ハンドボール競技における身体的負荷がシュートパフォーマンスに及ぼす

ハンドボール競技における身体的負荷がシュートパフォーマンスに及ぼす影響 氏 名 池田 憂輝(201111794、ハンドボール方法論) 指導教員:會田 宏、藤本 元、山田 永子 キーワード:身体的負荷、シュートパフォーマンス
【目的】 ハンドボール競技は、60 分間のゲームの中で無酸
素的な高強度の体力要素が要求される球技である。
ゲーム後半の疲労した中でもシュートのパフォーマ
ンスを高いレベルで発揮することが選手に求められ
る。本研究では、試合と同じような身体的負荷条件
下でシュートを打たせ、そのスピードとコントロー
ルを測定し、シュートパフォーマンスと身体的負荷
との関係について明らかにする。 【方法】 被験者には筑波大学男子ハンドボール部に所属す
る 17 名を用いた。実験は筑波大学ハンドボールコー
トで行った。ハンドボールのゲームと同様の身体的
負荷をかけるために次の運動を全力で行わせた。 ①24m 方向転換走 ②メディシンボールを頭上に挙げての 30m 走 ③シュート 3 つの運動の組み合わせを 1 セット(1 分 15 秒の
インターバル)とし、これを合計 8 セット行った。 測定項目は、方向転換走タイム、投球スピード、
シュートコントロールであった。シュートのコント
ロールは的(約 30cm)をストレートに通過した場合
を 2 点、かすって通過した場合を 1 点、通過しなか
った場合を 0 点として得点化した。 測定結果を、非レギュラー群とレギュラー群との
間で比較するために、対応のない t 検定を行った。
統計的有意の判定は、危険率 5%未満とした。 【結果と考察】 シュートの初速度は、非レギュラー群は、1 球目
から 2 球目までは球速が緩やかに下降し、4 球目ま
では定常状態となり、6 球目にかけて 4km 近く球速
が上昇し、それ以降は緩やかに下降した(図1)。レ
ギュラー群は、2 球目から 3 球目にかけて 4km 以上
下降し、6 球目にかけて緩やかに上昇した。それ以
降再び緩やかに下降した。5、6、7 球目を除くすべ
ての投球においてレギュラー群が非レギュラー群よ
り有意に高い値を示した。シュートの終速度は、非
レギュラー群は、1 球目から 4 球目にかけて球速が
緩やかに下降し、5 球目再び 3km 近く上昇したがそ
れ以降、緩やかに下降した。レギュラー群は、2 球
目から 3 球目にかけて球速が 4km 近く下降し、4 球
目に再び 2km 近く上昇した。それ以降、定常状態で
あった。2、3、4、8 球目にレギュラー群が非レギュ
ラー群より有意に高い値を示した。 シュートコントロールは、両群とも安定して的を
通過させられなかった。いずれの投球においても有
意な差が認められなかった (図 2) 。 ランニングタイムは、非レギュラー群は、1 周目
から 2 周目にかけて緩やかにタイムが速くなり、そ
れ以降、6 周目まではタイムに変化は見られなかっ
た。レギュラー群は、1 周目から 2 周目にかけてラ
ンニングタイムが遅くなり、3 周目にタイムが速く
なった。それ以降、定常状態であった。いずれの試
行においても有意な差は認められなかった。 【考察】 本研究の結果は、非レギュラー群、レギュラー群
ともにゲームと同様の身体的負荷はシュートパフォ
ーマンスに影響を及ぼさないことを示していると考
えられる。しかし、レギュラー群は疲労した中でも、
非レギュラー群よりスピードボールを投げられるこ
とが明らかになった。今後、相手と対峙し、身体接
触がある状態でシュートを打たせることで身体負荷
がシュートパフォーマンスに及ぼす影響をより明確
にできると考えられる。 (km/h)'
90#
88#
86#
84#
82#
80#
78#
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1# 2# 3# 4# 5# 6# 7# 8#
図 1 シュートの初速度の変化 km/h
0.6"
0.5"
0.4"
0.3"
0.2"
0.1"
0"
1"
2"
3"
4"
5"
6"
7"
8"
図 2 シュートコントロールの変化