事業報告書(PDF) - 公益財団法人米沢上杉文化振興財団

平成26年度
事業報告書
平成26年 4月 1日から
平成27年 3月31日まで
公益財団法人米沢上杉文化振興財団
目
次
(平成26年度事業報告書)
Ⅰ.公益目的事業
(1)
展示事業
・・・
1ページ
(2)
教育・普及事業
・・・
4ページ
(3)
資料収集・調査・整理・保管事業
・・・
8ページ
(4)
資料集出版(堀内家文書)事業
・・・
9ページ
(5)
置賜文化ホール自主事業
・・・ 10ページ
(6)
米沢市座の文化伝承館自主事業
・・・ 15ページ
(7)
芸術文化活動のための施設貸与事業(米沢市座の文化伝承館) ・・・ 16ページ
(8)
伝国の杜サポーター運営事業
・・・ 16ページ
Ⅱ.収益等事業1
ミュージアムショップ事業
・・・ 17ページ
Ⅲ.収益等事業2
施設貸与事業
・・・ 17ページ
Ⅳ.収益等事業3
伝国の杜ファンクラブ事業
・・・ 18ページ
Ⅴ.管理部門
管理部門
・・・ 18ページ
I 公益目的事業
地域における歴史・芸術文化の振興を図るための事業
1.展示事業
(1)企画展示
平成26年度は米沢市上杉博物館企画展示室において年間6本の企画展を開催した。さ
らに利用者が展覧会の理解をより深められるよう講演会、ギャラリートークを適宜実施し
た。
また、平成27年度以降の企画展開催に向けて準備を進めた。
①特別展「上杉家伝来絵図」
会
期:平成26年 4月19日(土)~ 6月
8日(日)
開催日数:50日間
入場者数:12,366名
近世上杉家、米沢藩において制作、あるいは収集された多種多様な絵図の中から、制
作された時代の特徴を示す代表的な絵図を、制作事情などを示す関連資料とともに展示
した。天正19年(1591)の豊臣秀吉の発令との関連が示唆される重要文化財「越
後国瀬波郡絵図」「頸城郡絵図」を米沢市上杉博物館として初めて、かつ全体を展示し
た。なお、このような郡絵図はこの2点のみが確認されるにすぎない。ほかには江戸時
代の国絵図や17世紀後半からの外国船来航に伴う海岸警備に関わる絵図など、中央権
力との関わりで制作された絵図を中心に展示した。
②特別展「上杉家武家の装い」
会
期:平成26年 6月14日(土)~ 9月
7日(日)
開館日数:85日間
入場者数:26,413名
江戸時代を通じて米沢藩は上杉氏を領主とした。その数の多さで有名な家臣団は、戦国
期に越後、北信濃、北陸、関東などの領主であった侍組と呼ばれる上級武士、上杉謙信の
旗本馬廻組、上杉景勝の旗本五十騎組、直江兼続に属した与板組の三手組と呼ばれる中級
武士、そして最も多い下級武士で構成されていた。
山形県がJRグループと取り組んだ大型観光キャンペーンであるデスティネーション
キャンペーンを記念して、上杉氏や上杉家中の甲冑を一堂に集め、その他刀剣、装束、絵
画資料等、武器・武具の世界を紹介するとともに、近年当館が収集した新資料も公開し、
上杉文化の粋を堪能いただけるよう努めた。
1
③企画展トーベ・ヤンソン生誕100年記念「MOOMIN! ムーミン展」
会
期:平成26年 9月13日(土)~10月26日(日)
開催日数:42日間
入場者数:25,718名
「ムーミン」童話の原作者トーベ・ヤンソンの生誕100年の記念展としてタンペレ
市立美術館・ムーミン谷博物館が所蔵する日本初公開のトーベの原画150点を含む2
00点を展示した。ムーミン一家が自然界の出来事と共生しながら様々に成長していく
姿が細密で美しい線で表現されており、童話のストーリーのみならず画家としてのトー
ベの魅力を紹介することができた。
ムーミンファンはもとより、多くの来館者にムーミンの世界観を満喫していただい
た。
④特別展「置賜の山岳信仰」
会
期:平成26年11月 1日(土)~11月30日(日)
開催日数:30日間
入場者数:5,222名
置賜地域では主に大正期まで、13~15歳の男子が出羽三山や飯豊山に登拝し、一
人前の成人に認められる習俗があった。登拝前には御行屋と呼ばれる小屋に籠って精進
生活を送った。
本展では、江戸時代から近現代まで、置賜地域における行屋での暮らし、登拝の道具
や経路などを紹介した。また、国重要文化財「置賜の登拝習俗用具及び行屋」資料(公
益財団法人農村文化研究所所蔵、当館管理)を一堂に展示した。
⑤企画展「生誕100年 彫刻家 桜井祐一 生命の造形-木彫・ブロンズの世界」
会
期:平成26年12月 6日(土)~平成27年 2月 8日(日)
開催日数:51日間
入場者数:1,303名
米沢市出身の彫刻家桜井祐一の生誕100年を記念展として開催。17歳から彫刻を
はじめ戦後日本彫刻史の主要な作家となった桜井の豊かな作品遍歴を振り返った。新発
見の最初期の木彫をはじめ展示した67点には、長年病と闘いながら制作を続けた桜井
の苦悩と生きることへの希求が強く反映され、来館者に桜井の制作姿勢を再発見してい
ただくことができた。
2
⑥アートコレクション「生誕100年 植物学者 清水大典 冬虫夏草図の世界」
会
期:平成27年 2月14日(土)~ 3月22日(日)
開催日数:31日間
入場者数:3,124名
日本における冬虫夏草研究の第一人者であった清水大典の生誕100年を記念した展
示。清水は昭和31年から約40年あまり米沢に活動の場を置き、国内のみならず海外
にも調査活動を展開し、新種の発見や生息図を塗り替えるなどの功績を残している。本
展では、冬虫夏草の細密原画及び液浸標本を中心に採集道具や原図の制作道具、書斎の
再現などを交え、冬虫夏草への熱意と努力の軌跡を紹介した。
⑦次年度以降の展覧会の準備に関すること
平成27年度以降の展覧会に備え、下記の準備を行った。
◇平成27年度特別展「米沢藩医家の系譜」の展示資料調査
◇平成27年度特別展「国持大名上杉家」の資料調査、借用交渉
◇平成28年度企画展「生誕120年 椿貞雄展」借用交渉、打合せ
ほか
(2)常設展示
米沢市上杉博物館常設展示室の運営を適切に行った。
同展示室内・上杉文華館では「上杉鷹山をめぐる人々」を年間テーマに、国宝「上杉家
文書」を中心とした資料から上杉鷹山とその関係者を12の小テーマで紹介した。
国宝「上杉本洛中洛外図屏風」は春(4月26日(土)~5月6日(火・祝))と、夏
(6月14日(土)~8月1日(金))に原本を展示した。
入場者数:66,649人
◇上杉文華館スケジュール
①
4月 1日(火) ~ 4月30日(水)
「上杉家と秋月家」
②
5月 1日(木) ~ 5月27日(火)
「二人の父、秋月種実と上杉重定」
③
5月29日(木) ~ 6月26日(火)
「師に学ぶ」
④
6月27日(金) ~ 7月24日(木)
「改革は家老とともに」
⑤
7月25日(金) ~ 8月28日(木)
「鷹山を支えた家臣」
⑥
8月29日(金)
⑦
9月25日(木) ~10月21日(火)
「後継者を育てる」
⑧
10月23日(木)~11月25日(火)
「娘と孫」
⑨
11月27日(木)~12月21日(日)
「藩校・興譲館の俊英」
⑩
12月23日(火祝)~1月25日(日)
「庶民と触れあう」
⑪
1月27日(火) ~ 2月22日(日)
「商人の力を借りて」
⑫
2月24日(火) ~ 3月29日(日)
「鷹山のお手本」
~ 9月23日(火祝) 「朝廷と幕府」
3
2.教育普及事業
(1)教育事業
①プレイショップ
日本の年中行事の紹介や月ごとの造形体験を充実させ、多くの方に楽しんでいただいた。
配布資料の見易さへの配慮や、危険防止はもとより体験学習室全体の利用しやすい雰囲気
づくりを常に心がけ、来館者の体験がより豊かになることを目指した。
年間のプレイショップ利用者数: 14,705 名
②ワークショップ
ⅰ)募集制プログラム
夏休みの特別プログラム、大人向けの鑑賞プログラムなどに加えて、企画展に関連し
たプログラムも展開し、展示の内容に深みを加えることができた。
活動8年目を迎えたチルドレンキュレーターズ(こども学芸員)は、資料整理など学
芸員の実務に携る体験を増やした。より博物館の根幹業務を体験できる機会を提供し、
物の見方や博物館の役割を考えるきっかけとすることができた。
(年間24プログラム実施、参加者267名)
ⅱ)自由参加制プログラム
開館以来プレイショップで展開している「日本の手わざ」から“つつむ”、“むすぶ”
を取り上げ、自然素材で食べ物を包む「笹巻きづくり」を開催した。毎年好評のプログ
ラムとして定着している。また、伝国の杜サポーター・米沢とんとむかしの会の協力に
よる「むかしむかしをきこう」も開催した。
(年間8プログラム実施、参加者337名)
年間のワークショップ参加者数:604名
③講演会・講座の開催
2事業の講演会を開催した。詳細は下記のとおり。
◇講演会
特別展「上杉家伝来絵図」
平成26年5月11日(日)14:00~16:00
「越後国頸城郡絵図に見る上杉氏権力と在地世界-村町の軍役と諸役の負担体系-」
伊藤 正義 氏(鶴見大学文学部文化財学科教授)
特別展「置賜の山岳信仰」
平成26年11月16日(日)14:00~16:00
「飯豊山信仰と御行屋」
佐野 賢治 氏(神奈川大学教授)
4
④地域・学校との連携
◇学校状況のリサーチ(年間計画、公開研など)を行った。
◇ミュージアムスクールや出前授業・ワークショップを展開した。
・施設利用・見学
年間27件、2,679名
受入
・ミュージアムスクール(学校側が来館し、学芸員が授業に参加したもの)
年間4件、193名 受入
・出前授業(博物館側が学校へ資料を持って出向くもの)
年間6件、289名 受入
◇学校向けのホームページを開設した。
◇学校への各事業周知を徹底した。
◇近隣の博物館、美術館との連携による学習機会を提供した。
◇地域大学との連携によるワークショップなどを検討した。
◇チャレンジウィーク・インターンシップを受け入れた。
年間2件、19名 受入
◇博物館実習を受け入れた。
1大学
4名 受入(期間:8月4日(月)~8月9日(土) )
⑤ギャラリートーク・コレクショントーク
◇ギャラリートーク
特別展・企画展・コレクション展にあわせたギャラリートークを年間12回開催した。
内容は下記のとおり。
【伝来絵図展】主任学芸員
阿部 哲人
平成26年 4月19日(土)14:00「展覧会みどころ解説」
5月17日(土)14:00「展覧会みどころ解説」
5月31日(土)14:00「展覧会みどころ解説」
【武家の装い展】学芸員 角屋由美子
平成26年 6月14日(土)14:00「展覧会みどころ解説」
平成26年 7月26日(日)14:00「米沢藩主上杉氏の甲冑」
平成26年 8月23日(日)14:00「上杉氏家臣団の甲冑」
【ムーミン展】学芸主査 花田 美穂
平成26年 9月13日(土)14:00「ムーミン展のたのしみかた」
【山岳信仰展】学芸員 佐藤正三郎
平成26年11月 1日(土)14:00「展覧会のみどころ」
平成26年11月 9日(日)14:00「山を眺める視点」
平成26年11月22日(土)14:00「行屋と登拝の歴史」
【桜井祐一展】学芸主査 花田美穂
平成26年12月 6日(土)14:00「桜井祐一のしごと」
桜井 直樹 氏(桜井祐一次男)、峯田 敏郎 氏(彫刻家・国画会会員)
、
佐藤
繁 氏(米沢市松川小学校教頭)
5
【清水大典展】学芸員 田島 奈央
平成27年 2月14日(土)14:00「清水大典のしごと」
石栗 正人 氏(米沢生物愛好会会長)
◇コレクショントーク
「上杉鷹山をめぐる人々」を年間テーマとした上杉文華館の展示内容について、国宝上
杉家文書をはじめ、古文書等の資料とともに紹介するコレクショントークを年間12回開
催した。
内容は下記のとおり。
[1] 平成26年 4月
5日(土)
「上杉家と秋月家」
[2] 平成26年 5月10日(土)
「二人の父、秋月種実と上杉重定」
[3] 平成26年 6月
7日(土)
「師に学ぶ」
[4] 平成26年 7月12日(土)
「改革は家老とともに」
[5] 平成26年 8月16日(土)
「鷹山を支えた家臣」
[6] 平成26年 9月
6日(土)
「朝廷と幕府」
[7] 平成26年10月
4日(土)
「後継者を育てる」
[8] 平成26年11月15日(土)
「娘と孫」
[9] 平成26年12月
7日(日)
「藩校・興譲館の俊英」
[10]平成27年 1月10日(土)
「庶民と触れあう」
[11]平成27年 2月
7日(土)
「商人の力を借りて」
[12]平成27年 3月
7日(土)
「鷹山のお手本」
※
解説は学芸員 佐藤正三郎。開催はいずれも14:00から。
⑥情報ライブラリーの展開と更新
企画展に関する書籍のコーナーを設置し、蔵書の充実とともに書籍の配架の工夫など、閲覧
者の利便性に配慮した。
蔵書の点検と整理作業を行い書庫の整備につとめた。
新規映像ソフト「上杉家のルーツ5 越後情勢の転換と山内上杉氏の衰退」を製作し、情報
検索装置「おきたま玉手箱」に配備した。
⑦特別利用・掲載利用・資料貸与
米沢市上杉博物館管理条例に基づき、迅速かつ正確に申請の収受、許諾業務を行った。
特別利用の受付と対応
31 件
館蔵資料の掲載および写真貸与許可等の処理
資料貸出の受付と対応
361 件
18 件
寄託資料の一時持出し対応
0 件
市保有近現代美術作品入替作業の出納立合い
3 回
6
⑧レファレンス
各種レファレンスに回答し来館者サービスを推進した。
新規受入図書資料数
各種レファレンスの対応
661 冊
調査を要するもの
64 件
来館者・電話によるもの
多数
(2)普及事業《広報活動と快適性の充実》
①出版
施設の事業活動に関する書籍・冊子を発行し、協力者や市民に対するPR活動を行った。
◇展覧会図録を刊行した。
特別展「上杉家伝来絵図」
(1,000冊)
特別展「置賜の山岳信仰」
(600冊)
企画展「生誕100年 彫刻家 桜井祐一 ~生命の造形~」(600冊)
◇平成25年度米沢市上杉博物館年報を発行した(500冊)。
◇「伝国の杜だより」を年間2回発行した(Vol.26、27)。
②事業告知活動
広告予算を使った有料媒体のほか、費用のかからない無料媒体を活用し、当財団事業およ
び施設に関するPR活動を行い、入館者の増加を図った。
◇有料、無料の広告媒体を使ってのPR活動を行った。
◇ホームページ等 WEB 媒体を使ってのPR活動および収蔵品の紹介を行った。
◇チラシ、ポスター等の媒体を使ってのPR活動を行った。
◇近隣施設等への直接持参によるPR活動を行った。
③評価の実施と分析
各事業について内部評価を実施し事業総括に反映させた。また、伝国の杜運営協議会委員
による外部評価も実施した。
◇評価基準の検討および内部・外部評価の実施
◇来館者アンケートの実施と反映
④スタッフの育成
定期的に勉強会・講習会を実施し、事業運営における職員のスキルアップを図った。ま
た、来館者対応については、防災訓練や展覧会ごとの展示説明会を実施したほか、専門の講
師を招き、全職員を対象とした接遇業務に関する研修を実施し質の向上に努めた。また、分
野ごとの業務の遂行に関する指導等を行った。
◇定期的な勉強会や研修会の実施。
◇新規採用者の研修。
7
3.資料収集・調査・整理・保管業務
(1)資料調査事業
①歴史関連資料
上杉氏および米沢藩関連資料の調査を行った。
資料収集に伴う調査を行った。
『米沢藩医堀内家文書』に伴う調査を行った。
②美術関連資料
置賜ゆかりの作家について継続的に調査を行った。
資料収集に伴う調査を行った。
(2)資料収集事業
米沢市の資料収集基本方針に基づき館蔵資料の充実をはかるために、資料・作品の収集活動
を行った。
新規受入資料数 :494点
資料収集検討会議:平成26年 5月15日(木)
、平成27年 3月10日(火)
資料収集委員会 :平成26年 8月 5日(火)
(3)資料整理・保管事業
①資料管理データベースに関する作業
新規受入資料の登録、画像データベースとのリンク構築などを継続して行った。
登録済み資料の画像リンクやラベルプリントなど資料と直結した管理を強化した。
また、管理データベース全体の不具合部分の調整も行った。
公開に向けた準備として、解説ページの充実につとめた。
③館蔵資料の解読
・堀内家文書
・松本家文書 ほか
④館蔵資料の写真撮影
新規受入資料、平成26年度開催展覧会出品資料の写真撮影を行った。
⑤上杉邦憲氏寄託資料整理
資料の整理および外箱のクリーニングを行った。
⑥館蔵資料の修理
◇歴史資料の修理等
・(慶長 16 年ヵ)9 月 23 日
松本助兵衛宛直江重光(兼続)書状 1面
額装から本紙を外し、畳紙をつけて桐箱に保存。桐箱の新調。
・竹に雀紋茶弁当
1揃(2基)
資料を包む絹および桐箱の新調。
別置されている笠部分も同時に収納(絹覆い付)できるようにした。
8
・(年未詳)正月 27 日 上杉(景勝)宛武田勝頼書状
1葉
まくりの状態から表具(風帯付)を施し掛幅とする。桐箱付。
・(年未詳)3 月 30 日
発智右馬允宛遠山康光書状
1幅
表具および桐箱の新調。元の表具(伊佐早謙の極書あり)も共に桐箱に収納できる
ようにした。
◇収蔵絵画の修理
・清水大典「冬虫夏草図」額装(59点)
画用紙にペン、鉛筆で描かれたA4~A6サイズ大の原画の展覧会に向けた額装。
サイズの異なる原画にあわせたマットの調製。
・浜田浜雄「廃墟に咲く」油彩・1936 年
「煉瓦焼場」油彩・1936 年
1点
1点
画面の汚れをとり、欠損部の補彩、ひびを押え、キャンバスのゆがみを修正。
⑦収蔵・展示区域の環境対策について
生物被害を未然に防ぐIPM(総合的有害生物管理)を年間通して取り組んだ。
・エリア区分による段階的管理
・毎月の定期清掃
・粘着トラップの設置
・害虫の防除
・展示ケース内アートソープ入替え
・定期的な温湿度測定
・蔵の清掃
・作品のクリーニング
・空気環境調査
・新収蔵資料の燻蒸
・一般、特別収蔵庫のクリーニング
(4)収蔵資料公開システム構築事業
米沢市(米沢市上杉博物館および市立米沢図書館)が所有する文化資料を一元的に管理す
るデータベースを構築した。また、その情報を一般公開するためのシステムを構築した。
4.資料集出版(堀内家文書)事業
米沢市医師会とともに博物館所蔵の「堀内家文書」に関する資料集(図版篇・解題篇)の出版を
行った(400部)
。
9
5.置賜文化ホール自主事業
(1)米沢市事業
米沢市から置賜文化ホール自主事業共催負担金を受け、以下の事業を実施した。市民の芸術
文化活動を支援し、また身近な文化施設として利用の促進につながるよう、博物館事業とも連
携しながら公演を開催した。
①仲道郁代のおはなしコンサート「不思議ボール」
公演日時:平成26年 8月 2日(土) 14:00開演
入場者数:107名
スクリーンに映し出された動く絵本を、ピアニスト自らがピアノの生演奏とともに語り
進めるおはなしコンサートは、映像技師と照明技師の細やかな連携で完成度の高い作品と
なり、就学前の子どもたちのほか大人も楽しめる内容に来場者の満足度は高かった。主対
象の親子の来場率は高かったが、集客は難しかった。
②仲道郁代ピアノ・リサイタル オール・ショパン・プログラム
公演日時:平成26年 8月 2日(土) 19:00開演
入場者数:180名
近郊では稀なショパン限定プログラムであることに加え、チケット購入者が聴きたい曲
をリクエストするシステムにしたことで、遠方からも反響があった。一方、市内のピアノ
教室を通してのPRを行ったものの、つながりが持てた教室が少なく課題を残した。観客
からはショパン・プログラムの再演、リクエスト式コンサートの継続を望む声も寄せられ、
今後につながる内容だった。
③林家たい平独演会
公演日時:平成26年 9月10日(水) 18:30開演
入場者数:201名
テレビ番組「笑点」でおなじみの人気落語家、林家たい平氏を招いての落語の独演会。
一昨年、置賜文化ホールで開催したところ、再演を望む声が多かったので2回目の独演会
となった。一流の落語家の話芸に会場は笑いに包まれ来場者からの評価は高かったが、前
回に比べて集客数は減少した。
10
④MYSTERY NIGHT TOUR 2014 稲川淳二の怪談ナイト
公演日時:平成26年 9月24日(水) 18:30開演
入場者数:355名
独特の語り口の怪談でおなじみの人気タレント、稲川淳二氏による怪談語り公演。一昨
年、置賜文化ホールで開催したところ、再演を望む声が多かったので2回目の開催となっ
た。若年層の人々など、通常、置賜文化ホールに来場する機会が少ない層の人々が多く来
場し、置賜文化ホールの存在をより多くの人に紹介できる機会となった。
⑤おきたまの秋空に響け!吹奏楽の日コンサート2014
共
催:置賜地区吹奏楽連盟
公演日時:平成26年10月 5日(日) 10:00開演
入場者数:1,550名
ホールと屋外特設ステージの2会場でコンサートを同時進行する「置賜方式」による恒
例のコンサートを開催した。天候の悪化による屋外コンサートの中止を初めて経験したが、
協力して大きな混乱なく進行できた。今後も引き続き、置賜の吹奏楽事情を一般の方に知
ってもらう機会としていきたい。
⑥国立能楽堂連携能楽アウトリーチ事業「届けます。能楽堂」
共
催:日本芸術文化振興会
公演日時:平成26年11月 21日(金)
会 場 校:米沢市立南部小学校、米沢市立六郷小学校
参加者数:110名
過去に派遣実績のない小学校に能楽師を派遣し、能楽に関する参加型授業を実施した。
能楽囃子方4名と、国立能楽堂から貸出されている能楽器をグループ別に配置し、子ども
たちが実際に楽器の奏法を体験しながら、伝統文化を継承している能楽師の声を聞き、伝
承について考える機会となった。
⑦シングフォニカー・クリスマスコンサート
公演日時:平成26年12月18日(木) 18:30開演
入場者数:212名
結成30年を誇る、ドイツの男声ヴォーカル・アンサンブルの初来日にあわせて、クリス
マスコンサートを開催した。市内で盛んに活動している合唱団体の皆さまにお声掛けをし
て、合唱団体関係者の来場に努めた。再演を望む声が聞こえるほど評価の高い演奏会とな
ったが、悪天候による交通機関の乱れも重なり、より多くの集客につなげることはできな
かった。
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⑧山形交響楽団ユアタウンコンサート米沢公演
共
催:公益社団法人山形交響楽協会
公演日時:平成27年 2月 1日(日) 16:00開演
入場者数:336名
モーツァルトのファンが遠方からも足を運び交響曲41番「ジュピター」に期待を寄せ
る一方で、主に地元の中高生や管楽器ファンが「2つのトランペットのための協奏曲」の
独奏に、関心を高く抱いて鑑賞しているのが印象的だった。指揮の飯森山響音楽監督によ
る開演前トークも定着し、プログラムを楽しむコツを直前に学べるサービスを今後も継続
していきたい。
⑨よねざわ市民ミュージカル育成事業
活動回数:平成26年4月~平成27年3月まで計12回
参加者数:27名
地域文化活動の育成を目的として米沢初のミュージカル劇団「伝国座」の活動を支援し
た。プロのミュージカル指導者による発声、ダンスのレッスンや、歌唱、演技の指導を定
期的に実施し、市民参加型ミュージカルのレベル向上に貢献した。
(2)山形県事業
山形県から置賜文化ホール事業費補助金を受け、以下の事業を実施した。
「文化の薫り高い置
賜の創造」を掲げる置賜地域の中核文化施設として定着していくことを目指し、施設の機能強
化を図りながら実施した。
◇地域文化力育成事業
地域住民の芸術文化活動支援のため、置賜在住および出身者への公演機会の提供とともに
PR 活動を行い、施設の賑わいと利用のきっかけづくりを行った。
①Entrance Jazz Night ~水上まり&大村武司~
公演日時:平成26年 6月 6日(金) 19:00開演
入場者数:52名
能舞台をホールで使用する場合のブランク企画として、ピアノとヴォーカルのデュオに
よるライブを開催した。主に東京で活躍する実力派の女性ヴォーカリスト水上まりが、ジ
ャズのスタンダード・ナンバーからポップスまでをしっとりと歌い上げ、リクエスト曲に
も巧みに応えるなど実力を発揮し、拍手があがった。
12
②Jazz Café Live ~Green Piece~
公演日時:平成26年 9月 3日(水) 19:00開演
入場者数:71名
仙台のジャズシーンで幅広い活躍をしているサックス奏者・林宏樹のリーダーバンド。
残暑の疲れを癒す柔らかなテナーサックスと、ベース、ドラムの落ち着いたセッションを
楽しんだ。保護者が連れた高校生や小学生の姿も見られ、カフェ・ライブの定着を感じた。
③Jazz Café Live~斎藤淳夫 Trio with 斎藤栞~
公演日時:平成26年11月 3日(月) 18:30開演
入場者数:105名
スタンダードとポップス・ナンバーを織り交ぜた秋らしいセットリストで事前告知を行
った。お馴染みとなった出演者に地元からのリピーターが来場していたが、女性ヴォーカ
リストの出演ライブは特に要望が高く、今後もニーズにあったライブを定例化していきた
い。
④親子でたのしむ音楽会
公演日時:平成27年 3月 8日(日) 14:00開演
入場者数:669名
新庄市出身のオペラ歌手・田中麻理、地元高校生を中心にミュージカル「サウンド・オ
ブ・ミュージック」を上演。就学前の幼児から学童に認知度の高い「ドレミの歌」の演奏
シーンでは客席からの歌声も聞こえた。また、伝国の杜オーケストラは「トランペット吹
きの休日」といった小品から有名な管弦楽曲、映画音楽「アナと雪の女王メドレー」のオ
ーケストラ版を演奏し、満席の来場者から大きな拍手を得た。
⑤若手音楽家支援事業
公演日時:平成26年4月から平成27年3月まで計3回派遣
入場者数:656名
地域の若手音楽家3名(フルート・ピアノ・作曲)の活動を支援する継続事業。3年目は、
米沢市立北部小学校、長井市立豊田小学校、上杉博物館企画展「企画展トーベ・ヤンソン生
誕 100 年記念. MOOMIN!ムーミン展」で計3回の派遣コンサートを実施し、地域に紹介し
た。
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◇能楽関係事業
施設の特長をいかし、藩政時代より現代に継承されてきた能楽の普及を図った。一方でこど
も狂言の育成に取り組み、地域に活動を紹介することでも能楽振興に貢献した。
①平成26年度山形県能楽の祭典
共
催:山形県能楽協会
公演日時:平成26年 9月14日(日) 9:30開演
入場者数:217名
県内各地から能楽愛好者が集い、謡曲・仕舞を披露し交流を深めた。伝国の杜こども狂言
クラブは和泉流狂言と小舞を遠方からの参加者にも披露することができ、米沢の普及活動を
アピールすることができた。
②もっとたのしむ金剛能米沢公演 能楽事前学習会(伝国の杜ファンクラブ連携事業)
公演日時:平成26年11月30日(日) 14:00開演
入場者数:36名
エントランス能舞台を活用した事業として、翌月開催の能公演に向けた直前学習会を実施
した。主に伝国の杜ファンクラブ会員で初めての方を対象として、能舞台での所作体験や能
装束の着付見学、番組解説等で内容を構成し、関心を高めることができた。
③地域発・文化芸術創造発信イニシアチブ 金剛能米沢公演
公演日時:平成26年12月 8日(月) 18:30開演
入場者数:312名
文化庁および山形県の補助を受けて金剛流能と和泉流狂言を上演した。金剛流若宗家の金
剛龍謹氏が置賜文化ホールで初めてシテを勤め、また人気狂言師の野村萬斎氏が狂言に登場
するなど、3年ぶりとなる能公演で話題を盛り上げることができたが、広報宣伝活動が不足
するなど課題を残した。
④伝国の杜こども狂言クラブ
稽
古:平成26年4月から27年3月まで34回開催
発
表:平成26年5月から27年3月まで8回出演(館内5回、外3回)
参加者数:10名
新設クラスに未就学児も参加したことから、狂言師の指導内容を保護者とともに復習でき
るよう復習稽古の仕組みづくりに取り組んだ。また、テレビ番組に出演する機会を得て、発
表会やメンバー募集などの活動を地域に向けてアピールした。
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6.米沢市座の文化伝承館自主事業
平成26年度は3本の自主事業を開催した。
①展示「集めてみました 上杉謙信と上杉鷹山」
会
期:平成26年 6月 7日(土)~ 6月22日(日)
開催日数:14日間
入館者数:432名
戦国武将として活躍した上杉謙信、近世中期の藩政改革を実施した上杉鷹山。江戸時代から
現在まで、錦絵、合戦図、掛け軸など様々な形で描かれ、共有されてきた両者のイメージを、
写真パネルに一部現物を交えて紹介した。伝国の杜サポーターとの協働事業として、資料情報
の収集、展示のアイディア、図書の選定や設営などにサポーターの有志が積極的に参加し展示
を行った。
②第24回市民茶会
開催日時:平成26年 6月15日(日) 10:30~15:00
参加者数:194名
米沢茶道連合会の協力により、茶道初心者を含む一般市民に抹茶や菓子をふるまった。掛軸
や花生けの姿を見て視覚的に楽しみ、釜の湯や着物の絹ずれなどを聞いて和室ならではの音を
楽しむ茶道を通して、現代の日常生活であまり触れることのない伝統文化を紹介した。
③座ってたのしむ小さなステージ Vol.8「クラシックギター演奏会」
開 催 日:平成26年 9月20日(土)
第1回14:00~、第2回16:30~
来場者数:合計60名
蔵を活用して置賜クラシックギター愛好会「センプレ」のメンバーによるミニコンサートを
行った。クラシックギターの歴史や、楽曲が生まれたエピソードなどを学び、柔らかに情景を
描いて鳴り響くギターの音色を楽しんだ。同時に、クラシックギターの構造や材料がわかる展
示も行い理解を深めた。
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7.芸術文化活動のための施設貸与事業(米沢市座の文化伝承館)
米沢市から指定管理事業として受託する米沢市座の文化伝承館の貸出業務は貸出基準に照らし
適正に貸与した。また、利用者のニーズを把握し、利用促進に努めた。
施設を貸出基準に照らし、公益性を保ちながら適正に貸与するとともに、施設の利用の促進が地
域文化の底上げにつながることから、施設情報のPRに努めた。
平成26年度の利用者数は以下のとおりであった。
利用件数:
447件
利用者数:5,157名
8.伝国の杜サポーター運営事業
インフォメーション、教育普及、レセプショニストについては、年間を通して各分野で活動を行
った。また、博物館常設展示室にて、来館者に国宝「上杉本洛中洛外図屏風」の解説を行う「洛中
洛外図案内人」活動を平成26年度からスタートした。
特殊技能部門のとんと昔の会は年間5回の自由参加制ワークショップ「むかしむかしをきこう」
での語り、また、ミュージアムアシスタントティーチャーズ(置賜地域の教員サポーター)は博物
館の授業利用の促進の面で尽力いただいた。
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Ⅱ
収益等事業1
ミュージアムショップ事業
平成26年度は下記の事業を行った。
◇来館者にとって魅力あるショップを目指し、日常の業務を適正に行った。
◇展覧会会期中の販売品目の選定、陳列など、時宜に応じた運営を行った。
◇来館者のニーズに対するマーケティングリサーチを行い、地元企業などとの連携を図りながら
新規商品の開発について検討した。
◇より広範囲への商品販売と施設の告知を狙いインターネットでの販売を継続した。
◇オリジナル商品に関する開発等の実績
・新規商品
1商品
(文化八年米沢御城下絵図)
・再販商品
7商品
(洛中洛外図 T シャツ、なせばなる手拭い、上杉鷹山なせばなるトートバック、
マグネット、ブックカバー
Ⅲ
等)
収益等事業2
施設貸与事業
米沢市から指定管理事業として受託する米沢市上杉博物館会議室の貸出業務について貸出基準
に照らし適正に貸与した。また、利用者のニーズを把握し、利用促進に努めた。
また、平成26年度の利用者数は以下のとおりであった。
利用件数:
366件
利用者数:8,276人
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Ⅳ
収益等事業3
伝国の杜ファンクラブ事業
平成26年度の入会者数は以下のとおりであった。
会員数:251名
内訳:一般 236名、学生 4名、ジュニア 11名
会員に対しては下記の事業を行った。
◇会報及び財団自主事業情報の送付
◇米沢市上杉博物館常設展示室・企画展示室への入館特典の付与。
◇置賜文化ホール主催事業の先行予約・割引販売(一部公演除く)
◇ミュージアムショップにて展覧会図録・オリジナル商品の5%割引販売
◇ファンクラブ会員限定事業の開催
①山形美術館特別展「細川家の名宝と細川護煕の風雅」鑑賞会
日
時:平成26年 8月 3日(日) 10:00から
参加者数:16名
②金剛能米沢公演のための事前学習会
日
時:平成26年11月30日(日) 14:00から
参加者数:9名
また、会員数の増加のために継続的な告知活動を行った。
Ⅴ 管理部門
平成28年度から平成32年度までの5年間の市立米沢図書館等の指定管理者として指定を受
けた。
また、米沢市上杉博物館と自主事業を実施している合築の置賜文化ホールについて、その事業等
の質、来館者の利便性、利用率の向上等を達成するために、第三者から幅広い意見を得る場である
伝国の杜運営協議会を年2回開催し、委員からは管理・事業運営全般にわたり様々な意見が出され
た。
【伝国の杜運営協議会開催日】
平成26年 7月16日(水) 14:00から(伝国の杜小会議室)
平成26年12月11日(木) 10:00から(伝国の杜小会議室)
計2回開催
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