苦瀬様 - IMESコンソーシアム

IMESコンソーシアム総会
平成27年 7月16日
物流におけるIMESの利用可能性
1.ロジスティクスと物流
2.物流における情報の役割
3.都市物流計画での可能性と課題
4.病院物流での可能性と課題
5. 災害時の可能性と課題
苦 瀬
博
仁
[email protected]
流通経済大学 流通情報学部
教授
1.ロジスティクスと物流
(★:着目点の違い)
ロジスティクスと物流
生 産
(貨幣・所有権、拡大原理、本源的需要)
商取引流通
ロジスティクス
流 通
(空間・時間、縮小原理、派生的需要)
物的流通
消 費
交
通
(★輸送、保管、
包装、荷役、
(Physical Distribution)
流通加工)
(Freight Transport)
物資流動
貨物車交通
人の交通
乗用車交通
都 市 計 画
(★輸送、荷役)
(★車両)
3つの視点
土地利用
H. Kuse
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サプライチェーンとロジスティクス
【サプライチェーン】
①業種別の経路
調達
生産
卸売
小売
消費
②施設別の経路
農場
工場
センター
店舗
住宅
③地域別の経路
青森
仙台
東京
埼玉
埼玉
【ロジスティクス】
保管
荷役
受注
[商取引流通]
生産
流通加工
包装
保管
荷役
[物的流通]
発送
【生産システム】
協力会社
材料
設備
電気
発注 (商流=拡大原理)
輸送
[物資流動]
配車計画
従業員
貨物
車両
荷役
燃料
生産
包装
荷役
(物流=縮小原理)
納品
【輸送システム】
運転手
流通加工
運行計画
積込み
運行
荷おろし
道路
渋滞
配送先
仕分け
H. Kuse
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「人」とは、まったく異なる「物」の特性
①単位の不定性:商品や物資は、重量、体積、個数など、様々な単位がある。
②品目の多様性:物流で扱う品目は数多く、荷姿や温度に大きな違いがある。
③形態の変化 :流通の過程で商品の内容が変化する。
④移動の方法 :人と異なり、物は自らの意志で移動できず行き先も知らない。
⑤目的の多様性:商品が必ずしも商取引相手間で輸送されるとは限らない。
⑥サイクルの多様性:商品は、生産から消費の一方通行で、移動時間が様々である。
⑦変動の多様性:商品は、特定の季節や月末などにピークが集中する。
ロジスティクスの管理指標
(5R:Right Time, Cost, Place, Quantity and Quality)
①時間 :通関手続き、集荷時間、荷役時間、輸送時間、作業時間、配送時間
②コスト:通関コスト、集荷コスト、荷役コスト、輸送コスト、配送コスト
③場所 :船舶位置、貨物位置、運行管理、作業管理、貨物追跡
④数量 :輸送量管理、入出庫・在庫管理、数量管理
⑤品質 :商品管理(温湿度、破損汚損、数量、消費期限など)
H. Kuse
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2.物流における情報の役割
ロジスティクス・システムとインフラ
Logistics System
受発注情報システム
(ノード)
(リンク)
受発注システム
物資識別情報システム
商品情報システム
在庫管理システム
貨物管理システム
作業情報システム
作業管理システム
運行管理システム
施設インフラ
技術インフラ
制度インフラ(法制度、ルール、社会意識)
Logistics Infrastructure
H. Kuse
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ロジスティクスのシステムとインフラの内容
1. ロジスティクスの個別システム
①保管・流通加工・包装
受発注管理
物資の品目・数量・納期などの受発注内容を管理する
在庫管理
保管されている物資の、数量・品質・位置を管理する
物資識別管理
物資を保管・流通加工・包装するときに生じる作業を管理
する
輸送する物資の品目・型番・形状などを、伝票やRFIDによ
り識別する
貨物管理
輸送中の物資の、数量・品質・位置を管理する
輸送管理
物資を輸送する貨物自動車の、位置や走行状況を管理する
作業管理
②輸送・荷役
2. ロジスティクスのインフラ
リンク
①施設
ノード
道路、鉄道、航路、航空路など
工場、操車場、港湾、空港、倉庫、流通センター、店舗、
オフィス、住宅など
モード
貨物自動車、貨車、船舶、航空機など
人材
管理
②技術
情報
③制度
(公共)行政・手続き遂行、不正防止・公平性、法令遵守
(民間)品質管理技術、改善意識、機密保持など
輸送管理・貨物管理技術、パレット・コンテナの利用、冷
蔵・冷凍技術など
情報通信機器、伝票ラベルの統一、管理データの収集管理、
データ標準化・規格化・共有化、コード共通化、情報利用
のルールなど
資源
電力、電話、上下水・工業用水、燃料など
法律
規制と許可の基準、通関・検査・検疫システム、金融税制
慣習・慣行
宗教上の慣習、労働慣行、損害補償システム、契約履行
3.都市物流計画での可能性と課題
(病院物流)
広域物流拠点
都市間物流
メーカー・倉庫
都
市
内 卸売・営業所
物
流
(病院)
駐車場
薬剤部・SPD
病棟・手術室
港湾・埠頭・空港、鉄道貨物操車場、
トラックターミナル、流通業務団地
高速道路、幹線道路、
鉄道、航路、航空路
港湾・埠頭・空港、鉄道貨物操車場
、トラックターミナル、流通業務団地
幹線ネットワーク
広域物流拠点
輸送ネットワーク
都市内集配拠点
都市内積み替え拠点、配送センター
、流通センター、デポ
配送ネットワーク
荷さばき施設
高速道路、幹線道路
幹線道路、細街路
路上・路外・建物内荷さばき施設
搬送ネットワーク
発地または着地
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細街路、建物内搬送路
工場、事務所、公共公益施設、
物販店・飲食店、オフィス、住宅
H. Kuse
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店舗やオフィスの荷さばき施設
路上荷さばき施設
貨物用
6-20時
地下駐車場と荷さばき施設
地下1階の店舗
8-18時は、トラック
18-8時は、タクシー
レッドルート、ロンドン
駐車場の
隣接ビルへのトンネル 荷さばき施設
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高層ビルの館内共同配送
(before)
(after)
レストラン
店舗
共 オフィス
同
配 店舗
送 オフィス
(店舗のドア ) (店舗の裏の動線 )
(エレ
ベータ)
Loading Area
(仕分け)
地下
(駐車)
デメリット: 仕分け場の確保
メリット : 駐車時間の削減
駐車ロットの削減
セキュリティの確保
人と物の交通の分離
(荷おろし)
H. Kuse
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都心部における貨物車交通のマネジメント
大丸有地区(大手町・丸の内・有楽町)
地上の風景
地下利用の基本コンセプト
U地下のビル間を結ぶ通路
商業業務施設の貨物車台数の集中原単位
オフィスビル:約100人/台( 92人/台=約6万人/日÷搬入車両650台/日)
デパート
:約 60人/台( 61人/台=約4万人/日÷搬入車両650台/日:共配無し)
約110人/台(114人/台=約4万人/日÷搬入車両350台/日:共配有り)
病院
: 約100人/台 ( 96人/台=約1.2万人/日÷搬入車両125台/日)
(外来患者8000人、入院患者1000人、スタッフ3000人)
H. Kuse
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4.病院物流での可能性と課題
病院における人と施設と物資の関係
病院のスタッフ
(医師・看護師・薬剤師)
患者
(入院患者、在宅療養患者)
患者の自宅
病院
(病棟、院内薬局、
倉庫、駐車場)
院外薬局
業者
業者の物流施設
(医薬品卸、配送事業者)
(倉庫、配送センター、工場)
(施設)
(人)
(物資)
医薬品
医療材料
医療機器
献体
カルテ
検査資料
食料品
日用品
事務用品
リネン
廃棄物
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参考文献:『病院のロジスティクス』白桃書房、2009
H. Kuse
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将来の病院の院内外の物流と院内物流
病院への搬出入
対象者
対象者
・入退院サービス
・医薬品宅配サービス
・療養食宅配サービス
患者
院内の物流
病院への
納入業者
・共同配送
・統合納品
病院の
経営者
・共同購入
・巡回集荷
患者
・物品調達サービス
・運搬配送代行サービス
病院の
スタッフ
・医薬品・医療材料の管理と搬送
・医療機器・設備の管理と搬送
病院
③病院の部門内の物流
(病棟内物流、病室内物流
SPD内物流など)
①病院の外部との物流
②病院の部門間の物流
(薬剤部から病室の物流、
SPDから手術室の物流)
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病院に搬出入される物資
1.医療看護のための物資
1) 医薬品(処方薬、輸液類、院内投与薬、試薬、消毒試薬など)
2) 医療材料(チューブ・カテーテル、手術用織布など)
3) 医療機器(画像診断システム、処置用機器、生体補助機能など)
4) 検体(血液・組織、検査用機器・試薬、検査キット)
5) 医療設備(手術台、医療用照明機器など)
2.入院患者や病院スタッフのための搬入物資
1) 食料品(食事・食材、飲料品など)
2) リネン類(布団・毛布・シーツ、白衣・ユニホームなど)
3) 入院患者の荷物(衣料品、日用品、洗面用具など)
4) 宅配便
3.搬出物資
1) 外来患者が持ち帰る処方医薬品
2) 退院患者の荷物
3) 廃棄物(一般廃棄物、産業廃棄物、感染性廃棄物など)
H. Kuse
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