過灌流症候群高リスク例に対する頚動脈ステント留置

患者さんへ
患者さんへ
「過灌流症候群高リスク
過灌流症候群高リスク例
リスク例に対する頚動脈
する頚動脈ステント
頚動脈ステント留置術
ステント留置術に
留置術に関する
後ろ向き研究」
研究」
についてのご説明
についてのご説明
1. 臨床研究について
それぞれの病気の診断や治療は、長い期間をかけて進歩・発展してきて現在の方法になっ
ています。また、より効果的で安全な治療を患者さんにお届けするためには、これからも医
療の進歩・発展は重要なことです。このような診断や治療の方法の進歩・発展のためには多
くの研究が必要ですが、
その中には健康な人や患者さんを対象に実施しなければならないも
のがあります。これを「臨床研究」と言います。臨床研究は患者さんを始めとした多くの方々
のご理解とご協力によって成り立つものです。
臨床研究にはいろいろな種類がありますが、今回ご説明する研究は「観察研究」と呼ばれ
ているものです。これは、新しいお薬や治療法を試す研究ではなく、現在、標準的と考えら
れている治療を行い、その結果を「観察」させていただくものです。つまり、今のあなたの
病気の状態からみた標準的な治療を行い、その治療前、治療中あるいは治療後のあなたの身
体所見や検査結果などをデータとして集めさせていただきます。
これらのデータを分析する
ことにより、病気の原因の解明やよりよい治療方法の開発に役立てようとするものです。し
たがいまして、通常の治療を行いながら、あなたのデータを利用させていただくことが、今
回の臨床研究でお願いすることです。
なお、この臨床研究は、香川大学医学部の「倫理委員会」で厳密な審査を受けており、そ
の承認により実施するものです。
2. 研究機関の名称及び研究責任者の氏名
【研究責任者】
岡内 正信
香川大学医学部附属病院脳神経外科・助教
【研究分担者】
田宮 隆
香川大学医学部附属病院脳神経外科・教授
川西 正彦
香川大学医学部附属病院脳神経外科・講師
新堂 敦
香川大学医学部附属病院脳神経外科・学内講師
【共同研究機関】(主幹機関名:岡山大学)
飯原 弘二
九州大学 脳神経外科
伊藤 靖
新潟大学脳研究所 脳神経外科
大石 英則
順天堂大学 脳神経外科
小笠原 邦昭
岩手医科大学 脳神経外科
坂井 信幸
神戸市立医療センター中央市民病院 脳神経外科
杉生 憲志
岡山大学 脳神経外科
早川 幹人
国立循環器病研究センター 脳血管内科
松丸 祐司
虎の門病院 脳神経血管内治療科
山上 宏
国立循環器病研究センター 脳神経内科
吉村 紳一
兵庫医科大学 脳神経外科
ほか
3. 研究の目的及び意義
この臨床研究は、過灌流症候群(cerebral hyperperfusion syndrome: CHS)高リスクの
頚動脈狭窄症に対して待機的に血管内治療による血行再建術(頚動脈ステント留置術
[carotid artery stenting: CAS] または経皮的血管形成術 [percutaneous transluminal
angioplasty: PTA] )を実施された患者さんにおける、過灌流症候群発症に関与する因子
を検討し、過灌流症候群を予防しうる治療戦略を明らかにするのが目的です。
4. この研究の方法
(1) 対象となる患者さん
この研究の対象となるのは、20歳以上のアテローム性動脈硬化による頚動脈狭窄症に対
し、2007年10月1日から2014年3月31日までに待機的に血管内治療による血行再建療法(CAS
またはPTA)が施行され、治療前にCHSの危険性を判定する何らかの画像検査を施行されて
CHS高リスク例と判定されている方です。
(2) この研究で行う観察・検査・報告項目
本研究で調査する項目を以下に示します。
(1) 各参加施設における治療関連情報(治療症例数、診断基準など)
① 調査対象期間における治療症例数、病変数
② CHS 高リスクの診断基準
(2) 術前基本情報
① 患者情報:被験者識別コード、年齢、性別、治療側(右/左)、身長、体重
② 既往歴・現病歴
初回血管内治療以前180日(6カ月)以内の、対象病変に起因する虚血性脳血管障害の有無
最終発作年月日
術前の日常生活自立度:mRS(modified Rankin Scale)スコア(0~5)
併存疾患の有無等:
高血圧、糖尿病、脂質異常症、冠動脈疾患、血液透析、喫煙習慣
血清クレアチニン値(mg/dL、術前7日以内の採血データ)
血小板数(×104/μL、術前 7 日以内の採血データ)
③ CHS高リスク判定のための術前画像検査
施行検査
CHS高リスクの診断根拠
施行年月日
④ 定量SPECT施行例について
施行年月日
核種(123I-IMP、99mTc-ECD、99mTc-HMPAO、その他)
⑤ 頚動脈狭窄部の病変性状
1) 頚動脈超音波検査:プラークの主たる性状、狭窄率(%)、最狭窄部血流速度(cm/s)
2) 血管撮影:狭窄率(%)、最狭窄部径(mm)、内頚動脈錐体部径(mm)
3) 頚動脈MRI:粥腫の信号輝度
4) 対側内頚動脈病変:閉塞有無、高度狭窄有無
⑥ 当初予定していた治療戦略
(3) 一期目の血管内治療(一期的CASおよびPTA)に関する調査項目
① 治療年月日
② 麻酔方法(局所麻酔/ 局所麻酔+鎮静/ 全身麻酔)
③ CAS/PTAの詳細
1) 遠位塞栓防止デバイス、近位塞栓防止デバイスの有無
2) ステント種類、ステント径(mm)、ステント長(mm)
3) 使用最大バルーン径(mm)、術直後残存狭窄率(DSAで評価、NASCET法)、術直後最小血
管径(mm)
④ 抗血栓療法等に関する調査項目
1) 術前(術前日~当日)投与薬剤
a) 経口抗血小板薬
b) 経口抗凝固薬
c) 静注抗血小板療法
d) 静注抗凝固療法
e) スタチン有無
f) エダラボン有無
2) 術中投与薬剤
a) ヘパリン:術中総投与量、最大活性化全血凝固時間(ACT [秒])
b) エダラボン有無
3) 術後(術直後~術後30日まで、ただしCHS発症例は術直後~CHS発症直前まで)投与薬剤
a) 経口抗血小板薬
b) 経口抗凝固薬
c) 静注抗血小板薬
d) 静注抗凝固薬
e) スタチン有無
f) エダラボン有無
g) 術後の鎮静または全身麻酔の有無、人工呼吸管理有無
⑤ 血圧・脈拍の管理と推移に関する項目
1) 治療開始時(または入室時)・治療終了時(または退室時)の血圧および脈拍
2) 術中:静注降圧薬の使用有無
3) 術後(術直後~術後30日まで、ただしCHS発症例は術直後~CHS発症直前まで):静注降
圧薬の使用有無
⑥ 周術期イベントおよび転帰
1) 周術期イベント有無
「あり」の場合
a) イベント内容:一過性脳虚血発作、脳梗塞、脳出血、過灌流症候群、大出血、心筋梗塞、
死亡
b) 周術期転帰(術後30日における日常生活自立度:mRSスコア)
c) mRSスコア悪化ありの場合:主たる原因
⑦ CHS発症例について
1) 発症年月日
2) 発症時血圧/脈拍、発症時静注降圧薬投与の有無、発症時鎮静または全身麻酔の有無、
発症時人工呼吸管理の有無
3) 術後過灌流現象の診断に用いた画像検査
施行検査
過灌流現象の診断根拠
施行年月日
4) 治療:静注降圧薬有無、鎮静または全身麻酔有無、人工呼吸管理有無、抗痙攣薬有無、
エダラボン投与有無、外科治療有無
(4) 二期目の血管内治療(SAP例におけるCAS)に関する調査項目
① 二期目術前の頚動脈狭窄部の病変性状
1) 頚動脈超音波検査:施行年月日、狭窄率(%)、最狭窄部血流速度(cm/s)
2) 血管撮影:狭窄率(%)、最狭窄部径(mm)、内頚動脈錐体部径(mm)
② 二期目の血管内治療に関する項目
上記(3) ①~⑦と同様の項目につき記入する。
5. 研究対象者に生じる予測されるリスクおよび利益
本研究は後ろ向き観察研究であり、本研究において有害事象などの問題は発生せず、危
険性はありません。情報リスクについては「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」
に基づき、個人情報の保護に対して最善の配慮と対応をします。
6. 研究実施予定期間と参加予定者数
(1) 実施予定期間
研究期間は倫理委員会承認日~2016年3月31日です。
データ収集の対象となる期間は 2007 年 10 月 1 日~2014 年 3 月 31 日です。
(2) 参加予定者数
この研究全体での目標症例数は 1000 例で、香川大学における目標症例数は 20 例です。
7. 研究参加についての同意および同意の撤回について
本研究にご自身の診療情報を利用されたくない場合、11.の連絡先までご連絡ください。
その場合、あなたが不利益を受けることは一切ありません。
8. 研究に関する情報の公開について
この研究で得られたデータは、学会・医学雑誌などに公表されることがありますが、あな
たの名前などの個人的情報は一切わからないようにしますので、
プライバシーは守られます。
また、この研究で得られたデータが、本研究の目的以外に使用されることはありません。
9. 個人情報の取扱いについて
この研究にご参加いただいた場合、あなたから提供された診療情報などのこの研究に関す
るデータは、個人を特定できない形式に記号化した番号により管理され、研究事務局(岡山
大学 脳神経外科)に提出されますので、あなたの個人情報が外部に漏れることは一切あり
ません。
また、この研究が正しく行われているかどうかを確認するために、治験審査委員会など
が、あなたのカルテや研究の記録などを見ることがあります。このような場合でも、これ
らの関係者には、記録内容を外部に漏らさないことが法律などで義務付けられているため、
あなたの個人情報は守られます。
なお、この研究で得られたデータは、研究終了 5 年後にはすべて廃棄いたします。その
際も、個人情報が外部に漏れないよう十分に配慮いたします。
10.研究に係る資金源等及び本研究に伴う利益相反と知的財産権について
利益相反については、香川大学医学部臨床研究利益相反委員会に申告し、確認を受けて
います。利益相反の有無に拘わらず、患者さんの不利益につながることはありません。
本研究の結果が特許権等の知的財産を生み出す可能性がありますが、その場合の知的財
産権は香川大学および主幹研究機関である岡山大学に帰属します。
11.患者さん及びその関係者からの相談等への対応について
あなたがこの研究について知りたいことや、心配なことがありましたら、遠慮なく下記の
相談窓口にご相談下さい。
ご希望により本研究計画および研究の方法に関する資料の一部を
閲覧することも可能です。
【研究担当者】
田宮 隆
香川大学医学部附属病院脳神経外科
教授
川西 正彦
香川大学医学部附属病院脳神経外科
講師
新堂 敦
香川大学医学部附属病院脳神経外科
学内講師
○岡内 正信
香川大学医学部附属病院脳神経外科
助教
(○ 研究責任者)
【連絡先】
香川大学医学部附属病院脳神経外科
住
所:香川県木田郡三木町池戸 1750‐1
電
話:087-898‐5111(代表)AM8:30~PM5:15
087-891-2207(脳神経外科)
12. 経済的負担又は謝礼などについて
ご参加いただくにあたって、あなたの費用負担が通常の診療より増えることはありませ
ん。なお、ご参加いただくにあたっての謝金などのお支払いもありません。
13. この研究に関する情報の提供について
この研究は、標準的な治療を行いながらデータを利用させていただくものですが、あなた
の安全性や研究への参加の意思に影響を与えるような新たな情報が得られた場合にはすみ
やかにお伝えします。
あなた個人の検査データについては、通常の診療と同様に、結果がわかり次第お知らせい
たします。
また、この研究に関して、研究計画や関係する資料をお知りになりたい場合は、他の患者
さんの個人情報や研究全体に支障となる事項以外はお知らせすることができます。研究全体
の成果につきましては、ご希望があればお知らせいたします。いずれの場合も担当医師にお
申し出ください。