横滑り現象を応用した X線制御手法の開発 武井大, 香村芳樹, 石川哲也, 澤田桂 理化学研究所 目次 ① 横滑り現象と研究戦略 ② 実験(SP8/BL29)と結果 ③ 何が新たに分かったか? … 5 ページ … 5 ページ … 2 ページ 1/12 概要 硬X線(15keV)の経路をSi単結晶の歪みで制御 新しいX線光学素子として応用の可能性を検討 2/12 X線と結晶 A. 運動学的回折理論 Kinematical Diffraction Theory X線が1回のみ散乱すると仮定 幾何光学の様に直感的な理解 X線 B. 動力学的回折理論 Dynamical Diffraction Theory 結晶中の複数回の散乱を考慮 厳密だが波動は理解しにくい 結晶 後者も結果を直感的に理解できると素晴らしい 3/12 波束で考えよう (Sawada+2006) 動力学的回折理論にもとづく運動方程式 波動性のなごりが補正項として登場 式1. 波束の重心 (= 光の位置) 式2. 波数ベクトル (= 光の向き) X線の場合ほぼゼロ 第1項:幾何光学 第2項:摂動 補正項(Berry曲率)は「光が感じる磁場」の様なもの...? Bragg条件付近で結晶に歪みがあると大きな経路変化 4/12 横滑り現象 (Kohmura+2010) CCD画像 X線の経路が変化 X線の経路が大きく変化した 式1は実証済 X線の向きはほぼ変わらないのか? 式2は未実証 両者が本当なら、光軸を平行移動する事が可能となる! 5/12 目的と戦略 (= 新しい光学素子) 理論(式2)を実証して 物理の全貌を解明 角度発散を調査 新しい物理現象を X線の制御に応用 移動効率を調査 歪み制御でON/OFF 6/12 放射光実験 (SP8/BL29XUL) ① 画像を取得 ② 角度発散を測定 ③ 強度を測定 7/12 0. 出力確認 結晶のへりまでX線が横滑りした (Beam-I) 8/12 1. 角度発散 CCD画像 Blade II I 横滑りした後も角度発散はほとんど変化なし 理論(式2)の実証に成功 = 光の波面は乱れない 9/12 2. 移動効率 CCD画像 Blade II I 結晶の歪みを最適化して強度を最大まで調整 Si単結晶で3.3%を0.4mmの位置まで平行移動 9/12 2. 移動効率 CCD画像 Blade II I 結晶の歪みを最適化して強度を最大まで調整 Si単結晶で3.3%を0.4mmの位置まで平行移動 10/12 3. 時間制御 CCD画像 Blade II I 電圧 ピエゾ電圧の操作で出力強度を任意に変更 周波数500Hzまで簡易X線スイッチとして作動 10/12 3. 時間制御 CCD画像 Blade II I ピエゾ電圧の操作で出力強度を任意に変更 周波数500Hzまで簡易X線スイッチとして作動 11/12 議論とまとめ ①横滑り現象を理解、②能動光学技術を開発 硬X線ビーム(15keV)の光軸を平行に移動 距離0.4mmで3.3%の移動効率を達成 周波数500HzのON/OFFスイッチとして作動 新しい光路で何が出来るのか...? 反射鏡 vs 横滑り導波結晶 Si+Rh100nm Reflectivity (Henke et al. 1993) X-ray (15 keV) 3% 0.2 mm 0.4 mm 0 cm 1.0 cm 光学素子のすぐ下流に照射ターゲットを置ける ビームは平行移動されるので角度がつかない 12/12 議論とまとめ ①横滑り現象を理解、②能動光学技術を開発 硬X線ビーム(15keV)の光軸を平行に移動 距離0.4mmで3.3%の移動効率を達成 周波数500HzのON/OFFスイッチとして作動 新しい光路で何が出来るのか...? 至近距離で角度がつかないX線ビームを提供 極端に狭い実験環境下などで効果を発揮 装置は手の平サイズ、ご興味あれば以下まで 武井 大 <[email protected]> BACKUP SLIDES 3. 時間制御 CCD画像 II I 電圧 ピエゾ電圧の操作で出力強度を任意に変更 周波数500Hzまで簡易X線スイッチとして作動
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