姫路市書写の里・美術工芸館だより/Vol.78 7・8・9月催し物のご案内 ■夏季特別展示 これからの 「夏休み子どもミュージアム ∼動物・植物図鑑」 会期 7月18日(土)∼8月30日(日) 会場 企画・一般展示室 美術工芸に親しむことを目的 に、主に夏休みの小中学生を 対象にした展覧会です。4回目 となる今年は「動物・植物」を テ ー マ に、身 近 な 動 植 物 や、 架空の動物が工芸品にどのよ うに描かれたり、その形のモ 工芸品の中のさまざまな動植物 デルとなるかを紹介しながら、 館蔵の工芸品を約200点展示します。クイズなど ときに挑戦しながら作品 鑑賞を楽しみ、模様(文様)や形の面白さを学習しましょう。また、会場には「お りがみ」や「ぬり絵」など体験を通して学べるコーナも設けています。 ■特別展示 「姫路の名工・大村雲谷没後30年−木との対話」 会期 9月4日 (金) ∼10月12日 (月・祝) 会場 企画展示室 くりものし 播磨を代表する刳物師 おおむらうんこく であった大村雲谷(明治 39∼昭和60年)が没して から30年を迎える今年 に、個人コレクションと 館蔵品をあわせた約50 点(予定)を紹介し、足跡 をたどります。 欅材払子如意香盆 個人蔵 展示予定 関連イベント ミュージアム探検ツアー 日時:7月24日(金)、8月7日(金) ①11:00∼12:00、②13:30∼14:30 内容:展覧会場で作品を鑑賞したり、バックヤー ド(舞台裏)を回り、ミュージアムを探検します。 講師:当館学芸員 定員:先着15人(4才以上∼小学生が対象) 備考:当日先着順、要入館券 紙芝居 日時:7月25日(土)、8月30日(日) ①10:30∼11:00、②13:30∼14:00 内容:手作り紙芝居「千姫」 「姫路城にすむという 妖怪」他の上演。講師:グループ「ゆめゆめ」 対象:どなたでも 場所:1F休憩室 ※参加無料 生け花にチャレンジ 日時:8月5日(水) ①10:00∼11:30、②13:30∼15:00 講師:MOA美術文化財団兵庫支部 定員:各回15人(4才以上∼小学生が対象) 場所:交流庵 内容:さまざまな形の花器に色鮮やかな花を生け、 それを色紙に水墨で描きます。 備考:7/24( 金 ) までに下記記載の方法で「生け 花にチャレンジ」係まで。参加無料。 関連イベント 展示解説会 日時:9月6日(日)、9月21日(月・祝) 14:00∼15:00 講師:当館学芸員 場所:展示会場 備考:参加無料(入館券が必要です。) 体験教室「煎茶を楽しむ」 日時:9月27日(日) 13:30∼15:30 内容:大村雲谷のお道具を使った 茶の基礎講座です。はじめて の方もどうぞご参加ください。 講師:小寺尚寿氏(姫路 茶会・習軒流) 場所:茶室「交流庵」 定員:20人 参加費:300円 備考:9/17( 木 ) までに要事前申し込み。 勉強会「雲谷さんの手仕事をたどる」 日時:10月4日(日) 13:30∼15:00 内容:小竹斎一門の作品や、展示作品の拡大写真を見ながら、足 跡をしのびます。 講師:当館学芸員 場所:会議室 定員:40人 備考:当日先着順(展示観覧には入館券が必要です。) 2015年 播磨工芸教室 陶芸教室4 陶芸教室5 陶芸教室6 陶芸教室7 陶芸教室9 陶 芸 教 室10 陶 芸 教 室11 陶 芸 教 室12 革工芸教室 1 漆工芸教室 1 7 /3 ㊎ 7 /8 ㊌ 7 /29 ㊌ 8 /7 ㊎ 皿や器など自由に作る 9 /2 ㊌ 9 /4 ㊎ 9 /16 ㊌ 10/ 7 ㊌ 7 /18 ㊏ ブックカバーをつくる 9 /12 ㊏ 漆絵を描く 山本喜容子 赤松 省吾 赤松 省吾 山本喜容子 赤松 省吾 山本喜容子 赤松 省吾 赤松 省吾 米田 敬子 竹尾 寿敏 ●伝統工芸体験講座④ 姫路はりこ教室(ジュニア姫路検定対象) 日時:8月8日(土)10:00∼15:00 8月9日(日)13:00∼15:00 内容:姫路はりこ職人・松尾哲さんの指導で、二日かけて 姫路はりこの全工程を体験します。 場所:工芸工房 定員:20人 対象:小学4年生以上 参加費:800円 申込方法:7/30(木)までに下記記載の方法で「はりこ教 室」係まで。 ̶ 申し込み ̶ ① 往復はがきで……… 各教室のお申込み方法 ①または②の方法で ② 応募専用サイトから… お申込み下さい。 氏 氏 氏 氏 氏 氏 氏 氏 氏 氏 10:00∼12:00 10:00∼15:00 10:00∼15:00 10:00∼12:00 10:00∼15:00 10:00∼12:00 10:00∼15:00 10:00∼15:00 10:00∼15:00 10:00∼15:00 ¥1,500 ¥3,000 ¥3,000 ¥1,500 ¥3,000 ¥1,500 ¥3,000 ¥3,000 ¥2,000 ¥3,000 10名 15名 15名 10名 タオル、 エプロン 15名 10名 15名 15名 10名 タオル、エプロン、筆記用具、定規 、はさみ 10名 エプロン、手袋、筆記用具 6 6 7 7 8 8 9 9 7 9 見る・識る・創る。感動に出会うミュージアム VOL. /23 ㊋ /27 ㊏ /18 ㊏ /28 ㊋ /22 ㊏ /25 ㊋ /5 ㊏ /26 ㊏ /8 ㊌ /2 ㊌ ●伝統工芸体験講座⑤ 姫山人形教室 日時:9月19日(土)∼20日(日)10:00∼16:00 内容:二日かけて木彫りから色付けまで、姫山人形の全 工程を体験。 講師:姫山人形舎 場所:美術工芸館 工芸工房 定員:10人 対象:どなたでも 参加費:2,500円 申込方法:9/5(土)までに下記記載の方法で「姫山人形教 室」係まで。 希望の教室名、実施日、時間、住所、氏名(ふりがな)、電話番号を書いて 〒671-2201 姫路市書写1223番地 書写の里・美術工芸館「○○」係へ 往復はがきの返信面にも、ご自分の住所と氏名を忘れずにお書きください。 パソコンや携帯電話を使って、専用サイトから応募できます。 (http://www.city.himeji.lg.jp/kougei/k/) 工芸館記録帳 こどもArtひろば ● 姫路伝統の技 ●「工芸な人」に聞く ● 7・8・9月のご案内 78 ● ● 2 2 3 3 4 ■郷土玩具室コーナー展示 「長野県の諸玩具」 会期 8月29日 (土) ∼12月10日 (木) 野沢温泉のあけび細 工の鳩車、中野の土 人形、松本市の七夕 人形など約80点を展 示します。 教室・イベントなど ●「開館21周年記念茶会」 7・8・9月のご案内 ▲「華未」松尾隆作 ■発行日/平成27年6月20日 発行 ■発行所/姫路市書写の里・美術工芸館 日時:7月5日(日)10:00∼16:00 内容:7月1日に開館21周年を迎えるにあ たり、茶道裏千家淡交会西播磨青年 部の協力で清水公照作品の茶道具を 使った記念茶会を開催。 場所:交流庵 茶席料:300円 備考:事前申し込み不要(定員100名) ●たそがれコンサート 日時:8月22日(土)17:30∼20:00 内容:夏の終わりの 土 曜 の 夜 、美 術工芸館では 開館時間を延 長して前庭で イベントを開 催します。日没後には周辺の竹林を ライトアップし、幻想的な風景を演 出します。 場所:前庭(特設ステージ) 備考:小雨決行 ●2015アートキャンプ 「夏休み木切れ工作教室」 日時:8月1日(土) ①10:00∼12:00 ②13:30∼15:30 内容:木片や自然の木の 枝 、植 物 の 種 や 布 を切ったり貼った りして、家、学校、迷 路など想像力を膨 らませながら、楽し く工作します。 講師:名村仁 氏 (クラフト作家) 場所:会議室 定員:各20人(小中学生向け) 参加費:2,000円 申込方法:7/18(土)までに下欄記載の方法 で「夏休み木切れ工作教室」係まで。 (申し込み時には希望時間帯を明記 してください。) ●七夕まつり 期間:7月2日(木)∼8日(水) 内容:短冊に願いごとを書いて笹竹に! 場所:当館玄関付近(無料) ●貸し展示室 色絵龍草花蝶図花入 銘「日本姫路白鷺」 館蔵品 高さ29.8 幅13.5 奥行7.0㎝ 高さ30.0 幅11.1 奥行7.3㎝ 6月30日㈫∼7月5日㈰ 画業50年大塚昌宏絵画展 9月11日㈮∼9月25日㈮ 倫の会 9月26日㈯∼9月30日㈬ 絆の部屋 色とりどりの釉薬を用いて華やかに文様をあしらったこの二つの花瓶は、いずれも明治時代に姫路で焼かれた作品です。 日 月 火 水 木 金 土 日 月 火 水 木 金 土 日 月 火 水 木 金 土 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 2 9 16 23 30 1 4 5 6 7 8 11 12 13 14 15 18 19 20 21 22 25 26 27 28 29 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 3 10 17 24 31 中国風の昇り龍と、裏面には草花に蝶の図柄が白い磁胎に描かれています。両方の作品とも同じように角ばった形が特徴的 ですが、一つは耳付きで、もう一つは耳が付いていないので、もともとセットというわけではありません。 明治時代の姫路のやきものとしては永世舎が有名ですが、同時期にこうした永世舎とよく似たやきものが焼かれていたの です。銘には「白鷺製」と記されたものが多く見られ、その他に「日本白鷺精製」 「日本姫路白鷺」などがあります。作品の傾向 としては、染付もありますが、色絵が圧倒的に多く、永世舎より少し落ち着いた色合いです。これらの作品がどこで焼かれ たかは、まだはっきりとはわかっておりません。永世舎と同時期に陶磁器を製作していたところとして姫路監獄分署がある ので、そこで作られたものかもしれません。 (山本和人) 姫路市書写の里・美術工芸館だより/Vol.78 工芸館記録帳 姫路市書写の里・美術工芸館だより/Vol.78 土 ∼5月31日□ 日 ■4月11日□ には壁紙材を中心に、ヨーロッパへの輸出品にまで成長します。一方で 入館者数:6,728名 「お城グッズ大集合−江戸から現代まで」 類似の粗悪品も出回ったので、工業技術センターとしての役割も担って 春 季 特 別 展 示 姫路城のグランドオープンを記念して、個人コレクションや姫路市が保管する発行資料、館蔵品など から、姫路城を中心にしたお城にまつわるさまざまなグッズを集めました。昔のガイドブック、絵ハガキ、 しおり、観覧券や記念メダルをはじめ、お城をデザインしたやきものや染織品、地元作家らによる版画 などをご覧いただきました。会場で時折、懐かしそうに昔話に花が咲いていたことも、嬉しい光景でした。 ぎ いた当時の大蔵省印刷局が技術改良を試み、その技術は後に、民間の し 姫路の擬革紙 山路壁紙製造所へ受け継がれました。日本の擬革紙製品は、東京や三 重をはじめ、主に姫路を中心とした兵庫から今井治兵衛、浦上卯七郎、 堅木徳松、三木常七、小野安次らによって多くの博覧会へ出品されて、 ∼世界に評価された日本の和紙加工技術∼ 日 ■5月24日□ 明治期の欧米を始め国内外に知られました。 (『シーボルトの見た金唐革・姫路擬革紙in室津、姫路の研究』 (林久良、 「しろまるひめを染めよう」 金 ∼4月5日□ 日 ■2月27日□ 講師:藤坂修三 氏(修工房) 参加者数:30名 姫路市のキャラクターしろまるひめの型紙 と好きな漢字一文字を彫り、藍染の抜染技法 を体験しました。 特別展示 ばっせん 「2015年播磨工芸美術展」 入館者数:3,211名 播磨で活躍する現代工芸作家グループ「播 磨工芸会」会員及び兵庫県下で活躍する工芸 作家の招待出品により各分野の最新作を中心 に28点を展示しました。 ※期間中に工芸作家によるリレー教室を10 教室実施しました。 かく 会場風景 漆工芸教室の様子 土 ∼4月5日□ 日 ■3月21日□ 公募展「2015播磨・工芸ビエンナーレ」 入館者数:1,710名 新人工芸作家の発掘と育成を図り、工芸美 術の振興と市民芸術文化の発展に寄与するこ とを目的とした公募展を実施しました。 応募数 98点(67人)/入選数 53点(48人) 入賞者8人(入選者48人のうち) グランプリ作品 深海 小野紘之 グランプリ/小野紘之(陶芸)、準グランプリ/松本留依(染織) ・萩原洋 司(陶芸)、播磨工芸会賞/江藤雄造(漆芸) ・喜多千景(陶芸)、美術工芸 館20周年記念賞/大木 元(陶芸)、佳作/児玉玲央奈(陶芸) ・井上 久(陶芸) 春季特別展示「お城グッズ大集合−江戸から現代まで」関連イベント 土 ■4月18日□ 講演会「写真で見る姫路の変遷∼城周辺の街並みから」 講師:芳賀一也 氏 (姫路城下町街づくり協議会副代表、写真家) 参加者数:30名 写真を見ながら、街並みの変化や歴史背景 をお話いただきました。 日 ■5月10日□ 上映会 「懐かしの姫路城映像と想い出の〈時〉と人々」 制作・上映/姫路ビデオ協会 参加者数:110名 昭和の大修理などの10本立てで、立ち見 が出るほどの盛況でした。 皮革加工が地場産業として古くから栄えた姫路。実は、革細工にそっ くりな優れた紙製品も作られていました。 「安政前後(1854−1860)平井 八兵衛というものあり、紙製文庫を発明して革細工に模し、其の売行甚 日 、5月16日□ 土 ■4月12日□ だ多かりし」 (『姫路紀要』1912年発行)という記述などから、おそらく姫 参加者数:延べ45名 かがわれます。 金 ∼3月15日□ 日 ■2月27日□ 日本での擬革紙発展については、17世紀に日蘭貿易で輸入された金 路での擬革紙、なかでも文庫製作が19世紀中頃に始まっていたことがう 展示解説会 きん からかわ 常設展示 清水公照の世界 入館者数:1,305名 唐革が重要となります。ヨーロッパの壁装飾材だった革製品を国内では 姫路市出身で奈良東大寺の別当を務めた清 水公照の書・画・陶芸の作品や、収集したコレ クションを展示し多くの方々にご覧頂きました。 人気を誇った高価な輸入金唐革に替わって、姫路などでそれを模した革 土 ∼平成27年4月2日□ 木 ■平成26年12月13日□ 郷土玩具室コーナー展示「福岡県の諸玩具」 入館者数:8,042名 小さく裁断して、煙草入れなどの日用携帯品に拵えました。この爆発的 製品が作られるようになりました。加えて、紙で模造した金唐革紙もい つの頃からか作られ始めています。 一方、和紙文化の発達した国内では、擬革紙と呼べるものが早くから 生産されています。伊勢神宮界隈で「壺屋」が売り出した、油を塗った合 火 ㊗ ①10:00∼12:00 ②13:00∼15:00 ■5月5日□ 羽紙を用いて革風に仕上げた煙草入れなどは、土産としてつとに有名で 講師:夢工房陶冶 入館者数:140名(延べ) ゴールデンウィークも後半の晴天の中、家 族連れで多くの方々にご参加いただき、粘土 をこねて人形や皿、茶碗など自由に作る陶芸 をお楽しみいたきました。 たようです。その後、幕末の江戸では「竹屋」が名を馳せます。明治期 2015アートキャンプ「陶芸教室」 火 ∼3月29日□ 日 3月17日□ 金 ∼4月16日□ 木 4月3日□ 金 ∼4月30日□ 木 4月17日□ 金 ∼5月14日□ 木 5月1日□ 金 ∼5月28日□ 木 5月15日□ 大山 砂治 砂治 神田 神田 木耀「窯変花入れ」陶器 寿一 所蔵「高足菓子盆」漆器 寿一 所蔵「雲龍釜」鉄製 宏幸「仲間」銅板 洋子「たまてばこ」ガラス ふれあい舞台in書写の里 土、 土 4月25日□ 5月9日□ ブルーエコーズ アルトサックス・クラリネット演奏会 月 ㊗ NADIA 5月4日□ (ナディア) 春らんまんコンサート 土 ∼4月26日□ 日 4月25日□ 土 ∼5月10日□ 日 5月9日□ 土 ∼5月17日□ 日 5月16日□ 水 ∼5月24日□ 日 5月20日□ 水 ∼6月14日□ 日 6月10日□ 土 ∼6月14日□ 日 6月13日□ した。当時、平賀源内も擬革紙を試作していましたが、湿気に弱く失敗だっ 「姫路はりこ」 松尾 哲さん 今回は5代目姫路はりこ職人であり、当館で制作実演 を行って頂いている松尾哲さんにお話しを伺いました。 ■家業のはりこ制作を継ごうと思われたのはいつ頃ですか 高 校 を卒 業 後 会 社に就 職したので すが、 (一般展示室・交流庵) いずれははりこの技術を継いでいかないとい けないと思っていました。父(4代目・隆)が 守ってきた姫路はりこの伝統を途切れさせた くはありませんでしたから。平成6年7月にこ こ(書写の里・美術工芸館)が開館し、父が 週末にはりこの制作実演をすることになりま トピックス 子どもの 教育支援活動へ意欲 未就学児も大歓迎! 子育て教室風景 (昨年度) 子どもの教育支援活動において、近年は出張教室(学校園の授業・ 保育、子育て団体対 象の市政出前 講座、他)も定着してきました。 そのなかで、目立つのが未就学児と親を対象にした親子交流行事。 生まれてはじめて道具をあつかい、ものづくりに挑戦する幼児たち。 その健やかな成長を願って本年も微力ながら活動支援を行って行き たいと思います。 (亀田正司) 来館者80万人達成!! 4月15日、 工芸館ファンのご夫妻 平 成6年(1994年)7月の 開館から20周年を迎えた当 館の総入館者が80万人に達 しました。記 念 すべき80万 人 目 は 市 内 在 住 の ご 夫 婦。 東畑館長から姫路はりこ「招 き猫」などの記念品を贈られ 「開館からの工芸館ファンで よく来ています。とても嬉し いです」と笑顔で話しておら れました。おめでとうござい ます。 発行)に詳しいので、こちらもご覧ください。) 姫路産擬革紙には、革と見分けがつかない上級品から、安価なものま こて でありますが、いずれも加工と使用に耐えうる丈夫な和紙に、型や鏝に よる凹凸をほどこして金銀の箔や色漆で加飾して仕上げられています。 姫路の革細工と擬革紙には、同じ型を用いたとおぼしき製品が残ってい ることから、これらは同じ工房で製 造していたと推測されます。また、 他地域の主流である揉んで皺紋をよせる加工よりも、姫路産はひとつの 独立した絵柄 の型出しが多 い傾向にあり ます。本体は 紙製で、掛け 紐のみ革製と する場合もあ りました。 (岡崎美穂) 姫路擬革紙状入れ箱 21.3×9.5×4.3cm 館蔵品 きで一発勝負、やり直しがきかないところですし、目をうまく描けるか描 ■第二十五回 第19回長生蘭・石斛の花と富貴蘭展示会 山野草展 第20回花と香りを楽しむ石斛と富貴蘭展示会 第20回備前焼作家 生陶衆啓作陶展 出口淳一 水墨画作品展 園芸作品展 「姫路美術工芸館紀要9」掲載、平成26年 姫路市書写の里・美術工芸館 した。その頃より、父のいる間にしっかりと 技術を身につけ受け継いでおきたいという思 いが強くなり翌年1月に会社を退職し、父の制作実演を手伝い始めて本 格的にはりこの道に入りました。 ■作品制作の上で苦労されていることはありますか 苦労といいますか最初のしたごしらえには気を使っています。したごし けないかで、はりこの顔の見え方が大きく変わってきます。 ■はりこ制作の上で先代から言われたことで一番印象に 残っているのは何ですか 「はりこ一枚一枚が一人一人のお客様のところへいくので、一つ一つ、 一枚一枚決して手を抜かないようにきちんと作りなさい」ということはい つも言われていました。常に心がけていることです。 ■今後の抱負や目標を教えて下さい まずは父のやってきたことを守りながら、こつこつと仕事をこなしてい きたいと思っています。 今はまだ、父のはりこを受け継いでいくことに一生懸命ですが、これ からはオリジナルの型も作り、絵付けもより自分らしいものが描けるよう 努力していきたいです。いずれははりこ面を手にしたお客様から「これは 息子さん(哲さん)の面やなぁ」と言ってもらえるようになりたいですね。 また、年代を問わず誰からも気さくに声をかけてもらえるような、話しか けやすく親しみやすい職人になることを目指しています。 始終穏やかな口調で、インタビューに答えて下さった5代目哲さん。そ の眼差しからはお父様の意思をしっかり受け継いでいこうという決意が感 じられました。 (聞き手 横山陽子) らえとは、要するに紙合わせ、紙貼りですね。はりこの紙は新聞紙を半 紙などで挟み、糊で貼り合わせたもので、この紙を油を引いた型に貼り、 よく練った胡粉を塗ります。ここまでの工程がしっかりできていないと、 絵付けをする時に影響が出ます。筆のすべり、色の付き具合が全然ちがっ てきます。 「人の目には見えないところの仕事こそしっかりしないといけない」と父 にもよく言われました。難しいところは目を描く工程でしょうか。一筆書 まつお さとし 松尾 哲 昭和44年4月20日生 姫路市香寺町田野在住 「姫路はりこ」制作実演: 「工芸工房」午前10時∼午後4時 毎週金曜日、土曜日、日曜日、祝日 〔お悔やみ〕 開館以来、当館における伝統工芸の普及活動に尽力いただいた姫路 はりこ職人・4代目松尾隆さんが1月31日に永眠されました。心よりお 悔やみ申し上げます。
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