開発者である。ISO は 163 ヶ国の規格研究所から
構成される連携網である。ISO 規格は、我々が住んでいる世界に積極的貢献を
果たしている。それは、品質、生態、安全性、信頼性、適合性、相互運用性、
効率性と有効性などの不可欠な性状を、しかも安価で確保する。貿易を促進し、
知識を広げ、技術的進歩と適正管理規範を共有する。
食品にとって何故 ISO 規格か?
食料製品は、農場からフォークまでの食料供給網の各段階で、現在かつてな
い規模で国境を普通に超えている。ISO 国際規格は、食品の品質、安全性およ
び効率性の良い同じ調理法を世界が使用することによって、我々が飲み食いす
る製品の信頼性を生み出す。
農業生産者から食品加工業者、研究機関、規制当局、消費者など関係する全
ての利害者との共通の理解と協力を通して、実用的手法を開発する基盤を ISO
は提供する。加盟国の連携網を通した活動は、世界で第一線の専門家を一緒に
し、その規格を先進国と発展途上国の両方に普及する。
ISO 規格は、たとえば環境に対する悪影響が少ない新技術についての最適な
規範を普及することによって、持続可能性と気候変動のような国際的課題に取
組むための強力な手段となる。
自主的な ISO 規格の実施によって、企業は、品質、透明性、説明責任およ
び安全性に立脚する原則に対して先進的関与を果たすことになる。
誰が ISO 規格かの便宜を受けるか?
業界:農家、製造業者、小売業者およびサービス業者は、様々な市場のため
多数の仕様書と要求事項を満たさなくて良いという便宜を受ける。ISO 規格は、
企業の競争力を高め、国際貿易を推進する。彼らは、企業が再改革する必要が
ないように最適な規範と新しい考えを普及する一方で、最新技術への市場アク
セスを促進する。
規制当局:規制当局は、市民の期待を満たす市場に適した規制のための技術
的基礎として、継続的に見直されて改善される信頼できる国際的に統一された
解決策に頼ることができる。
消費者:ISO 規格は、全世界の消費者を保護するために、製品の安全性と品
質を確保する。それらは、栄養価、表示と説明、味、衛生、遺伝子組換え生物、
添加物の規制値、農薬、汚染物質などの消費者が懸念する問題を取組んでいる。
食料安全保障
増加する世界人口と都市化は、食習慣を進化させ、バイオ燃料の需要増加は、
食料安全保障を確保するための深刻な課題を提示している。現在、推定 10 億人
が飢餓に置かれている。灌漑と農業機械などの最先端の食料生産技術の国際規
格は、生産工程を最適化し、全世界の農業者と製造業者が最新の技術革新を利
用できるようにし、栄養価の高い食品の入手を高め、費用削減をもたらしてい
る。
食品の安全管理
ISO は、食料供給網のあらゆる組織が使用可能な食品の安全監視システムの
一連の規格を開発している。
それには以下が含まれる
• ISO 22000:2005: 包括的要件(2010 年末までに 138 ヶ国で約 18,630
件の認証が発行されている)
• ISO/TS 22002-1:2009: 食品製造のための特別な前提要件
• ISO/TS 22002-3:2011: 農業のための特別な前提要件
• ISO/TS 22003:2007; 監査と認証の組織のための指針
• ISO 22004:2005: ISO 22000 を適用するための手引き
• ISO 22005:2007: 飼料および食料の供給網における遡及可能性
食品にとって ISO 規格は何か?
農業機械から諸設備まで、輸送から加工まで、品質と安全性から管理と遡及
調査まで、表示と包装から保管まで、ISO 規格は食料と飼料の供給網の全ての
段階を網羅している。
全部で約 19 000 件の現在の ISO 規格の内約 1 000 件が食品をとくに対象と
するもので、それらの大半は次の技術委員会(TC)で作成された。
• 食料製品(ISO/TC 34): 穀物からコーヒーまで、スパイスからミルクと
チーズまで、実質的に全ての生産物について、一次生産から消費までの食品と
飼料の供給網を網羅する。800 件近くの規格が、食品および動物飼料に関わる用
語、検査、解析とサンプリング方法(官能解析を含む)、製品仕様、品質管理と
包装要件、ならびに保管と輸送を規定している。その最近の作業は、食品照射、
遺伝子組み換え生物の検出および分子生物学的マーカーと取組んでいる。
精油(ISO/TC 54): 食料製品、香料、化粧品、森林浴療法、芳香療法など
に使われる精油に焦点を当てている。120 件以上の ISO 規格が、検査、輸送、
表示、命名、用語などの品質保証に役立っている。
澱粉とその複製品(ISO/TC 93): ジャガイモ、トウモロコシ、小麦などの
食料に含まれ、澱粉は世界の一日摂取カロリーの約半分を占め、その製品は全
世界の最も重要な農産業の一つである。ISO 規格は、業界のために重要な解析
法を提供している。
漁労と養殖(ISO/TC 234):この部門の持続的発展を推進する目的;地域環境
に適した技術設備の概要を特定;水産資源の調査と管理の改善;用語と採材方
法の国際的合意の取り付け;安全性の確保。開発中の規格の例には、養魚場の
海底への影響の環境監視(ISO 12878)および禁漁・捕り尽くし率の計算方法
(ISO 16566)が含まれる。
メラミンとミルク
2008 年に、メラミンによって汚染されたミルクを飲んだ後、多くの子供達
が深刻な病気になり、死亡した。この危機への対応において、ISO と国際酪農
連盟は技術仕様 ISO/TS 15495 を準備し、それは、乳製品の整合性と安全性を
確保し、将来の事件を防ぐために、メラミンの存在を確認する国際的に認めら
れた堅牢な手段を、規制当局、製造業者および生産者に提供した。
ISO の協力者
国際規格の開発は、単独で実施できない。ISO 規格の値は、業界、政府、研
究者、学界、国際機関、ならびに消費者や中小企業を含む全ての利害関係者を
代表する NGO からの貢献を統合する多くの利害関係者の取組みに大きく依存
している。
ISO は、コーデックス食品規格委員会(CAC)、食糧農業機関(FAO)、国
際食品安全イニシアチブ、国際酪農連盟、世界保健機関(WHO)などの食品業
界の主要な組織と密接に共同作業を行っている。
コーデックスにおける ISO のオブザーバーの地位は、コーデックスの作業
に採用、使用される様々な ISO 規格と関連する問題の調整のための機会を提供
している。ISO は、世界貿易機関の「貿易の技術的障壁委員会」と「衛生植物
検疫措置に関する委員会」においてオブザーバーの地位を持っている。
ISO の情報源
ISO のウェブサイト(英語、フランス語、ロシア語、その他の国語)
www.iso.org
ISO の Focus+雑誌(英語、フランス語で年 10 回発行)
www.iso.org/iso/iso-focus-plus
ISO videos youtube
http://www.youtube.com/user/PlanetISO
証明済みの便益
規格の便益に関する研究において、シンガポールの大規模なスーパーマーケ
ットチェーン、NTUC Fairprice は、たった 4 つの規格を使用することによっ
て、業務効率を大幅に増やすだけでなく、過去 10 年間で 1360 万ドルの節約に
導いたと推定した(Benefits of standards: the ISO materials)。