バ イ オ ビ ジ ネ ス 新 時 代 - 一般財団法人バイオインダストリー協会

新たな産業群の創出を目指して
バイオビジネス新時代
Activity Report 2015
Create the future
via bio-innovation
一般財団法人 バイオインダストリー協会
Mission
協会概要
バイオインダストリー発展のための基盤作りを行い、
変 遷 ■ 1942 年 設 立 の「 酒 精 協 会 」が 前 身。
財団法人発酵工業協会を経て1987年
より財団法人バイオインダストリー協会
(Japan Bioindustry Association :
JBA)と改称。
■ 2011 年 4 月に公益法人制度改革法に
基づき、一般財団法人バイオインダス
トリー協会として移行・登記。
会員■ 企業会員 214 社(医薬・医療、食品、
化学、化粧品、機械・機器)
■ 公共会員 103 組織
■ 個人会員 約 700 人(大学・企業研究者)
予 算 ■ 5.4 億円(2015 年)
役 員
人々のくらしの向上に貢献する。
人類共通の課題解決のために、日本の高いバイオ基礎研究の
成果をスピーディーに活用する施策が必要です。したがって、
成果の活用を促進するために、科学をベースとした規制の見直
しや産学政官の協同による戦略の推進など政策の提言が 1 つ
の重要な活動です。
また、地球規模の問題である 気候変動、生物多様性などに関
連する諸課題の解決を目指した世界各国のバイオ関連団体と
の協働体制も重要です。
サイエンスの発展は日々加速しており、産業化を促進するに
代表理事
会長
はオープンイノベーションが不可欠です。企業間連携および
清水 昌
産学連携の促進のために BioJapan を開催しています。
京都大学名誉教授
京都学園大学特任教授
JBA はこれらの活動に加え、バイオインダストリー発展の基
盤を整備することにより人々の暮らしの向上に貢献します。
代表理事
理事長
永山 治
3カ年計画(2014 〜 2017)
中外製薬㈱
代表取締役会長
到達目標(メッセージ)
バイオ産業の発展基盤・プラットホーム機能を強化し、
日本のバイオ産業の国際競争力向上に貢献する。
業務執行理事
専務理事
塚本芳昭
元東京工業大学教授
元四国経済産業局長
JBA Activity Report 2015
Mission
1
最近の topics
2
1 政策提言・政策対話
5
2 先端バイオ情報提供
6
3 オープンイノベーション推進
9
4 国際ネットワーク
11
5 発展基盤の整備
12
1
contents
©2015
Policy Proposal and Dialog
Science Agora for the Information
on Advanced Biotechnology
Open Innovation through Networking
International Network
Establishing the Infrastructure
of Bioindustry
1
政策提言、政策対話
4
2
先端バイオ情報提供
シーズ発掘・産業化
国際ネットワーク形成、
国際的枠組みつくり
5
3
オープンイノベーション
推進
バイオインダストリー
発展の基盤整備
5つの Action
最近の
topics
新研究会 活動開始
Activity Report
2015
企業メンバーのニーズに沿った新たな研究会を設立し、情報
の収集と発信に留まらず、政策提言やプロジェクト提案、コ
ンソーシアム設立等の目的を明確にし、スピード感を持って
活動しています。
ヘルスケア研究会の新設
機能性食品研究会の活発化
健康に対する社会的要請を背景に新設、相互連携を推進
食品の新たな機能性表示制度への積極的な提言と意見発信
少子高齢化、生活習慣病の増加等を背景に、社会的要請
として QOL の改善や医療コスト抑制の観点から、病気
になる以前の未病対策や健康の状態を保持するいわゆる
ヘルスケアの取り組みが重要になっています。
ヘルスケア事業を展開/志向している会員企業も多いこ
とから、会員相互の情報共有、共通課題への対応等を目
的として研究会を 2014 年度に設立しました。
研究会メンバーで講演会や討論会を充実させ、事業に近
い課題についてもピッチ(ショートプレゼンテーション)
を実施し、情報交換を進めました。仁賀建夫氏が「ヘル
スケア産業政策について」、また、梶原 将氏が、「東京
工業大学ライフ・エンジニアリング機構の紹介」と題し
て講演されました。また BioJapan2014 でオープンイ
ノベーションゾーンに出展し、企業間のマッチングを促
進しました。
機能性食品関連産業を興隆させるために、課題を整理し、
その解決のための論議を行い、行政への提案等を目的と
する新たな研究会を、2013 年に設立しました。食品・健
康食品に関する情報発信機能を高めるべく、(1)機能性
表示・規制等への「提言」、
(2)食品の 3 機能の科学的評価、
合理的な安全性証明等を目指すプロジェクトの「立案」、
(3)機能性食品関連産業の興隆・海外展開に向けた企業・
アカデミア・地域クラスター等の「連携」を柱として活動
を行っています(幹事会社・会員企業/団体(27 機関))。
■ 社会への意見・提言発信
食品の新機能性表示に関するガイドライン(2015 年 3
月公表)の内容を見据え、新機能性表示制度(2015 年 4
月 1 日スタート)に向けたセミナー、勉強会、会員相互
の意見交換による課題の共有と意見集約を集中的に行
い、意見発信、提言を行いました(下囲み)。 ●
パブコメへの意見発信「食品の新たな機能性表示制度
(2014-09-26)
に係る食品表示基準(案)」
●
日本バイオ産業人会議(JABEX)と連携し提言書「食品
の機能性表示制度に関する提言~国民の健康寿命の
湯元 昇会長(産総研)
仁賀建夫氏(経産省
ヘルスケア産業課)
梶原 将氏
(東工大ライフ・
エンジニアリング機構)
今後の 癒しの介護ロボット、病院を中心に街を再構築す
延伸と産業振興への貢献を目指して~」を内閣府大臣
官房審議官、内閣官房健康医療戦略室、農林水産省、
消費者庁に提出(2015 年4月まで)
活 動 るメディカルタウン、地域と大学が連携して行う
治療・介護サービスなど、具体的なヘルスケア事業につい
ての講演や情報収集を行いながら、メンバー同士の協業を
模索していきます。
オープンイノベーションゾーンへの出展
(ヘルスケア研究会・機能性食品研究会)
BioJapan2014 オープンイノベーションゾーンに共同
、ゾーン出展者および関連バイオクラ
出展し(12 件)
スターによる食品、
ヘルスケア分野のプレゼンテーショ
ン(44 件)を実施し、積極的な商談をすすめました。
BioJapan2015(2015-10-14~16)では、ヘルスケア、
機能性食品、診断、再生医療、バイオケミカル、植物
バイオ、環境等を対象に、さらに拡大して実施します。
2
最近の
topics
研究会では武田 猛氏が数回にわたり、新制度に関する最
新情報や ODS
(米国 NIH Office of Dietary Supplements)
様組織の必要性等について、山本(前田)万里氏は、エビ
デンスに基づいた機能性農林水産物やその加工品の開発
について講演されました。
阿部啓子会長
(東大名誉教授)
武田 猛氏
(グローバルニュートリ
ショングループ)
植物バイオ研究会の始動
植物の産業利用の可能性を再評価し、産業利用の促進を目指す
■ 設立の背景・研究会の目標
植物を利用する新しい生産技術の可能性とその実用化に
おける課題について、所属や専門性の壁を越えて議論し、
開発されるべき基盤技術や橋渡し技術等を選定し、課題の
突破に向け産官学が連携して取り組むことを目指して新
しい研究会を設立します。ご参加をお待ちしております。
特別会員、協賛会員、
一般会員、ベンチャー
会員、公共会員のほか
アカデミア(独法等も
含む)の方もお問い合
わせください。
山本
(前田)万里氏
(農研機構 食総研)
今後の 新機能性表示制度のもとで具体的な商品が上市
活 動 されつつある中で、新制度の課題・問題点を様々
な視点から方策も含めて議論し、意見発信します。安全
性を証明できる合理的な手段(基準)、先行者利益の確保
や、機能表示特許クレーム等についても検討を進めます。
また阿部氏がサブ・プログラムディレクターを務める
SIP(戦略的イノベーションプログラム)次世代農林水産
業創造技術「次世代農林水産物・食品の開発」とも密に
連携し、新素材開発に向けた新規プロジェクト立案など、
機能性食品関連産業を興隆させるための活動をさらに活
発化していきます。
会長 : 柴田大輔氏((公財)かずさ
DNA 研究所 バイオ共同研究開
発センター長 ) 名古屋議定書への対応
2010 年 10 月に名古屋市で開催された生物多様性条約
(CBD)の第 10 回締約国会議(COP10)で採択された、
「遺
伝資源へのアクセス及びその利用から生じる利益の公正
かつ衡平な配分に関する名古屋議定書」
(以下、名古屋議
定書)は、生物多様性の保全に関する取り決めではなく、
遺伝資源を提供する側と利用する側との利益配分に関す
る枠組みを定める、経済的な側面を持つ国際的な取り決
めです。この取り決めは COP10 で政治決着という形で
採択されたため、内容が曖昧であるだけでなく、多くの
問題点が残されています。この名古屋議定書が、2012
年 10 月に発効しましたが、我が国では、関係省庁間で
批准に向けた国内措置の検討が進んでいるものの、その
内容は公表されていません。
このような状況を受け、JBAでは、バイオ産業人会議
(JABEX)
をはじめとする産業界5団体との連名で、2014 年10 月
に、名古屋議定書に関する要請書をとりまとめ、外務大臣、
厚生労働大臣、経済産業大臣、環境大臣宛に提出しまし
た。要請書では、「名古屋」という日本の都市の名称が付
された議定書ではあるが、批准に向けた議論を行うにあ
たっては、拙速に走るべきではなく、是非、内容をひと
つひとつ丁寧に検討し、産業界との調整を十分に経た上
3
で結論を出すよう要請しています。
今後の JBA は、名古屋議定書が、円滑な遺伝資源の
活 動 利用を阻害することなく、遺伝資源の利用実態
に即し、実効性と費用対効果が高く、生物多様性条約の
目的の達成に貢献する仕組みとなるよう、今後も活動を
継続していきます。
名古屋議定書の CBD 事務局発行の冊子(左)
と JBA 日本語訳(右)
Activity Report
2015
バイオビジネスセミナー開始
首都圏バイオネットワーク活動の一環として 2013 年度
まで実施していた「製薬等企業トップセミナー」を受け継
ぎ、会員企業の幹部・キーパーソンから、研究開発・事
業戦略・コア技術・社外リソースの活用事例などの情報
を発信して他の会員と共有する場として、バイオビジネ
スセミナーを 2014 年より開始しました。
第7回
「花王 日用品バイオ戦略 ~サステナブル、シニア、
(2014-12-26)
グローバル~」
第 8 回「住友化学のライフサイエンス事業 ~食糧・健康・
環境を課題とした事業展開へ~(2015-01-19)
■ 実施内容(全 8 回)
第 1 回「富士フイルムの新ビジネスへ
(2014-02-06)
の挑戦」
第 2 回「三菱ケミカルホールディング
スが目指すヘルスケア&グ
リーン・アグリビジネス戦略」
より多くの会員企業のための有益な場としていきます。
今後の 2015 年度も業種や分野を越えたオープン・イ
活 動 ノベーションへの取り組みのきっかけとなり、
(2014-02-24)
第 3 回「東レの先端膜技術の創出とイノ
(2014-05-20)
ベーション戦略」
第 4 回「帝人
(TEIJIN)
の技術革新とグ
リーンケミストリー&ヘルス
(2014-08-07)
ケアの事業戦略」
第 5 回「第一三共のバイオロジクス戦
(2014-09-16)
略」
第 6 回「味の素のR&D -アミノ酸の世界
を中心として-」
(2014-11-19)
吉岡康弘氏(富士フイルム㈱)
によるセミナー
国際連携関連セミナー開始
公共会員の海外大使館・地域・州政府機関や海外バイオ
団体から、各国の最新のバイオ関連の話題や選り抜き情
報を発信し、法人会員への最新情報の提供、および会員
同士の交流の機会とする場として、2014 年度より国際
連携関連セミナーを開始しました。
第 6 回「オーストラリア・クィーンズランド州工科大学が
先駆するバイオマス研究のご紹介と国際的産学
(2015-03-27)
連携の可能性」
■ 実施内容(全 6 回)
第 1 回「サンディエゴ発 モバイルヘルス等、最近のバイオ
(2014-04-14)
産業の広がり」
第 2 回「Medicon Valley におけるライフサイエンスの現
(2014-06-30)
状」
第 3 回「ライフサイエンス分野
での欧州進出~英国
スコットランドが選択
肢となる訳-活用の
ヒントとポイント~」
後もセミナーを企画・提供していきます。
今後の 公共会員の駐日大使館・地域事務所・州政府機
活 動 関は 31 団体あり、それらの機関と連携し、今
(2014-07-14)
第 4 回「カナダのライフサイ
(2015-02-09)
エンス」
第5回
「スペイン・カタルーニャ
州の医薬・バイオ産業
(2015-02-23)
の概観」
スティーブン・ディバート氏
(カナダ外務・国際貿易省ライフ
サイエンス・プラクティス・リード )
クィーンズランド州セミナー
4
1
Action
Policy Proposal and Dialog
政策提言・政策対話
JBA は会員企業、大学、政府と協力して
バイオに関する政策提言 ・ 政策対話を行っています。
日本バイオ産業人会議(JABEX、荒蒔康一郎世話人代表)と連携し、バイオテ
クノロジーやバイオ産業の健全な発展に向けて、様々な政策に関する提言と対
話を実施しています。
政策提言
名古屋議定書に関して、自民党細田博之幹事長代行(ライ
フサイエンス推進議員連盟会長)
、岸田文雄外務大臣(同幹
事長)
、望月義夫環境大臣を訪問し産業界の意見を述べまし
た。第五期科学技術基本計画、バイオベンチャー、食品の機
能性表示等に関して、内閣官房、内閣府他に提言しました。
自民党細田幹事長代行(左)と荒蒔代表(右)
岸田外務大臣(左)
政策対話
内閣官房健康 ・ 医療戦略室「ゲノム医療実現推進協議会」
の構成員に我妻利紀運営会議委員が就任し「創薬におけ
るヒト生体試料の利用促進」に関して意見を述べました。
意見表明
国家戦略特区、食品表示基準、食品の新たな機能性表示制
度などに関して意見を発信しました。グレーゾーン解消制
度、企業実証特例制度の会員の活用をサポートしました。
政策情報セミナー
政策を立案し推進する省庁担当者による政策情報セミナー
を継続的に開催しています。
●
「革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)
(2014-06-11)
について」
(文部科学省)
●
「遺伝子検査ビジネスに関する施策について」
(2014-06-12)
(経済産業省)
5
望月環境大臣(右から 2 人目)
●
「科学技術イノベーション総合戦略
2014 について」
(2014-09-02)
(内閣府)
●
「先駆けパッケージ戦略について~世界に先駆けた革新的医
(2014-09-26)
薬品等の実用化を目指して~」
(厚生労働省)
●
「社会保障財政の健全化と医薬品産業の発展に向けて」
(2015-01-09)
(経済産業省)
●
「海外医薬品マーケット動向について ―政策との関連か
(2015-03-12)
ら見た現状と課題―」
(厚生労働省)
政策情報セミナー
2
Action
Science Agora for the Information on Advanced Biotechnology
Activity Report
2015
先端バイオ情報提供
JBA は会員企業、大学、政府と協力し、
バイオ技術と産業の新しい技術情報の提供、シーズ発掘、産業化に取り組んでいます。
国内外におけるバイオ最先端技術情報の収集、最新開発動向の調査、新規産業につながる技術シーズの
発掘を目的に、講演会、セミナー等を通して、会員内での情報の共有化と外部への発信を行っています。
さらに、産官学の協力の下に展開すべきプロジェクトコンセプトの提案を視野に入れた活動を行っています。
講演会・セミナーの拡充
2014 年度 セミナー実績
2014 年度は勉強会、セミナー、講演会、シンポジウム、見学会を 71 回
開催し、総計 5,737 名が参加しました。医薬、医療、環境・ものづくり、
ヘルスケア分野に加え、植物バイオ分野も取り上げました。ニッチ・複
合領域を対象とするほか、最先端科学を支える基盤技術とバイオを組み
合わせ、新ビジネス創出につなげます。新たな産業技術へのソリュー
ションを提案するような企画、海外の技術情報も取り上げました。
先端情報発信セミナーのキーワード
最先端のテーマとトップランナー講師
流会が定着し、講演者の前には、毎回長蛇の列ができます。
交流会で広がる、新しいビジネスの可能性
イベント終了後はホームページにおいて迅速に開催報告
を行い、会員限定で講演スライドを公開しています。
さらに法人会員には動画配信サービスを充実させまし
た。合計 36 セミナー、85 講演を配信し、のべ 182 名から
461 セミナー、1,110 講演の動画について、視聴の申し込
みがありました(2014 年度実績)。
法人会員向けのセミナーも充実させ、生の情報をお届けし
ています。法人会員からの提案セミナーも定着しました。
会員を対象としたアンケート結果を参考に JBA 講演会
にふさわしいテーマを選定しました。法人会員からの企
画提案セミナーも積極的に開催し、異分野/異業種との
融合や、新ビジネス創出を狙い、脳科学、宇宙創薬、プ
ラズマなどのテーマも取り上げました。
セミナー開催の重要な目的である、ビジネス・市場創出、
政策提言、マッチングにつながるよう、参加者相互のネッ
トワーク形成に努めています。講演後の名刺交換会や交
充実した会員特典
6
先端バイオ情報提供
セミナー講師
2
Science Agora for the Information on Advanced Biotechnology
「外科学の新展開-心筋再
生治療-」
「我が国の科学技術政策と化
学産業のイノベーション戦略」
「 特殊ペプチド創薬プラット
フォームの開発と今後の展望」
「再生医療向け培養細胞の画像
を用いた品質管理技術と培養
技術標準化への可能性」
加藤竜司氏 名古屋大学大学院
創薬科学研究科
「テキスタイル素材の生体イン
ターフェースへの応用と展望:
着るだけで生体情報の連続計測
を可能とする機能素材 “hitoe”」
竹田恵司氏 東レ㈱
「光トポグラフィの原理と
脳科学応用事例」
「物質生産・環境問題とネッ
トワーク解析-バイオディー
ゼル産生経路の推定-」
油谷幸代氏 (独)産業技術総合
研究所ゲノム情報研究センター
「PROESATM: breakthrough
technology for production
of advanced biofuel from
cellulosic biomass」
澤 芳樹氏 大阪大学大学院
医学系研究科
橋本和仁氏 東京大学大学院
牧 敦氏 ㈱日立製作所
菅 裕明氏 東京大学大学院
理学系研究科
Mr. Pierluigi Picciotti
Beta Renewables S.p.A.,Italy
バイオ医薬品製造に関する大型シンポジウムの実施
バイオエンジニアリング研究会が主催して、大型シンポ
ジウム「バイオ医薬品製造における新展開」を開催しまし
た。バイオ医薬品の製造工程モニタリングやリアルタイ
ム出荷に関して、可能性と課題を議論するとともに、実
機の展示を行い理解を深めました。
現地見学会等の開催
静岡がんセンター、アサ
ヒビール 神奈川工場等へ
の見学会を開催し、現場
の情報を入手しました。
陽子線治療の回転ガント
リー照射室 (静岡がんセ
ンター・ファルマバレー
プロジェクト現地視察会)
2,000L シングルユース
培養槽(日本全薬工業)
グリーン分野の連携と活動強化
アサヒビール 神奈川工場見学
「低炭素社会の構築への貢献」に根ざした講演、
ビール製造工程や環境保全の取り組み等の見
学、交流を行いました
のリサイクルを含めた要素を俯瞰し、各研究会の強みを
グリーンバイオ系 3 研究会(発酵と代謝研究会、アルコー
活かしたグリーンバイオ再生のシナリオを作り上げ、ナ
ル・バイオマス研究会、新資源生物変換研究会)では、こ
ショナルプロジェクト提案を視野に入れた活動を推進し
の分野の体制、取り組み強化を目指して、連携を深めま
ています。
した。2014 年度は
「藻類」
を共通テーマとして、
セミナー、
BioJapan における講演会、
見学会を企画しました。12
月 12 日には、3 研究会合
同シンポジウム「藻類に託
されるグリーンビジネス成
長戦略のゆくえ」を開催し
ました。バイオマス原材料
発酵と代謝研究会
アルコール・バイオマス研究会
新資源生物変換研究会
モデレーター
鮫島正浩会長(東大院)
小川 順会長(京大院)
石井正治会長(東大院)
岡田 茂氏(東大院)
から、変換、製品化、原材料
7
Activity Report
2015
研究開発プロジェクト
バイオ産業の発展基盤・プラットフォーム技術を強化し、日本のバイオ産業の国際競争力向上に貢献するため、4 つの
研究開発プロジェクト、調査研究を受託しています。
■ バイオマスエネルギー技術研究開発/バイオ燃料製造の有用要素技術開発事業 NEDO 2013-2016 年度
2020 年に商用スケールでの実用化に適応可能な技術開発「バイオ燃料製造の有用要素技術開発事業」の中で採択され
た下記 2 課題について、研究開発プロジェクトを実施している。
①「バイオ燃料事業化に向けた革新的糖化酵素工業生産菌の創製と糖化酵素の生産技術開発」
糖化酵素の高機能化を目的に、成分酵素の活性強化、糖化率の低下の克服を目的とした検討を進めている。最適糖化
酵素組成について、多様な基質バイオマスの相関関係を見いだした。また、糖化酵素の安価な大量生産技術開発を目
的として、ミニジャーファーメンターでの種々の生産条件の検討を行い、製造原価試算、製造設備の規模と建設費を
算出し、経済性の面からの解析を行った。
②「有用微生物を用いた発酵生産技術の研究開発」
数㎥以上のパイロットスケールでエタノール生産濃度 5 w/v% 以上、エタノール発酵収率 95 % 以上を達成し、商用
機レベルに資する技術を確立するため、1)C5/C6 糖同時発酵微生物の開発、2)同時糖化並行複発酵プロセスの開発、
3)プロセスデザインパッケージの検討を行ってきた。また、標準基質標品の作成、酵母の性能のために酵素量、植菌
量、通気量等の標準評価系を定め、育種してきた最優良株の選定を行った。
■ 革新的バイオマテリアル実現のための高機能化ゲノムデザイン技術開発 ―革新的バイオマテリアルの市場性・競合技術
の世界動向調査― 経済産業省 2013-2016 年度/高機能遺伝子デザイン技術研究組合(受託事業)
画期的なバイオマテリアル製造技術の創成を目的とし、これまで継続的に調査を進めている「合成生物学」
「革新的バ
イオマテリアル」に加え、米国国防省の「生物工場からの 1000 分子プロジェクト」計画について詳細に調査した。さ
らに、当プロジェクトの「長鎖 DNA 合成技術」から生まれた分析機器についての市場性調査を担当した。
〈海外調査訪問先〉 ① 米国合成生物学研究関連施設
Zymergen 社、Joint BioEnergy Institute(JBEI)、J. Craig Venter Institute(JCVI)、
Synthetic Genomics Inc.(SGI)
、Broad Institute of MIT and Harvard、Harvard University、
Illinois University
② 11th Annual World Congress on Biotechnology 国際会議/Philadelphia
③ Natural Product 国際会議 /SanDiego
■ 再生医療の産業化に向けた細胞製造・加工システムの開発/ヒト多能性幹細胞由来の再生医療製品製造システムの開発
(心筋・神経・網膜色素上皮・肝細胞)、ヒト間葉系幹細胞由来の再生医療製品製造システムの開発 NEDO 2014-2018 年度/幹細胞評価基盤技術研究組合(研究分担)
再生医療製品製造システムの装置及び基盤技術に関する限定的 SWOT 分析及びクロス SWOT 分析を実施し、国内の
産業化動向及び経済産業省の再生医療周辺産業の現状に関する SWOT 分析に準拠するクロス SWOT 分析と組み合わ
せて、再生医療ビジネス市場の新規獲得に向けての戦略オプション(事業機会)
(案)を導出した。さらに、再生医療及
びヒト幹細胞技術の臨床応用基礎、実用化及び産業化を巡る国内外の最新の動向調査を行い、再生医療製品製造シス
テムの世界市場獲得戦略(骨子案)を策定した。また、再生医療における “ コトづくり(産業化)”のキャッチフレーズ(案)
を作成した。
■「個別化医療に向けた次世代医薬品創出基盤技術開発(国際基準に適合した次世代抗体医薬品等の製造技術)」事業 ―次世代バイオ医薬品生産技術・知的財産に関する動向調査―
経済産業省 2013-2017 年度/次世代バイオ医薬品製造技術研究組合(MAB)
(研究分担)
バイオ医薬品製造技術については、欧米が大きく先行し、当事業における製造技術開発に障壁となりそうな知財を調
査し、先行知財の影響力等の脅威に関する解析を継続して行った。既存のバイオ医薬品製造ラインは、シングルユー
ス技術により製造ラインの規格化、標準化が進んでおり、制定された複数のガイドラインや規制は、障壁となること
が懸念される。そこで、国内外の最先端の動きを、知的財産と学会情報、論文情報、インターネットに掲載されてい
る企業情報等から捕捉し、今後の本プロジェクトにおける戦略的取り組みへ情報提供を行うための調査を進めている。
知財面では、昨年度から調査収集してきた資料を解析し、取りまとめを進めた。生産細胞発現系、細胞培養条件をよ
くするための遺伝子改変、ベクター、タンパク質高発現を目指した遺伝子改変技術、生産細胞スクリーニング系に着
目した整理を行い、さらに生産培養方法について解析を進めた。抗体全般に係る情報、新規構造改変抗体、作用機作
等の薬効に関する情報、抗体スクリーニング関連情報、ゲノム編集等に分類し、論文を中心とした情報を収集した。
抗体関係の情報量が圧倒的に多い国際学会・展示会に参加し、最新情報の入手を行い、細胞、培養法、精製法、シン
グルユースなどの製造法ならびに技術開発を主眼として取りまとめた。
8
3 オープンイノベーション推進
Action
Open Innovation through Networking
JBA はバイオ技術と産業の発展に寄与する連携の場を提供しています。
アライアンスの機会創出・促進など、ビジネス基盤の構築に有効な手段としてバイオパートナリ
ングイベント= BioJapan を開催しています。また、全国バイオ関係者会議を通してバイオクラ
スターのハブ拠点として機能することで、バイオ団体間のネットワークを形成し、その相互協力
によりバイオベンチャーの発展を支援しています。
BioJapan
食 品
バイオテクノロジーを軸に様々な分野の企業、アカデミア等が参加して、
オープンイノベーションを実現しています。
環境・エネルギー
診断・医療機器
ヘルスケア
研究ツール
医薬・医療
オープンイノベーション実現の場
● 共同研究 ● 技術導入・導出 ● 技術提携 ● 事業提携
● 融合領域のイノベーション創出
バイオベンチャー支援&バイオ関係者連携
全国のバイオ団体・クラスター等とのこれまでのネットワーク
を軸に、情報交換や協働活動を通じて産学官および企業間の
交流・連携を積極的に推進し、バイオベンチャーの支援・育成
を目指した各種事業を実施しています。
全国バイオ関係者会議を通してバイオクラスターのハブ拠
点として機能することで、産学官の協力機関のネットワーク
を形成し、全国規模での協働によりバイオベンチャーの活性
化を目指しています。近年では海外の有力なバイオ団体との
相互の交流活動を強化し、会員企業、大学、政府と協力して
バイオ技術と産業の発展に寄与する連携の場の醸成を行っ
ています。
(一財)四国産業・技術振興
(NPO)北海道バイオ産業
振興協会(HOBIA)
(公財)北海道科学技術総
合振興センター
(ノーステック財団)
(一社)北海道バイオ工業会
(公財)千里ライフサイエンス
振興財団
(公財)先端医療振興財団
(公財)木原記念横浜生命
科学振興財団
センター(STEP)
(公財)静岡県産業振興財団
㈱久留米リサーチ・パーク
ファルマバレーセンター
(NPO)近畿バイオインダストリー
(公財)沖縄県産業振興公社
振興会議
(公財)くまもと産業支援財団
(拠点:九州地域バイオクラスター
推進協議会)
9
大阪バイオ ・ ヘッドクオーター
(拠点:大阪府商工労働部)
Activity Report
全国バイオ関係者会議
2015
各地域の主要な産学官連携バイオ団体が、ネットワーク強化、情報の共有化および
今後の方針を検討し、協力し合える体制を作っています。
バイオクラスターサミット
~国際連携の強化~ in BioJapan2014
………………………………………………………………………………
日本、タイ、ニュージーランド、アメリカ、フランス、
ドイツ、スコットランド、スペインからバイオ団体が集
結し、クラスター政策がビジネス創りに繋がった具
体例や人材育成の現状について、議論を深めました。
幹事会 「国内、国外との連携」
(2015-01-14)
………………………………………………………………………………
各地域の抱えている問題とその解決策に繋がる今後
の課題、産官学連携の状況や課題、海外クラスターと
の提携・協力活動状況、国への提言等について意見交
換しました。
バイオベンチャーのアライアンス形成支援
バ イ オ ベ ン チ ャ ー の ア ラ イ ア ン ス 形 成 を 支 援 す る 活 動 を 行 っ て い ま す。
BioJapan2014 においてバイオベンチャー専用のパビリオン「JBA BIOTECH
SQUARE」を運営してパートナリング活動を支援し、コーディネーターがバイ
オベンチャーの事業開発に一歩踏み込んで大手中堅企業とのマッチングを促
す事業を実施しました。
バイオベンチャーダイレクトリーの整備
オープンイノベーションに伴い、注目度の高まる全国のバイオベンチャーの基
本情報を全国のバイオ団体と協力し、インターネット上に集約して公開するこ
とで、国内外の企業・クラスター間のアライアンスを加速します。
バイオベンチャーダイレクトリーを活用したオープン・イノベーションの実現
「JBA BIOTECH SQUARE」
ベンチャーダイレクトリー
イメージ
事業/実用化
バイオベンチャー統計
2014 年度も国内バイオベンチャーに対して統計調
査を実施しました。統計調査のほか、独自にバイオ
ベンチャーと大手・中堅企業の共同研究、ライセン
ス契約などの動向についても継続的な調査を行っ
ています。その結果は「2014 年バイオベンチャー
統計・動向調査報告書」として頒布しています(概要
版は HP に掲載)
。バイオベンチャーを取り巻く動
向として、バイオベンチャーと大手・中堅企業の
共同研究、ライセンス、契約件数は安定しており、
マイルストーンを受領などの実績は増加傾向にあ
ります。本調査の一部は、一橋大学との共同研究の
成果として一橋大学イノベーション研究センターの
HP に掲載されました(
「バイオスタートアップの新
規株式公開と資金調達」
)
。
バイオベンチャー数 推移
「2014 年バイオベンチャー統計・動向調査報告書」
(JBA)より
10
4
Action
International Network
国際ネットワーク
JBA は会員企業、大学、政府と協力して
バイオ技術と産業発展のための国際情報を提供しています。
国際活動として、会員向けに海外バイオ関連情報やバイオイベントを、海外向けに日本のバイ
オ産業についての情報や国際的課題に対する日本のバイオ団体としての意見を発信しています。
また、海外のバイオ団体と連携し、BioJapan への参加を通じた会員との交流を促進しています。
会員企業の意向を汲みながら、個人や一企業では達成し難いネットワークを構築しています。
海外バイオ情報の収集・提供および文書による協定
★ … JBA 会員(31 機関 2015 年 4 月時点) ★ … 文書による協定を結んでいる海外バイオ団体(2015 年 4 月時点)
★
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★
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アイルランド ★ イギリス ★ エストニア オランダ ★ オーストリア ★ スウェーデン
スペイン ★ スペイン・カタルーニャ州
チェコ ★ デンマーク ★ ドイツ ★ フランス
リトアニア ★ スコットランド ベルギーフランダース地域 ★ ベルギーワロン地域
デンマーク・スウェーデン:メディコンバレーアライアンス
ヨーロッパ
★ Russian Biotechnology Society(2009 ~) ★ CLIB2021(ライン川地区バイオクラスター)Cluster
Bioindustllie Biotechnologi(2009 ~)
★ ドイツ化学工業会/DECHEMA(2010 ~)
★ SwedenBIO(2013 ~)
★ Medicon Valley Alliance(Denmark/Sweden)(2012 ~)
★ Life Science Austria(2013 ~)
(2014 ~)
★ Eurasante(France)
(2014 ~)
★ Alsace Biovalley(France)
★ Swiss Biotech Association(2005 ~)
カナダ
★ カナダ ★ アルバータ州 ★ オンタリオ州 ★ ケベック州
★ ブリティッシュコロンビア州
アジア
マレーシア
上海市生物医薬産業協会(2005 ~)
KoreaBIO(2012 ~)
Medical and Pharmaceutical
Commercial Association,
All-China Federation of Industry
and Commerce(2012 ~)
★ Taiwan Bio Industry Organization
(2012 ~)
(Taiwan)
★
★
★
★
オセアニア
★
★
★
★
米 国
オーストラリア
★ アメリカ ★アイオワ州 ★ ジョージア州
クィーンズランド州
★ ノースカロライナ州 ★ ペンシルベニア州
ビクトリア州
★ BIO(2004 ~) ★ Biocom(2014 ~)
AusBiotech(2013 ~)
オープンイノベーションのための 2014 年度国際活動
■
■
■
■
■
米国・サンディエゴ BIO International Convention 2014 参加(6 月)
台湾・台北 日台バイオ関連技術商談会・BioTaiwan2014、交流協会との連携(7 月)
米国・ボストン BIOPharm America2014 参加(9月)
ドイツ・フランクフルト BIO-Europe2014 参加(11 月)
米国・サンフランシスコ BIOTECH SHOWCASE 2015
参加(1 月)
■ 米国・サンディエゴ Biocom’s Global Life Science
Partnering Conference 参加(2 月)
■ フランス・パリ BIO-Europe Spring2015 参加(3 月)
■ 日本・東京 BIOAsia2015 参加(3 月)
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(上)BIOCOM と MOU 交換(BIO SanDiego)
(左)海外クラスターとの面談(BioJapan2014)
5
Action
Establishing the Infrastructure of Bioindustry
Activity Report
2015
発展基盤の整備
JBA は会員企業、大学、政府と協力して
バイオ技術と産業の発展の基盤整備に取り組んでいます。
食品分野や環境分野におけるバイオインダストリーの様々な法的規制の策定過程や運用に関して情
報を収集すると共に説明会の開催、産業界としての意見収集、意見具申等を行っています。
また、研究組合運営による研究国家プロジェクトの推進、明日を託す若い力の育成、研究奨励など
バイオインダストリー発展の様々な基盤整備を行っています。
科学技術と法規制
「カルタヘナ法の運用に関する説明会」の開催
文部科学省、厚生労働省、経済産業省及び(独)製品評価技術基盤機構
(NITE)から派遣された講師陣により、研究開発から産業利用まで幅広
い領域にわたり、カルタヘナ法の運用概要や大臣確認申請プロセスの
簡便化と迅速化に向けた改善の内容などが説明されました。また、説
(東京 2015-01-21、
明会の後、講師陣による個別相談会も実施しました。
大阪 2015-01-27)
説明会(東京会場)
カルタヘナ法の運用改善に向けての活動
承認申請の簡便化などカルタヘナ法の運用改善に向けて、会員からの
要望を集約し監督官庁との意見交換や折衝を行っています。これらの
活動は経産省の大臣確認申請マニュアル等の改訂(2014-09-26)や厚労
省の GILSP リストの大幅改定(4 月現在パブコメ中)等に反映されま
した。
COP/MOP(生物多様性条約およびカルタヘナ議定書の
締約国会議)での国際交渉に対する日本政府の支援
2014 年 10 月に韓国の平昌で開催された COP-MOP7(カルタヘナ議
定書締約国会議)および COP12(生物多様性条約締約国会議)に日本
政府の科学専門家として参加し、COP-MOP7 での遺伝子組換え生物
のガイドライン改定に関する議論及び新議題候補となった合成生物学
の専門的知見からの助言を行いました。
COP-MOP7(平昌・韓国)
サイエンスコミュニケーション
「バイオが貢献して拓く未来社会」の連載
バイオによる未来社会のビジョン(技術、生活、産業の発展トレンド)
を多面的に発信するツールとして、それぞれの分野をリードする専門
家により、10 回のシリーズとして B&I 誌に連載中です。
なお、別刷りをご希望の方は JBA ホームページ(活動 →発展基盤の整備 →サ
イエンスコミュニケーション)よりお申し込みください。
⑧ 植物の品種改良技術の最近の進歩と将来展望 筑波大学生命科学系 江面 浩氏
⑨「健幸」社会の実現に向けて-産業・技術およびサービスの姿-
産業技術総合研究所 湯元 昇氏・大家利彦氏
(他 7 編「B&I」掲載済)
別刷り
12
5
Establishing the Infrastructure of Bioindustry
発展基盤の整備
産業上注視するべき技術情報の発信
新たに登場した技術領域である NBT(New Breeding Techniques)や
合成生物学は、基礎的研究のみならず商業生産にまで大きな影響を及
ぼすものとして、その技術開発動向と規制動向の両面から継続的に注
視していく必要があります。会員に最新かつ正確な情報を提供し、会
員がこれらの技術の活用や的確な規制対応を行えるように、セミナー
などにより情報の発信を行っています。
田部井 豊氏
セミナー
(2014-08-29)
① 新しい育種技術(NBT)の概要と研究開発の現状」
(独)農業生物資源研究所 田部井 豊氏
迅速高効率で後代世代に遺伝子操作の痕跡を残さない育種法として注
目されている本技術について、その可能性や安全性、規制のあり方等
の課題について講演された。
② 合成生物学セミナー「最近の科学技術動向と合成生物学を取り
巻く課題について」(2015-03-05)
東京工業大学大学院総合理工学研究科・地球生命研究所 木賀大介氏
慶応義塾大学先端生命科学研究所 柘植謙爾氏
茨城大学農学部地域環境科学科 立川雅司氏
近年、技術の進展が目覚ましい合成生物学に関して、日本を代表する 2
名の専門家から、人工遺伝子回路と合成代謝工学の 2 つの分野での最近
の動向について講演された。また、この分野に対する各国の規制の動き
に関して社会経済学的な立場から講演された。
木賀大介氏
柘植謙爾氏
立川雅司氏
知的財産権
“ 産学連携と知的財産権 ” および “ 食品用途 ” に関するワーキンググループ活動を通じて、国内のベンチャー企業の知的
財産権確保の課題ならびに機能性食品素材の知的財産権確保の問題点を抽出し、会員企業へのヒアリングやアンケート
を通じて、各課題の解決に向けた検討を行いました。また昨年米国最高裁判決に伴う、“ 自然の法則 ” 等に関する米国特
許庁のガイダンス文書に関して、7 月及び 3 月の 2 回に分けて、他団体とともに意見書を提出しました。
産学交流・連携
企業若手向け研修: 「JBA バイオリーダーズ研修2014」
2014 年 9 月 2 日~ 4 日に幕張セミナーハウス(千葉)において研修生
30 名(男 23 名、女 7 名、平均年齢 31 歳)を対象に開催しました。科
学技術振興協会より提供された4つのテーマ、計6件の特許出願案件
を技術シーズとして用い、研修生はグループワークを通して技術シー
ズから事業計画を作成するという体験をしました。21 社の多様な企
業が研修生を派遣してくださり、異業種交流としても大変充実した場
となりました。
大学院生向け研修: BioJapn における
短期インターンシップ
多くのバイオ産業が一堂に集う BioJapan の機会を活用し、大学院生
がバイオ産業の実情を学び、自らがそこで働く姿をイメージしやすく
することを目指した短期インターンシップを実施しました。ここでは、
講義や討論会に加え、セミナー運営やマッチングイベントへの同席等、
ビジネスの一端に触れる実習が行われました。
討論会
13
グループワーク
Activity Report
2015
海外遺伝資源へのアクセスと利益配分
遺伝資源へのアクセスと利益配分(ABS)の啓発
全国主要都市で開催するオープンセミナーや、企業・大学・研究機関
等からの依頼に応じて行う個別セミナー(出前セミナー)で、海外遺
伝資源を利用する際の留意点を説明する等、遺伝資源へのアクセスと
利益配分(ABS)の啓発に努めています。また、啓発のためのツール
として、名古屋議定書の日本語訳や「遺伝資源へのアクセス手引」を
作成し、好評を得ています。
海外遺伝資源へのアクセスに関する相談窓口
ABS オープンセミナーの様子
海外遺伝資源へのアクセスに関する相談窓口を設け、守秘の下、無
償で、企業・大学・研究機関等からの個別の相談に応じています。
2014 年度の相談件数は 34 件で、2005 年の窓口開設からの累計相
談件数は約 510 件に上りました。
ABS に関する国際交渉の支援
ABS に関する国際会議に参加し、我が国政府の国際交渉を支援し
ています。2014 年度には、名古屋議定書の発効を受け、10 月に韓
国の平昌で開催された名古屋議定書の締約国会議第1 回会合(COPMOP1)に参加しました。
「遺伝資源へのアクセス手引
(第 2 版)
(
」左)とその英語版(右)
研究奨励
バイオインダストリーの発展に貢献する科学および社会・人文科学
分野の優れた研究を奨励しています。
バイオインダストリー協会賞
2014 年度受賞者
表題論文
水口裕之 氏
ヒト iPS 細胞から肝細胞への高効率分化誘導法
の開発とその実用化に関する研究
(大阪大学)
発酵と代謝研究奨励賞
2014 年度受賞者
表題論文
岸野重信 氏
腸内細菌に特異な脂肪酸代謝を活用する機能
性脂肪酸の開発
栗原 新 氏
ポリアミンの新規代謝・輸送経路の発見とその
ヒト健康への展開
志水元亨 氏
細胞内レドックス変化に応答した糸状菌代謝の
エピジェネティック制御機構
(京都大学)
(石川県立大学)
(名城大学)
化学・生物素材研究開発奨励賞
2014 年度受賞者
表題論文
池田 将 氏
バイオ応用を目指した刺激に応答するナノ繊維
からなるヒドロゲルの開発
野中 洋 氏
超高感度核磁気共鳴プローブ分子群の開発を
可能にする分子素材の開発
福田淳二 氏
電気化学的な細胞脱離のための両性イオンオ
リゴペプチドの創製と再生医療への応用
(岐阜大学)
(九州大学)
(横浜国立大学)
(所属は受賞時)
左より大石 JBA 会長、バイオインダストリー協会賞受賞者 水口氏、
長田裕之選考委員長
左より大石 JBA 会長、発酵と代謝研究奨励賞受賞者 岸野氏・
栗原氏・志水氏、小川 順選考委員長
左より大石 JBA 会長、化学・生物素材研究開発奨励賞受賞者
池田氏・野中氏・福田氏、長棟輝行選考委員長
14
access
JBA へのアクセス…………………………
地下鉄日比谷線「八丁堀駅」下車
A-4 番出口築地方向すぐ
グランデビル
8階
鍛冶橋通り
至 築地
homepage
JBA ホームページのご紹介……………… http://www.jba.or.jp/
privilege
バイオイノベーションを促進する JBA セミナー、
動画配信、バイオ学園等々の様々なコンテンツを
用意しておりますので、ご活用ください。
学園長
1
(B&I)の購読
法人会員の特典…………………………… 機関誌「バイオサイエンスとインダストリー」
(隔月刊)を無料で
・本財団の機関誌、
「バイオサイエンスとインダストリー」
(B&I)
購読できます。
・本財団のその他の刊行物を割引価格で購入できます。
2
本財団の理事会、部会、委員会、研究会等への参画
本財団の理事会または部会、委員会、研究会等のメンバーとなり本財団の運営
や活動に対して意見を述べることができます。
(所属する会員区分により違いがあります)
3
政策提言等への参画
本財団が運営する委員会や研究会等に参画し政府の科学技術政策や国・自治体
による規制等について討議・検討し、意見を述べることができます。
4
本財団が主催する催しへの参加
「バイオサイエンスとインダストリー」
(B&I)はバイオサイエンス分野に関
する最新かつ高度な学術記事および
国内外のバイオ関係産業・行政の動
向等を会員向けにわかりやすく解説
した隔月発行の機関誌です。
・本財団が主催する講演会、セミナー、研修会、相談会、交流会等の催しに、無料
または割引価格で参加し最新の研究開発や行政等の情報をいち早く入手できます。
・本財団のホームページの会員限定資料にアクセスし、上記の情報をはじめとし
て本財団の活動内容を自由に閲覧できます。
5
国の研究開発事業等に対する企画提案への参画
本財団が運営する委員会や研究会等に参画し、政府の研究開発事業や調査研究
事業等を立案し、関係府省庁に企画提案することができます。
6
セミナー動画配信の利用
最新情報の宝庫である JBA の一部の講演会を、パソコン画面で視聴できます。
Association of the member, by the member, for the member
(一財)バイオインダストリー協会
〒 104-0032 東京都中央区八丁堀 2-26-9 グランデビル 8 階
TEL 03-5541-2731 FAX 03-5541-2737
ホームページ http://www.jba.or.jp/