公開特許公報 特開2015

〔実 8 頁〕
公開特許公報(A)
(19)日本国特許庁(JP)
(12)
(11)特許出願公開番号
特開2015-166327
(P2015−166327A)
(43)公開日 平成27年9月24日(2015.9.24)
(51)Int.Cl.
FI
テーマコード(参考)
A61K 38/00
(2006.01)
A61K
37/02
4B018
A61P 43/00
(2006.01)
A61P
43/00
111 4C084
A61P 39/06
(2006.01)
A61P
39/06
4C088
A61K 36/899
(2006.01)
A61K
35/78
U
A61K 36/00
(2006.01)
A61K
35/78
審査請求 未請求
(21)出願番号
特願2014-41618(P2014-41618)
(22)出願日
平成26年3月4日(2014.3.4)
X
請求項の数4
OL (全13頁) 最終頁に続く
(71)出願人 591060980
岡山県
岡山県岡山市北区内山下2丁目4番6号
(71)出願人 509105857
学校法人就実学園
岡山県岡山市中区西川原一丁目6番1号
(71)出願人 000001812
株式会社サタケ
東京都千代田区外神田4丁目7番2号
(74)代理人 100113181
弁理士
中務 茂樹
(74)代理人 100180600
弁理士
伊藤 俊一郎
最終頁に続く
(54)【発明の名称】内因性グルタチオン増強剤
(57)【要約】
【課題】生体内におけるグルタチオン量を増強させるこ
とができるため、酸化ストレスが原因となる様々な疾病
の治療や予防が期待できる内因性グルタチオン増強剤及
びその製造方法を提供する。
【解決手段】米糠又は米由来のタンパク質加水分解物を
有効成分として含有する内因性グルタチオン増強剤であ
る。また、アルカリ溶液を用いて米から抽出した米糠又
は米由来のタンパク質を、アスペルギルス
オリゼ由来
のタンパク質分解酵素を用いて分解する前記内因性グル
タチオン増強剤の製造方法である。
【選択図】図1
( 2 )
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2
【特許請求の範囲】
【特許文献】
【請求項1】
【0005】
米糠又は米由来のタンパク質加水分解物を有効成分とし
【特許文献1】特開2013−40111号公報
て含有する内因性グルタチオン増強剤。
【特許文献2】WO2005/094849号
【請求項2】
【発明の概要】
NAT(セロトニン−N−アセチルトランスフェラーゼ
【発明が解決しようとする課題】
)活性剤である請求項1記載の内因性グルタチオン増強
【0006】
剤。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり
【請求項3】
、生体内におけるグルタチオン量を増強させることがで
概日リズム改善剤である請求項2記載の内因性グルタチ 10
きるため、酸化ストレスが原因となる様々な疾病の治療
オン増強剤。
や予防が期待できる内因性グルタチオン増強剤及びその
【請求項4】
製造方法を提供することを目的とするものである。
アルカリ溶液を用いて米から抽出した米糠又は米由来の
【課題を解決するための手段】
タンパク質を、アスペルギルスオリゼ由来のタンパク質
【0007】
分解酵素を用いて分解することを特徴とする請求項1∼
上記課題は、米糠又は米由来のタンパク質加水分解物を
3のいずれか記載の内因性グルタチオン増強剤の製造方
有効成分として含有する内因性グルタチオン増強剤を提
法。
供することによって解決される。
【発明の詳細な説明】
【0008】
【技術分野】
このとき、前記内因性グルタチオン増強剤が、NAT(
【0001】
20
セロトニン−N−アセチルトランスフェラーゼ)活性剤
本発明は、内因性グルタチオン増強剤及びその製造方法
であることが本発明の好適な実施態様である。また、前
に関する。
記内因性グルタチオン増強剤が、概日リズム改善剤であ
【背景技術】
ることも本発明の好適な実施態様である。
【0002】
【0009】
グルタチオンは、生体内で産生される抗酸化物質であり
また、このとき、アルカリ溶液を用いて米から抽出した
、酸化ストレスに対する防御をはじめ、細胞内における
米糠又は米由来のタンパク質を、アスペルギルス
酸化還元状態の制御、毒物や薬物の解毒などの様々な生
ゼ由来のタンパク質分解酵素を用いて分解することを特
理作用を有することが知られている。
徴とする内因性グルタチオン増強剤の製造方法を提供す
【0003】
ることも本発明の好適な実施態様である。
特許文献1には、米糠又は玄米由来のタンパク質を加水 30
【発明の効果】
分解してなるペプチドを有効成分として含有するジペプ
【0010】
チジルペプチダーゼ−IV阻害剤について記載されてお
本発明により、内因性グルタチオン増強剤及びその製造
り、長期に連続して使用しても安全であり、小腸からの
方法を提供することができる。
吸収性に優れ、DPP−IV阻害作用が強く、しかも血
本発明の内因性グルタチオン増強剤は、米糠又は米由来
中での安定性に優れているとされている。しかしながら
のタンパク質加水分解物を有効成分として含有するもの
、特許文献1には、グルタチオン増強剤として用いるこ
であり、生体内におけるグルタチオン量を増強させるこ
とについての記載はなかった。
とができる。したがって、酸化ストレスが原因となる様
【0004】
々な疾病の治療や予防が期待できる。また、本発明の内
特許文献2には、ホエーを有効成分として含む内因性メ
因性グルタチオン増強剤は、米糠タンパク又は米タンパ
ラトニン分泌リズムの位相調整又は振幅増強剤について 40
クをタンパク質分解酵素で分解して製造されるので、効
記載されており、食経験のあるホエーを有効成分とする
率よく大量に生産することができる。
ので、日常的に連用可能で、安全性に優れ、これらリズ
【図面の簡単な説明】
ムの異常に起因すると考えられる非24時間睡眠・覚醒
【0011】
症候群、時差症候群、後退勤務症候群、睡眠時無呼吸症
【図1】実施例1において、HepG2細胞を用いた内
候群、中高年期睡眠障害等の睡眠障害や入眠潜時障害等
因性グルタチオン増強効果を示す図である。
の予防又は改善が期待できるとされている。しかしなが
【図2】実施例2において、HepG2細胞を用いた内
ら、特許文献2には、米糠又は米由来のタンパク質加水
因性グルタチオン増強効果を示す図である。
分解物についての記載もなく、グルタチオン増強剤につ
【図3】実施例3において、HepG2細胞を用いた内
いての記載もなかった。
因性グルタチオン増強効果を示す図である。
【先行技術文献】
50
オリ
【図4】実施例4において、COS/NAT細胞を用い
( 3 )
JP
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た内因性グルタチオン増強効果を示す図である。
、5NのNaOH水溶液でpHを7.0∼8.0に調整
【図5】実施例4において、COS/NAT細胞を用い
した後、タンパク質分解酵素を加え、40∼50℃で1
た内因性グルタチオン増強効果を示す図である。
2∼24時間反応を行う。次いで、酵素を失活させ、液
【図6】実施例5において、COS/NAT細胞を用い
体窒素で凍結乾燥して米糠又は米由来のタンパク質加水
たNAT活性増強効果を示す図である。
分解物を得ることができる。すなわち、本発明において
【発明を実施するための形態】
、米糠又は米由来のタンパク質加水分解物は、タンパク
【0012】
質分解酵素により加水分解されることで得られるもので
本発明の内因性グルタチオン増強剤は、米糠又は米由来
ある。
のタンパク質加水分解物を有効成分として含有するもの
【0017】
である。米糠又は米由来のタンパク質加水分解物を有効 10
タンパク質分解酵素としては、ペプシン、プロテアーゼ
成分として含有することにより、生体内におけるグルタ
A、プロテアーゼBなど市販のタンパク質分解酵素を使
チオン量を増強させることができる。したがって、酸化
用することができるが、具体的には、ビオプラーゼSP
ストレスが原因となる様々な疾病の治療や予防が期待で
、デナチームAP、プロテアーゼP、ペプチターゼR、
きる。ここで、本発明者らは、米糠又は米由来のタンパ
ウマミザイムGなどを挙げることができる。なかでも、
ク質加水分解物がペプチドであることを確認している。
アスペルギルス
したがって、本発明の内因性グルタチオン増強剤は、米
ryzae)由来のタンパク質分解酵素を用いることに
糠又は米由来のタンパク質を加水分解物してなるペプチ
より、得られる米糠又は米由来のタンパク質加水分解物
ドを有効成分として含有するものである。
によるグルタチオン増強効果が高くなる利点を有するた
【0013】
め好ましい。
本発明の内因性グルタチオン増強剤は、米から抽出した 20
【0018】
米糠又は米由来のタンパク質を原料とするが、米として
アスペルギルス
は、品種、種類、精米方法に限定されず、ジャポニカ米
ては、ペプチターゼ及びプロテアーゼを有する上述の市
、インディカ米など種々の米を用いることができる。米
販のウマミザイムG(至適pH8.0、中性付近で有効
糠は、通常大量に廃棄されるものであるので、グルタチ
に作用し、至適温度45℃)、及びアスペルギルス
オン増強作用に優れることに加え、原料ソースの点でも
リゼが生産するプロテアーゼを製剤化したデナチームA
好ましい。原料として米糠を用いる場合は脂質成分を除
P(至適pH7.0、至適温度50℃)を挙げることが
去することが好ましい。
できる。これらの酵素を用いることにより、グルタチオ
【0014】
ン増強効果が高い本発明の内因性グルタチオン増強剤を
脱脂の方法としては特に制限されるものではなく、機械
得ることができる。また、これらの酵素を用いると、タ
搾油、溶剤による抽出方法などを用いることができる。 30
ンパク質加水分解物の収率が50%以上を示す点でも好
食品に用いられるためには、残留してはならないヘキサ
ましい。したがって、アルカリ溶液を用いて米から抽出
ンなどの溶剤を用いることは避けるべきであり、かかる
した米糠又は米由来のタンパク質を、アスペルギルス
観点からは、機械搾油やエタノールを用いた抽出により
オリゼ由来のタンパク質分解酵素を用いて分解する内因
脂質を除去することが好ましい。
性グルタチオン増強剤の製造方法が本発明の好適な実施
【0015】
態様である。
本発明の内因性グルタチオン増強剤に使用される米糠又
【0019】
は米由来のタンパク質加水分解物を製造するには、まず
本発明において、内因性グルタチオン増強剤に含まれる
、米糠又は米から、米糠タンパク又は米タンパクをアル
米糠又は米由来のタンパク質加水分解物の含有量として
カリ溶液で溶出させる。アルカリ溶液としては、pHを
は特に限定されないが、終濃度が0.1∼100mg/
12.5近辺に調整したNaOH水溶液を用い、この溶 40
mLとなるように添加されることが好ましい。終濃度が
液に米糠又は米などを添加し、40∼60℃の温度で撹
0.1mg/mL未満の場合、グルタチオン増強効果が
拌しながら2∼5時間程度抽出する。次いで、遠心分離
得られないおそれがあり、0.5mg/mL以上である
機などの分離手段でろ液とろ過物とに分離し、1∼2N
ことがより好ましく、1mg/mL以上であることが更
の希塩酸でろ液のpHを4に調整し、タンパク質を沈殿
に好ましく、3mg/mL以上であることが特に好まし
させ、減圧乾燥などで乾燥させて米糠タンパク又は米タ
い。一方、終濃度が100mg/mLを超える場合、不
ンパクを得ることができる。タンパク質を得る方法はこ
溶になるおそれがあり、50mg/mL以下であること
れに限定されるものではなく、酵素により糖質、セルロ
がより好ましく、30mg/mL以下であることが更に
ース等を水溶化して得ても良い。
好ましい。
【0016】
【0020】
得られた米糠タンパク又は米タンパクを蒸留水に懸濁し 50
本発明の内因性グルタチオン増強剤は、例えば経口的に
オリゼ(Aspergillus
o
オリゼ由来のタンパク質分解酵素とし
オ
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投与して、生体内におけるグルタチオン量を増強させる
反応を停止させた。これをHPLCの試料とした。HP
ことができる。経口投与に用いる本発明の内因性グルタ
LCによる分析には、ODSカラムを使用し、移動層は
チオン増強剤の剤形は、錠剤、カプセル剤、細粒剤、散
75mMクエン酸ナトリウム(pH2.9)、アセトニ
剤、タブレット剤、トローチ剤、舌下剤、液剤などが可
トリルを用いた。移動層中のアセトニトリル濃度を1%
能である。また、本発明の内因性グルタチオン増強剤は
から15%まで段階的に上昇させ、蛍光誘導体化したグ
、各種食品、各種飲料に添加して用いることもできるし
ルタチオンを分離した。検出には、蛍光検出器(励起波
、サプリメントとして用いてもよい。
長:380nm、蛍光波長:510nm)を用いた。
【0021】
【0024】
本発明の内因性グルタチオン増強剤は、米糠又は米由来
(グルタチオン上昇活性の測定)
のタンパク質加水分解物を有効成分として含有する。前 10
ヒト肝がん細胞HepG2を1.5×10
記タンパク質加水分解物は、生体内におけるグルタチオ
mLの濃度で6well
ン量を増強させることができ、安全性が高く、数々の医
FBS入りのMEM培地で37℃、5%CO2 で48時
薬品、特定用保健食品、機能性食品等への利用が期待で
間培養した。培地交換後、被験物質を終濃度2.5、5
きる。本発明の内因性グルタチオン増強剤は、安価に入
、10mg/mLになるように添加し、24時間共培養
手することができるという利点があり、実用上極めて利
した。培地を吸引し、1mLのPBSで二回洗浄後、細
用価値が高い。また、後述する実施例で示されているよ
胞をセルスクレーパーで回収した。
うに、本発明の内因性グルタチオン増強剤は、NAT活
【0025】
性を増強させることができる。
(細胞内グルタチオンの抽出)
したがって、NAT(セロトニン−N−アセチルトラン
回収した細胞に150μLの1mM
スフェラーゼ)活性剤であることが本発明の好適な実施 20
M HClを添加し、30秒ホモジナイズした。15,
態様であり、概日リズム改善剤であることが本発明のよ
000rpm、15分、4℃で遠心し、上清を回収した
り好適な実施態様である。このように、本発明の内因性
。上清100μLに8.4μLの60%過塩素酸を添加
グルタチオン増強剤は、NAT活性剤や概日リズム改善
して撹拌後、15,000rpm、15分、4℃で遠心
剤として用いられることにより、睡眠障害や入眠潜時障
した。さらに、50μLの4M
害等の各種症状を予防又は改善することが可能となる。
て撹拌後、15,000rpm、10分、4℃で遠心し
【実施例】
て上清を回収し、細胞抽出液とした。
【0022】
【0026】
以下、実施例を用いて本発明の内因性グルタチオン増強
(グルタチオンの定量方法2)
剤を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定さ
細胞内グルタチオンの定量はDTNB法を用いて行った
れるものではない。なお、本発明において、用いた方法 30
。15mLの125mMリン酸カリウム緩衝液(pH7
を以下に記載した。
.5、6.25mM
【0023】
TNB、10μLの1000u/mLグルタチオンレダ
(グルタチオンの定量方法1)
クターゼを混合し反応液とした。96well
Analytica Chimica Acta, 205 (1988) 29-41に記載され
teに、80μLのグルタチオン標準液または細胞抽出
た方法に準じてグルタチオンの定量を以下のようにして
液と、80μLの反応液とを添加した。さらに、40μ
行った。下記細胞内グルタチオンの抽出における方法に
Lの1.05mM
従って得られた細胞抽出液50μLに、0.2%ABD
、プレートリーダーのカイネティックモード(吸光度4
−F(4-fluoro-7-sulfamoylbenzofurazan)溶液(5m
05nm)で1分30秒測定した。その反応速度からグ
M
ルタチオン量を計算した。
EDTAを含む0.7Mホウ酸ナトリウム緩衝液(
5
cell/
plateに播種し、10%
BAPS/0.1
K2 HPO4 を添加し
EDTA)、5mLの6mM
D
pla
NADPHを添加して反応を開始し
pH9.3)に溶解)を250μL加え、60℃、5分 40
【0027】
間反応させた。冷却後、酢酸エチル500μL加え攪拌
(脱脂米糠の製造)
し15,000rpm、4℃、1分間遠心後、酢酸エチ
精米工場からの生糠を70∼100℃に加熱することに
ル層を取り除いた。この操作を3回行い、未反応のAB
より、生糠に残留するリパーゼを失活させ、油が絞りや
D−Fを除去した。水層に2%SBD−F(4-fluoro-7
すい状態にしてレイノルズ社(ドイツ)製の搾油機AP
-sulfobenzofurazan, ammonium salt)溶液(5mM
14/22を用いて搾油した。圧搾された油と(半)脱
EDTAを含む0.7Mホウ酸ナトリウム緩衝液(pH
脂米糠を分離し、半脱脂米糠には3∼5倍量のエタノー
9.3)に溶解)、10%TBP(tri-n-butylphosphin
ルを入れ、30∼60℃で0.5∼4時間撹拌し、その
e)溶液(2−プロパノール/アセトニトリル(2:98
後5Aの濾紙にてろ過した。この撹拌とろ過を再度繰り
)で希釈)をそれぞれ25μLずつ加え、60℃、20
返し、半脱脂米糠を70℃以下の通風乾燥機で半脱脂米
分間反応させた。冷却後、4M
糠の水分が5%以下になるように乾燥し、脱脂米糠を得
HClを50μL加え 50
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た。
PLC用移動相(50mM酢酸アンモニウム,pH4.
【0028】
3,35%メタノール)に溶解し、生成したN−アセチ
(米糠タンパクの調製)
ルトリプタミンをHPLCにより定量することにより、
250mlの水に1.0gのNaOHを溶解し、pHを
NAT活性を測定した。HPLCの分析には、カラムに
12.5付近に調整したアルカリ溶液に上記のようにし
COSMOSIL
て得た脱脂米糠25gを加え、45℃の温度で攪拌しな
×150mm)を、HPLC用移動相に50mM酢酸ア
がら2時間抽出した。遠心分離機により、ろ液とろ過物
ンモニウム,pH4.3,35%メタノール(流速1m
に分け、ろ過物にさらに上記アルカリ溶液を250ml
L/分)を用いた。検出には、蛍光検出器(励起波長:
加え、同様に抽出した。得られたろ液を併せて1∼2規
285nm、蛍光波長:360nm)を用いた。
定の希塩酸でpH4に調整することにより、タンパク質 10
【0031】
を溶液中に沈殿させた。これを再度、遠心分離機でろ液
実施例1
とろ過物に分けた後、ろ過物を40℃で減圧乾燥して米
(ウマミザイムGによる米糠由来タンパク質加水分解物
糠タンパクとして回収した。得られた米糠タンパクのタ
の調製)
ンパク含量はデュマ法で77.3%であった。
上記で得た米糠タンパク2gをプラスチック製50mL
【0029】
コニカルチューブにとり、蒸留水40mLに懸だくし、
(COS/NAT細胞の作成)
5規定NaOHによりpHを7.5に調整した。ウマミ
動物細胞用発現ベクターpcDNA3.1(+)(ライ
ザイムG(アマノエンザイム社製)を20mg加え、反
フテクノロジーズ社製)に、ヒト由来セロトニン−N−
応温度を45℃に設定した。反応装置は、エッペンドル
アセチルトランスフェラーゼ(NAT)遺伝子を、C末
フ社製サーモミキサーコンフォートを用い、750rp
端にmycタグが付加するように組み込んだものを作成 20
mの攪拌を行って終夜反応を行った。終夜反応の後、静
した。このベクターを、Journal of Biological Chemis
置した状態で80℃、30分加熱して酵素を失活させた
try, 276(26), 24097-24107(2001)に記載された方法と
。反応終了時においても、不溶物が残存していたので、
同様にして、アフリカミドリザル腎臓由来COS−7細
反応液を2000Gで20分間遠心分離し、その上清を
胞にリポフェクトアミン2000試薬(ライフテクノロ
液体チッソにより凍結し、ラブコンコ社製凍結乾燥用フ
ジーズ社製)を用いて形質転換し、NAT発現細胞(C
ラスコおよび装置を用いて、終日凍結乾燥を行い、ウマ
OS/NAT細胞)を得た。
ミザイムGによる米糠由来タンパク質加水分解物1.2
【0030】
g(収率72.7%)を得た。
(NAT活性の測定方法)
【0032】
Journal of Biological Chemistry, 277(46), 44229-44
(HepG2細胞を用いた内因性グルタチオン増強効果
235(2002)に記載された方法に準じてNAT活性の測定
30
を以下のようにして行った。COS/NAT細胞を、1
.5×10
5
cell/mLの濃度で6well
5C1
8
−MS−II(4.6mm
の評価)
得られた米糠タンパクのウマミザイムGによるタンパク
pl
質加水分解物上清の凍結乾燥物と、比較対象として、大
ateに播種し、10%FBS入りのDMEM培地で3
豆タンパク(不二製油社製、フジプロE)を同様にウマ
7℃、5%CO2 で48時間培養した。培地交換後、被
ミザイムGにより消化して得たタンパク質加水分解物上
験物質を終濃度5mg/mLになるように添加し、24
清の凍結乾燥物を用い、HepG2細胞内のグルタチオ
時間共培養した。その後培地を吸引し、1mLのPBS
ン濃度に対する影響を検討した。1.5×10
で一回洗浄後、細胞を回収した。回収したCOS/NA
L/35mm
T細胞を、終濃度1.5mMアセチルCo−Aを含む0
培養した後、各サンプルを、終濃度5mg/mLになる
.25Mリン酸緩衝液(pH7.5)を0.5mL加え
ように培地に加え、24時間培養し、細胞を回収した。
ホモジナイズした。15,000rpm、15分、4℃ 40
回収した細胞に150μLの1mM
で遠心し、上清を回収した。上清75μLに対し、6m
M HClを添加し、30秒ホモジナイズした。15,
MアセチルCo−Aおよび8mMトリプタミンを含む0
000rpm、15分、4℃で遠心し、上清を回収した
.25Mリン酸緩衝液(pH7.5)を25μL加え、
。上清100μLに8.4μLの60%過塩素酸を添加
37℃、15分間反応させた。その後、氷冷したトルエ
して撹拌後、15,000rpm、15分、4℃で遠心
ン/イソアミルアルコール/1N塩酸混液(99:0.
した。さらに、50μLの4M
66:0.33)を1mL加えることによって、反応を
て撹拌後、15,000rpm、10分、4℃で遠心し
停止させた。反応混合液を、30秒間激しく振とう後、
て上清を回収し、細胞抽出液とした。グルタチオンの定
15,000rpm、15分、4℃で遠心した。遠心後
量は、上記定量方法1に従って行った。得られた結果を
、有機溶媒相を750μL回収し、溶媒を遠心エバポレ
図1に示す。
ーターで留去した。得られた乾燥物を、0.1mLのH 50
【0033】
5
/2m
dishで、HepG2細胞を48時間
BAPS/0.1
K2 HPO4 を添加し
( 6 )
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9
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10
実施例2
0℃、30分加熱して酵素を失活させた。反応終了時に
(ウマミザイムGによる米由来タンパク質加水分解物の
おいても、不溶物が残存していたので、反応液を200
調製)
0Gで20分間遠心分離し、その上清を液体チッソによ
米タンパク2g(オリザ油化社販売、オリザプロテイン
り凍結し、ラブコンコ社製凍結乾燥用フラスコおよび装
−P70)をプラスチック製50mLコニカルチューブ
置を用いて、終日凍結乾燥を行い、デナチームAPによ
にとり、蒸留水40mlに懸だくし、5規定NaOHに
る米由来タンパク質加水分解物0.23g(収率56.
よりpHを7.5に調整した。ウマミザイムG(アマノ
9%)を得た。
エンザイム社製)を20mg加え、反応温度を45℃に
【0036】
設定した。反応装置は、エッペンドルフ社製サーモミキ
(プロテアーゼPによる米由来タンパク質加水分解物の
サーコンフォートを用い、750rpmの攪拌を行って 10
調製)
終夜反応を行った。終夜反応の後、静置した状態で80
米タンパク2g(オリザ油化社販売、オリザプロテイン
℃、30分加熱して酵素を失活させた。反応終了時にお
−P70)をプラスチック製50mLコニカルチューブ
いても、不溶物が残存していたので、反応液を2000
にとり、蒸留水40mLに懸だくし、5規定NaOHに
Gで20分間遠心分離し、その上清を液体チッソにより
よりpHを7.5に調整した。プロテアーゼP(アマノ
凍結し、ラブコンコ社製凍結乾燥用フラスコおよび装置
エンザイム社製)を20mg加え、反応温度を40℃に
を用いて、終日凍結乾燥を行い、ウマミザイムGによる
設定した。反応装置は、エッペンドルフ社製サーモミキ
米由来タンパク質加水分解物1.0g(収率72.5%
サーコンフォートを用い、750rpmの攪拌を行って
)を得た。
終夜反応を行った。終夜反応の後、静置した状態で80
【0034】
℃、30分加熱して酵素を失活させた。反応終了時にお
(HepG2細胞を用いた内因性グルタチオン増強効果 20
いても、不溶物が残存していたので、反応液を2000
の評価)
Gで20分間遠心分離し、その上清を液体チッソにより
得られた米タンパクのウマミザイムGによるタンパク質
凍結し、ラブコンコ社製凍結乾燥用フラスコおよび装置
加水分解物上清の凍結乾燥物を用い、実施例1と同様に
を用いて、終日凍結乾燥を行い、プロテアーゼPによる
して、HepG2細胞内のグルタチオン濃度に対する影
米由来タンパク質加水分解物0.24g(収率47.5
響を検討した。1.5×10
5
d
%)を得た。
ishで、HepG2細胞を48時間培養した後、サン
【0037】
プルをそれぞれ終濃度0、2.5、5、7.5、10m
(HepG2細胞を用いた内因性グルタチオン増強効果
g/mLとなるように培地に加え、24時間培養し、細
の評価)
胞を回収した。回収した細胞に150μLの1mM
実施例2で得られた米タンパクのウマミザイムGによる
APS/0.1M
/2mL/35mm
B
HClを添加し、30秒ホモジナイ 30
タンパク質加水分解物上清の凍結乾燥物および、米タン
ズした。15,000rpm、15分、4℃で遠心し、
パクのデナチームAPあるいはプロテアーゼPによるタ
上清を回収した。上清100μLに8.4μLの60%
ンパク質加水分解物上清の凍結乾燥物を用い、実施例1
過塩素酸を添加して撹拌後、15,000rpm、15
と同様にして、HepG2細胞内のグルタチオン濃度に
分、4℃で遠心した。さらに、50μLの4M
対する影響を検討した。ヒト肝がん細胞HepG2を1
K2 H
5
PO4 を添加して撹拌後、15,000rpm、10分
.5×10
、4℃で遠心して上清を回収し、細胞抽出液とした。グ
ateに播種し、10%FBS入りのMEM培地で37
ルタチオンの定量は、上記定量方法1に従って行った。
℃、5%CO2 で48時間培養した。培地交換後、被験
得られた結果を図2に示す。
物質を終濃度2.5、5、10mg/mLになるように
【0035】
実施例3
cell/mLの濃度で6well
pl
添加し、24時間共培養した。培地を吸引し、1mLの
40
PBSで二回洗浄後、細胞をセルスクレーパーで回収し
(デナチームAPによる米由来タンパク質加水分解物の
た。回収した細胞に150μLの1mM
BAPS/0
調製)
.1M
米タンパク2g(オリザ油化社販売、オリザプロテイン
5,000rpm、15分、4℃で遠心し、上清を回収
−P70)をプラスチック製50mLコニカルチューブ
した。上清100μLに8.4μLの60%過塩素酸を
にとり、蒸留水40mLに懸だくし、5規定NaOHに
添加して撹拌後、15,000rpm、15分、4℃で
よりpHを7.5に調整した。デナチームAP(ナガセ
遠心した。さらに、50μLの4M
ケムテックス社製)を20mg加え、反応温度を40℃
加して撹拌後、15,000rpm、10分、4℃で遠
に設定した。反応装置は、エッペンドルフ社製サーモミ
心して上清を回収し、細胞抽出液とした。細胞内グルタ
キサーコンフォートを用い、750rpmの攪拌を行っ
チオンの定量は、上記定量方法2に従って行った。得ら
て終夜反応を行った。終夜反応の後、静置した状態で8 50
れた結果を図3に示す。
HClを添加し、30秒ホモジナイズした。1
K2 HPO4 を添
( 7 )
JP
11
2015-166327
A
2015.9.24
12
【0038】
上清を回収した。上清100μLに8.4μLの60%
実施例4
過塩素酸を添加して撹拌後、15,000rpm、15
(COS/NAT細胞を用いた内因性グルタチオン増強
分、4℃で遠心した。さらに、50μLの4M
効果の評価)
PO4 を添加して撹拌後、15,000rpm、10分
実施例2で得られた米タンパクのウマミザイムGによる
、4℃で遠心して上清を回収し、細胞抽出液とした。細
タンパク質加水分解物上清の凍結乾燥物および、実施例
胞内グルタチオンの定量は、上記定量方法2に従って行
3で得られた米タンパクのデナチームAPによるタンパ
った。得られた結果を図4及び図5に示す。
ク質加水分解物上清の凍結乾燥物を用い、実施例3にお
【0039】
ける評価方法と同様にして、COS/NAT細胞内のグ
実施例5
ルタチオン濃度に対する影響を検討した。COS/NA 10
(COS/NAT細胞を用いたNAT活性増強効果の評
T細胞を1.5×10
ll
5
cell/mLの濃度で6we
K2 H
価)
plateに播種し、10%FBS入りのMEM
実施例1で得られた米糠タンパクのウマミザイムGによ
培地で37℃、5%CO2 で48時間培養した。培地交
るタンパク質加水分解物上清の凍結乾燥物および、比較
換後、被験物質を終濃度2.5、5、10mg/mLに
対象として、大豆タンパク(不二製油社製、フジプロE
なるように添加し、24時間共培養した。培地を吸引し
)を同様にウマミザイムGにより消化して得たタンパク
、1mLのPBSで二回洗浄後、細胞をセルスクレーパ
質加水分解物上清の凍結乾燥物を用い、COS/NAT
ーで回収した。回収した細胞に150μLの1mM
B
細胞内のNAT活性に対する影響を検討した。前述した
HClを添加し、30秒ホモジナイ
NAT活性の測定方法に従って、NAT活性の測定を行
APS/0.1M
ズした。15,000rpm、15分、4℃で遠心し、
った。得られた結果を図6に示す。
【図1】
【図4】
【図2】
【図5】
【図3】
( 8 )
JP
2015-166327
A
2015.9.24
【図6】
────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.
A23L
FI
1/305
(2006.01)
テーマコード(参考)
A61K
35/78
A23L
(72)発明者
畑中
川上
坪井
守谷
学校法人就実学園内
智恵
岡山県岡山市中区西川原一丁目6番1号
(72)発明者
福森
川上
藤田
株式会社サタケ内
晃司
東京都千代田区外神田四丁目7番2号
(72)発明者
学校法人就実学園内
武
東京都千代田区外神田四丁目7番2号
(72)発明者
岡山県農林水産総合センター生物科学研究所内
誠二
岡山県岡山市中区西川原一丁目6番1号
(72)発明者
岡山県農林水産総合センター生物科学研究所内
賀代子
岡山県加賀郡吉備中央町吉川7549−1
(72)発明者
1/305
唯史
岡山県加賀郡吉備中央町吉川7549−1
(72)発明者
Y
株式会社サタケ内
明子
東京都千代田区外神田四丁目7番2号
Fターム(参考) 4B018 MD20
MD50
ME14
MF01
4C084 AA02
AA03
AA06
BA44
MA52
NA14
ZC192 ZC212
4C088 AB74
AC04
AD18
BA16
株式会社サタケ内
CA14
MA16
MA35
MA37
MA41
MA43
CA22
CA25
MA52
NA14
ZC19
ZC21