筑波大学プラズマ研究センター 吉川正志

平成27年度筑波大学プラズマ研究
センターシンポジウム 於:つくばサイエンスセンター 2015年7月30日-31日 筑波大学プラズマ研究センター 吉川正志
太田晃一、王小龍、千勝雅之、小波蔵純子、坂本瑞樹、今井剛、市村真、
中嶋洋輔:筑波大学プラズマ研究センター 山田一博、安原亮、舟場久芳:核融合科学研究所 南貴司:京都大学エネルギー理工学研究所
1.  はじめに 2.  GAMMA 10/PDX 3.  GAMMA 10/PDXにおけるThomson散乱計測シス
4. 
5. 
6. 
7. 
テム Thomson散乱計測による電子温度・密度計測 マルチパスThomson散乱計測システム まとめ ダイバータThomson散乱計測システム
1. はじめに
—  Thomson 散乱計測は、電子温度・密度計測法として非
常に有効である。GAMMA 10/PDXにYAG-­‐Thomson散
乱計測システムを構築してきた。空間5点の同時計測が
可能なように、システムの改良を進めた。 —  ガス散乱計測を行い、 Thomson散乱計測システムの調
整と校正を行った。 —  GAMMA 10/PDXプラズマに本Thomson散乱計測システ
ムを適用し、電子温度・密度の空間多点計測を可能とし
た。 —  一方、 Thomson散乱信号の増加を目的としてマルチパ
ス・システムの構築を進めた。これまでは、 4 パス程度の
Thomson散乱信号であったが、偏光制御素子の交換と
光学系の調整を進め、 6 パス以上の散乱信号の取得に
成功した。
2. GAMMA 10/PDX
YAG-­‐Thomson
D-­‐module
ne = ni ~ 2×1018 m-­‐3 Te ~ 20 ~ 80 eV Ti ~ 5 keV
3-­‐1. GAMMA 10/PDXにおけるThomson散乱計測システム GAMMA 10
集光ミラー
YAGレーザー
光ファイバー
高速オシロスコープ
データ収集PC
ポリクロメーター 50 cH. 高速アンプ
トリガーシステム
CAEN QDC
3-­‐2. Thomson散乱計測システム ミラー: φ600, f = 873, R = 1200 NA = 0.19 M = -­‐0.459 ファイバー : input 2 x 7, output φ4.8, NA 0.47 立体角: 0.078 str 集光ミラー 9 ch. 光ファイバー プラズマ 光ファイバー
ポリクロ
メーター
YAG laser
径方向測定位置:X = 0, ±5, ±10, ±15, and ±20.
ミラー
3-­‐3. ポリクロメーター
新型のSi-­‐APDを使用した5チャンネル・フィルター型ポリクロメーターを構築した。新規
導入したポリクロメーターを足して合計5台となった。
TS139
Intensity [ V/W ]
4 10
5
3 10
5
2 10
5
1 10
TS056
6
6
3.5 10
6
3 10
Ch. 1
Ch. 2
Ch. 3
Ch. 4
Ch. 5
6
2.5 10
6
2 10
6
1.5 10
6
1 10
1020
1040
1060
Wavelength [ nm ]
Si-­‐APD (PerkinElmer, C30950E)
0
1000
Ch. 1
Ch. 2
Ch. 3
Ch. 4
Ch. 5
6
6 10
6
5 10
6
4 10
6
3 10
6
2 10
6
1 10
5
5 10
0
1000
TS149
7 10
Intensity [ V/W ]
5
Ch. 1
Ch. 2
Ch. 3
Ch. 4
Ch. 5
6
4 10
Intensity [ V/W ]
5
5 10
1020
1040
1060
Wavelength [ nm ]
0
1000
1020
1040
1060
Wavelength [ nm ]
New Si-­‐APDs (PerkinElmer, C30659-­‐1060-­‐3AH)
3-­‐4. Thomson散乱計測システム Thomson散乱計測システムの性能 1.  温度測定レンジ : 0.02 ~ 2 keV (ΔTe ~ 10 eV) 2.  空間測定レンジ : ±20 cm (0, ±5, ±10, ±15, ±20 cm, Δd ~1.5 cm) 同
時測定は、空間5点 3.  時間分解能: ~ 10 Hz ( ~ 10 ns) 4.  使用レーザー: Nd:YAG 1064 nm, 2 J/pulse(Powerlite 9010) 5.  集光系 : 凹面ミラー (r ~ 1200 mm) & 5チャンネル光ファイバー 6.  分光系 : 5ch. フィルター型ポリクロメーター、 Si-­‐APD(光検出器)、 TS139 (PerkinElmer, C30950E), TS056, TS149, TS030, TS136 (PerkinElmer, C30659-­‐1060-­‐3AH). 7.  データ収集系: 高速オシロスコープ(Tektronix DPO4034, IWATSU DS5524). 4. 電子温度・密度計測
#231357, 1
電子温度
50
-3
Electron density [ m ]
Electron temperature [ eV ]
60
40
30
20
10
E-Div. w/o H2 gas
E-Div. 600 mbar H2 gas
0
-15
-10
-5
-4
Line density (E-Div. w/o H2 gas)
Line density (E-Div. 600 mbar H2 gas)
10
15
3.5 10
18
3 10
18
2.5 10
18
2 10
18
1.5 10
18
1 10
18
5 10
17
0
-15
#231357, 1
電子密度
E-Div. w/o H2 gas
E-Div. 600 mbar H2 gas
-10
-5
0
5
10
15
X [ cm ]
7
6
5
1
4
3
-2
m ]
2
17
0.5
Line density [ x 10
Diamagnetism [ x 10 Wb ]
5
X [ cm ]
#231357, 1
1.5
0
4 10
18
1
0
50
Diamagnetism (E-Div. w/o H2 gas)
Diamagnetism (E-Div. 600 mbar H2 gas)
100
150
Time(ms)
200
0
250
• エンドダイバータ模擬装置(D-module) 実験用として、水素ガ
スをD-moduleに導入したプラズマである。
• 電子温度・密度の空間5点同時計測が可能となった。
5. マルチパス・システムの開発 ダブルパス・システム
to Polychromator
マルチパス・システム
Optical fiber
90°collection optics
Mirror
Lens
Lens
Reflection Mirror
Single-pass
Mirror
2 Pass
Plasma
2 Pass
Lens
Lens
Iris
Beam dump
1 Pass
f = 2000
f = 2000
1 Pass
Polarizer
Faraday rotator
Polarizer Short pass mirror
λ/2 plate
Polarizer
Iris
Faraday rotator
Mirror
Iris
Polarizer Short pass mirror
Mirror
λ/2 plate
Mirror
Mirror
Mirror
3 pass
Beam dump
Beam
dump
Pockels cell
Mirror
Mirror
Mirror
2パスビームをダ
ンプ
4パス以上を確認
YAG laser
He-Ne laser
YAG laser
He-Ne laser
偏光制御・像転送光学系を用いたマルチパス・システムを開発した。このシステムは通常
のGAMMA 10のThomson散乱計測システムにレンズ、反射ミラー、ポッケルスセルを追
加して構築した。
5-­‐2. マルチパス・システム
ビームダンプ
偏光素子
ファラデー回転素子
YAGレーザー
ポッケルスセ
ル
ホトダイオード
ミラー
5-­‐3. マルチパス・システム
Rayleighガス散乱実験
Rayleigh散乱信号の積分値
Integrated intensity against pass number
Rayleigh-multi-double-single
250
2.5
Integrated intensity [ Arb. units ]
Pockels cell gate
2
Intensity [ V ]
2
Single-pass
Double-pass
Multi-pass
1
1.5
34
1
5
0.5
0
100
200
6
300
7
8
400
9
10
11 12
500
Time [ ns ]
1314
600
15 16
700
800
200
150
100
50
0
Single-pass
Double-pass
Multi-pass
0
5
10
15
20
Pass number [ # ]
Rayleighガス散乱実験において、6パス以上の散乱信号が測定できた。信号のパス毎の積
分値の増加量は、トータルで1パスの場合よりも約3.6倍程度であった。
5-­‐4. マルチパスThomson散乱信号
マルチパスThomson散乱信号
—  Thomson散乱計測に適
#231051,52 TS149
0.15
2
Single-pass
Multi-pass
Intensity [ Arb. units ]
1
0.1
3 4
0.05
0
5
5200
5300
7 8
6
5400
Time [ ns ]
5500
5600
用した結果、6パス以上の
Thomson散乱信号の取
得に成功した。 —  Thomson散乱信号の積
分値は、1パスに対して約
3.6倍程度増加している。 —  電子温度測定結果では、
1パスの場合87 ± 62 eVと
誤差が大きかったが、マ
ルチパスでは、 54 ± 5 eV
となり電子温度の測定精
度も大きく改善した。 6. まとめ —  GAMMA 10/PDX プラズマの電子温度・密度計測のための
Thomson散乱計測システムを開発している。 —  1プラズマショット、1レーザー入射での空間5点同時計測が可能
となった。 —  現在、ポリクロメーター、高速オシロスコープの台数を増やし、空
間6点の同時計測が可能となっている。今後、光ファイバーの設
置位置分全9点の測定が可能なように進めていく。 —  本年度からオシロスコープの取り込みプログラムの改良とトリ
ガー系の見直しを行い、多時刻計測が可能となった。1プラズマ
ショットで2時刻計測が可能となった。 —  マルチパス・システムの改良を進め、これまで4パスまでの
Thomson散乱信号しか取れていなかったところ、6パス以上の
Thomson散乱信号の取得に成功した。これにより、散乱光強度
が1パスのときの約3.6倍となり電子温度測定精度も大きく改善し
た。 7. エンド部のThomson散乱計測システムの導入
後方散乱計測を行う。
マルチパス・システ
ムの戻りのレー
ザーを利用
セントラル部からレーザーを
エンド部まで伝送
光ファイバーで真空
容器から大気へ光
を伝送