社会問題化する空き家問題、あなたの実家は大丈夫?

経営者と後継者のためのセカンドオピニオン
東京都品川区大崎4丁目1番2号
ウィン第2五反田ビル7F
Phone: 03(3491)3811
E-mail: [email protected]
2015年2月号
SOS Club SOS Club SOS Club SOS Club SOS Club SOS Club SOS Club SOS Club SOS Club SOS Club SOS Club SOS Club
社会問題化する空き家問題、あなたの実家は大丈夫?
増え続ける空き家とその背景!
税制改正で税優遇が?
深刻化する空き家問題の対応策は?
産税
固定資 用
撤去費
●増えているのは放置空き家!
空き家は賃貸用、売却用、別荘等とそれ以外
がありますが、このうち特に問題になるのは買
い手や借り手を募集しているわけではなく、放
置されている空き家で、今回の調査では318
万戸と空き家全体に占める割合は前回より上
がって35.4%から38.8%に。
●空き家の多い県はどこ?
空き家率の高い県
貸す?
売る?
総務省が5年ごとに発表する「住宅・土地統
計調査」によると、2013年時点の日本の空き
家は約820万戸で、全住宅のうち13.5%と過
去最高になっています。増加する空き家は今や
社会問題とも言われています。
今、空き家問題とは?
●今や7~8軒に1軒が空き家?
総務省の調べでは、全国の空き家は5年前に
比べ、63万戸増えて過去最高になり、空き家
率は13.5%、今や7~8軒に1軒が空き家に。
総住宅数、空き家数及び空き家率の推移
全国(昭和33年~平成25年)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
山梨県
愛媛県
高知県
徳島県
香川県
鹿児島県
和歌山県
山口県
岡山県
広島県
17.2%
16.9%
16.8%
16.6%
16.6%
16.5%
16.5%
15.6%
15.4%
15.3%
空き家率の低い都県
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
宮城県
沖縄県
山形県
埼玉県
神奈川県
東京都
福島県
滋賀県
千葉県
愛知県
9.1%
9.8%
10.1%
10.6%
10.6%
10.9%
11.0%
11.6%
11.9%
12.0%
(注)別荘などを除く
都道府県別では過疎に悩む県が上位をしめて
います。若者が進学や就職で都会に出て行き、
親から引き継がず使われていない家屋が増加。
トッ プ の山 梨県 で は5 ~6 軒に 1 軒が 空 き家
で、東京などへの人口流出が影響しています。
●住宅数、世帯数を上回る増加!
戦後20年ぐらいは住宅数より世帯数が多
く、空き家率も数%でしたが、1968年から住
宅数が上回るようになり、その後も住宅数が世
帯数を上回って伸び、空き家割合も増加。
●15年後には4分の1が空き家?
現在の住宅着工や空き家撤去のペースが続け
ば、核家族化に加え、高齢化など一人
暮らしの世帯が増えていることもあり
Copyright© EIWA Consulting, Inc. All Rights Reserved
MONTHLY NEWS LETTER 2015.2
SOS Club SOS Club SOS Club SOS Club SOS Club SOS Club SOS Club SOS Club SOS Club SOS Club SOS Club SOS Club
今後も毎年20万戸ずつ増え続け、15年後には
全体の4分の1が空き家になるという試算が。
●実は都会の空き家も問題!
空き家問題は地方の課題と思いがちですが、
実は都心こそ深刻という声も。東京都の空き家
率は10.9%と全国では低いですが、それはあ
くまで「率」の話。分母数が多い分、空き家の実
数でみるとダントツの多さです。しかもその約
7割が都心部の東京23区に集中しています。
空き家問題の背景とは
●放置された空き家は・・・
空き家は無人でも維持管理がされていれば問
題はありませんが、放置期間が長引くと倒壊し
たり、不法者侵入や放火、不法投棄の危険性が
増すなど周囲に悪影響を及ぼす「問題空き家」
となります。都心部では住宅が密集しているた
め、問題空き家が1軒でもあると近隣への悪影
響が大きいという問題があります。
●空き家放置には様々な原因が!
原因
税金
権利
相続
地価
登記
内 容
建物を壊して更地にすると、固定資産税
が最大6倍に上がる
土地の持ち主と建物の持ち主が違うと意
見がまとまらない
複数の親族が相続した場合、処分方法を
巡り、意見がまとまらない
地価の下落が続いており、売りたい価額
で売れない
自治体が連絡しようとしても本来の所有
者が分からない
●固定資産税の歴史を遡ると・・・
以前から空き家に対する固定資産税の優遇が
問題視されていましたが、そもそも固定資産税
とはどのように登場したのでしょうか?
シャウプ勧告で固定資産税
現行の固定資産税は、戦後1949年のシャウプ
勧告を基礎として登場。戦前の税制から最大の
変更点は、賃貸価格でなく資本価格への課税。
当時は全国的に住宅が不足し、戦前の地代家賃
統制令を直ちに撤廃できなかったため、地方の
税収確保のため、賃貸価格でなく資本価格に課
税することが提案された。
●住宅用地への優遇特例導入!
その後、大都市を中心に地価上昇により、庶
民住宅の固定資産税負担が社会問題に。1973
年には農地の宅地化促進もあり、住宅用地に軽
減の優遇特例が導入されました。空き家問題と
して話題になる「最大6分1までの軽減」の特例
はさらに20年経過した1993年に登場。
●優遇特例が据え置かれたまま!
固定資産税はほとんどの市町村で歳入の約5
~6割を占める大きな財政基盤です。人口減で
地方財政がひっ迫する中、安易に更地への課税
を緩和することはできません。逆に空き家用地
を更地並みに強化すれば、空き家でないと偽造
される恐れもあり、更地に対する固定資産税は
緩和も強化もできず、据え置かれてきました。
空き家対策特別措置法
●固定資産税と空き家問題?
●国、自治体が取り組み開始!
放置される理由で大きいのは、空き家を解体
して更地にすると税制面の優遇措置が受けられ
なくなること。空き家でも税制上は「家屋」と扱
われるので敷地は「住宅用地」となり、特例措置
で固定資産税が最大6分の1まで軽減され、都
市計画税も最大3分の1まで軽減されるので、
空き家にしたままの方が有利ということに。
<住宅用地の税制優遇特例>
放置される空き家の急増を受け、昨年11月
末「空き家等対策の推進に関する特別措置法」
が議員立法で可決されました。防災や景観など
に悪影響を及ぼす恐れのある空き家の増加を防
ぐため、市町村の権限で家主に除去や修繕を命
令できる法律で、今春から施行されます。
用地区分
固定資産税
空き地(更地) 建物がない 課税標準×1.4%
小規模住宅用 200㎡以下 課税標準×1/6×1.4%
一般住宅用 200㎡超部分 課税標準×1/3×1.4%
*税額は課税標準の1.4%が原則。課税標準は固定資産課税
台帳に登録されている固定資産税評価額。
MONTHLY NEWS LETTER 2015.2
<対象となる特定空家等とは>
●そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険と
なる恐れのある状態
●著しく衛生上有害となるおそれのある状態
●適切な管理が行われていないことにより、著し
く景観を損なっている状態
●その他周辺の生活環境の保全を図るために放置
することが不適切である状態
Copyright© EIWA Consulting, Inc. All Rights Reserved
SOS Club SOS Club SOS Club SOS Club SOS Club SOS Club SOS Club SOS Club SOS Club SOS Club SOS Club SOS Club
●法律で空き家対策どう変わる?
この法律の狙いは2つあり、1つは問題のあ
る「特定空家等」に市町村が立入調査を行い、
指導、勧告、命令、行政代執行(所有者が命令
に従わない場合)の措置をとること。命令に従
わない場合は過料の罰則もあります。また、
登記簿未記載などで所有者が分からない場
合、固定資産税などの課税の個人情報を必要
な範囲で利用することも可能に。
心配です。65歳以上の高齢者が暮らす住宅は現
在約2,086万戸。このうち約1,137万戸は子や
親族などが同居していない高齢者世帯。高齢者
世帯のうち、持ち家は約873万戸です。
●果たして空き家は減るのか?
もう1つの狙いは、活用できる空き家の有効
利用です。市町村に空き家のデータベースを
整備し、空き家や空き家の跡地の活用を促進
することを求めています。
空き家対策費用は国と都道府県が市町村に
補助をするなど財政上の措置も必要になりま
すが、この法律では対症療法にすぎないとの
声も。「空き家対策で全体的な絵を描いている
省庁はない」(国交省住宅局)のが現状とか。
●固定資産税の優遇が無くなる?
2015年税制改正大綱では、固定資産税の取
り扱いがついに改正になるようです。「特定空
家等」に指定された場合、その土地は固定資産
税・都市計画税の優遇が受けられなく
なり、更地課税の扱いになります。
●提供者に解体費助成や税優遇も!
65歳以上世帯の持ち家約873万戸に対し、
75歳以上世帯の持ち家が約428万戸とほぼ半
減していることを考えると、今後10年間で空き
家となる「予備軍」が400万戸以上ということ
に。世帯主が長生きしても高齢者施設へ入居す
るなどして空き家になるケースもあります。
●実家問題に悩む子世代急増!
空き家になった親の実家をどうするか
で悩む子世代が増えています。これまではその
まま放置するのが税制上は有利でしたが、優遇
を受け続けるため最低限のメンテナンス費用を
かけるか、有効活用するか、売れるうちに売る
などの選択を迫られそうです。
◆65歳以上の持家世帯において子が1時間
以上の場所に居住している場合
近隣住民を悩ませてきた空き家を解体し、
跡地を防災拠点等に活用する動きも。
倒壊の危険性のある空き家の解体費用を
東京都
200万円を上限に補助。跡地を広場等に無
文京区
償提供すると固定資産税は免除(10年間)
跡地を防災空地として活用するため、解
神戸市 体費用を全額補助。所有者は固定資産税
免除に。
地方でも人口減少に伴って増加する空き家
が問題になっていますが、特に豪雪地帯では
倒壊の危険が大きく、秋田県を地盤とする秋
田銀行と北国銀行は空き家の解体費や改装費
を賄うローン商品の取り扱いを拡充。
避けて通れぬ「実家問題」
●高齢者世帯は空き家予備軍
空き家予備軍となりそうな高齢者の住まいも
Copyright© EIWA Consulting, Inc. All Rights Reserved
●相続税増税と空き家問題?
相続税改正を機に二世帯同居を始める世帯も
増えつつあるとか。年間50兆円の遺産が受け継
がれる「大相続時代」を迎え、小規模宅地の特例
の適用化が厳格化され、実際に居住しなければ
優遇措置が受けられないなど、親の持ち家は子
世代にとっては負の遺産になるケースも。その
ためにも、ご両親が元気なうちに節税対策を含
めた、相続対策、空き家対策をお勧めします。
MONTHLY NEWS LETTER 2015.2