Neuter(避妊去勢して)Release(元に戻す)

なぜ避妊・去勢が重要なの?
猫は交尾排卵(交尾の刺激で♀が排卵す
る)のため、発情期中の交尾で確実に妊
娠します。つまり、発情期に未去勢の雄
と未避妊の雌が同じ場所にいれば、ほぼ
間違いなく妊娠して、個体数がどんどん
増えていきます。数が少ないうちはよく
ても、数が増えると近隣から騒音、糞尿
の苦情が出て問題となります。
野良猫に餌をやり
ながら未不妊で放
置することは、地
域の猫トラブル発
生の原因をつくる
ことにつながるの
です。
生まれた子猫はどうなるの?
屋外の気候の厳しさや交通事故、カラス
による襲撃など、子猫の周囲の環境は過
酷です。さらに生き延びたとしても、人
間による処分で命を落とす猫が多数存在
します。現在、日本国内で年間11万頭
の猫が殺処分(※負傷猫含む)されてお
り、そのうちの約6割が幼齢個体(離乳
前の子猫)です。殺処分を減らすには、
望まれない命として生まれてくる子猫を
減らすことが最も効果的な対策となるの
です。
猫の殺処分数合計109,189頭
子猫(離乳前)
63,206頭(58%)
知ってほしい!TNRのこと
TNR=Trap(捕獲して)Neuter(避妊去勢して)Release(元に戻す)
野良猫をこれ以上増やさないために
繁殖制限により一代限りの地域猫として見守る取り組みです
捕まえたなら保護すべきでは?
いったん捕まえた猫は全て人間が飼い猫と
して保護できれば理想的ですが、家庭で適
正に飼育できる動物の数には限度がありま
す。限度を超えた場合、世話が十分に行き
届かず衛生状態が悪くなり病気が蔓延した
り、経済的な負担により飼い主の生活が行
き詰り、結果的により猫にとって悲惨な状
況となる「多頭崩壊」に陥ります。当店の
ような保護猫シェルターにしても、受入数
には限界があり、幼猫、健康状態に問題の
ある猫、虐待発生地域の猫などに限定して
保護しているのが現状です。
人間と猫が地域で共生するためのやむない
選択がTNRです。放された猫はどうか温か
く見守っていただき、可能であれば家猫に
していただければと願います。
全部の猫に手術が必要なの?
雌猫は平均して1年に3回出産し、1回あた
り5頭の子猫を生みます。TNRによる繁殖
制限を有効にするためには、集中的にでき
るだけ残さず手術を行う必要があります。
また、不妊化により、発情期の鳴き声や喧
嘩、マーキングなどの行為がなくなるため、
騒音や臭気の害も軽減されます。猫が原因
となって発生する地域のさまざまな問題に
対し、TNRは有効な解決手段となるのです。
TNR済みの印です!
How To TNR -どうやってすすめるの?
準備
TNRはなるべく地域の猫全数に集中的に実施しなくては効果が薄くなりま
す。また、猫の習性上どうしても深夜の活動となるため、地域の協力が不
可欠となります。
猫の個体を把握する:施術し残しがないかを確実に把握するために、地域
で生息する猫を把握します。数だけでなく、模様などの特徴により見分け
をつけられるようにします。
協力者を募る:まずはその地域の猫に餌をやっている餌やりさんを見つけ
ましょう。猫の情報を一番よく知っています。複数の餌やりさんがいる場
合は、なるべく多くの人と顔見知りになり、情報提供と手術費用の協力を依頼します。また、餌やりさん以
外にも、特に「猫に迷惑している」という地域住民の方にはTNRの目的を話し、活動に理解を求めると良い
でしょう。
手術してくれる病院を探す:野良猫の受け入れについての考え方は動物病院によって異なります。あらかじ
め、野良猫の避妊去勢手術を受け入れてくれる病院を探しておきましょう。最寄りの病院に問い合わせ、も
し受け入れが難しい場合は別の受け入れ可能な病院を紹介してもらうのも手です。
Trap – 捕獲する
猫が現れる場所の付近に捕獲器を仕掛けます。奥に設置した餌を食
べるために猫が入り口近くの踏板を踏むと、扉が閉まる仕掛けと
なっています。虐待目的の捕獲などと混同されないよう、捕獲器に
は必ず「繁殖制限のための活動であること」を明記し、連絡先を記
入しておきます。
Neuter – 避妊・去勢する
捕獲したら病院に連れていきます。可能であればRevolution等の薬剤で事前に外部駆虫を行います。病
院では手術と同時に、「TNR済み」の目印に耳カットを行います。
手術費用について
所有者のいない猫の避妊去勢費用については、助成制度が利用できる場合もあります。お住まいの自治体に
お問い合わせください。(墨田区の場合については店主がお答えできます)
Release-元いた場所に返す
手術後、雄は日帰り・雌は1泊程度(病院により異なります)で退院となります。退院後は捕獲した場所に
キャリーバッグや捕獲器等で連れていき、放します。
猫は人間が飼育・繁殖させたことで日本に定着した動物です。本来は人間の庇護の下で生きていくことが
望ましいのです。野良猫が地域猫として人間と共存するためには、避妊去勢をきっちりする、置き餌をし
ない、トイレは迷惑にならない場所に設置し清潔に保つなどの活動で、猫の苦手な人にも理解を求める必
要があります。そのためには地域の餌やりさんをはじめとする「猫を愛する住民」同士の協力、連帯が重
要です。
TNRが、地域の猫問題をみんなで考え解決するための第一歩となることを、
人間と猫が共存できる世界が広がることを願っています。