実体顕微鏡用照明システム - Leica Microsystems

産業ユーザー向けテクニカルレポート
実体顕微鏡用照明システム
産業アプリケーションで最善の結果を得るために
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産業ユーザー向けテクニカルレポート – 実体顕微鏡用照明システム
はじめに
照明システム選択の主な基準
このレポートは、試料観察に最適な照明システムを探している実体顕
試料の高品質の顕微鏡観察とイメージング結果を得るのに適切なタイプ
微鏡ユーザーの皆様に有用なアドバイスを提供することを目的としてい
の照明を選択するうえで、考慮すべき重要な基準がいくつかあります。
ます。
> > 観察する試料のタイプ
> > 試料のどのような性質を解析したいか
> > 現在使用している照明システムでは、どのような不都合が生じるか
> > 顕微鏡観察中に試料にアクセスする必要があるか(たとえば、小刀、
顕微鏡観察では、使用する照明が最終画質に大きな影響を及ぼします。
最善の結果を得るのに適した照明の選択は、試料のタイプ、試料のどの
ような性質を知りたいか、さらにはアプリケーションおよび顕微鏡観察
ピンセット、はんだごて、またはその他のツールによる操作)
の目的により異なります [1、2、3、4]。
適切な照明を得るまでに、顕微鏡ユーザーの皆様が複数のタイプの照明
以下の情報は、顕微鏡ユーザーの皆様が最善のイメージング結果を得ら
れる照明システムを選択するための一助となることでしょう。
を試してみなければならないケースも考えられます [5、6]。ユーザーの
皆様は、ライカマイクロシステムズまたはその特約販売店の営業スタッ
フに、各種の照明システムのデモ使用を依頼し、その上で購入機種を決
LED(発光ダイオード)照明の利点
定できます。
顕微鏡用 LED 照明技術は、顕微鏡イメージングで広く使用されるハロゲ
ンランプに比べ、いくつもの利点があります。たとえば:
ライカ LED5000 シリーズの照明システムは、主に高性能実体顕微鏡の
> > 寿命が長い(2 万 5,000 ∼ 5 万時間)
> > 消費電力が少ない
> > 自然な色温度
>>「冷光」源 → 熱放射が少ない(熱に敏感な試料を観察する場合に有利)
> > サイズがコンパクトで扱いやすい
ライカ M125、M165、または M205 で使用されます [7]。ライカ LED3000
シリーズは、主にルーチン実体顕微鏡のライカ S4、S6、S8 APO、M50、
M60、または M80 で使用されます [7]。ライカ LED5000 と LED3000 両
シリーズの照明の基礎情報の一部を以下に示します。
> > 輝度を落としても色温度が変化しない
執筆者
James DeRose
Matthias Schacht
科学記事ライター、Stereo & Digital Microscopy Marketing,
プロダクト マネージャー、Stereo Microscopy, Leica Microsystems AG,
Leica Microsystems AG, Switzerland
Switzerland
産業ユーザー向けテクニカルレポート – 実体顕微鏡用照明システム
LED(発光ダイオード)照明の概要
リングライト(RL)は試料を明るく均一に照明することができ、多くの種類の試料に適しています。
さらに、両シリーズのリングライトには拡散板および偏光セットが用意されています。これらアク
セサリーは、グレアやスポットのハイライトなどの問題を低減する効果があります。
ビームを光学系で誘導して試料表面で反射させる同軸照明(CXI)は、滑らかで高反射性の試料
に最適です。微細なクラックや表面品質を解析評価するのに、特に役に立ちます。
光路軸に極力近づけて配置された LED によるニアバーチカル照明(NVI)ではほぼシャドーフリー
の照明が得られ、凹部や深い穴のある試料、または大きな作動距離を要する試料の観察に向いて
います。
可撓性のグースネックによるスポットライト照明(SLI)ではハイコントラストの照明が得られ、多
くの種類の試料に適しています。
ドーム照明(DI)と高出力ドーム照明(HDI)は、後方反射が強く観察が難しい高反射性で表面が
平坦でないか、湾曲した試料の観察用です。
方向と角度の異なる 2 本のビームを使い、観察中にコントラストを反復的に切り換えるマルチコ
ントラスト照明(MCI)は、ディテールの識別が難しい試料に向いています。
バックライト照明(BLI)は、透明な試料を観察するための透過光源です。
3
4
産業ユーザー向けテクニカルレポート – 実体顕微鏡用照明システム
ライカ LED5000 と LED3000 を使って得られた照明結果
各種試料の画像例を以下に示します。画像はライカ M165 実体顕微鏡に、ライカ DFC495 デジタ
ルカメラ と LED3000 または LED5000 シリーズの照明システムを取り付けて記録したものです。
試料:プリント基板(PCB)
リング照明(RL):試料の複数の特徴
ニアバーチカル照明(NVI):穴と凹部
同軸照明(CXI):スクラッチと表面構造
スポットライト照明(SLI):試料の複数の特徴
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産業ユーザー向けテクニカルレポート – 実体顕微鏡用照明システム
試料:人工股関節部品
リング照明(RL): 試料の複数の特徴
ニアバーチカル照明(NVI):穴と凹部
高出力ドーム照明(HDI):高反射性領域
スポットライト照明(SLI):試料の複数の特徴
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産業ユーザー向けテクニカルレポート – 実体顕微鏡用照明システム
試料:マイクロエレクトロニクス
リング照明(RL):試料の複数の特徴
同軸照明(CXI):表面構造
ニアバーチカル照明(NVI):穴と凹部
高出力ドーム照明(HDI):高反射性領域
産業ユーザー向けテクニカルレポート – 実体顕微鏡用照明システム
その他の推奨事項
照明システムを選択するときは、ライカマイクロシステムズ顕微鏡の高品質光学系に合ったものを
選ぶのはもちろんのこととして、そのほかに解明しようとする試料の性質、観察に必要な視野(視
野径)にも注目する必要があります。さらに、コンピュータによるエンコーディングから得られるメ
リットや、顕微鏡の光学性能、すなわち対物レンズがプレーンか、プランアポクロマートか、アクロ
マートかなどにも配慮するといいでしょう。
また、忘れてはならない追加の考慮事項が存在します。
> > 特定の照明システムを使用すると、要求される光学性能を得られないというケース存在します。
たとえば、ライカ LED5000 RL 照明システムは 2.0x 対物レンズと組み合わせることができません。
> > また、代替照明システムについても常に考慮するようにしてください。たとえば、対物レボルバー
付き実体顕微鏡または作動距離の短い構成の顕微鏡であれば、ライカ LED リング照明(RL)の
使用が考えられますが、そのほかグースネック システム付きライカ LED スポットライト(SLI)も
有力な候補となります。
結論
実体顕微鏡で試料を観察するのにどの照明システムが最適かは、簡単に正解が得られる問題では
ありません。とはいえ、このレポートで説明するアドバイスと提言は、
実体顕微鏡による観察と画像記録で最善のイメージング結果を得るために種々の照明システムを
詳査されるユーザーの皆様の一助となることでしょう。
後続ページに、ライカ LED3000 と LED5000 シリーズ照明システムのクイック セレクション ガイド
を掲載しました。このガイドは、顕微鏡ユーザーの皆様が特定の試料、特定のアプリケーションに
最適な照明システムを探す際に大いに参考になるものです。
文献 / 参考資料
1. Nelson, L.: Sample Determines Lighting Techniques, Back to Basics Microscopy. R&D
Magazine 43 (7): 49 (2001).
2. Diez, D.: Metallography – an Introduction: How to Reveal Microstructural Features of
Metals and Alloys. Science Lab.
3. Christian, U., and Jost, N.: Metallography with Color and Contrast: The Possibilities of
Microstructural Contrasting. Science Lab.
4. Ockenga, W.: Polarization Contrast: An Introduction. Science Lab.
5. Goeggel, D., and Schlaffer, G.: 3D Visualization of Surface Structures, Vertical Resolution –
Small Steps, Big Effect. Science Lab.
6. Birlenbach, M., and Holenstein, R.: Higher Motivation, Longer Concentration – Ergonomics
as a Competitive Advantage: Microscope Workplace Design in Quality Control. Science
Lab.
7. Goeggel, D.: Factors to Consider When Selecting a Stereo Microscope. Science Lab.
7
8
産業ユーザー向けテクニカルレポート – 実体顕微鏡用照明システム
クイック セレクション ガイド
ライカ LED3000 / LED5000
注文番号
高出力ドーム
LED5000 HDI
同軸
LED5000 CXI
ニアバーチカル
LED5000 NVI
マルチ
コントラスト
LED5000 MCI
LED5000 SLI
スポットライト
LED5000 RL
リングライト
バックライト
LED3000 BLI
拡散
LED3000 DI
ニアバーチカル
LED3000 NVI
マルチ
コントラスト
LED3000 SLI
LED3000 MCI
LED5000
スポットライト
LED3000 RL
外観
LED3000
リングライト
照明システムの機種名
10450271 10450508 10450507 10450657 10450660 10450661 10450494 10450548 10450561 10450658 10450656 10450062
10450659
試料の性状 /
アプリケーション
平坦な試料
研磨された平坦な試料
透明
–
–
–
–
–
–
構造化表面 / プロファイル
光沢表面
1)
金属表面
1)
–
–
–
–
1)
1)
–
1)
1)
スクラッチ
凹部
–
–
–
–
–
–
–
高反射性表面(鏡面など)
–
–
–
穿孔穴 / 穴
–
–
–
–
–
1)
–
1)
1)
半透明の試料
– 2)
– 2)
– 2)
–
–
–
–
–
–
–
–
透明な試料
– 2)
– 2)
– 2)
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
照明の特性
–
無影照明(均一)
高輝度照明
広視野
ハイコントラスト照明
作動距離
– 短(< 50 mm)
– 中(50 ∼ 100 mm)
– 中(100 ∼ 150 mm)
– 長(> 150 mm)
–
複数セグメントの照明
再現性のある設定
3)
–
コントラストの
反復切り換え
試料の移動が容易
3)
–
鉛直照明
–
照明の位置を柔軟に
変更可能
–
–
3)
–
–
–
3)
–
3)
–
–
–
3)
–
–
–
3)
3)
–
–
3)
3)
3)
3)
–
3)
3)
3)
3)
–
–
–
= 最適、 = 好適、 = 不適、– = 不可。 1) 反射防止のために拡散板を、反射を最小限に抑え込むために偏光セットを使用、2) 専用透過光ベース(TL ベース)と組み合わせ可能、
3) Leica Application Suite(LAS)ソフトウェアとの組み合わせ
–
–
–
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産業ユーザー向けテクニカルレポート – 実体顕微鏡用照明システム
注文番号
高出力ドーム
LED5000 HDI
同軸
LED5000 CXI
ニアバーチカル
LED5000 NVI
マルチ
コントラスト
LED5000 MCI
LED5000 SLI
スポットライト
LED5000 RL
リングライト
バックライト
LED3000 BLI
拡散
LED3000 DI
ニアバーチカル
LED3000 NVI
マルチ
コントラスト
LED3000 SLI
LED3000 MCI
LED5000
スポットライト
LED3000 RL
外観
LED3000
リングライト
照明システムの名称
10450271 10450508 10450507 10450657 10450660 10450661 10450494 10450548 10450561 10450658 10450656 10450062
10450659
顕微鏡との
組み合わせの可否
S4 / S6 / S6 E / S8 APO
–
M50 / M50 / M80
–
M125
–
–
–
–
–
–
M165 C
–
–
–
–
–
–
M165 FC
–
–
–
–
–
–
M205 A
–
–
–
–
–
–
M205 C
–
–
–
–
–
–
M205 FA
–
–
–
–
–
–
Z6 / Z16 / Z6 APO /
Z16 APO
DMS300 / DMS1000
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
4)
–
–
–
–
–
–
–
–
–
4)
テクニカルデータ / 仕様
SmartTouch 接続の可否
–
Leica Application Suite
–
からの操作
光源
– LED
– ハロゲンランプ
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
60–150
–
–
60–150
50–200
–
50–80
–
–
5–400
–
60–70
LED の個数(TL)
24
2
4
2
36
36
40
2
9
2
2
132
輝度レベル段階数
10
10
10
10
10
10
10
10
10
10
10
10
照明モード数
9
3
9
1
1
1
19
3
5
1
1
3
50,000
50,000
50,000
50,000
30,000
30,000
50,000
50,000
50,000
50,000
50,000
30,000
5,600
5,600
5,700
5,600
6,000
6,000
5,600
5,600
5,700
5,600
6,200
6,500
FusionOptics との適合性
–
–
–
–
–
電源供給
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
消費電力(W)
15
5
10
10
10
10
10
5
15
15
10
25
–
–
–
–
–
–
–
–
–
65
–
80
推奨作動距離(mm)
CAN バス / CTL2
LED の寿命(時間)
(輝度 50 %時)
色温度(K)
グースネック付き
コントロールパネル
内蔵コミュニケーション
ディスプレイ
内径 / 対物レンズのサイズ
(mm)
–
–
58
–
–
–
58
–
= 最適、 = 好適、 = 不適、– = 不可、4) アクロマート、65 mm 径の対物レンズ(MD 対物レンズ)使用時
–
–
80
–
www.leica-microsystems.com
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+39
02 574 861
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2 514 65 48
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+34
93 494 95 30
93 494 95 32
スウェーデン ∙ Kista
+46
8 625 45 45
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71 726 34 34
71 726 34 44
英国 ∙ Milton Keynes
+44
800 298 2344
1908 246312
+1 800 248 0123
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工業分野のルーチン作業や研究だけでなく、工業材料、品質管理、法医学や
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米国 ∙ Buffalo Grove/Illinois
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