第8回

活動電位
3)活動電位
① 静止電位から神経線維や筋線維が興奮
② 興奮部分の膜電位: 急激に、しかも一過的に脱分極
③ 活動電位の発生
膜電位 → 急速に正のピークへ上昇後
④ 再び急速に元の静止電位の方向へ下降
⑤ 一旦静止電位よりも過分極側にふれた後(=後過分極)
ゆっくりと元の静止電位のレベルに戻る ①
活動電位発生のメカニズム
Na+: 細胞外 > 細胞内
→ 化学的勾配は内向き
K+の透過性によって作り出された静止電位
→ 電気的勾配も内向き
① 静止時:
Na+は膜を通れさえすれば、一気に細胞内へ流れ込みたい
膜の選択的透過性
K+漏洩チャネルから K+をよく通すが、
Na+はあまり通さない
• Na+は膜内に流れ込めない
② 興奮性の信号等を受け取る
→ 膜が静止電位レベルからある程度脱分極
→ 電位依存性Na+チャネルが一時的に開く
→ 電気化学的勾配に従い、少量のNa+が細胞内に流入
③ このNa+の流入によって膜の脱分極が進む
→ もっと多くの電位依存性Na+チャネルが開く
→ Na+が細胞内に流れこむ
Na+の細胞内流入 = 自己再生的に増幅 → 活動電位
活動電位がピークに近づく
→ Na+チャネルが不活性化状態になる
(ゲートは開いたままだが、チャネルが閉じてしまう状態)
→ ナトリウムイオンの細胞内流入が減少し始める
④ 電位依存性K+チャネルが電位依存性Na+チャネルから
少し遅れて活性化
→ K+の流出は活動電位の下降相で最大となる
この時点で膜電位は細胞内が正
濃度勾配も電位勾配もK+の流出を促す方向に働く
→ K+の外向き流がNa+の内向き流よりも大きくなる
→ 膜電位はカリウムの平衡電位EKに向かって変化する
(再び内側を負にする方向に変化する)
⑤ 膜が再分極するにつれ、 K+チャネルは閉じ始める
膜電位に応答する速度が遅い
→ 静止電位レベルに戻ってもまだ開いているチャネルがある
このK+流出 = 活動電位後の後電位
その後K+チャネルが閉じ、静止電位に戻る ①
4)活動電位の伝導
活動電位 → 軸索上を伝わり → 情報を伝達
その際、活動電位の大きさは減衰しない
軸索のある部位に活動電位が発生
その活動部位
→ ピーク時には細胞内部が外部に対し+40mVにも帯電
その周囲部
→ 静止状態で細胞内がマイナスに帯電
軸索内に流入した電流 = 軸索の長軸方向に拡がる
細胞内:活動部分から周囲に向け、電流が流れ出る
細胞外:周囲から活動部分へ向け、電流が流れ込む
周囲部分
細胞内で陽電荷を受け取り、細胞外では陽電荷が失われる
膜電位 → 脱分極
活動部位に近い部位
外向き電流 = 大きい
その部分にあるNa+チャネルを新たに開く
•
自己再生的にNa+が流入
•
•
活動電位が発生し、膜が興奮
この現象の繰り返し
活動電位 •
軸索上を伝わっていく
= 活動電位の伝導
•
•
•
活動電位発生に伴って流れる局所電流
•
その地点から両方向に流れる
•
活動電位 •
一方向にしか進まない
一つ前の時点で興奮したNa+チャネル = 不活性状態
•
反応できない (= 不応期 )
•
興奮は一方向に進む
活動電位の伝わる速さ
→ どの程度先の領域まで脱分極させられるかによって決まる
Na+チャネルの密度、軸索の太さ に依存
軸索の直径 大 = 軸索の内部抵抗 低
→ 遠くまで脱分極 = 伝導速度 大
無髄神経と有髄神経
無脊椎動物のニューロン = 無髄神経
軸索は裸の状態
感覚ニューロンをのぞく多くの脊椎動物のニューロン
= 有髄神経
絶縁体の役割を果たすミエリン鞘(=髄鞘)が軸索を覆う
ミエリン鞘とミエリン鞘の切れ目 = ランビエ絞輪
Na+チャネルが集中して存在
跳躍伝導
ある部位の膜が興奮
→ 局所電流は膜を横切り、外へ漏れようとする
ミエリン鞘 = 膜を横切っての漏電を防ぐ
→ ランビエ絞輪で初めて外へ流れ出し、脱分極
→ そこに集中的に存在するNa+チャネルが活動電位を発生
興奮は、ランビエ絞輪から次のランビエ絞輪へ一気に伝えられる
= 跳躍伝導
有髄神経の伝導速度
→ 同じ直径の無髄神経に比べはるかに速い