小笠原中学校 第4号 (7月) 平成27年 7月 2日(木) 小笠原村立小笠原中学校 校 長 新 妻 茂 http://www.ogachu.que.ne.jp/ https://www.facebook.com/ogasawara.jhs 硫黄島・沖縄…フクシマ 校 長 新 妻 茂 6月13日から16日まで、今年度の硫黄島訪島事業が行われました。本校の中学2年生19名と母島の2年生1名が参 加しました。私自身も今回で4回目の訪島ということになりました。訪島するたびに戦争の悲惨さ、理不尽さに対する 思いをあらたにするとともに不戦の誓いを確認してきました。 今年は戦後70年という節目にあたるということでいくつかのプレスの同行取材もありました。インタビューを受ける生 徒も何人かいました。 5月に行われた修学旅行の帰島する船の中で、今回の同行プレスの一つである朝日新聞の記者と話をする機会が ありました。「先生の出身はどちらですか」と聞かれたので、「福島県いわき市です」と答えたら、「原発事故で避難して いる人々と硫黄島旧島民の方々と姿がだぶりませんか」と尋ねられました。私は、原発事故が起きて避難している人 々が国策で建設された原発の事故によって故郷に帰れないことと、軍によって強制疎開させられ未だに帰島が許さ れない硫黄島旧島民の方々が似たような状況にあるとかねがね思っていましたので、「私個人としては、だぶって見 えますね」と答えました。 この原稿を考えているのは6月23日です。「沖縄慰霊の日」か、と思った時、そういえば沖縄と福島も状況が似てい るなと思いました。 現在政府は沖縄県宜野湾市にある普天間基地を名護市辺野古に移設させる計画を進めています。これに対し、 沖縄県は移設反対が民意だとして計画に反対しています。 沖縄県の面積は日本の国土全体の0.6%ですが、国内にある米軍基地の74%が集中しています。長年不条理を押 し付けられてきた県民には国への不信感があるのと同時に沖縄の実情が正しく伝わっていないことへのもどかしさも あるのではないでしょうか。 事故から5年目に入った福島では、進展しない廃炉・汚染水対策、止まらない原発事故関連死に県民がいらだち を募らせています。「国が前面に立つ」という言葉がすうっと通り過ぎていくような感じがします。 福島と沖縄の問題は国民の理解がないと解決しないのではないかと思います。基地をめぐっては沖縄県知事や名 護市長も他の自治体との対立にはしたくないでしょう。福島だって思いは同じでしょう。原発事故で発生した放射性物 質が含まれた指定廃棄物の最終処分場問題(30年後に福島県以外に建設すると法律に謳われています。)で、候補 地になっている他県から福島県内で処分すべきだという声が上がっていることは、悲しすぎます。 今国会では、公職選挙法改正案が成立し、早ければ来年の参議院議員選挙から18歳以上に選挙権が付与されま す。今後は被選挙権年齢の引き下げも議論されることでしょう。若者の政治への無関心、選挙離れが叫ばれて久しい ですが、これが契機となって改善の方向へ向かって欲しいと思うのは私だけではないでしょう。硫黄島も沖縄もフクシ マも大きな政治課題です。それ以外にも課題は山積しています。これらの課題を解決していく鍵を握っているのは、 今の児童・生徒のみなさんですよ。 7月の行事予定 1日(水) 遠泳大会練習(5・6校時) 職員会議 2日(木) 都学力調査(2年) 昼:役員会 3日(金) 学習相談(始) 安全指導日 昼:合同委員会 放:学会 5日(日) 遠泳大会 6日(月) 生徒会朝礼 学校公開(始) 7日(火) 学習相談 8日(水) 職員会議 9日(木) 学習面談 放:学会 10日(金) 父母交流(始) 学習相談 11日(土) 父母交流水泳大会 学校公開(終) 12日(日) 父母交流(終) 遠泳大会予備日 13日(月) 学校朝礼 学習面談(終) 昼:学会 放:学会 14日(火) 避難訓練 セーフティー教室 校内研修 15日(水) 【芝生の日】 【食育】 放:全体学活リハ 16日(木) 全体学活 壮行会 バレー部遠征出発 17日(金) 大掃除 終業式 19日(日) サッカー部遠征出発 バレー部島しょ大会 21日(火) サッカー部島しょ大会 都大会(島しょ大会勝ち抜いた場合)バレー20日、サッカー22日 8/2(日)~9(日)ハーモニィセンター宿泊交流 7/28(火)~31(金) 南アルプス市交流 8月31日(月) 夏季休業(終) 9月 1日(火) 2学期始業式 母 島 移 動 教 室 一日目 ・鮫ヶ崎展望台 ・小剣先 ・母島小中学校 ・畜産指導所 ・営農研修所 ・農家(稲垣さん) 澄み渡るような青空。たくさんの保護者の方に見送られ、定刻通りに出 発することが出来ました。ははじま丸からはトビウオのはねている姿が見え、私たちの 移動教室を出迎えてくれました。 宿舎のラ・ メーフに着 き、休憩もそ こそこに鮫ヶ 崎展望台と 小剣先へ。険しい登りの小剣先からは、美 しい母島沖港集落を一望することができま 畜産指導所にて 営農研修所にて し た 。母 島 小 中 学 校 で はと も に 昼 食 を囲 み、温かい歓迎を受けました。午後は畜産指導所、営農研修所、農家を見学し、母島の産業について学習を深めま した。畜産指導所では堆肥の作り方や母島での畜産業の変化について、営農研修所では、種類の違うパッションフ ルーツの食べ比べをさせて頂きました。さらに、稲垣農園では、小笠原を支える農業の大変さも学ぶことが出来まし た。この日の敵はなにより暑さ。しかし、一生懸命に話を聞き、汗をぬぐい、メモを取る姿はとても頼もしく感じました。 二日目 最 高の天 候 で迎 え た石 ・石門 門入山。班に分かれ、ガ イドさんの案内のもと、母島の自然を堪 能してきました。登り始めるとまず広がる のは外来種アカギの群生。猪熊谷を越え ると頭上には霧がかかり、幻想的な雰囲 気の木々。学習係は写真撮影に大忙し 石門にて オカモノアラガイ です。ガイドさんの話を聞き、葉の裏を探すとオカモノアラガイが。ルート中腹へさしかかると、ウドやコブの木、ハイビ スカスの巨木が眼前に広がりました。リュウビンタイモドキやワダンノキ、セキモンノキなどの珍しい固有種。ツノゼミと いう珍しい蝉に出会った班もありました。ここ石門でしか見られない特別な生き物をたくさん見つけることができまし た。そして、昼食場所の中の段からすぐ、石灰岩のラピエの上から見える青い海。聞きしに勝る自然に感嘆しました。 7時間の行程、へとへとになりながらも、母島の自然を体感できた1日でした。 三日目 三日目は母島の歴史を巡る日。戦前の小 ・六本指地蔵 笠原の歴史を伝える探照灯や北村小学校 ・探照灯基地跡 ・東港探照灯下砲台 跡、悲しい逸話のある六本指地蔵を見学し ・北村小学校跡 ました。しっかりと原型を残した戦跡、探照灯 ・北港清掃 や砲台を間近に見ることが出来ました。北村 小学校跡では、さとうきびをするための石柱や学校の台石を見て、戦前たくさ 北港 んの人が住んでいたという北村について思いを馳せまし た。そして、北港では漂着物の清掃活動を行いました。母 島の素晴らしい自然を守っていくために何が出来るのか。 清掃活動中 一人ひとりの出来ることは少ないけれど、両手にいっぱいの ゴミを拾い、お世話になった母島に少し恩返しができたで はないかと思います。 このように母島で学んだことを糧にし、父島に住む者とし て小笠原をもう一度学び直します。そして、それらを学習発 表会で伝えられるように、学習を深めます。 今回、怪我無く母島移動教室が無事に出来たことは、ご 協力頂いた地域の皆様、保護者の皆様のお力添えのおか げです。本当にありがとうございました。 北港 集合写真 2年 4日間の主な日程 硫黄島訪島事業 6/ 13~ 6/ 16 [6/13] [6/14] 今年度も小笠原中学校第2学年の生徒たちは、硫黄島訪島事業に参 加し貴重な体験をさせていただきました。 硫黄島旧島民の山下賢二さんからは、当時の硫黄島での生活の様子 [6/15] や出来事など貴重なお話を伺い平和について考えました。慰霊祭に臨 む生徒たちは、一人一人が厳粛に献花を行いました。代表生徒による誓 いの言葉では、平和について考え続け平和な世の中を築いていくことを [6/16] 誓い千羽鶴を奉納しました。また島内視察では、硫黄島での戦いの跡を たどり、尊い命を奪い人々の心に深い傷を負わせる戦争の悲惨さを痛 感しました。そして、戦争によって友人や家族と引き裂かれてしまった旧 島民の方の悲しみ、現在も故郷に帰ることのできない気持ちを思うととも に、二度と戦争を繰り返してはならないと心に刻みました。 今回硫黄島訪島事業に参加するにあたり、たくさんの方にお世話に なりました。お世話になった方への感謝の気持ちを感じるとともに、生徒 たちは硫黄島訪島事業で学んだことを自分たちが語り継いでいくという 意識を抱いております。硫黄島訪島事業でお世話になりました関係者 や地域の皆様に、この場を借りて御礼申し上げます。 生徒作文(一部抜粋) 21:00 7:30~ 9:30 午後 午前 午後 15:30 6:00 二見港出発 硫黄島上陸 慰霊祭(祈念公園) 島内視察 島内視察 自衛隊基地の説明と見学 乗船・洋上献花 二見港帰港・解散式 「硫黄島訪島事業を通して」 ○ぼくは戦争について考え、絶対に戦争は繰り返してはいけないことだと思いました。硫黄島訪島事業で学んだこと や、経験したことを生かして生きていこうと思いました。 ○硫黄島に行き、僕は戦争についてとても多くのことを学びました。それは、硫黄島では確かに米軍との激戦が繰り 広げられていたこと、多くの人が血を流したこと、今もまだ遺族のもとへ帰れない英霊達がいること。それ以外にも 旧島民の方々は、未だ自分の故郷に帰ることができず、戦後という気持ちにはなれないことなど、本当に多くのこと を学びました。 ○硫黄島では、戦争の跡が痛々しく残っていました。僕はもう戦争が起きてほしくないと思いました。なので、これから 身近な人にこのことを伝えていきたいと思います。 ○硫黄島訪島事業で学んだことはたくさんあります。印象に残ったこともたくさんあります。その中でも、壕の中はいろ いろなことを感じたし考えました。どのような生活をしていたのだろう、どんな思いだったのだろう、いろいろなことを 考えました。 ○きれいな自然に囲まれとても豊かだった場所が戦争という戦いでもう2度と同じ硫黄島には戻らないから、当時の人 の思いと自分の思いも込めて、もう2度と戦争はしてはいけないと世界中の人に伝えたいです。 誓 い の 言 葉 私たちは硫黄島を訪島するにあたり、さまざまな学習を進めてきました。一人一人が各テー マに沿い詳しく調べ、クラスで発表しました。父島の夜明山戦跡調査では、戦争というものが 確かにあったのだと痛感しました。これらの取り組みを通して感じたことを、小笠原中学校を 代表し私たちがお話します。 戦前の硫黄島は、緑豊かで活気に満ちあふれた島でした。サトウキビにレモングラス、パイ ナップル、マンゴーなどの豊富な作物、大正尋常小学校での遠足や運動会、年に一度の島民総 出で賑わった相撲大会、硫黄島での生活は楽しく充実していました。 しかし昭和19年、硫黄島は戦場と化し爆撃機による空襲を受けました。硫黄島で暮らしてい た島民は強制疎開をさせられたのです。また、多くの青年たちが硫黄島に軍属として残り軍に 協力するよう命じられました。家族は別々に引き裂かれ、二度と会うことができなくなりまし た。硫黄島を追いやられた島民たちは、現在もこの地に住むことができないのです。 硫黄島は米軍にとって本土空爆の拠点となり、日本軍と米軍のどちらにとっても重要な場所 でした。そのため、両軍たくさんの兵士がこの地に送りこまれました。半年以上も続く空爆や 激しい地上戦により、二万七千人以上もの命がなくなったのです。緑豊かで美しかった硫黄島 の面影も消えてしまいました。 戦後70年が経つ現在、硫黄島は昔のような緑を取り戻しつつあると言われています。しかし、 戦争で失われた多くの尊い命、深い心の傷は元には戻りません。硫黄島には、今も多くの方の 遺骨が埋もれています。旧島民の方々の帰島も実現していません。 私たちは、硫黄島について学ぶことを通じ、平和の大切さと命の尊さを知り、絶対に戦争を 繰り返してはいけないと強く実感しました。これからも平和について考え続けていくこと、そ して、平和で幸せな世界を築いていくことを誓います。 平成27年6月14日 生徒代表 6/14 ノ ロ 落 と し ブ イ ・ フ ロ ー ト 設 置 6月14日(日)、毎年恒例の「ノロ落とし」が行われました。また、前日に は、地元ダイバーの方々に「ブイ・フロート設置」もしていただきました。ご 協力いただいた方々に、この紙面をお借りし、改めてお礼申し上げま す。「ありがとうございました」。 さて、小中の児童・生徒はもちろん、PTAや地元ダイバーの方々の多 大なるご協力のもと、小笠原の夏の到来、『海開き』となりました。ここから 3ヶ月半、多くの笑顔と歓声が溢れ、”ボニンブルーの海”が輝きを増す 季節です。事故やケガのないことを願いつつ、みんなで一生懸命に作業 した1時間でした。しかし、中学生の遊び方に問題があるようです。『フロートを分解したり』、『ひっくり返したり』、せっ かく新しいロープにしたばかりです。ロープが切れるような遊び方・フロートが壊れるような遊び方は止めて大切に扱 ってください。これから先、何年も間、後輩たちがこのブイ・フロートを利用します。 ※ブイ・フロート撤去 9月27日(日) ※予備日:未定です。 遠泳大会に向けて 水泳指導が始まりました。体育の授業であることはもちろんですが、大 きな目標の一つとして、7月5日(日)の『遠泳大会』があります。今年は天気に恵まれ、プールと海(2回・6/30と7/1) で十分に練習を重ね本番に臨むことになります。 水泳は個人競技、自分との戦いというスポーツですが、学校行事・遠泳大会に関しては『互いに励まし合い、み んなで目標を達成する』という面もあります。 [遠泳大会の目標] ○自分の泳力を試すとともに、泳力の一層の向上を図る。 ○集団遠泳を通じて、協力・励まし合いの気持ちを養う。 ○健康・安全に留意しながら完泳できるように努力する。 海に囲まれている小笠原で生活をする私達ですが、この機会に改めて 『目標を持って泳ぐ』ことを意識して取り組んでいきましょう。 2学期当初の予定 9月 1日(火) 始業式 各種委員会 発育測定 2日(水) 学習相談(始)【芝生の日】 3日(木) 中央委員会 5日(土) 海洋センターボランティア 7日(月) 保護者会 9・10日(水・木) 島しょ研修会 11日(金) 学習面談(終わり) 14日(月) 保健面談(始) 2週間学習プログラム(始) 18日(金) 1年東平外来種駆除活動5・6校時 19日(土) 土曜日授業 [夏季休業について] 18日より8/31まで、45日間の長い夏 休みが始まります。過ごし方については学 校でも指導いたしますが、家庭でも次のこ とをお願いします。 (1)家庭のルールを守らせてください 起床や就寝、門限 等、生活リズムを 安定させること、また家の手伝いをさせ ることが充実につながります。 (2)学習の習慣を身に付けさせてください 時間は学年によって違ってきますが、 1日最低2時間が目安です。 例年のことですが、4/6始業式、4/7入学式から始まった今年度 ですが、5月の修学旅行、6月の母島移動教室と硫黄島訪島、そし て期末テストと本当に早い1学期です。ここまで無事に教育活動が 進みましたこと、保護者の方や地域の方々のご理解とご協力の賜 と、改めて感謝申し上げます。 さて、もうすぐ生徒が待ちに待った『夏休み』に入ります。45日間 という長い期間、どのように過ごすかで2学期が大きく変わってきま す。(右に注意事項を書かせていただきました) なお、8月は[校 庭芝生の養生期間]となります。『立ち入り禁止』となりますのでご 協力をお願いいたします。 (3)3度の食事を大切にし、健康的な毎日に なるよう支援してください 夏休みは特に、観光の方が大幅に増え、 島の中がにぎわう毎日になるかと思いま す。生徒はまだまだ大人の支援が必要な年 代です。安全で健康な中学生らしい生活を おくり、充実した夏休みになるようお願い いたします。
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