解答例+引用題PDF

2013 九州大学(理系)前期日程
1
問題
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a > 1 とし, 2 つの曲線
3
y = x ( x≧0 ) , y = a
x
( x>0 )
を順に C1 , C2 とする。また, C1 と C2 の交点 P における C1 の接線を l1 とする。以下
の問いに答えよ。
(1) 曲線 C1 と y 軸および直線 l1 で囲まれた部分の面積を a を用いて表せ。
(2) 点 P における C2 の接線と直線 l1 のなす角を θ ( a ) とする ( 0 < θ ( a ) < π ) 。この
2
とき, lim a sin θ ( a ) を求めよ。
a →∞
−1−
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2
問題
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1 辺の長さが 1 の正方形 OABC を底面とし, 点 P を頂点とする四角錐 POABC が
!!!" !!!"
!!!" !!!"
ある。ただし, 点 P は内積に関する条件 OA ⋅ OP = 1 , および OC ⋅ OP = 1 を満たす。
4
2
辺 AP を 2 : 1 に内分する点を M とし, 辺 CP の中点を N とする。さらに, 点 P と直
線 BC 上の点 Q を通る直線 PQ は, 平面 OMN に垂直であるとする。このとき, 長さ
の比 BQ : QC , および線分 OP の長さを求めよ。
−2−
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3
問題
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横一列に並んだ 6 枚の硬貨に対して, 以下の操作 L と操作 R を考える。
L:さいころを投げて, 出た目と同じ枚数だけ左端から順に硬貨の表と裏を反転
する。
R:さいころを投げて, 出た目と同じ枚数だけ右端から順に硬貨の表と裏を反転
する。
たとえば, 表表裏表裏表 と並んだ状態で操作 L を行うときに, 3 の目が出た場合は,
裏裏表表裏表 となる。
以下,「最初の状態」とは硬貨が 6 枚とも表であることとする。
(1) 最初の状態から操作 L を 2 回続けて行うとき, 表が 1 枚となる確率を求めよ。
(2) 最初の状態から L, R の順に操作を行うとき, 表の枚数の期待値を求めよ。
(3) 最初の状態から L, R, L の順に操作を行うとき, すべての硬貨が表となる確率を
求めよ。
−3−
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4
問題
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原点 O を中心とし, 点 A ( 0, 1) を通る円を S とする。点 B ( 1 ,
2
3 で円 S に内接
)
2
する円 T が, 点 C で y 軸に接しているとき, 以下の問いに答えよ。
(1) 円 T の中心 D の座標と半径を求めよ。
(2) 点 D を通り x 軸に平行な直線を l とする。円 S の短い方の弧 AB, 円 T の短い方
の弧 BC, および線分 AC で囲まれた図形を l のまわりに 1 回転してできる立体の
体積を求めよ。
−4−
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5
問題
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実数 x, y, t に対して, 行列
⎛ 5
⎛ x
y ⎞⎟
4 ⎟⎞
A = ⎜⎜
⎟
⎟⎟ , B = ⎜⎜
⎜⎝ −6 −5 ⎟⎠
⎜⎝ −t − x − x ⎠
⎛ α 0 ⎞⎟
を考える。 ( AB )2 が対角行列, すなわち ⎜⎜
⎟ の形の行列であるとする。
⎜⎝ 0 β ⎟⎠
(1) 命題「 3x − 3 y − 2t ≠ 0 ⇒ A = tB 」を証明せよ。
以下, (2), (3), (4)では, さらに A 2 ≠ E かつ A 4 = E であるとする。ただし, E は単位
行列を表す。
(2) 3x − 3 y − 2t = 0 を示せ。
(3) x と y をそれぞれ t の式で表せ。
(4) x, y, t が整数のとき, 行列 A を求めよ。
−5−
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解答解説
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3
(1) C1 : y = x ……①と C2 : y = a ……②を連立すると,
x
y
3
3
x = a , x 2 = a3
x
l1
a
これより, x = a 2 , y = a より, P( a 2 , a )
さて, ①より, y ¢ = 1 となり, 点 P における C1 の接
2 x
2
線 l1 は, x = a のとき y ¢ = 1 から,
2a
2
1
( x - a ) , y = 1 x + a ………③
y-a =
2a
2
2a
C1
P
l2
O
a
C2
2
x
すると, C1 と y 軸および l1 で囲まれた部分の面積 S は,
S = 1 ( a + a ) a2 2 2
ò
a2
0
3
2
a
x dx = 3 a3 - 2 éëê x 2 ùûú = 3 a3 - 2 a3 = 1 a3
0
12
4
3
4
3
3
3
(2) ②より, y ¢ = - a2 より, 点 P における C2 の接線 l2 の傾きは, y ¢ = - a4 = - 1
a
x
a
ここで, x 軸の正の部分と l1 , l2 のなす角をそれぞれ α , β とすると,
tan α = 1 , tan β = - 1
2a
a
tan( α - β ) =
1 +1
tan α - tan β
2a a
=
1 + tan α tan β
1+ 1 (- 1
2a
a
)
=
3a
2a 2 -1
a > 1 より tan( α - β ) > 0 となり, θ ( a ) = α - β から tan θ ( a ) =
3a
2a 2 -1
さて, a  ¥ のとき, tan θ ( a )  0 から θ ( a )  0 となり, cosθ ( a )  1 より,
3a 2 cosθ ( a ) = 3 ⋅1 = 3
a¥ 2a 2 - 1
2
2
lim a sin θ ( a ) = lim a tan θ ( a )cosθ ( a ) = lim
a ¥
a ¥
[解 説]
微積分の応用問題です。また, 2 直線のなす角の扱いとしては, ここでは tan の加
法定理の適用が妥当でしょう。
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2
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 
条件より, OA = OC = 1 , OA ⋅ OC = 0
 
 
OA ⋅ OP = 1 , OC ⋅ OP = 1
4
2
P
M
さて, 点 M は辺 AP を 2 : 1 に内分する点, 点 N は辺
CP の中点より,


 


OM = 1 OA + 2 OP , ON = 1 OC + 1 OP
3
3
2
2
解答解説
N
B
C
A
Q
ここで, Q は線分 BC を t : 1 - t に分ける点とすると,

 
  
O
PQ = OQ - OP = (1 - t )OB + t OC - OP
 
 
  
= (1 - t )( OA + OC ) + t OC - OP = (1 - t )OA + OC - OP
 
さて, 直線 PQ が平面 OMN に垂直なので, PQ ⋅ OM = 0 となり, OP = k とおくと,
  


( (1 - t )OA + OC - OP ) ⋅ ( OA + 2OP ) = 0
(1 - t ) + 2(1 - t ) ⋅ 1 + 2 ⋅ 1 - 1 - 2k2 = 0 , 3 t + 2k2 = 9 ………①
2
4
4
2 4
 
  
 
また, PQ ⋅ ON = 0 から, ( (1 - t )OA + OC - OP ) ⋅ ( OC + OP ) = 0
1 (1 - t ) + 1 + 1 - 1 - k2 = 0 , 1 t + k2 = 5 ………②
4
2 2
4
4
①②より, t = - 1 となり, 1 - t = 5 から, 点 Q は BC を 1 : 5 に外分するので,
4
4
BQ : QC=1 : 5
また, k2 = 5 - 1 ⋅ ( - 1 ) = 21 より, OP = k =
4 4
4
16
21 = 21
16
4
[解 説]
t の値が負になり計算間違いをしたかと思いましたが, 問題をよく読むと, 「直線
BC 上の点 Q」と記されていました。このため, 上図の Q の位置は, 結論とは異なり
ます。なお, 文系で類題が出されています。
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解答解説
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(1) L を 2 回続けて行うとき, 左端の硬貨は, 必ず表→裏→表と反転する。これより,
表が 1 枚となるのは, 左端の硬貨が表, それ以外は裏という場合である。
このときは, 出た目が, 6→1 または 1→6 のいずれかより, その確率は,
2
2
1
( 16 ) + ( 16 ) = 18
(2) L, R の順に操作を行うとき, 出た目と
R1
R2
R3
R4
R5
R6
L1
4
3
2
1
0
1
L2
3
2
1
0
1
2
L3
2
1
0
1
2
3
L4
1
0
1
2
3
4
L5
0
1
2
3
4
5
L6
1
2
3
4
これより, 表の枚数の期待値は,
0 ´ 5 + 1´ 10 + 2 ´ 8 + 3 ´ 6 + 4 ´ 4 + 5 ´ 2 + 6 ´ 1 = 19
9
36
36
36
36
36
36
36
5
6
表の枚数の関係は右表のようになる。
なお, 右表では, L の操作で 1 の目が
出るのを L1, 2 の目が出るのを L2, 3 の
目が出るのを L3, …, R の操作で 1 の目
が出るのを R1, 2 の目が出るのを R2, 3
の目が出るのを R3, …と表している。
(3) L, R, L の順に操作を行うとき, すべての硬貨が表となるのは次の場合である。
(i)
最初の操作が L6 以外のとき
L, R の順に操作を行ったとき表の枚数が 0 で, 3 回目に 6 の目が出る場合より,
L1→R5→L6, L2→R4→L6, L3→R3→L6, L4→R2→L6, L5→R1→L6
3
この確率は, ( 1 ) ´ 5 = 5 となる。
6
216
(ii) 最初の操作が L6 のとき
L, R の順に操作を行ったとき表の枚数が k のとき, 3 回目に 6 - k の目が出る場
合より,
L6→R1→L5, L6→R2→L4, L6→R3→L3, L6→R4→L2, L6→R5→L1
3
この確率は, ( 1 ) ´ 5 = 5 となる。
6
216
(i)(ii)より, 求める確率は, 5 + 5 = 5 である。
216 216 108
[解 説]
パズルのような問題です。(2)では, 期待値を求めるので, センター試験を解くとき
と同じように, すべての場合を表にまとめました。すると, これが次の(3)への誘導と
なっていました。
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解答解説
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(1) 円 S 上の点 B ( 1 ,
2
3 に対して, 条件より, 円 T の
)
2
y
1 A
中心 D は線分 OB 上にあることより, t を正の実数とし
て, D( t,
3t ) とおくことができる。
C
すると, DB = DC から,
-1
2
2
( 12 - t ) + ( 23 - 3t ) = t
( 12 - t ) 12 + ( 3 )2 = t
D π
3
l
1 x
O
-1
これより, 1 - 2t = t から t = 1 となり, 円 T は中心 D( 1 ,
3
3
2
(2) 円 S : x 2 + y2 = 1 , T : ( x - 1 ) + ( y - 3
3
3
れぞれ y = 1 - x 2 , y = 3 +
3
B
2
)
3 , 半径 1 である。
)
3
3
= 1 に対し , その上側の半円は , そ
9
1 - x - 1 2 と表せる。
( 3)
9
ここで, 弧 AB, 弧 BC を直線 l : y = 3 のまわりに 1 回転してできる立体の体積
3
を, それぞれ V1 , V2 とすると,
V1 = π
1
2
ò (
0
1- x2 - 3
3
2
)
dx = π
1
2
ò ( 43 - x
2
0
- 2 3 1 - x 2 ) dx
3
1
3
= π éêë 4 x - x ùúû 2 - 2 3π ( 1 ⋅12 ⋅ π + 1 ⋅ 1 ⋅ 3
3
3 0 3
2
6 2 2 2
)
= 5π - 3 π2 -1 π = 3π - 3 π2
8
18
4
8
18
V2 = π
1
2
ò {
0
3+
3
1 - x-1 2 - 3
( 3) 3
9
= π éêë 1 x - 1 ( x - 1 )
9
3
3
1
3 ù2
úû 0
2
}
dx = π
1
2
2
ò { 19 - ( x - 13 ) }dx
0
= 1 π- 1 π = 1 π
18
72
24
よって, 求める立体の体積を V とすると,
V = V1 - V2 = 3 π - 3 π 2 - 1 π = 1 π - 3 π 2
8
18
24
3
18
[解 説]
回転体の体積を求める計算問題です。なお, V1 を求める際に, 円を対応させて定積
分の計算を一部, 省略しています。
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解答解説
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æ x
y öæ
4 ö÷ æç 5x - 6 y 4 x - 5 y ö÷
÷÷çç 5
(1) C = AB = çç
÷=
÷ とすると,
÷ç -6 -5 ø÷ ççè x - 5t
çè -t - x - x øè
x - 4t ÷ø
C 2 - ( 5x - 6 y + x - 4t ) C + { ( 5x - 6 y )( x - 4t ) - ( 4 x - 5 y )( x - 5t ) } E = O
2( 3x - 3 y - 2t ) C = C 2 + { ( 5x - 6 y )( x - 4t ) - ( 4 x - 5 y )( x - 5t ) } E
条件より C 2 は対角行列であり, また E も対角行列なので, 3x - 3 y - 2t ¹ 0 のと
き, C は対角行列となり,
4 x - 5 y = 0 , x - 5t = 0
æ 5t
4t ö÷
よって, x = 5t , y = 4t から, A = çç
÷ = tB
çè -6t -5t ÷ø
(2) まず, B 2 + ( - 25 + 24 ) E = O より, B 2 = E
さて, ここで, A = tB であると仮定すると,
A 2 = t 2 B 2 = t 2 E , A 4 = ( t 2 E )2 = t 4 E
条件より, A 2 ¹ E かつ A 4 = E なので, t 2 ¹ 1 かつ t 4 = 1 となり, t 2 = -1
これは, t が実数という条件に反することより, A ¹ tB である。すると, (1)より,
3x - 3 y - 2t = 0 ………①
(3) まず, A 2 + ( - x 2 + ty + xy ) E = O より, A 2 = ( x 2 - ty - xy ) E
A 4 = ( x 2 - ty - xy )2 E
A 2 ¹ E かつ A 4 = E なので, x 2 - ty - xy ¹ 1 かつ ( x 2 - ty - xy )2 = 1 より,
x 2 - ty - xy = -1 ………②
①より, y = x - 2 t となり, ②に代入すると,
3
2
x - ( t + x ) ( x - 2 t ) = -1 , 1 tx - 2 t 2 = 1
3
3
3
3
よって, t ¹ 0 から, x = 2t + ……③, y = 2t + 3 - 2 t = 4 t + 3 ……④
t
t 3
t
3
(4) x, y, t が整数のとき, ③より t は 3 の約数となり, ④より t は 3 の倍数となる。
よって, t = 3 であり, このとき, ( x , y, t ) = (7, 5, 3 ) , ( - 7, - 5, - 3 ) から,
æ 7
5 ö÷ æç -7 -5 ö÷
A = çç
÷, ç
÷
èç -10 -7 ÷ø èç 10 7 ÷ø
[解 説]
行列の演算についての問題です。上の解答例では, ハミルトン・ケーリーの定理を,
(1)では C について, (2)では B について, (3)では A について利用しています。
−5−
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