月刊 HRタイムズ 株式会社アヴァンティスタッフ ニュースレター Monthly Human Resource Times 29号 / 2015年6月 (毎月第2水曜日発行) HRタイムズでは、人材活用や人事労務に関する旬な情報を毎月お届けします。 特集-労働契約申込みみなし制度とは 先月号の特集では、みなし制度の行政解釈(通達、今月発出予定)案の内容を一部抜粋してご紹介しましたが、そもそも 「み なし制度」とは?との質問をいただくこともあったため、今月号は同制度の概要と一部行政の解釈をあらためてお伝えします。 みなし制度とは 派遣先(発注主を含む、以下同じ)が、次に掲げる違法行為を行った場合、派遣先が派遣社員(請負業務に従事する社員を含 む、以下同じ)に労働契約の申込みをしたものとみなす制度です。派遣社員が当該申し込みを承諾すれば、派遣先と派遣社員の 間に労働契約が成立することとなる制度です。 違法派遣が発覚した場合、その違法状態を是正するにあたっては、派遣社員の雇用の安定を図りつつ、派遣先に対してペナルティを 科すとの観点から、2012年の派遣法改正に盛り込まれた内容です。当項目のみ3年間施行が猶予され、今年の10月、いよ いよ運用が開始されようとしています。なお、以下の説明には一部厚生労働省としての解釈が含まれていますが、本規定に関する効力 が争われた場合、最終的には司法(裁判所の)判断となりますのでご注意ください。 みなし制度の対象となる違法行為とは 次の4種類が該当します。 ①派遣禁止業務への派遣受入れ ③派遣受入期間制限に違反しての派遣受入れ ②無許可・無届業者からの派遣受入れ ④いわゆる偽装請負 善意無過失による例外 違法行為に該当することについて、善意無過失(注意をしていたが知らなかった)であるとの主張が認められた場合には、みなし制度 の規定は適用されないこととされています。ただ単に、法の仕組み等を知らなかったことでは、 善意無過失は認められないと考えられます。 目次 申し込んだとみなされる労働条件の内容 原則として、派遣元⇔派遣社員間の労働条件の内容が、派遣先⇔派遣社員の労働条件 となります。 ■労働契約期間・・・派遣元⇔派遣社員間の労働契約の内容に、契約の始期と終期 (例:2015年4月1日~2016年3月31日)が定められている場合(定められていること が一般的です)、労働契約の終期も引き継がれることになります。したがって、上記例で仮に 2015年12月1日に派遣先⇔派遣社員間に労働契約が成立することとなった場合に、契約 期間は、2015年12月1日~2016年3月31日までとなる、というのが厚生労働省としての 見解です。 1 • 特集-労働契約申込みみ なし制度とは • 「情報通信機器を利用した 多様な働き方の実態に関 する調査結果」より • 人事労務ニュース • 特集 – 次回改正で派遣 法はこう変わる • 編集後記 「情報通信機器を利 用した多様な働き方 の実態に関する調査 結果」より 今月号は、労働政策研究・研修 機構が6月に公表した掲題調査 のうち、企業調査結果よりお伝え します。 ・有効回答:1,661企業 ・調査期間: 2014年10月中旬~11月中旬 テレワークのうち、在宅勤務の実 施割合 ・会社の制度として実施 1.7% ・上司の裁量・習慣として実施 5.6% テレワーク実施の目的(複数) <終日在宅勤務> ・家庭生活との両立 50.9% ・定型的業務の効率・生産性の 向上 43.9% ・移動時間の短縮・効率化 43.9% <1日の一部在宅勤務> ・移動時間の短縮・効率化 55.1% ・家庭生活との両立 46.9% ・定型的業務の効率・生産性の 向上 44.9% 適用されている労働時間制度 <終日在宅勤務> ・通常の労働時間管理 68.4% ・フレックスタイム制 29.8% <1日の一部在宅勤務> ・通常の労働時間管理 64.7% ・フレックスタイム制 35.3% 勤務時間の管理 <終日在宅勤務> ・始業終業時刻を電話やメール で伝達 45.5% ・情報通信機器を利用して常時 通信可能 38.2% <1日の一部在宅勤務> ・始業終業時刻を電話やメール で伝達 46.0% ・まとめて業務報告など 32.0% 人事労務ニュース ◆厚労省、ブラック企業早期公表 長時間労働是正勧告時 厚生労働省は違法な従業員の長時間労働を繰り返す大企業に対し、是正勧告の段 階で社名を公表する方針を固めた。毎月の残業時間が月100時間を超す従業員が 一定割合を占める状況を対象にする方向だ。これまでは是正勧告に従わず、書類送検 した企業だけを公表していた。過酷な労働を強いる「ブラック企業」の監視を強め、労働 環境を改善させる。(2015/5/15 日本経済新聞電子版) 是正指導の段階で企業名が公表されることに対しては、賛否が分かれるところかと思います が、公表される基準は以下のとおり( ⅠとⅡのいずれにも当てはまる場合)です。 5月18日から実施されています。 Ⅰ.社会的に影響力の大きい企業(*1)であること。 *1 複数の都道府県に事業場を有しており、中小企業に該当しない企業 Ⅱ.違法な長時間労働(*2)が相当数の労働者(*3)に認められ、このような実態が 一定期間内に複数の事業場で繰り返されている(*4)こと。 *2 ①労働時間・休日・割増賃金に関する労働基準法に違反 かつ ②1か月あたりの時間外・休日労働が100時間を超えている *3 1箇所の事業場で10人以上の労働者または4分の1以上の労働者に、違法な 長時間労働が認められること *4 1年程度の期間に3カ所以上の事業場で、違法な長時間労働が認められること ◆65歳以上も雇用保険加入を―厚労省検討会が報告書 厚生労働省の有識者検討会は22日、65歳以上の働く人が、雇用保険に新規で 加入できるよう検討すべきだとの報告書を大筋で了承した。現行制度は同じ勤務先で 働き続ける場合は65歳以上でも加入を継続できるが、65歳以上になってから新た に採用された場合は雇用保険に加入できない。(2015/5/22 共同通信) 労働力人口の減少を補うためには、女性や高齢者の活躍の促進が欠かせない、との意見 はよく聞かれるところです。「生涯現役社会の実現に向けた雇用・就業環境の整備に関する 検討会」がとりまとめた報告書では、『企業における65歳までの継続雇用を基本としつつ、 多様な形態で高年齢者が雇用され、または就業できる機会の創出や確保を図っていくこと が不可欠である』としています。 ◆女性活躍推進法案が衆院通過 企業に目標義務付け 企業や自治体に女性の登用目標の設定を義務付ける女性活躍推進法案が4日午 後の衆院本会議で全会一致で可決された。自民、公明、民主の3党による修正で、 企業が女性登用の行動計画で定めた目標を達成するよう努力義務規定を新たに盛り 込んだ。参院に送付され、今国会で成立する見通しだ。(2015/6/4 日本経済新 聞電子版) 大企業に義務付けられる事業主行動計画の策定は、来年4月施行の予定です。 ◆派遣法改正案、衆院採択へ…維新と自公折り合う 派遣労働者に柔軟な働き方を認める労働者派遣法改正案が、衆院を通過する見通 しとなった。 自民、公明両党と維新の党による協議で、維新が近く法案の採決に応じ ることで大筋合意したためだ。維新が早期採決に応じる代わりに、自公両党は、雇用形 態で賃金に差をつけない「同一労働同一賃金」を進める議員立法の成立に協力する。 (2015/6/6 YOMIURI ONLINE) 3度目の正直として今国会に提出された派遣法改正案。年金情報流出問題などによって、 審議の停滞が懸念されましたが、報道によれば上記のとおり進んでいるようです。9月1日に 施行するために、残された期間はほとんどありません。できるだけ早期の成立が望まれます。 2 特集-次回改正で派遣法はこう変わる 派遣法改正案が、今国会で成立する可能性が高まってきました(前ページ参照)。そこで本紙でも、派遣法改正内容について の特集を再開いたします。第一弾として、派遣受入期間制限がどのように変わろうとしているのかを、あらためてイメージ図とともに確 認いたします。次ページにポイントを列記しました。 3 特集-次回改正で派遣法はこう変わる(続) 1 26業務と自由化業務の区分が撤廃されます。 2 3 業務内容に関わらず、個人単位と派遣先事業所単位の2つの期間制限 が適用されます。 <個人単位の期間制限> 組織単位(課)ごとに、3年を超えて同じ派遣スタッフを受け入れることがで きません。 4 3年上限に達する派遣スタッフに対しては、雇用安定のための措置を講ずる ことが、派遣元に義務付けられます。 5 クーリング期間については、現段階では不明です。(法案成立後、省令や 業務取扱要領等で示される予定です。) 6 <派遣先事業所単位の期間制限> 同一の事業所における派遣受入期間の上限は、原則として3年です。 7 事業所ごとの抵触日を、契約締結前に、派遣元に通知することが必要です。 8 受入期間(3年)は、過半数労働組合(従業員の過半数代表者)に 意見を聴くことによって、3年間延長することが可能です。 9 意見聴取は、抵触日の一月前までの間に行うことが必要です。 1 0 意見聴取に際しては、回答の参考となる資料(事業所における派遣労働 者の受入開始時からの派遣労働者数と無期雇用労働者数の推移に関す る資料等)を提供することが必要です。 1 1 <期間制限の例外> 派遣会社に無期で雇用されている派遣スタッフ、60歳以上の高齢者、日 数限定業務・有期プロジェクト業務・育児介護休業等代替業務については、 個人単位・派遣先事業単位とも期間制限の対象から除かれます。 株式会社アヴァンティスタッフ 本社 東京都中央区日本橋兜町6-7 ヒューリック兜町ビル 編集後記 本社代表 03-6703-8337 横浜支店 045-325-0211 今月8日、関東地方が梅雨入りしたとの発表がありました。気が付けば6月中旬、2 015年もほぼ半分が経過しようとしています。個人的には、年初に立てた目標も道半 ば。これから巻き直しを図っていかなければならないと思っています・・・ 大宮支店 048-645-6464 道半ばと言えば、派遣法改正案の国会審議も、ようやく半分に到達するところまで見 えてきました。衆議院での採決後、参議院に議論の場を移し、順当にいけば6月下旬 から7月上旬にかけての成立が想定されています。法案成立後から施行までの間には、 実務上の重要なポイントが規定される、政省令や指針の審議と業務取扱要領の公表 が予定されています。弊社では、本紙等を通じて、迅速かつ分かりやすい情報の提供を 心がけてまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。(N) 九州支店 今月もお読みいただきありがとうございます。 名古屋支店 052-229-1521 大阪営業部 06-6131-0602 092-711-2181 Web サイト www.avantistaff.com HRタイムズに関するご意見、 ご要望はこちらまでお願いします hrtimes@avantistaff.com 4
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