ジェイゾロフト錠(25mg,50mg)の使用後調査について 2009 年 1 月 つばさ薬局 <はじめに> ジェイゾロフト®は、パキシル®、デプロメール®に次ぐ我が国で 3 番目となる SSRI 製剤である。 国内臨床試験では、うつの再燃率とパニック回数の減少においてプラセボと有意差が示されたが、既存 の抗うつ薬トラゾドンに対し非劣性が示されていないこともあり、事前の文献調査ではそれほど高い評 価はしていなかった。 しかし、昨年より処方箋応需数が増えてきており、このたび服用者をフォローし再評価を試みた。 <方法> 08 年 4 月から 11 月までの 8 ヶ月間に新規にジェイゾロフトの服薬を開始された患者さんについて、 効果や副作用などに関する訴えを薬歴上から読み取り、服薬開始後の経過について調査した。 カルテ調査は行っておらず、個々の病名は不明。 <結果> ○ 対象患者数 ○ 投与量の分布 12.5mg≦ (継続者のみ) 50mg =: 54 人 (男性 16、女性 38) 50mg< ○ 経 <50mg :13 人 12 人 ≦100mg:14 人 (投与上限は 100mg) 過 ・効果感じている 21 ・効果それほど感じていない(悪化はない)16 服薬継続中 39 (72%) ・不明 1 ・評価困難 総数 54 人 服薬中止 13 (24%) ・体調安定で中止 3 ・効果なくて中止 7 ・副作用による中止 ・その他 来局中止 1 2 (4%) 1 1 2 (吐き気、気分悪化) ○ 主な経過と集計 何らかの効果を感じた:24 人(44.4%) 効果不明も悪化なく継続:16 人(29.6%) 効果なく中止:7 人 (13%) 副作用で中止:2 人(3.7%) 効果なく中止 副作用で中止 何らかの効果 を感じた 効果不明も悪 化なく継続 ○ 併用薬の状況 1.他の抗うつ薬 ・ 何らかの効果を 効果不明も悪化なく継続 感じた群 している群 併用あり 7 9 併用なし 17(70.8%) 7(43.8%) 併用は他の抗うつ薬に、あとからジェイゾロフトを追加したケースが多かった。 2.消化器用薬 (継続者 39 人中 9 人) ガスモチン(6)、セルベックス(2)、ナウゼリン(2)、ガモファー(1) ○ ○ 服用感についての特徴的な訴え (生の声) ・ ジェイゾロフト増量で体調よくなったと思う ・ ジェイゾロフト増量で以前より怒り具合が緩やかになった ・ 日中やる気が戻ってきた気がする ・ ジェイゾロフト開始後、目覚めが調子いい ・ 少し楽になった ・ ジェイゾロフト調子いい感じ、合っていると思う ・ 目覚めスッキリ 副作用 54 名中 11 名(20.3%) <症状> 吐き気(7 件)、食欲不振、気分悪化、胃部不快感、ムカムカ、不眠、体のだるさ 2 名は吐き気、食欲不振、気分悪化の為、開始 1 ヶ月後までに服薬を中止した。 2 <考察> うつ病、うつ状態に対する第2相臨床試験での「中等度改善以上」は約60%であったが、今回の 調査で得たデータでは「何らかの効果を感じた」という患者さんは、約44%と臨床試験に比べ、若 干低い割合であった。なお、効果を感じ始めた量としては50㎎に増量することで効果を感じたとい う患者さんが最も多かった。もともと既存の抗うつ薬との非劣性が示されていない薬剤であり、44% のうち、プラセボ効果も多いと思われるが、詳細な評価はできなかった。 副作用については臨床試験の段階で多いとされていた傾眠、口内乾燥は見られず、投与初期におけ る吐き気が多く見られた。 既存の SSRI に比べて副作用発生率が少なく、それによる中止例は少ない印象を受けた。しかし、 プラセボ効果をさしひいた真の有効性については疑問もあり、劇的な効果を発揮するような薬剤では ない。ただ、効果を感じた方の 70%はジェイゾロフト単剤処方であり、既存の SSRI を服用できない患 者さんや症状に応じては選択肢になるかと思われる。 3
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