平成26年度 厚生環境常任委員会 調査期間 平成27年1月21日(水)~ 行政視察報告書 1 2 1月22日(木) 視察都市及び視察事項 期日 視察都市 視察事項 1月21日(水) 東近江市 こころとからだの健康づくり事業 「幻のラジオ体操第三」を含めた取り 組みについて 1月22日(木) 小野市 視察者 桜井 直人(委員長) 土屋 俊則 ・ 原田 渡辺 光雄 ・ 大野 介護予防サポーターについて おの健康貯筋通帳について 3 ・ 東木 伴子 ・ 美紀 久代(副委員長) 柳田 秀憲 ・ 友田 宗也 4 視察事項の概要 〔東近江市〕 ①人口及び面積 115,479人 388.58㎢ ②平成26年度一般会計予算 46,600,000千円 ③視察事項の事業概要 1.こころとからだの健康づくり事業 「幻のラジオ体操第三」を含めた取り組みについて 「幻のラジオ体操第三」にとりくむきっかけ ○全国的にみられるように東近江市においても、うつ病の方が増加してい る。もともと医療費の適正化のため、保健事業や生活習慣病・糖尿病予 防に力を入れてきた。 ○糖尿病の方が精神疾患になりやすい傾向がわかった。また、その逆も言 える。市民の健康把握しながら、予防に向けた取り組むことで、医療費 の削減・適正化も実現する。糖尿病予防のためにはうつ病の予防が大切 と考えられ、龍谷大学社会学部の安西将也教授の協力のもと、まずは実 態調査を実施した。 (H25 年、こころとからだの健康調査アンケート、40 ~64 歳国保被保険者 9,016 人、回収 3,213 人、35.6%) ○その結果、以下の条件の方はこころの状態がよいことがわかった。 (1)少し強めの運動を継続している人 (2)バランスよく食事をしている人 (3)寝つきのよい人 (4)生きがいを持っている人 (5)健診を受けている人 ○生活習慣病予防と精神疾患予防に、いずれも運動が効果的。 「運動」と言っても、やってみたいな、と思ってもらえる、市民に興味 を持っていただけること、ひとりでも複数でもできること、家庭でも可 能なこと、心拍数 130 を超える強さの運動であることなどのいくつかの 条件が満たされる「運動」が望ましい。こうした経緯と龍谷大学安西教 授と井上辰樹教授の協力のもと、戦後の一年半だけ NHK が放送したもの の、動きが複雑で当時は中断してしまった、 「幻のラジオ体操第三」を普 及することとした。 ○市役所では昼休みの 12 時 50 分より、職員が自らラジオ体操第三を行っ ている。 ○龍谷大学との連携で、指導者講習会を開催。出前講座「ちょっときてぇ な講座」や DVD を作成し市民周知を図っている。 その他の取り組み H23 年度から「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」も実施 ○背景について…東近江市は H17,18 年に1市6町が合併により誕生。新規 透析患者の原因が糖尿病など生活習慣病による傾向が明らかに。市内の 半分が山間部であり、車生活で運動量が少ない等の環境の要因もある。 ○透析になると、1 人あたりの医療費が約 1,500 万円。1 か月 100 万円超(本 人負担は 1 万円)糖尿病の重症化を防ぐ対策が必要であり、医療費の適 正化にもつながる。 (糖尿病は 3 人に 1 人が透析の予備軍と言われている) ○医療費効果として、ひとたび透析患者となると、生涯で 2 億 2,500 万円 の医療費がかかるところ、プログラムで予防できた場合は 1,400 万円と なる試算となる。 ○医師会との協力<連携パス>により、レセプトデータから重症化になり そうな方に予防プログラムのご案内、H23~26 年レセプトより 85 人を指 導 6~7 割の方が予防できている。現在 54 人が指導受けて取り組んでい る。 H22 年度から「国保ヘルスアップ事業」の取り組み ○県内の中でも高血圧と LDL リスクが高い。 ○集団健診後の要医療受診対象の未受診者減少のため、結果お返し会を実 施。訪問、電話レターによる勧奨で、受診率 52%から 65%へ向上。 ○医師会との連携により『治療中患者情報提供票』への協力。 ○国保の加入者は全体でいうと 25%、民間事業者の健康保険組合の連携も 大切。今後協会けんぽとの連携協定書も締結し、予防・保健事業の取り 組みを進める。 <感想> 実態を丁寧に把握・分析し、大学や医師会等の協力も得て、国のモデル 事業を含め、新しい事業を積極的に取り組まれている。また、優れた取り 組みを積み上げられており、大変勉強になりました。担当者が健康づくり 一筋 12 年間とのこと、市民の健康を守る信念と情熱を垣間見ました。 〔兵庫県小野市〕 ①人口及び面積 49,693人 92.92㎢ ②平成26年度一般会計予算 19,020,000千円 ③視察事項の事業概要 1.介護予防サポーターについて 2.おの健康貯筋通帳について 「市民とともに、これからの高齢社会を考え、支える」 ○地域包括支援センターは市の直営で 1 か所に設置されている。福祉総合 支援センターという施設があり、その中に、地域包括支援センターと、 高齢介護課、健康課、障害者地域生活・相談支援センターや社会福祉協 議会があり同居している。福祉関係のサービスをワンストップで対応で きるようになっている。介護予防については地域包括支援センターが実 施している。 ○高齢化率 25.2% 全国各地同様に人口減少・高齢化率は上昇(高齢者人 口は 12,516 人(平成 26 年 12 月末)) ○小野市内の要介護状態になった原因を分析したところ、申請時の主治医 の意見書から、65 歳~74 歳は脳血管疾患が 63%で圧倒的に多いが、75 歳以上は骨・関節疾患が 53%で一番多い。ロコモ(運動器不安定症)予 防の重要性が明確になった。認知症高齢者も増加している。 (1)市民が楽しく身体活動ができるよう「おの楽らく体操」を作成し、 普及啓発に取り組んだ。 (2) 「認知症予防」を教育委員会と共同開発(東北大学川島隆太教授の 学習療法を取り入れ計算や音読のドリルを作成) (3)各地域で介護予防の「健康貯筋くらぶ」を実施、年間 36 回開催、 延べ参加人数 634 人(H25 年)。男性が参加しやすいように「脳いき いき麻雀くらぶ」を実施(男性の参加が少ないのが一つの課題でも あった)。 ○こうした教室開催によって 6 か月後の体力測定で効果が明らかにみられ た。これまでの、病気になってから相談に応じる体制から、今後は元気 なうちから関わりを持っていくことにより、いざ困った時にこれまでの 地道な取り組みが大きな効果をもたらすのではないか、との考えのもと、 (4)要介護認定うけていない高齢者を対象とした『元気な時から地域 参加「さわやか元気教室」』の実施(各町単位で出前講座を開催)。 ○地域でのこうした介護予防を継続するために介護予防サポーターの養成 を始めた(ふれあい楽らくサークルにボランティア登録をしていただく 59 名 11 グループ)。各町で、体操や脳元気ゲームのリード役として活躍 していただいた。 ○介護予防サポーターのもう一つの役割として、 (5)いきいきサロン「ひまつぶし」の運営を担う。80 町のうち 40 町 がすでに開催(毎週水曜日 10 時~15 時)。 ○地域の身近な場所で開催することで、新規参加者を増やすことができた。 ○主催者も参加者も住民、という地域の支えあいができた。 ○今後の更なる介護予防事業の展開として、 新規で「シニアチャレンジ教室」を開催、体操の効果を感じ、モチベー ションを高め継続できるようにする。①週 1 回運動を実施(いきいき百 歳体操)②体力測定と身体アライメントの評価③1 町で 4 回指導、自主継 続、効果を測定、他の町に啓発活動を行う予定。 ○「健康貯筋通帳」を作成し、50 ポイントごとに表彰、参加者のモチベー ションを高め、介護予防の継続のためのツールとして活用している。 ○今までは、助けを求められてから応じていく体制だったが、これからは 元気な時から、その方の力を活かし、地域で支え手になっていただくこ とが大事であり、同時に市民がどう生きるか、自ら地域の支え手にとい う意識改革が大切である。そのための居場所づくり、健康づくりが大切 と考えている。 ○地域包括ケアシステムについて「地域マネジメントに基づく<ケア付き コミュニテイ>の構築」として位置付けている。また、本人の意思を尊 重し、自分らしく暮らしていただくために、元気なうちから将来を見据 えていけるよう「人生手帳」を発行している。 ○「あなたと歩む地域包括ケアセンター」のモットーで市民に寄り添うサ ービスの在り方を追求している。 <感想> 地域包括支援センターが市の直営であること、介護予防に関する事業は すべて包括がやっているため取り組みに一貫性があります。また、要介護 状態になる原因からロコモ予防の重要性を医学的にも明確にされているこ と、早め早めの関わりが予防への近道として介護予防事業を位置付けてい ること、介護予防サポーターを育成し、地域で自発的に開催できるように 組み立てていました。 また、介護保険以外の高齢者の生活支援として、生活支援サポーターを 養成し、 『介護ファミリーサポートセンター』の仕組みは、市民に分かりや すく、使いやすいサービスであり、多くの点でとても参考になりました。 人口規模が違うことや、担当者の在籍期間が 8 年と長く、専門性が高い ことなど、大きな違いがありますが、考え方や取り組みについて、藤沢市 でも活かしていけたらと思いました。
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