都市における踏切道の安全性評価及び改善方策

 4.都市における踏切道の
安全性評価及び改善方策
日本大学理工学部 教授
中村
英夫
( C ) Institute for Transport Policy Studies, 2003
1.調査の背景と目的
(1)調査の背景
ボトルネック踏切における都市の交通渋滞が
社会問題化
⇒ 立体交差化による踏切除去が進められて
いるが、立体交差化には多大な事業費と
長期間を要する。
( C ) Institute for Transport Policy Studies, 2003
1.調査の背景と目的
(1)調査の背景
ボトルネック踏切における都市の交通渋滞が
社会問題化
⇒ 立体交差化による踏切除却が進められて
いるが、立体交差化には多大な事業費と
長期間を要する。
当面立体交差化が困難な場合
→ ①踏切遮断時間の短縮
②踏切開放中の対策
一旦停止解除→踏切信号機設置の検討
( C ) Institute for Transport Policy Studies, 2003
踏切信号機の設置
•
•
•
•
対象となる踏切は?
本当に効果はあるのか?
問題はないか?
進め方はどうする?
( C ) Institute for Transport Policy Studies, 2003
(2)調査の目的
・踏切信号機設置の検討対象
・交通円滑化効果の事前検証
・安全性確保のための方策
・今後の検討の進め方
踏切信号機の設置に係る提言
のとりまとめ
( C ) Institute for Transport Policy Studies, 2003
2.調査の内容
1.踏切道の現状
2.踏切信号機の設置箇所の現状
3.踏切信号機設置の検討対象
4.交通円滑化効
果の事前検証
5.安全性確保の
ための方策
6.踏切信号機設置に係る提言
( C ) Institute for Transport Policy Studies, 2003
3.検討結果
(1)踏切信号機設置の検討対象
設置に当たっての検討事項(14項目)
1. 踏切付近の渋滞多発箇所の有無
2. 鉄道と道路の交差角
3. 鉄道線路数
4. 道路縦断勾配
5. 踏切道の凹凸
6. 踏切と接続道路の幅員差
( C ) Institute for Transport Policy Studies, 2003
設置に当たっての検討すべき14項目の続き
7. 車道幅員
8. 歩道幅員
9. 踏切直近の側道の有無
10.踏切種別
11.道路平面線形
12.踏切の見通し距離
13.列車の通過速度
14.信号の見通し距離
( C ) Institute for Transport Policy Studies, 2003
(2)効果の事前検証(シミュレーション)
① 効果の検証にあたり考慮すべき要素
交通条件
遮断条件
道路条件
交通量
大型車混入率
速度規制
1時間当たりの遮断時間
1遮断の時間
近接交差点
平面線形
勾配
沿道状況
路上駐車など
( C ) Institute for Transport Policy Studies, 2003
②シミュレーションによる状況把握
←交差点
←踏切
←交差点
( C ) Institute for Transport Policy Studies, 2003
③シミュレータによる定量的評価
・都内の踏切で交通量、遮断時間、交差点間の所要
時間等を実測した。
・シミュレーションにて、現況再現したところ
一定の再現性が確認できた。
現況再
現況再現結果(所要時間)
所要時間(秒)
80
60
40
20
0
北行
南行
北行
踏切北側
南行
踏切南側
実測
シミュ
( C ) Institute for Transport Policy Studies, 2003
④交通流シミュレーション
平均旅行時間短縮効果を検討
シミュレーションの設定条件
(モデルケース)
・踏切の上流、下流各1kmで計2kmの区間
・片側1車線、相互2車線(直線で勾配なし)
・自由走行速度 50km/h
・大型車の混入はなし(小型車換算で計算)
( C ) Institute for Transport Policy Studies, 2003
⑤交通円滑化効果
交通量と遮断時間による効果(所要時間差)の変化
交通量と遮断時間による効果(所要時間差)の変化
1200
1000
800
600
400
所要時間差
(秒)
200
0
5
10
15
1300
1100
900
700
500
300
100
0
10
20
30
遮断時間
(分)
40
50
0
-200
発生交通量(台)
20
25
30
35
40
45
50
55
( C ) Institute for Transport Policy Studies, 2003
(3)安全性確保のための方策
①踏切信号機の設置
鉄道の安定輸送と通行の安全確保
14項目を満足する箇所であっても、安全上の課題
を踏まえ、十分な安全対策を講ずることが必要
Ⅰ.列車検知装置の信頼性向上
Ⅱ.「とりこ」対策
Ⅲ.通行の安全性の向上
Ⅳ.視認性・踏切信号機としての認知性の向上
Ⅴ.無謀な進入防止
( C ) Institute for Transport Policy Studies, 2003
とりこの懸念
• 前方渋滞にもかかわらず→信号に従い進入
• 踏切警報鳴動しても進めず
• やがて遮断竿に捕りこめられる
( C ) Institute for Transport Policy Studies, 2003
②これまで講じられてきた安全対策
Ⅰ.列車検知装置の信頼性向上
→多重系の列車検知装置
( C ) Institute for Transport Policy Studies, 2003
②これまで講じられてきた安全対策
Ⅰ.列車検知装置の信頼性向上
→多重系の列車検知装置
Ⅱ.「とりこ」対策
→踏切部の路面マーキング・障害物検知装置等
( C ) Institute for Transport Policy Studies, 2003
○路面マーキング
遮断桿折損数
1箇所1ヶ月あたりの遮断桿折損数
1.4
1.2
1
0.8
1.17
0.6
0.4
0.2
0
0.33
対策前
対策後
( C ) Institute for Transport Policy Studies, 2003
②これまで講じられてきた安全対策
Ⅰ.列車検知装置の信頼性向上
→多重系の列車検知装置
Ⅱ.「とりこ」対策
→踏切部の路面マーキング・障害物検知装置等
Ⅲ.通行の安全性の向上
→連接軌道化・踏切道の構造改良等
( C ) Institute for Transport Policy Studies, 2003
②これまで講じられてきた安全対策
Ⅰ.列車検知装置の信頼性向上
→多重系の列車検知装置
Ⅱ.「とりこ」対策
→踏切部の路面マーキング・障害物検知装置等
Ⅲ.通行の安全性の向上
→連接軌道化・踏切道の構造改良等
Ⅳ.視認性・踏切信号機としての認知性の向上
→オーバーハング型警報装置、大型遮断装置等
( C ) Institute for Transport Policy Studies, 2003
○オーバーハング型警報機
遮断桿折損数
年間1箇所あたりの遮断桿折損数
1.2
1.08
1
0.78
0.8
0.6
0.4
0.2
0
対策前
対策後
( C ) Institute for Transport Policy Studies, 2003
○門型警報装置
遮断桿折損数
1.2
1
1箇所1ヶ月あたりの遮断桿折損数
0.99
0.8
0.6
0.4
0.11
0.2
0
対策前
対策後
( C ) Institute for Transport Policy Studies, 2003
②これまで講じられてきた安全対策
Ⅰ.列車検知装置の信頼性向上
→多重系の列車検知装置
Ⅱ.「とりこ」対策
→踏切部の路面マーキング・障害物検知装置等
Ⅲ.通行の安全性の向上
→連接軌道化・踏切道の構造改良等
Ⅳ.視認性・踏切信号機としての認知性の向上
→オーバーハング型警報装置等
Ⅴ.無謀な進入防止
→踏切監視カメラ設置、大型遮断装置等
( C ) Institute for Transport Policy Studies, 2003
○大口径赤白遮断桿
遮断桿折損数
年間1箇所あたりの遮断桿折損数
5
4.37
4
3
2
0.67
1
0
対策前
対策後
( C ) Institute for Transport Policy Studies, 2003
○大口径遮断桿
遮断桿折損数
年間1箇所あたりの遮断桿折損数
1.6
1.4
1.2
1
0.8
0.6
0.4
0.2
0
1.35
0.57
対策前
対策後
( C ) Institute for Transport Policy Studies, 2003
③関係者の連携による安全対策
鉄道敷地内外での安全対策
公安委員会・道路管理者及び鉄道事業者の連携が必要
○踏切前方の渋滞検知装置
・前方の渋滞を検知し、信号を赤点滅に変える
○踏切出口付近の路面マーキング
( C ) Institute for Transport Policy Studies, 2003
・踏切出口付近の路面マーキング
久米川第2号(南行)
50%
40%
34.9%
30%
20%
10%
6.7%
0%
実施前
実施後
踏切前方まで渋滞した時に踏切手前で停止している割合
( C ) Institute for Transport Policy Studies, 2003
(4)今後の検討の進め方
踏切信号機設置による
○パイロット調査箇所の選定
・踏切信号機設置にあたっての検討事項(14項目)
を十分に勘案
・十分な数の踏切で十分な安全対策を施した上、
必要な期間調査する
○パイロット調査の実施
・実際の踏切にて、「安全性」「効果」を検証
・公安委員会、道路管理者、鉄道事業者で連携
( C ) Institute for Transport Policy Studies, 2003
して実施
(5)踏切信号機の設置に係る提言
1.踏切信号機設置の検討対象
・踏切信号機設置にあたっての検討事項(14項目)
を十分に勘案
2.交通円滑化効果の事前検証
・個々の踏切条件を加味したシミュレーション
を実施し、効果、周辺交差点への影響を確認
3.安全性確保のための方策
・列車の安全・安定輸送、安全性の低下に十分
配慮
・交通管理者、道路管理者、鉄道事業者で連携
( C ) Institute for Transport Policy Studies, 2003
(5)踏切信号機の設置に係る提言
1.踏切信号機設置の検討対象
・踏切信号機設置にあたっての検討事項(14項目)
を十分に勘案
2.交通円滑化効果の事前検証
・個々の踏切条件を加味したシミュレーション
を実施し、効果、周辺交差点への影響を確認
3.安全性確保のための方策
・列車の安全・安定輸送、安全性の低下に十分
配慮
・交通管理者、道路管理者、鉄道事業者で連携
( C ) Institute for Transport Policy Studies, 2003
(5)踏切信号機の設置に係る提言
1.踏切信号機設置の検討対象
・踏切信号機設置にあたっての検討事項(14項目)
を十分に勘案
2.交通円滑化効果の事前検証
・個々の踏切条件を加味したシミュレーション
を実施し、効果、周辺交差点への影響を確認
3.安全性確保のための方策
・列車の安全・安定輸送、安全性の低下に十分
配慮
・交通管理者、道路管理者、鉄道事業者で連携
( C ) Institute for Transport Policy Studies, 2003
(5)踏切信号機の設置に係る提言(続き)
4.踏切信号機設置によるパイロット調査の実施
・実際の踏切で「安全性」「効果」を確認
・多種多様な踏切で、必要な期間実施
・設置可否要件、安全対策、効果等に関するデー
タを十分に収集
5.踏切信号機設置のガイドライン
・得られたデータ分析し、1∼3のプロセスを再確認
・安全性、効果を十分に確認
→ガイドライン
( C ) Institute for Transport Policy Studies, 2003
(5)踏切信号機の設置に係る提言
4.パイロット調査の実施
・実際の踏切で「安全性」「効果」を確認
・多種多様な踏切で、必要な期間実施
・設置可否要件、安全対策、効果等に関するデー
タを十分に収集
5.踏切信号機設置のガイドライン
・得られたデータ分析し、1∼3のプロセスを再確
認→広く一般論として適用できる知見を整理
→ガイドラインへ
( C ) Institute for Transport Policy Studies, 2003
4.都市における踏切道の
安全性評価及び改善方策
終わり
( C ) Institute for Transport Policy Studies, 2003