学際がひらく未来。 すでにある学問 領域の境 界に 位置する「 学際 」。 学際科学フロンティア研究所(FRIS)は、 「学際的研究」の開拓・ 推進によって新たな知と価値を創出し、 人類社会の発展に貢献 することを目的に活動しています。ここでは、活動の核とも いうべき 「学際的研究」について3つの視点から紹介します。 学際的研究とは 何だろう 。 東北大学 学際科学フロンティア研究所 所長 W H AT ? 学際を示す“interdiscipline”の“discipline”は、工学 もともとは生物と化学の学際的な領域に位置づけられ や医学、理学など、私たちにとって馴染みのある学問領 ていました。 一方、 医学と工学の境界領域とされる「医工 域をさします。そしてそれに“inter”が付くと、それらの 学」は、未だ定義が確立されているわけではありません。 間、境界にある学問領域という意味になります。ひとつ その点では、学際領域の典型のひとつといえるでしょう。 の学問領域としてすでに認知されている「生化学」は、 佐 藤 正明 複眼 的な視 点 、自由な発 想を大 切に 、 異分 野の研 究 者との交流を促 進 。 H OW ? FRISの活動の柱のひとつが 若手研究者の支援です。 先端的学際 研究の推 進 若手研究者の公募に際しては、学際 性、発展性、これ までの実績等を総合的に評価し選考しています。若手 研究者には、それぞれの研究テーマを単眼的に見るの 学際的研究を どう進めるのか。 1 ではなく、いろいろな分野の研究者と日常的に交流 する中で、新たな展開や可能性が生まれることを期待 しています。また、若手研究者をサポートする先生方 3つの柱 (メンター)にも、複眼的な視点で研究を眺めてほしい 2 とお願いしているところです。活動のもうひとつの柱 として、各部局の研究者間の交流にも取り組み、自由な 3 発 想のもとに学 際 的 な研 究を展 開 する 場としての 学内 学 際 研 究 の 発 掘 機能も持たせています。 若手 研 究 者の支 援 ひとつの見 方だけでは 解 決できない領域が 増えている 。 学際的研究が なぜ 求められるのか。 FRIS POLICY 01 WHY? さまざまな問題を解決しようとする時、ひとつの“disci- に関わっています。何かひとつの研究テーマを選んだ pline”だけでは解決できない問題が山積しています。 時に、ひとつの見方だけではもう解決することができな 環 境や 食 糧などの国 際 的に問 題となっている事 項 、 い領域が増えてきているのです。自然災害しかり、材料 そして東日本大震災に伴って起きた原子力発電の問題 の問題しかり、学際的な視点から研究を進めることの などはすべて、人の体、生物、植物などの分野が複合的 重要性が指摘されてきているのだと思います。 学際科学フロンティア研究所(FRIS)の使命 異 分 野 融 合 による 学 際 的 研 究 を 開 拓 研究を支援することにより、新たな知と し、そして推進するとともに、各研究科・ 価 値を創出し、より豊 かな人 類 社 会の 各 附 置 研 究 所 および 国 際 高 等 研 究 教 発展に貢献することを目指しています。 育院との連 携を通じて、若手 研 究 者の 02 FRISに集う若手研究者たち。 1 物質材料・エネルギー 2 19 物質材料・エネルギー 梶田 徹也 助教 小嶋 隆幸 助教 電気化学、電池材料、超伝導材料 固体触媒、磁性材料、金属薄膜 次世代二次電池負極材料の 磁 性 が 触 媒 機 能 に 与える 創製 影響の解明、磁性の利用に よる新しい触媒機能の創出 デバイス・テクノロジー 20 デバイス・テクノロジー 21 デバイス・テクノロジー 25 情報・システム 27 船本 健一 准教授 青木 英恵 助教 安西 眸 助教 鈴木 大輔 助教 生体工学、流体工学 高周波軟磁性薄膜、機能性材料 構造最適化、生体流動解析 集積回路工学、計算機科学、 酸素濃度時空間制御3次元 磁性-誘電ナノ複相構造を用いた 次世代デバイス開発のため 培養系による細胞の低酸素 新規エナジーハーベスティング用 の 大 規 模 最 適 化 プ ラット 不揮発ベース動的再構成可能 応答の解明 アンテナの設計・開発 フォームの確立 論理集積回路とその人間的情 情報・システム 松本 伸之 助教 光計測、 量子機械光学 情報科学 情報・システム mgスケールの重たい懸架鏡 田﨑 創平 助教 を用いた巨視 的スケールに 26 おける量子力学の検証 応用数学、生物物理学、微生物学 報処理プロセッサへの応用 生命自己組織化動態の予測と 24 情報・システム 3 制御 鬼沢 直哉 助教 物質材料・エネルギー 集積回路工学、コンピュータハードウェア、 張 亦文 助教 ディペンダブルシステム 無機材料物性学、薄膜プロセス工学、 確率的情報処理に基づく高速・低 磁性薄膜 22 高周波軟磁性およびトンネル 型磁気抵抗効果を有するナノ 複相薄膜の創製 デバイス・テクノロジー 23 デバイス・テクノロジー 木野 久志 助教 山本 英明 助教 半導体工学 ナノバイオ工学 半導体工学と生体工学の双 半導体プロセスによるバイオ 方向的機能統合化による新 インターフェースの設計 電力ネットワークV L SIの実現に 関する研究、非同期式回路に基づ く高信頼 V L SIの実現、低電力連 想メモリの実現 機能デバイスの創成 37 4 物質材料・エネルギー 5 早瀬 元 助教 36 先端基礎科学 物質材料・エネルギー 35 三坂 孝志 助教 材料化学 34 航空工学、航空気象 モノリス 型 多 孔 体 の 合 成 6 手法(データ同化法)による 応用性の評価 井上 壮志 助教 荒木 康史 助教 実験計測と数値計算の融合 と表面・内部空間における 先端基礎科学 物質材料・エネルギー 高 感 度 光 学 磁 力計を用い 素粒子論との類推による、 た生体磁気計測システムの 非平衡材料学、材料プロセス学、 ディラック電子系での強 開発、及び基本的対称性の 粉末冶金学 相関効果・磁化ダイナミ 破れの研究 川村 広和 助教 鎌田 誠司 助教 原子核物理学 超高圧高温物質科学、 レーザー冷却技術を用いた 地球内部科学、放射光科学 原子核物理、 原子物理 理論物性物理学、固体物理学 山田 類 助教 航空技術研究 先端基礎科学 先端基礎科学 稀 少 同 位体 検出技 術の開 地 球 深 部 物 質の高温 高圧 発、レーザー冷却された放 下での物理 的 化 学的 研 究 射性フランシウム原子を用 および放射光を用いた物質 いた基本対称性の研究 化学的研究 クスの解明 微小球形金属ガラス粒子を FRIS 用いたマイクロ部品の創 製 及び金属ガラスの構造若返り の研究 PEOPLE 9 生命・環境 生命・環境 10 生命・環境 高 俊弘 助教 兒島 征司 助教 泉 正範 助教 医学・代謝疾患 微生物・植物生化学 植物生理学、細胞生物学 小 胞 体 ストレスと 臓 器 間 藍 色細菌と原 始葉 緑 体の 中山 勝文 准教授 葉 緑 体 オートファジ ー の ネットワークの制御による 外 膜 安 定化 機 構の解 明と 免疫学、貪食細胞学 制 御 による光 合 成 能 力の 代謝疾患治療の開発 進化的関連性の解析 8 7 生命・環境 貪食細胞の異物認識機構 維持と向上 39 38 生命・環境 齋藤 大介 助教 発生生物学、 生殖工学 鳥類トランスジェニック技 答機構 術 を 基 盤とした研 究 展 開 先端基礎科学 齋藤 望 助教 系及び近傍銀河の星間分子 星内部の形成・進化の解明、 の研究 有機合成化学 高温高圧発生技術を用いた 新規材料の開発 ラセン物質の機能開発 と領域融合的展開 42 先端基礎科学 41 14 生命・環境 15 生命・環境 下權谷 祐児 助教 大學 保一 助教 髙橋 佑磨 助教 生体流体力学 分子生物学、ゲノム情報科学 進化生態学 佐藤 達也 助教 脳動脈 瘤の血行力学的 DNA複製機能が突然変異 遺伝的多様 性の進化の 分子神経発生学 危険因子の同定 を引き起こすメカニズムの 生態的帰結 12 生命・環境 28 人間・社会 有松 唯 助教 考古学、中近東古代史 先端基礎科学 田中 幹人 助教 銀河考古学、 教育工学 44 先端基礎科学 當真 賢二 助教 杉本 周作 助教 ①すばる望遠鏡を用いた近傍 海洋物理学・大気力学 銀河の構造と形成史の研究 ブラックホールジェット 気候変動における海洋 ②理学教育を起点とした研究 の駆動機構の解明 の役割解明 体験型PBLの開発と実践 宇宙物理学 人 類 史における国家形成 プロセスの解明 解明 脳・神経細胞の形態形成の分子 赤外線・電波観測による銀河 高温高圧実験による地球・惑 化学合成を基盤とする と技術・リソース支援 生命・環境 天文学、 星間化学 地球惑星科学、高温高圧実験 11 先端基礎科学 下西 隆 助教 柴﨑 裕樹 助教 ナノ粒子に対する生体応 13 40 先端基礎科学 生 物 学 的 解 析、形 態 形 成 異常、 30 精神疾患関連遺伝子 29 人間・社会 瀧川 裕貴 助教 人間・社会 数理社会学 鹿野 理子 助教 社会的不平等の生成と維持、 心身医学 ストレス関連疾患 43 先端基礎科学 変 動メカニズムの数 理社 会 津村 耕司 助教 学的解明 赤外線天文学 赤外線面輝度観測を通 16 生命・環境 17 生命・環境 18 丹羽 伸介 助教 畠山 裕康 助教 藤村 維子 助教(兼URA) 細胞生物学 細胞生理学、ライブイメージング 細胞生物学、分子生物学 神経細胞の形づくりの仕組み 細 胞 内 分 子 動 態 に 基づく 未分化な生殖細胞における を 細 胞 骨 格 と分 子 モ ー ター 細胞機能計測 放 射 線 感 受 性に関 与する に着目して解析する した天文学と惑星科学 生命・環境 メカニズムの解明 32 33 人間・社会 45 先端基礎科学 矢島 秀伸 助教 野内 類 助教 藤岡 悠一郎 助教 心理学・脳科学・応用健康科学 地理学、アフリカ地域研究 中村 文子 助教 認知機能と精神的健康を 途 上 国における複 合 生 業 ションを用いた初期宇 国際関係論 向上させる原 理の解明と システム論の再構築 宙における天体形成の 人間の安 全 保 障と地 域 効果的な生 活 介入ツール ネットワーク形 成 ― 欧 州 の開発 31 人間・社会 と東 南アジアにおける人 13 人間・社会 身売買対策を事例として 天文学、 計算物理学 大 規模数値シミュレー 理論的研究
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