デザインをより深く追い求めて

デザインをより深く追い求めて
NC マシンでは膨大な手間とコストがかかっ
ていた工程を 3D プリンタで大幅に短縮
高度な教育訓練が不要でデザイナー自らが
簡単に造形することが可能となった
積層ピッチが 16μm と細かいので、初期試作品のサーフェ
イス検討に十分使えます。出力のスピードが速く、サポー
ト材の除去の手間が少ない、ビルドサイズが前の機種よ
りも大きいことなども選択の理由になりました。
— 株式会社ホンダアクセス 商品企画部 デザイン
主任研究員 竹森 洋 氏
Objet Eden500V で分割して出力したホイルの 3D モデル
片側には製品と同じ表面加工を施した
ホンダ車の純正カーアクセサリーを開発・販売するホンダアクセス。これまでの試作工程ではその都度、NC マシ
ンを動かさなければならず、膨大な手間とコストがかかった。その工程を大幅に短縮したのが3D プリンタだ。デザ
インへのより深い注力は、世界の顧客の多様な要望を満たすことにつながる。
積層ピッチ 16 μ m の精度で、デザインを事前に確認
ホンダの四輪車に使われる、フロントバンパーなどのエアロパーツや、ホイール、LED ライトなど多様な純正ア
クセサリーを開発するホンダアクセス(本社、埼玉県新座市)では、設計データの確認モデルやモックアップ制作に、
いまストラタシスの3D プリンタが大活躍している。
同社が初めて3D プリンタを試験的に導入したのは 2006 年ごろ。ホンダグループ各社の設計、開発拠点で同
時発生的に3D プリンタ活用に向けた試行錯誤が始まっていた。各拠点のデザイナーや設計者が一堂に会し、 3D
プリンタ導入をめぐる情報交換を行う会議も開かれた。導入した3D プリンタのメーカーや仕様はさまざま。それ
ぞれの利点、欠点を挙げながら、これからの自動車部品やカーアクセサリー開発に3D プリンタを活用する道を探っ
商品企画部 デザイン
主任研究員 竹森 洋 氏
た。「会議では3D プリンタの可能性が熱く語られました。欲しいタイミングで、作りたいものをすぐ手にすること
ができる。設計の細部の検討、形状の確認だけでなく、車体への組み付け確認にも使える。専任オペレーターを
つけなくても、機械を 24 時間稼働させることも可能などの理由で、3D プリンタの導入効果はきわめて高いとい
う結論になりました」同社商品開発部で製品デザインを担当する竹森洋・主任研究員が振り返る。
1台 目 の プリンタの 保 守 契 約 が 切 れた 2012 年、 次 の 製 品として選 ば れた の がストラタシスの「Objet
Eden500」だ。最初期のプリンタに比べれば、その精度や機能は大幅に向上している。いよいよ3D プリンタの
本格導入の時期がやってきたのだ。「なかでも、Objet Eden500V は積層ピッチが 16 μ m と非常に細かいとこ
ろが最大の魅力でした。私たちのカーアクセサリーの場合、試作段階でのサーフェイスの検討が不可欠なのですが、
その用途にも十分使えます。また、出力のスピードが速く、サポート材の除去の手間が少ない、ビルドサイズが
前の機種よりも大きいことなども選択の理由になりました」
思い立ったときにすぐ形になる。 NC マシン要らずの強力な武器
カーアクセサリー開発では、デザインを最終決定する前に、カーブ面の状態などを何度も試作品で検討する。
コンピュータによる3D 設計は普及しているが、どこかの段階で図面を立体に起こして細部に触れる必要がある。
F O R A 3 D W O R L D TM
商品企画部 デザイン
研究員 兼信 隆一 氏
3D プリンタ導入以前は、自社や外注先の NC マシンで成型してはサーフェイスを検討し、また作り直すという
ことを繰り返していた。
「NC マシンでは稼働のための段取りが必要で、成型を外注に依頼する場合は、図面のやりとりのためにさら
に時間が取られます。自社内に3D プリンタを導入すれば、デザインの途中にすぐに立体にして形を検討するこ
とができる。デザイン工程の大幅なスピードアップと、それに伴うデザイン品質の向上は、数値化こそ難しいも
のの、かなり大きな改善効果ということができます」NC マシンは刃物が回転するために専任のオペレーターが
必要で、作動にあたっての安全基準も厳しい。 切り粉も出るし、音も大きい。 そうした問題が3D プリンタには
ない。高度な教育訓練が不要で、デザイナー自らが簡単に操作できるという利点もある。
フォグライトガーニッシュの CG 画像
もちろん積層ピッチはより細かく、ビルドサイズもより大きいほうがいいことはたしか。ホイールの設計でも、
Objet Eden500V だと 14 インチサイズのものならそのまま成形できるが、それ以上のサイズになると図面を
2つに分けて出力しなければならないのが現状だ。また、積層ピッチがより細かいプリンタがあれば、NC マシ
ンで出力する必要がなくなる。「ただそれだけの性能のプリンタとなると設備投資の費用が膨大になります。コ
ストとパフォーマンスのバランスを考えると、Objet Eden500V が現段階では最適の選択と言えます。材料は
主に Vero シリーズの硬質不透明樹脂を使っており、その品質には満足しています。なにより、欲しいタイミン
グで作りたいものをすぐ手にすることができるので、デザインの検討がより深く行えるようになったのはありが
たいですね」と竹森氏は評価する。
Objet Eden500V で出力した 3D モデル
竹森氏らは、Objet Eden500V で出力した試作品の積層面をさらに手作業で仕上げ、クリアコート塗装した
見本をグループ内向けに展示したことがある。 一手間はかける必要があるが、NC マシンを使わなくても、最
終製品にほぼ近い質感が得られることに、驚きの声があがったという。
3D プリンタのメンテナンスについて最初は危惧していたが、Objet Eden500V ではそれは杞憂だった。「前
の製品だとトラブルが発生するたびに、保守会社に連絡し、要員が派遣されるまで3、4日待たなければならな
いことが度々ありました。 その間、機械は停止せざるをえなかった。Objet Eden500V については、週に1
度 30 分程度のメンテナンスを開発メンバーが交替で行っていますが、ほぼトラブルなしで2年間使えています。
壊れにくい、メンテナンスしやすいことも、これからの3D プリンタ導入の必須条件になると思います」と、同
部の兼信隆一研究員は Objet Eden500V のメンテナンス性能を高く評価する。
フォグライトガーニッシュの量産品
世界市場に向けた多様な用品展開。 迅速・高品質の開発を可能に
自動車には多数のアクセサリーパーツが用意されている。その数は1車種あたり 200 点・300 アイテムとも言
われる。ホンダアクセスはホンダの四輪車全車種のアクセサリーを手がけるため、設計点数は膨大だ。量産は外
部の部品メーカーに委託するが、国際調達、適地生産が当たり前なので、世界の工場とのやりとりも頻繁に行われる。
「例えば、全世界に向けて販売するグローバルカーの場合、販売地域のユーザーの好みや、気候・風土、路面条
件などを考慮して、カーアクセサリーも国別の仕様が求められます。“CR-V”という車種一つとっても、アメリカ
では子供の送り迎えによく使われますが、中国では SUV の最高峰としてステイタスシンボルになっている。車両
本体は世界同一規格なので、それぞれの味付けはアクセサリーで行うことになります」
車両本体はいわば既製服、それを自分好みでカスタマイズするために、アクセサリーが重要な役割を果たしてい
るのだ。ユーザーはアフターマーケットで用品を揃えることもできるが、メーカー純正の利点は、新車の発売と同
時に、車にフィットした高品質のアクセサリーが揃うこと。純正の開発は車両本体の開発と同期し、けっして遅れを
取ることがあってはならない。それだけ迅速・高品質かつ多様な設計能力が求められている。
「車両との同期開発、同時発売を進めるためにも、試作プロセスのクォリティとスピードを高める3D プリンタは、
すでに私たちの仕事になくてはならないものになっています」と竹森氏は語っている。
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実車に装着したフォグライトガーニッシュとビームライト