NO.14 2015年3月発刊

March 2015 No.14
東洋大学 国際地域学部・国際地域学研究科
国際地域学部
北脇研究室
学生ニューズレター
ニューズレター 卒業記念版
2014 年度 卒業生の皆様、ご卒業おめでとうございます
卒業生
おめでとうございます。
今年度、北脇研究室から大学院生1名、
院生1名、学部生17名の計18名が卒業することとなりました。どなたも
業することとなりました。どなたも積極
的に研究に励み、野村真由美さん・古市真菜さんがゼミ代表として卒論発表会に参加されました。
・古市真菜さんがゼミ代表として卒論発表会に参加されました。
本号におきまして、2014年度の北脇研究室の主な活動報告
年度の北脇研究室の主な活動報告と共に、修士論文・卒業論文の内容をご紹介い
卒業論文の内容をご紹介い
たします。
ミャンマーリサーチツアーにて
2014年 度 北 脇 研 究 室 活 動 報 告
2014年5月
研究室より、2014NEW環境展(東京ビッグサイト)へ出展
NEW環境展(東京ビッグサイト)へ出展
2014年8月
村落部の井戸掘削プロジェクトに関する
村落部の井戸掘削プロジェクトに関するミャンマー現地調査
(学部4年:池田孝臣、岡安彩乃
、岡安彩乃、輿水あかね、小谷香瑠菜、鹿倉朋依
鹿倉朋依、高田紗希子、
高野友実、野坂真樹、萩原愛貴、吉川正剛
、野坂真樹、萩原愛貴、吉川正剛)
2014年9月
修士論文発表会 (修士前期課程:徐智筠)
(修士前期課程:徐
卒業論文発表会 (学部4年:上小澤初馬)
2014年12月
水処理装置や深井戸に関するバングラ
バングラデシュ現地調査
(学部3年:相沢祐希、中佐英子、大塚香菜美、岡村優希、菅野夏子、澤井令維子、南雲萌)
(学部2年:佐野卓也、松本茉美子)(学部1年:庄司萌、高瀬友香)
(学部1年:庄司萌、高瀬友香)
2015 年1月
卒業論文発表会 (研究室代表 学部4年:野村真由美、古市真菜)
2014 度 修 士 論 文 紹 介
2014年
◆国際地域学研究科国際地域学専攻博士前期課程
国際地域学研究科国際地域学専攻博士前期課程2年
徐
智筠
(2014年
(2014年9月修了)
CSR活動が消費者の購買意欲に与える影響に関する研究
活動が消費者の購買意欲に与える影響に関する研究
CSRは一般的に「企業の社会的責任」と訳されるが、様々な社会的な問題
は一般的に「企業の社会的責任」と訳されるが、様々な社会的な問題
に対して企業がどう応えていこうとするものである。近年
に対して企業がどう応えていこうとするものである。近年CSRへの意識と実
践が企業の中に定着してきたとともに、
践が企業の中に定着してきたとともに、CSRを「義務」ではなく、企業の価
値や商品への付加価値を高める積極的な「戦略」として位置付けている企業が
増えていることを示すものであると考えられる。そうした戦略としての
増えていることを示すものであると考えられる。そうした戦略としてのCSR
活動が消費者の購買意欲に対してどんな影響をもたらすのかを調べることが本
研究の目的である。
本論文では、多くの文献を踏まえ、主に事例研究という研究方法に拠り、質
的な分析を行った。第1章では企業は社会の一員としての社会的責任を果たす
べきについて述べた。また、第2章、第3章では
べきについて述べた。また、第2章、第3章ではCSR理論の内容及び発展の歴史を紹介し、日本、欧米
理論の内容及び発展の歴史を紹介し、日本、欧米
と台湾企業いままでの現状を紹介して、企業が行う戦略
現状を紹介して、企業が行う戦略CSRをまとめた。そこで、第4章、
をまとめた。そこで、第4章、第5章では
戦略としてのCSR活動は消費者の購買意欲に対してどんな影響をもたらすのかが事例研究とアンケート
活動は消費者の購買意欲に対してどんな影響をもたらすのかが事例研究とアンケート
調査を用いて分析した。
ミャンマー パゴダにて
2
2014年 度 卒 業 論 文 紹 介
◆国際地域学部国際地域学科4年
上小澤
初馬
(2014年9月卒業)
高度成長期の日本における赤痢減少の要因に関する研究
―水道普及と石鹸の関係を中心として―
入学当初僕は、「開発途上国では、なぜあんなにたくさんの人が感染症にかか
るのだろう?」という疑問を抱いていました。しかし開発の進んでいない地域は
先進国よりも自然に近い状態であることを考えると、逆に「先進国ではどのよう
にして感染症を減らすことができたのか」という疑問を解決する方が適切である
ように思えてきました。そこで過去の日本における感染症の統計をみてみると、
感染症が激減した時期と、水道が急速に整備された時期が概ね一致していること
に気づきました。しかし病原体は、水をはじく皮脂などに付着しているので、水
が十分に使えるだけでは手についた病原体を十分に落としきれないはずです。病
原体を手指などから除去するには、流水と同時に、油を落とす石鹸が普及するこ
とが重要であると考えていました。そこで、水道が急速に整備されたのと同じ時期に石鹸も相当の勢いで
普及したことを示すことで、水道+石鹸がセットで普及したことが感染症の減少に大きく貢献していると
証明できる思い、標記のテーマで卒業研究に取り組みました。
◆国際地域学部国際地域学科4年
池田
孝臣 (2015年3月卒業)
ミャンマー連邦共和国中央乾燥地域村落部における水使用形態に関する研究
ミャンマーの中央乾燥地域の村落部では深刻な水不足が問題となってい
る。乾季では井戸の水を頼りに生活いており、雨季であっても降水量は少な
く、僅かな雨水と井戸の水で生活している。卒業論文では、中央乾燥地域村
落部の住民たちの水使用形態について研究した。現地では、使用している水
の水質調査や何にどの水源の水を使用しているかのヒアリング調査を行っ
た。
調査の結果から、使用している井戸水にはカルシウムやマグネシウムとい
った硬度が検出され、雨水には大腸菌が含まれていることが分かった。中央
乾燥地域では決して安全ではない井戸の水と雨水、特に井戸の水を使用して
いる現状があった。
本研究を通し中央乾燥地域村落部の住民は年間を通し、井戸の水を頼りに生活しており、一刻も早く水
インフラ整備をする必要があり、また現地での水管理方法や使用方法の改善の余地があると感じた。
3
◆国際地域学部国際地域学科4年
大原
聡花 (2015年3月卒業)
東京都における飲み水としての水道水の安全性に関する研究
-ミネラルウォーターと比較して-
水道水が飲める国の代表として日本が有名である。しかし水道水が飲めるに
もかかわらずミネラルウォーターは現在国産輸入品を含め500ブランド以
上の多種多様に流通している。ミネラルウォーターが伸びている背景には、水
道水がまずいということや、人々が安全性に不安を感じていることがあるが、
はたして本当にそうだろうか。東京都水道局のプロジェクトの一環としての東
京水とミネラルウォーターの飲み比べでは、約半数の人が東京水の方がおいし
いと答えたという結果がある。また安全基準はミネラルウォーターの方が低い
のである。こうしたことから本当に東京の水道水は飲み水に適していないのか
ミネラルウォーターと比較して研究を進めていく。
◆国際地域学部国際地域学科4年
岡安
彩乃 (2015年3月卒業)
ミャンマー連邦共和国中央乾燥地帯における水への意識及び満足度に関する研究
現在、開発途上国と呼ばれる国では様々な団体により井戸の寄付や設置のプ
ロジェクトが実施されている。また、世界の人口の3分の1にあたる人々が水
不足に直面しており、ミャンマーは水不足問題が深刻な国の1つである。本研
究では、ミャンマー中央部にある中央乾燥地帯で現地調査を行い、設置された
井戸が実際に使用され満足されているのか、また水不足に直面する国の人々は
どのような意識を持ち使用する水を選別し、使用しているのかということを明
らかにし考察した。更に、飲み水の味に対する感想と家庭の収支について調査
した。この結果によると、総合的には井戸水、雨水、溜池の水の順で満足して
いること、住民が水を使用する際に最も意識していることは「価格」
「安全性」だということが明らかにな
った。
4
◆国際地域学部国際地域学科4年
加瀬
美咲 (2015年3月卒業)
洋上風力発電の地域への貢献可能性について
―千葉県銚子市を例に―
持続可能的なエネルギー利用が叫ばれる今日、福島原発事故に始まる脱原発
問題も記憶に新しい。広域な海岸線を有する日本では、再生可能エネルギーと
して洋上に風力発電を建設し、エネルギーを得る洋上風力発電事業が注目を集
め始めている。そのような背景の中、筆者の出身地である千葉県銚子市で日本
初となる沖合での洋上風力発電実証実験が現在行われている。
そこで、漁業従事者をはじめとする地域住民や地域社会に対して洋上風力発
電はどのような影響を与えるのか、また、地域にどのように貢献していくこと
ができるのかについて考察することを目的とし、漁業従事者や地域住民の方た
ち住民側と東京電力や独立行政法人NEDOの事業者側への聞き取り調査を
経て、今後の課題と課題解決のための考察をまとめた。
◆国際地域学部国際地域学科4年
輿水
あかね
(2015年3月卒業)
ミャンマー連邦共和国村落部における教育の現状と教育文具に関する研究
ミャンマーでは、人口の約8割以上は農業に携わり、人々の生活リズムは
農作業中心となっている。しかし、2011年の新政権が成立してから、ミ
ャンマーの社会は急激に変化した。ヤンゴンやマンダレーではショッピング
センターなどの新しい建物が次々と建設され始めた。それと同時に、新しい
マーケット市場として海外企業の注目も集められ、これまでの村落部から村
落部への仕事を探していた人々の流れは大きく変化し、それと同時に今まで
求められなかった教育に対する価値も高まってくる。しかし、ミャンマーで
の識字率は他の途上国よりも高く、その背景には教育環境の違いや、教育文
具の充実が関係していると考えた。本研究ではミャンマーの子どもたちの受ける教育の環境やそこで使用
される教育文具の現状について明らかにし、今後の識字率の上昇の可能性や、経済的発展性について考察
する。
5
◆国際地域学部国際地域学科4年
小谷
香瑠菜
(2015年3月卒業)
セブにおけるストリートチルドレンに関する研究
-センターベースとコミュニティベースの取り組みと効果-
フィリピン・セブ島のセブ市に存在するストリートチルドレンに関する現地
調査を2度、約20日間かけて行った。
この卒業論文ではフィリピン・セブにおけるストリートチルドレンを救うこ
とを目的とし、政府組織というトップとコミュニティというダウン、その双方
からスト リートチルドレンに対して行っている様々な対策の概要と効果、問
題点を明らかにする。トップには政府と27のNGO団体が一丸となってスト
リートチルドレ ンに対する取り組みを行っている Cebu City Task Force on
Street Children という団体組織が存在する。加えて、ダウンには子どもたち
ともっとも関係の深い家庭や友人たちが住むコミュニティが挙げられる。
将来、ストリートチルドレンを単純に保護するだけではなく、発生させる要因を排除し、彼らがより人
間らしく生活できるような環境をつくるためにもコミュニティ開発が重要になり、政府や団体組織による
持続可能なアプローチをしていく必要がある。これらが実現すればストリートチルドレンが発生しなくな
る可能性 は多いにあるといえる。
◆国際地域学部国際地域学科4年
鹿倉
朋依 (2015年3月卒業)
ミャンマーにおける児童の発育に関する研究
-栄養不良の観点より-
ミャンマーでは5歳未満で死亡する乳幼児は約100人に約50人であり、
3人に1人が慢性的な栄養不良とされている。白米を多量に食べる事や、肉を
購入するだけの経済力がない事で食事に偏りが出て、栄養バランスが良くない
事が原因である。
本研究はミャンマー農村部の児童の発育を栄養学的な面で考慮し、新たなプ
ログラムの提案を行うという趣旨のもとにある。そこでミャンマー村落部に暮
らす児童の身長、体重、腕周りの身体測定の調査を行っている。これらの身長
体重を基にBMI指標を出し、BMI指標を元に栄養不良状態を確かめた。ま
た、日本の平均値とミャンマーで得た数値を比較し関係性を求め、最後に野菜
の栽培推奨プログラム、栄養教育プログラムの提案をした。
6
◆国際地域学部国際地域学科4年
高田
紗希子
(2015年3月卒業)
ダッカ南市における廃棄物管理と道路清掃員の労働環境に関する研究
今日、多くの開発途上国で「過剰都市化」とも呼ばれる、都市における急
激な人口増加現象が引き起こっている。本研究の研究対象国であるバングラ
デシュ人民共和国の首都ダッカ市でも急激な人口増加による都市環境問題が
引き起こっているが、その中でも特に問題視されているのが廃棄物問題であ
る。市民の廃棄物管理に対する意識は低く、ダッカ市を訪れてまず目に付く
のが、路上投棄された廃棄物の多さである。そのため同国にはそれらを処理
する道路清掃員という職業が存在する。しかし、道路清掃員の数は足りてお
らず、清掃が行き届いていないのが現状である。
本研究では、道路清掃員の労働環境を明らかにするとともに、労働環境改善に関する提案を述べている。
◆国際地域学部国際地域学科4年
高野
友実 (2015年3月卒業)
ミャンマー中央乾燥地域生活用水供給事業における水管理委員会とBAJの役割についての研究
これまで世界のあらゆる課題に対し、その課題の当事者だけでは解決が難
しいことから、世界中で様々な「援助」が行われてきた。しかしその様々な
事例を見ていくと、「援助」=良いもの、という考えは危険だと気づく。ど
ういった開発援助が有効か、つまり必要としている人に必要なものを届ける
援助とはどういったものかという議論は常に行われている。北脇教授の講義
をうける中で開発援助における住民参加の重要性に興味を持った筆者は、特
定認定NPO法人ブリッジエーシアジャパン(BAJ)が行うミャンマー中
央乾燥地域生活用水供給事業での住民参加の形に注目し、当事者の代表とい
える水管理委員会と、外部者であるBAJそれぞれの役割を探った。
7
◆国際地域学部国際地域学科4年
野坂
真樹 (2015年3月卒業)
ミャンマー連邦共和国中央乾燥地域における手指衛生環境の現状と問題点に関する研究
ミャンマー連邦共和国中央乾燥地帯における手指衛生環境の現状と問
題点について研究を行いました。2014年8月のミャンマー連邦共和国
でのスタディーツアーに参加し、現地住民の手洗い前と後の手指の汚れの
測定、衛生環境についての意識の聞き取り調査を行いました。また、比較
対象として、国立市中央学童保育所にご協力いただき日本の子どもたちに
対して同じ調査を行いました。適切な衛生習慣を根付かせること、石鹸な
ど衛生用品に住民がアクセス可能な環境を整えること、中央乾燥地帯では、
深刻な水不足問題を抱えているため、衛生的な水を十分に手に入れること
ができるように、井戸作りが必要であることなどが明らかになりました。
◆国際地域学部国際地域学科4年
野村
真由美
(2015年3月卒業)
ABEイニシアティブの実施による効果についての研究
―アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ―
アフリカの若者を対象とした留学制度「ABEイニシアティブ」が今年度
から開始した。このABEイニシアティブの効果の可能性について、実際に
ABEイニシアティブで滞在している研修員らのアンケートやインタビュ
ー調査も通し、考察した。
研修員らへのアンケート、インタビュー調査により、「親日感情の増加」
や「日本への理解」をはじめとする、さまざまな効果が期待できることが分
かった。しかしABEイニシアティブはまだ実施初年度の段階であり、効果
の実証が難しいものもある。より良い効果を得ていくために、今後行われる
インターンシップや企業見学では、日本の企業側も受け身ではなく、積極的
に研修員らへの関心、理解を深めていくことが必要である。
8
◆国際地域学部国際地域学科4年
萩原
愛貴 (2015年3月卒業)
ミャンマー連邦共和国におけるトイレ使用形態及び使用時における衛生行動に関する研究
ミャンマー連邦共和国はアジアの中でも5歳以下の乳幼児死亡率が高い国
である。本研究は、中央乾燥地域での現地調査を基盤にミャンマー連邦共和国
村落部におけるトイレの形態とその衛生行動について考察したものである。ミ
ャンマー連邦共和国村落部を訪問し、トイレの形態や、トイレ使用時における
手洗いなどの衛生行動について現地調査を行った。
衛生的な環境づくり(建設など)が重要であるとともに、衛生知識を持ち合わ
せることで手指洗浄を習慣づけ、下痢症などの疾病を未然に防ぐことができる
ため衛生教育は重要である。設備建設と衛生教育の双方が成り立つことが今後
の課題であり目指すべきものであると考察した。
◆国際地域学部国際地域学科4年
葉計
翔平 (2015年3月卒業)
イスラム教を食衛生的視点から考える
- 豚肉をなぜ食べてはいけないのか -
イスラム教には豚肉を食べてはいけないといういわゆる豚肉食忌避という
掟がある。それはイスラム教の聖典であるコーランの中の第二章173節に記
されている。アッラー(イスラム教における唯一絶対神)の言葉を預言者ムハ
ンマドが記したとされている。今現在、イスラム教徒を除くほとんどの人々が
豚肉を食べている中、なぜコーランには豚肉食忌避が記されたのか私は非常に
興味を惹かれた。北脇先生がとある授業の中で、宗教的な慣例でタブーとされ
ている事柄には何かしらの合理性があると仰っていて、また、さらにイスラム
教おける豚肉食忌避は食品衛生の観点から、昔はあまり食べるのが好ましくな
いという合理性から生まれた掟なのではないかとも仰っていた。それを聞いて、
いかに豚肉を食べることが危険なのか調査し、また宗教自体の発生過程からも
このテーマにアプローチした。
9
◆国際地域学部国際地域学科4年
食品添加物について
濱内
里好 (2015年3月卒業)
―正しい選択のできる消費者となる-
「添加物」「人工」
「合成」と聞いて人々が持つイメージは、決して良いも
のではないだろう。その一因として、メディアの影響について私は考えた。
そこで、本論文では「食品添加物」に焦点を当て、出来るだけ総合的・客観
的な視点で理解することで、メディアによる報道の信憑性を確かめ、正しい
選択のできる消費 者となることを目的とした。
結論としては、食品添加物の安全性は「量の大小」と「リスクとベネフィ
ット」の概念から安心して良いものであるにも関わらず、メディアの報道は
そうした重要な概念が抜けており、その結果「合成=危険」
「天然=安全」と
いう正しいとは言えない認識を広めてしまっていることが分かった。正しい
判断のできる消費者となるためには、メディアなどの情報を鵜呑みにせず、それらを否定的かつ総合的に
捉えることが大切である。
◆国際地域学部国際地域学科4年
古市
真菜 (2015年3月卒業)
Analysis and Forecast of Future Mega City
-Risk of Health Inequality大都市における、所得差に伴う健康格差の危険性を研究しました。今後巨大
都市は主に途上国で出現しますが、それらは格差水準の高い地域でもあります。
発展・繁栄の恩恵が一部に偏るとしても、人の基本としての健康に大きな差は
あるべきでないと思いテーマにしました。きっかけは、格差大国とされる米国
で発展の先に存在する厳しい貧困の光景を目にし、行き過ぎた格差とそれに起
因する健康問題に関心を持ったことです。ウォール街も、5番街の高級店も、
貧困撲滅に取り組む国連でさえ歩いて行ける距離で「お腹が痛いけど、お金が
ないの」と私に近寄ってきた小さな子がいました。今後の都市にこのような環
境を生み出さないためにも、健康格差の視点から地域開発に取り組む重要性を
感じました。
私は2年次に転入しましたが、北脇研究室の皆様をはじめ多くの方々にお世話になりました。いつも親
切にして頂き、ありがとうございました。
10
◆国際地域学部国際地域学科4年
吉川
正剛
(2015年3月卒業)
ミャンマー連邦中央乾燥地域における手指衛生の現状と対策に関する研究
ミャンマー連邦共和国は、5歳未満児の死亡率がアジアで最も高い国の一つ
歳未満児の死亡率がアジアで最も高い国の一つ
であり、死亡原因の多くは下痢症疾患である。ミャンマー連邦共和国内でも特
に中央乾燥地域は年間降水量が少ないうえに雨の降る時期もまばらであるため、
地域住民は不衛生な水を使用しなければならず、下痢症疾患が後を絶たない。
下痢症疾患は予防可能な病気であるが、大きな課題とされる安全な水と衛生的
なトイレの不足によって予防が困難とされているため、村落部においては衛生
環境の改善による疾病の罹患防止が急務である。そこで、卒業論文では、ミャ
ンマー連邦共和国の中央乾燥地域において、下痢症
ンマー連邦共和国の中央乾燥地域において、下痢症疾病の罹患予防対策として
最も有効な手段である手洗い行動の現状を調査し、調査結果をもとにして対策
案を提案した。
現地調査では、北脇教授やBAJ
BAJを始め、多くの方々の協力のおかげで約100
100名のデータを集めるこ
とができた。完成までに様々な苦労があったが非常に良い経験となった。
平成
平成25年度春学期
ゼミ生集合写真
11
フルブライト
アメリカ人 留 学 生
2014年9月、フルブライト奨学金によるアメリカ人留学生 Mark Bookman さんがいらっしゃいました。
日本語が堪能で、とても礼儀正しい学生です。本頁では、彼の研究内容について、ご紹介いたします。
◇Mark Bookman (2014 Fulbright Fellow)
The complex rituals and philosophic axioms associated
with
Shingon
Buddhism
demand
an
authentic
understanding of the Japanese Buddhist landscape and
provide a great barrier to entry for those who lack a certain
modicum of linguistic and cultural fluency. This
imperative for fluency offers one possible explanation for
the precious little scholarship concerned with Shingon
Buddhism presently available in the West. My research,
motivated by this lacuna in Western Buddhist scholarship,
entails the elucidation of the Shingon Buddhist corpus
prior to its implementation as a hermeneutical device for
reimagining Western philosophic and theological typics
such as those associated with Existentialism, Platonism, and Augustinian thought. Three principle aspects
define the scope of this research and the methodology through which it will be brought to fruition:
language, theory, and praxis. The language aspect of my research is characterized by the study of both
modern and classical Japanese in addition to other Buddhist exegetical languages. The theory aspect
involves the internalization of philosophies outlined by Shingon Buddhist exegetes and the subsequent
development of an all-encompassing intertextual framework. Lastly, the praxis entails the substitution of
the aforementioned Western typics with their Buddhist counterparts. The language, theory, and praxis
aspects of my research in their play do not supersede one another in theoretical or practical import but
rather necessitate the simultaneous observation of each other. Each aspect indicates the same
comprehensive body of materials and exists in an ever-précising dialectic with the others: language
informing theory, theory informing praxis, and praxis generating a need for language. I aim to inspire
practical interdisciplinary and transcultural discourses by participating in this eternal play.
東洋大学
国際地域学部
◆所 在 地
◆T e l / F a x
◆E - m a i l
◆編
者
:
:
:
:
北脇研究室
東京都文京区白山 5-28-20
03-3945-8071
[email protected]
鈴木 美沙
12
白山キャンパス