Title №11:経鼻挿管におけるMacintosh 喉頭鏡と

Title
№11:経鼻挿管におけるMacintosh 喉頭鏡とMcGrath
喉頭鏡の比較検討
Author(s)
川口, 潤; 岡田, 玲奈; 小鹿, 恭太郎; 小薗, 祐紀; 大
内, 貴志; 芹田, 良平; 小板橋, 俊哉
Journal
URL
歯科学報, 115(3): 277-277
http://hdl.handle.net/10130/3682
Right
Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College,
Available from http://ir.tdc.ac.jp/
歯科学報
Vol.115,No.3(2015)
277
№11:経鼻挿管における Macintosh 喉頭鏡と McGrath 喉頭鏡の比較検討
川口 潤1),岡田玲奈2),小鹿恭太郎2),小薗祐紀2),大内貴志2),芹田良平2),小板橋俊哉2)
1)
2)
(東歯大・歯麻)
(東歯大・市病・麻酔)
目的:近年 Macintosh 喉頭鏡などの直接声門視認
型喉頭鏡に変わり,ビデオ機能を使用して間接的に
声門を視認する間接声門視認型喉頭鏡が数多く使用
可能となっている。経口挿管のみではなく経鼻挿管
においても有用であるとの報告も多い。McGrath
喉頭鏡は,2012年9月に新たに発売されたビデオ硬
性喉頭鏡である。これまでにも,経口挿管において
よりスムーズに挿管ができるとの報告がされている
が,経鼻挿管について検討された報告は未だされて
いない。今回我々は,経鼻挿管において Macintosh
喉頭鏡と McGrath 喉頭鏡の違いを,挿管時間,挿
管成功率,合併症発生率の観点から比較検討を行っ
た。
方法:本研究は,市川総合病院倫理委員会で承認さ
。全身麻酔および経鼻挿
れた(承認番号 I‐13‐23)
管が必要とされた,ASA PS1‐2の患者24名を対象
とし,対象患者全員からインフォームドコンセント
を得た。術前診査において挿管困難が考慮される症
例や緊急手術などは除外した。対象患者24名を準ラ
ンダム化し12名ずつの Macintosh 喉頭鏡と McGrath 喉頭鏡を用いた 群 に 分 類 し た。全 身 麻 酔 導 入
後,歯科麻酔科医によって経鼻挿管を行った。評価
項目 は,患 者 背 景(年 齢,性 別,BMI,開 口 量,
Mallampati の分類,オトガイ−甲状切痕距離)
,挿
管成功率,挿管時間,合併症(術後3時間後と翌日
の嗄声および咽頭痛の有無)について比較検討を
行った。統計は,Unpaired t-test および χ2検定で
05を有意とした。
行い P<0.
結果:24名全員が本研究に参加し,患者背景は両群
間において有意差は認められなかった。すべての症
例において,1回目で挿管に成功した。挿管時間
0±7.
2,McGrath 群で
(秒)は,Macintosh 群で17.
12.
8±4.
3であり有意差を認めた。合併症の発生率
については両群間に有意差は認められなかった。
考察:代表的なビデオ硬性喉頭鏡としてエアウェイ
スコープがあげられるが,経鼻挿管に用いる際は,
チューブガイドの部分が干渉してしまいうまく挿
管を行えないこともある。そのためブレードの形
状を改造して使用しているとの報告も見られる。
McGrath 喉頭鏡は,ブレードの形状が Macintosh
喉頭鏡とほぼ同様であることから,ブレード形状の
改造も必要がなく,良好な視野を得られるために挿
管時間を短縮することができたと考えられる。
№12:ミダゾラムによる静脈内鎮静中の高濃度酸素吸入が呼吸機能に与える影響
二宮 文,松浦信幸,一戸達也(東歯大・歯麻)
目的:ミダゾラムは静脈内鎮静法で最も頻用されて
いる薬物のひとつである。ミダゾラムはオピオイド
と同様に呼吸抑制作用を有する。高濃度酸素吸入が
オピオイドの呼吸抑制作用を増悪させるとの報告が
あるが,ミダゾラムによる静脈内鎮静中の高濃度酸
素吸入が呼吸機能に与える影響については明らかで
はない。
そこで本研究では,ミダゾラムによる静脈内鎮静
法における空気吸入下と高濃度酸素吸入下での呼吸
機能の経時的変化を比較し,静脈内鎮静中の酸素吸
入の意義を検討した。
方法:東京歯科大学倫理委員会の承認を得て実施し
た(№586)
。対象は ASA 分類Ⅰの健康成人ボラン
ティア19名とした。ミダゾラムによる静脈内鎮静
中,高濃度酸素(FIO2=0.
5)を吸入する H 群と空
気(FIO2=0.
21)を吸入するN群の2群を設定し,
クロスオーバーで観察した。観察項目は一回換気
量,呼 吸 回 数,SpO2,終 末 呼 気 二 酸 化 炭 素 分 圧
(ETCO2)
,分時換気量とした。薬物投与前に各観
察項目の計測を行いコントロールとした。ミダゾラ
ム0.
05mg/kg を投与後10分までは2分間隔で,そ
れ以降40分までは5分間隔で各観察項目を計測し
た。その後,フルマゼニル0.
2mg を投与し,投与
後5分,10分に同様の計測を行った。統計処理には
対応のある t-検定を用いた。
結果:一回換気量はN群よりH群でコントロールと
比較して換気量の減少傾向が大きかったが,有意差
は認めなかった。分時換気量,ETCO2も2群間で
有意な差は認められなかった。呼吸回数は両群とも
に増加したが,2群間に有意差はなかった。SpO2
は N 群 で98.
2±1.
4%か ら96.
4±2.
9%に,H群 で
99.
6±0.
4%から99.
1±1.
0%に低下し,2群間に有
意差を認めた。
結論:ミダゾラムは一回換気量を減少させ,呼吸回
数が増加するという呼吸機能の変動をもたらしはす
るが,オピオイドとは異なり,ミダゾラムによる静
脈内鎮静中の高濃度酸素投与は臨床的に問題となる
ような呼吸機能の低下を起こさなかった。
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