Shimomura Office Shimomura Office Letter 2015年7月号 労働者派遣法の改正内容 下村信子社会保険労務士事務所 特定非営利活動法人アンブロージア キャリア・ファシリテーション 埼玉県所沢市小手指町1-33-21-2F メール [email protected] HP http://shimomura-office.jp TEL 04-2923-6627 FAX 050-3488-1131 トピックス ●民事上の個別労働紛争の相談内容について 現在、国会で審議されている労働者派遣法ですが、 可決されれば平成27年9月1日から施行されます。 平成26年の民事上の個別労働紛争の相談内容等が 発表になりました。3年連続で「いじめ・嫌がら 1. 派遣事業の健全化 せ」がトップとなりました。 特定労働者派遣事業(届出制)と一般労働者派遣事 業(許可制)の区別を廃止し、全ての労働者派遣事 相談内容の順位 相談者の就労形態 業を許可制とする。 1位 いじめ・嫌がらせ 1位 正社員 2.派遣労働者の雇用安定とキャリアアップ 2位 解雇 2位 パート・アルバイト ① 派遣労働者に対する計画的な教育訓練、希望者へ 3位 自己都合退職 3位 期間契約社員 のキャリア・コンサルティングを派遣元に義務付け。 4位 派遣労働者 ② 派遣期間終了時の派遣労働者の雇用安定措置(雇 用を継続するための措置※)を派遣元に義務付け ●平成27年4月有効求人倍率等 (3年経過時は義務、1年以上3年未満は努力義務 有効求人倍率 1.17倍(+0.02) ※a派遣先への直接雇用の依頼、b新たな派遣先の提 新規求人倍率 1.77倍(+0.05) 供、c派遣元での無期雇用) 正社員有効求人倍率 0.72倍(+0.01) ③その他安定した雇用の継続を図るため必要な措置 新規求人が増加している産業は、教育,学習支援業 3.労働者派遣の位置付けの明確化 (9.2%増)、医療,福祉(7.7%増)、生活関連 厚生労働大臣は労働者派遣法の運用に当たり、派遣 サービス業,娯楽業(6.5%増)等、減少している 就業が臨時的、一時的なものであることを原則とす 産業は、サービス業(7.4%減)、運輸業,郵便業 るとの考え方を考慮する。 (6.6%減)、建設業(5.3%減)等となりました。 4.より分かりやすい派遣期間規制への見直し 現行制度では、専門業務等のいわゆる26業務には 都道府県別の有効求人倍率の最高は東京都の1.67 期間制限がかからず、その他の業務には最長3年の 倍、最低は埼玉県の0.78倍でした。 期間制限がかかるが、これを廃止し、新たに以下の 制度を設ける。 ●平成27年新入社員の社会生活調査結果 ① 事業所単位の期間制限:派遣先の同一の事業所に 学校法人産業能率大学調査結果によると、今年の おける派遣労働者の受入れは3年を上限とする。そ 新入社員は以下のように考えているようです。 れを超えて受け入れるためには、過半数労働組合等 ①就職活動の結果には94%が満足していると からの意見聴取が必要。意見があった場合には対応 回答しています。(過去最高) 方針等の説明義務を課す。 ②働く上で重要だと思うことは、 ② 個人単位の期間制限:派遣先の同一の組織単位 1位 仕事を通じて自分自身が成長すること (課)における同一の派遣労働者の受入れは3年を 2位 長期間安心して働けること 上限とする。 3位 仕事に見合う報酬が得られること 5.派遣労働者の均衡待遇の強化 働きはじめることで不安なことは、 派遣元と派遣先双方において、派遣労働者と派遣先 「上司・先輩とうまくやっていかれるか」 の労働者の均衡待遇確保のための措置を強化する。 ※女性のみでみると「自分の能力で仕事を 6.検討規定 やっていけるか」が1位。 施行3年後の見直し検討に加え、 ③社員のほとんどがSNSをほぼ毎日利用してい ➀正社員と派遣労働者の数の動向等を踏まえ、能力 ますが、上司からのSNSの友達申請につい の有効発揮と雇用安定に資する雇用慣行が損なわれ ては、半数以上が“嫌”。特に女性は3人に2 るおそれがある場合は速やかに検討を行う。 人が拒否感を示しています。 ➁均等・均衡待遇の確保の在り方を検討するため調 ④「転職」という言葉については、“挫折”とい 査研究その他の必要な措置を講ずる。 うイメージが強いようです。 平成24年改正時の附帯決議等を踏まえ、全ての労 ⑤将来の進路について、男性は「管理職で、部門 働者派遣事業を許可制とすると共に、派遣労働者の の指揮を執る、女性は「役職には就かず、 正社員化を含むキャリアアップ、雇用継続を推進し、 エキスパートとなるが最多となり 派遣先の事業所等ごとの派遣期間制限を設ける等の ました。 措置を講ずる。派遣元の義務規定への違反に対して は、許可の取消も含め厳しく指導する。 「マタハラ」判断基準 子育て行動と父親の職場環境 厚生労働省は、マタハラに関する最高裁判決 を踏まえた解釈通達(2015年1月23日)に 関して、「妊娠・出産 妊娠・出産 ・育児休業 等を契機とする不利益取扱いに係るQ&A」を公表 しました。 ●マタハラ裁判の概要 妊娠中の理学療法士が軽易な業務への転換を希望し たところ、人事異動により降格とされ、育児休業後 も元の役職に戻されなかったため、これが妊娠を理 由とした不利益取扱いであり、男女雇用機会均等法 に違反するとして勤務先の病院に対して管理職手当 の支払いおよび損害賠償を求めた事案です。 ●原則1年以内の不利益な取扱いは違法 Q&Aでは、原則として、妊娠・出産・育休等の終 了から1年以内に不利益取扱いがなされた場合は 「違法」と判断するとしています。なお、1年を超 えていても、人事異動、人事考課、雇止めについて、 事由の終了後の最初のタイミングまでの間に不利益 取扱いがなされた場合も違法となります。 ●不利益取扱いに当たらない「例外」 (1)会社の業績悪化によりどうしても不利益取扱 いをしなければならず、不利益取扱いの回避のため の合理的な努力がなされた場合、(2)本人の能力 不足等について事由の発生前から問題点を指摘・指 導していた場合等が挙げられます。 また、有利な影響が不利な影響の内容を上回り、一 般的な労働者が合意するような合理的な理由が客観 的に存在する場合も例外と判断される可能性があり ます。 株式会社ベネッセホールディングス(本社:岡山 市)の社内シンクタンク「ベネッセ教育総合研究 所」では、「第3 回乳幼児の父親についての調査」 を実施しました。この調査は2005 年、2009 年の 実施につづき3 回目となります。 「家事・育児に今まで以上に関わりたい」と思う 父親は増加傾向にある 2014 年58.2%(+10.3) しかし、父親の家事・育児への関わりの実態は大き く変化していない(ごみを出す、食事の後片付けが 若干増)。また、「子どもとの接し方に自信がもて ない」比率が増加している。 その背景として、仕事からの帰宅時間が21 時台 以降と回答する父親の割合が、依然約4割である。 また、帰宅時間が早い父親(20 時台までの帰宅) は、家事・育児を多く行い、生活の満足度も高い。 20 時台までに帰宅する父親は、平日に子どもと一 緒に過ごす時間が多くなり、「子どもを叱ったりほ めたりする」「子どもと一緒に室内で遊ぶ」など、 さまざまな家事・育児に関わる頻度が高い。一方、 21 時台以降に帰宅する父親は、「子どもとの時間 を十分にとれない」「子どもとの接し方に自信がも てない」などの思いを抱いている比率が高い。 20時台までに帰宅する父親の職場環境は、21時 台以降に帰宅する父親より「子どもが病気の際には、 休みをとったり、早退したりしやすい」 「男性の子育て参加を大事にする風土が ある」などの傾向がありました。 キャリア・ファシリテーション情報発信 社会人基礎力研修を承ります! 新入社員や途中入社の社員がいるけれど、 数名なのでOffJTでの研修をするほどでもない でも、 社会人としての基本的なマナーや働く姿勢など、 必要最低限のことは知っておいてほしい・・・ NPO法人アンブロージアでは、このような悩みに お応えします。各社1名の社員様から研修を実施 し、社員の資質向上と定着のお手伝いをします。 キャリア・コンサルタント、会社役員、コーチな ど、多彩なメンバーが、ご相談を承ります。 お気軽にご相談ください。 NPO法人アンブロージア ご連絡先 [email protected] 担当 下村・真柴 独立行政法人労働政策研究・研修機構から「企業内 キャリア・コンサルティングとその日本的特質」が 公表されました。 1.日本の企業内キャリア・コンサルティングは広 がりと深まりを見せている。その役割は、①リテン ション機能 ②関係調整・対話促進機能 ③意味付 与・価値提供機能、であり日本的特質も見られる。 2.運営と体制については、人事部門や他の様々な 従業員支援の部門と連携して従業員サービスを提供 している例が多い。また、キャリア研修その他の キャリア形成支援施策と密接に連携させて相談を 行っている。さらに「上司部下の関係調整→組織開 発」も重要な仕事となっている。 3.相談内容は、①異動や昇進に伴う仕事内容の変 化 ②モチベーションの低下 ③キャリアアップ ④時 短勤務・有期契約で働く女性の問題 ⑤メンタルヘ ルスと関連するキャリア問題 ⑥その他。 相談の 過程は、①導入段階(聴く,質問する) ②整理段階 (整理する,説明する,リファーする)③展開段階 (確認する,掘り下げる,働きかける)等。 4.キャリア・コンサルティングの導入当初は、個 別面談となるが、個人の支援のために上司との関係 改善の必要性、職場や組織全体の影響も見えてくる。 結果的に、支援や介入の対象は組織へとシフトする。 国家資格化の方向で進むキャリア・コンサルタン トは、ますます活躍の場が広がりそうですね。
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