P-⑦-1 セルフケアを促す関わりによる患者のフットケアに対する意 識変化

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セルフケアを促す関わりによる患者のフットケアに対する意
識変化~炭酸泉の足浴をとおして~
医療法人 さとに田園クリニック 腎センター
○山本莉里花、橋本祥子、浅田絵美、西村真紀、中村恵江、勝田仁美、
長尾千夏、田村イネ子、米村由美、太田匡彦
【背景】以前より当院ではフットケアを看護師主体で行っていたが、下肢トラブルの
早期発見・予防には、患者が自分の足に関心を持ち、自分の足を護るという意識が大
切だと考えた。
【経過・方法】フットケアの一つとして、平成25年より炭酸泉による足浴(以下足浴
とする)を取り入れ、足浴後に自分で保湿ケアをするよう促す関わりを繰り返し行っ
た。その後、患者の足の状態や、フットケアに対する意識に変化がみられたので、足
浴を施行しているセルフケアのできる患者12人を対象に、独自に作成したアンケート
を実施した。
【結果・考察】足に触れる回数が増えた患者は12人中9人で全体の75%にあたる。足
浴がきっかけで、定期的に足に触れる機会が増え、足の観察や保湿をすることが習慣
化し、足への関心やセルフケア能力が高まったと考えられる。
【その後の取り組み・今後の課題】以前は看護師主体で行っていたフットチェックを、
現在では患者主体で行っている。また自己処置が行えるよう、患者に応じた個別的な
指導やケアも行っている。そして、看護師は研修への参加や伝達講習を実施し、知識
の充実を目指している。しかし、糖尿病や末梢動脈疾患が進行しているにも関わらず、
危機感の低い患者は依然として多く、日常的なセルフケアを繰り返し指導していくこ
と、リスク分類に基づき定期的な観察やケアを実施していく必要がある。
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当院透析患者の下肢評価の現状
医療法人 大田姫野クリニック
○岡田理江、大隈征子、中村千枝、小原一晃、堀田晴奈、安藤美和、
三谷美貴、福村 宏、角 昌晃、滋野和志
【はじめに】
末梢動脈閉塞症(PAD)はQOLのみならず生命予後にも重大な影響を与える因子であり、
適切なフットケアの重要性が注目されている。
今回我々は継続してきた下肢評価法に加えTBI(足趾/上腕動脈血圧比)、SRPP(皮膚再
灌流圧)測定を行った結果を報告する。
【対象・方法】
当院透析患者62名(内DM22名)、平均年齢68.4±10.5歳、平均透析期間118.3±93.7ヶ月
を対象とし、SRPP、圧覚テスト、TBI、年齢、透析期間、DMの関連性について検討した。
【結果・考察】
SRPPとTBIは正の相関関係を認めた。TBIと圧覚テストは正相関関係を認めた。年齢と
SRPP、圧覚テスト、TBIは相関せず。透析期間は圧覚テストのみに正相関を認めた。
DM群とNDM群とを比較すると、DM群が圧覚テスト、TBIで有意に高値を示したが
SRPPには有意差はなかった。
従来のフットケアは患者に触れる、聞く、見るを特徴とするモノフィラメントを用いた
圧覚テストを点数化することで下肢の評価(神経障害の有無)のツールとしてきたが、
末梢側の血流評価に用いるTBI、SRPPをさらに加えることにより下肢血流の情報が増え
下肢評価に有用と思われる。
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起動し始めた腎センターでのフットケア
山陰労災病院 腎センター
○田邊浩子、水上京子、福井小夜子、中岡明久
腎センターフットケア外来立ち上げの経緯は、平成20年より腎センター(当時透析室)
で一ヶ月一回足観察開始 。平成24年糖尿病看護認定看護師により外来フットケア本
格的始動を契機に、腎センターでのフットケア外来立ち上げを目指し腎センターの日
本糖尿病療養指導士(以下CDEJ)が糖尿病重症化予防フットケア研修受講 。平成27
年4月より本格的に腎センターフットケア外来を始動した。
外来維持透析患者約90名を対象に対し、看護師13名(うち透析看護認定看護師1名 CDEJ2名 糖尿病重症化予防フットケア研修終了者2名)で対応。フットケアを行
う場所は透析室のベットサイド。定期的なフットケアは月1回透析中に実施。継続処
置は軽快するまで毎回透析日に行う。腎センターフットケア実施における問題点を踏
まえ、腎センターフットケアフローチャートを作成。それにより、足病変の重症化予
防をチームで取り組むことが出来るようになった。今回、チームで取り組むことがで
きた2症例とともに報告する。フットケアチームの中で看護師はコーディネーターと
しての役割が大きい事を理解し、それぞれの分野と連携していくことが重要である。
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当院における高齢者のフットケアへの取り組み
医療法人永元会 はしもとじんクリニック
○菅知加子、小林恵子、奥田理恵、木村美穂、佐々田康子、片山朱美、
橋本昌美
【はじめに】透析患者の高齢化に伴い、足病変を早期発見し、治療またはケアにつな
げていくことが重要である。当院では、現在75名の透析患者が通院しており、平均年
齢は72.2±12.3歳で、そのうち8割が高齢者である。2013年9月からフットケアを開
始したところ、自己ケアが困難で看護介入の必要な患者がみられた。そこで、足病変
の現状把握とセルフケアについてアンケート調査を行った。
【対象】維持透析患者75名のうち、「自分で爪を切ることが出来ない」と答えた患者
15名、(男性5名、女性10名)、平均年齢は75.1±9.2歳であった。
【方法】聞き取りアンケート調査を行い、セルフケア方法についてのパンフレットを
作成し説明を行った。
【結果・まとめ】2013年9月からフットケアを行った中で、自己ケアが困難な患者か
ら「爪切りができない」
「爪切りしたら身まで切った」
「足がよく見えない」
「(傷があっ
ても)痛くない」などの意見があった。また、低温熱傷や深爪、靴ずれなど、本人の
自覚していない創傷の発見もあった。フットケアを継続するとともに、自分で足を見
る習慣をつけることがセルフケア能力の向上となる。気になることがあればすぐに相
談できる体制を整え、足病変の早期発見につなげていくことが重要である。
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下肢切断に不安のある患者へのフットケアの取り組み
医療法人社団仁友会 尾道クリニック
○松本真美、山根千恵、高岡真矢、小川道子、村上 妙、児玉和美、
荒井智美、落合真理子、浜口直樹
【はじめに】
現在、当院での下肢閉塞性動脈硬化症(以下ASO)の患者は全体の約2割を占めている。
今回、ASOによりバイパス治療、血管内治療は不可能と判断され薬物療法と対症療法で経過観察と
なった患者の1事例を振り返り、フットケアの取り組みとその効果について報告する。
【症例】
O氏 68歳女性 透析歴25年 糖尿病性腎症 糖尿病性網膜症で失明
【経過】
ASOで血行再建術が不可能と診断されたO氏は悲観的な発言が多く下肢切断に対して不安を訴えて
いた。O氏と話し合い、「傷を作らない」ことを目標に透析日毎に、フットケアを行った。フットケ
ア中には、O氏の不安に対し傾聴し、生活の中で何に注意したら良いかを看護師と一緒に考えた。
スタッフ全員にも、O氏の情報提供を行い、ケアに参加してもらった。その結果、安静時疼痛は軽
減され、間歇性は破行は消失し傷を作ることなく経過し、前向きな発言が聞かれるようになった。
【考察】
下肢切断に不安のある患者に対しフットケアを継続することは、看護師が患者の下肢に直接触れな
がら、患者の思いに傾聴を行うことで安心感をもたらし不安の軽減に繋がったと考えられる。その
ことで、患者との信頼関係はさらに深まり、看護師と一緒に生活の中で何に注意したらよいのかを
考え自ら実行できたと考えられる。その結果、現在も傷を作ることなく経過していると考えられる。
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